ちょっとだけラオスに入ったが今日はタイに戻る。
昨日あらかじめ渡し舟の時刻を確かめに行ったら9:30から16:00ころまで1日に4便あるようだったので朝食は取らずに念のため9時に船着き場に向かった。
ここは国境なので当然イミグレーションがある。
しかしこのエリアのタイ・ラオス両国民はパスポートは使わずボーダーパスなるものを使って行き来をしている。
出入国カードもなくより簡単な手続きで出入りができるようである。
それでもSによるとこのボーダーパスで行けるのは限られており、たとえばラオス人はウボンまでしか行けないとのことだったのできっとラオス側も同様だろう。
そんなわけでそれほど多くはないものの、タイ人も若干列に並んでいるのだが、その脇から平然と数人分のタイのパスポートを窓口に差し出したおばちゃんがいたので誰かがそれを注意した。
「ティーナイ(どこ)?」
ティーナイじゃないだろ、おまえ目が付いてないのか!
目の前にみんな並んでいるじゃないか。
せめていいわけくらい考えたらどうだ。
開き直る中国人よりはまだいいがまったくアホである。
ラオスの出国手続きを済ましコンクリートの階段を降りた先がボート乗り場。
90%以上がタイ人・ラオス人なのでBTSや市内バスと同様、奥に詰めるようなことをしない。
乗り口である先頭だけが異常に乗客密度が高く若干前のめりになったままボートは定刻よりも5分早く岸を離れた。
タイの場合、出発が遅れることはあっても定刻より早く出ることはまずないが、ラオスではよくあることである。
これ以外の時期ならまっすぐ行けるはずなのに乾期で水量が少ないために現れた中州を大きく下流側に迂回する。
上流にはタイとラオスを結ぶ建設中の2番目の橋が見える。
これも今年早々には完成される予定のはずだが、事故があって大手ゼネコンの日本人も亡くなったのってたしかここじゃなかったっけ?
タイ側に上陸するとここでもボーダーパス所持者は別扱い。
というよりはパスポートを使う方が圧倒的に少数派。
アライバルカードが必要なのに事前に配っておらず窓口に置いてあるだけ。
並んでいる脇から用紙だけをもらおうとしたら脇に立っているおっさんに列に並ぶよう指示される。
おっさん、ただそうやって立っているだけならアライバルカードを配ったらどうなんだ。みんな必要だろうに。
全く頭悪いんだから。。。
「どこへ行くんだ」
トゥクトゥクでバスターミナルに着いてタートパノム行きのバスを探しているといつものように見知らぬおっさんが声をかけてきた。
「タートパノム」
すぐそばにいた警官(年末年始の特別警戒週間らしくたくさんいた)が「どこだって?」と聞き返してくる。
「タートパノム」
「じゃ、こっちだ」
連れて行かれた先にある時刻表には後30分でバスが来るように書かれてあったのでその警官に礼を言って遅めの朝飯を食べにいく。
このチープさがいいマーマー・パットを食べ終え先ほどのホームに戻る。
もう一度念のために時刻表を確認してみるとホワイトボードに手書きの方はその10:30のものがなくなっていた。
おや?もしかしてキャンセルなのか。
さっきの警官が近づいてきて「10:30のは今日はないみたいだ。急ぐならあちらのバスを利用した方がいい」という。
「どこ?」
「こっちだ」
とまた連れて行かれたホームはウドン、ウボン、ナコンパノム行きだった。
「タート・パノム」机を出していた切符売りのおばちゃんに声をかける。
ちなみにタイのバスターミナルでは中・長距離路線はこのようにチケットを事前に購入し近距離は車内で買うパターンが一般的。
小型のNon A/Cバスなら間違いなく車内で買うことになる。
運賃の25THBを払うと「今日は混んでるからね」とおばちゃんが言った。
他の客に混じってしばらくそこで待つ。
何台かエアコン無しのローカルバスがやってきたがほとんどがウボン行きで逆方向。
ウドンかナコンパノム行きじゃないとタートパノムは通らないはずだが、タイのバスは出発地と目的地の両方が書いてあるので紛らわしい。
今度もおばちゃんは首を振る。
いったい何時になったら来るんだ、とおばちゃんの後ろにふと目をやるとそこに時刻表が書かれていた。
なんかぐちゃぐちゃになっていてはっきりわからないのだが、どうも次のバスは13:30らしい。
もしそれが本当なら最初のところの方がぜんぜん早いぞ。
金は払ってしまったけどそちらにしようか、と思っていたらちょうどそちらにナコンパノム行きのバスが入ってきたところだった。
「このバス、タートパノムに行く?」と荷物の積み下ろしをしていた助手にきくとそうだとのこと。
