女王感傷

2003.02.04UP







今日の女王は、夕方5時半から銀座で会議である。
いよいよ4月から能力給が導入されるという噂もある会社において、
唯一女王の能力を発揮できる、重要な会議である。