「チケットはそこで買うの?」
「中で」
結局さっきの親切な警官は余計なお世話だった。
ワット・プラ・タートパノムサコンナコンに向かう途中のこの町にわざわざ途中下車したのはこの寺を見るためだった。
と書くと寺好きのように思われるかもしれないがそんなことはない。
本当のところはサコンナコンにそんなに早くついてもしょうがないだろうということで時間つぶしの意味でよってみたのである。
寺の門の目の前で停めてくれたバスを降りると塀に囲まれた向こうに白っぽいチェディが見えた。
歩き方によるとここのチェディはラオス式らしいが、たしかにタイで一般的な丸くてキンキラキンのものとは違い、四角くて白が基調。
外国人と思われる人はまずいないが地元民らしきタイ人が入り口でお供えセットを買って祈りをささげていた。
まずいことにちょっと腹の調子が悪くなってきた。
あまり汚いところで用を足すのは気が引けるが、ホーンナームとタイ語でかかれた案内に従って行くと敷地の外に案外きれいなトイレが建っていた。
周辺の駐車場といい、たぶん団体客が来ることを想定して建てられたのだろう。
お世話になったお礼にドネーションとして10THBを出しておいた。
寺を出て街の方を見ると、離れたところにヴィエンチャンのアヌサワリーに似た門が建っていた。
チェディといいこの門といい、ここはやはりラオスの影響を強く受けている町らしかった。
さて、今日の目的地はサコンナコン。
中部にある『ナコンサワン』と似ていて間違いやすいが(ついでに書くとナコンパノムとナコンパトム、ウドンとウボンも間違え易い)、サワンナコンはタートパノムから75kmほど西に入った町である。
212号線との3差路まで戻ってそこにあったバスの予約店のようなところでサコンナコン行きもここから出るのか聞いてみると、表に出てきたニイチャンが指を刺しながら100mほど向こうの、公衆電話のある店だと教えてくれた。
言われたとおりにその雑貨屋に行くと店の中に確かにバスの時刻表が掲げられていてサコンナコン行きも1時間に1本くらいの割で出ているらしかった。
「バスの切符はここで買うの?」
「バスが来たら中で買って」と店番の中年女性。
とりあえず水だけ買っておく。
石でできたベンチに座っているとボストンバッグを持った客がぼちぼちとやってくる。
ちょっと隣町に買い物というよりはお出かけ風である。
もっともこの町からならムクダハンかナコンパノムのほうが近いし、サコンナコンよりは栄えてもいそうなので、もしかすると彼らはサコンナコンを通り過ぎてウドンかコーンケンまで行くのかもしれない。
緑色のバスがやってきた。
ここに着いた時点で乗車率は150%をゆうに超え、乗るのをためらったが、乗せれば乗せるだけ儲かる民間会社の車掌(けっこうかわいい)はどんどん客を乗せる。
運転席の隙間にも人が座っている有様で、その車掌などは乗車口のところにある、ちいさなテーブル状の上にバランスをとりながらかろうじて座っており、客は客でほとんどラッシュ時の山の手線状態。
誰かが降りるたびになんとか楽な姿勢を取ろうと努力はするが次から次へとどんどん乗り込んできてさらにひどい状況になっていく。
足の踏み場もつかまる手すりを確保するのも難しく、こんなつらいのは何年も前にラオスで10時間もバスに乗った時以来である。
このバス会社、たしかインターネットで予約もできるはずだが、いったいブッキング状態はどうなっているのだろう。
たぶんオーバーブッキング率50%とかじゃなかろうか。
そんな状態で走ること1時間40分、やっとの思いで街中にあるサコンナコンのバスターミナルに到着した。
サコンナコンの町田舎町ではたまにあることだが、この町にもトゥクトゥクではなく人力のサムロー(自転車リキシャ)がいたのでそれでホテルへ行ってもらう。
ロンプラでめぼしを付けておいたこの街一番のホテルのMJ hotelはタラート(市場)を越え、ソンテウ乗り場を通り過ぎた先にあった。
この町自体何の特色もなく観光客は来そうにないのでそんなに混んでいるとは思っていなかったが、レセプションで空き室をたずねるとやはり空いていた。
よほどのことがない限りタイの田舎町は県庁所在地でさえこんなものである。
洗濯ものがたまっているのでここで2泊することにする。
まだ日は高いのでロンプラの地図を便りに好きな街歩きを始める。
それほど広くない町の中心はボーコーソー(バスターミナル)からタラートにかけてのエリアで、ここら辺に商店が集中している。
ホテルはそこからちょっと外れているが歩いてもボーコーソーまで10分とかからない。
ラオスの首都であるヴィエンチャンよりは賑わっているがタイの県庁所在地としてはかなり小さいほうである。
人気のない映画館があった。
看板によると上映は12:30と20:30の2回で、バンコクではだいたい100THB以上なのにたったの20THBと激安だ。
本当の田舎町には映画館すらないからあるだけでも県庁所在地の面目はかろうじて保っているようだが、そもそもそんな料金でやっていけるのだろうか。
Wat Phra That Choeng Chum町の東側にあるタイ、ラオス、クメール、ベトナム洋式が混在する寺院。
チェディーはワット・プラ・タートパノムと同じような白くて四角錐のラオススタイル、金色の屋根に当たった夕日がきらきらと輝いている本堂はランナー(北タイ)スタイル、さらに鐘が置かれた建屋が地元に住んでいるヴェトナム人の寄進によるものだそうだ。
敷地内には真っ黒で直径50cm以上はありそうな金属製の玉がずらっと並んでいた。
ロンプラの説明でルーク・ニミットということはわかったが何のためにここに置かれているのかは書かれていない。
ただ、タイ国内では寺への案内板とかにこのような玉が描かれているのをたまに見かけるから大砲の砲弾でないことだけは間違いない。
Saphang Thong ParkWat Phra That Choeng Chumを出て少し歩くと建物の合間から高く吹き上げている噴水が見えた。
ロンプラの地図を見てみるとSaphang Thong Parkとある。
おそらくSaphangは橋のことだろうからトン橋公園というのだろう。
(Thongは旗?)
この公園は噴水を擁した大きな池の周りに周回道があり、かなりの人数の人々がぐるぐる回ってジョギングをしていた。
さらに奥に進んでいくとそちらでは音楽に合わせてのエアロビクス。
バンコクのルンピニ公園でも夕方によく行なわれているが、たしか田舎町のタークでも見た記憶がある。
普段汗をかくことを非常に嫌がりそのためにちょっとの距離でさえ歩くことを嫌うタイ人ではあるが、この健康ブームは全国的なものなのかもしれない。
タイも変わったものだ。
この公園の裏には大きな池がある。
こちらはNong Hanといい、タイで一番大きな自然の湖なのだそうだ。
ただタニシを宿主とする吸虫が生息しているのでここで泳いだりタニシを食べたりしないようにとの注意がロンプラに書かれていた。
Big C日がかなり傾いてきたのでホテルに戻ることにする。
いまやタイ国内ちょっとした街には必ず7−11がありここサコンナコンにあってもいまさら驚くこともないが、なんとこの街には大規模ディスカウントスーパーであるBig Cができていた。
看板によるとオープンしたのは去年の11月でまだ2ヶ月だそうだが、隣県のウドンやコーンケンならまだしもこんなところにオープンして採算が取れるのだろうか。
Big Cにやってくる客を目当てにしてか、目の前にはシネプレックス(複合型映画館)もできており、あと数年もするとタラート(市場)はさびれ20THBの映画館はつぶれてしまうかもしれない。
10年前は500THB札ですら使うことが難しかったのに、タイは流通業も明らかに全国規模で変わりつつある。
ビールを飲みながらふだんとあまり変わりばえしないサイクロークイーサーン(イーサーンソーセージ)を摘んでいるとウェイターがやってきた。
お勧めのようなことの書いてあったプラムック・ヤッサイトートガティアム・プリックタイ(イカのニンニク詰め揚げ胡椒味?)はプラムックはあるがプラムック・ヤッサイがないとのことだった。
特にその料理を絶対に食べたかったわけでもないので、だったらメニューにはないがプラムック・パット・プリックタイダム(イカの黒胡椒炒め)はできるかと確認するとOKだとのこと。
屋台を初めとしてよほどのきどった店でない限り、だいたいタイでは材料さえあれば何でも作ってくれる。
まるで日本での行きつけの個人経営の飲み屋のような店ばかりである。
1品目の料理が出てきた頃からステージでは演奏が始まった。
最初はMIDIにあわせてのサキソフォーンだったがそのうちにボーカルが入るようになった。
客は自分以外おらずウェイターが暇そうにしているだけ。
だいたいタイではBGMのはずが音が大きすぎて会話のできないことが多く、タイ人はそういうのが好きなようだが自分は大嫌い。
鼓膜が痛くなるのでうるさすぎたらさっさと出て行くことにしている。
そういう意味ではここは音量が多少控えめでまだ許せるほうだった。
since 2006/02/05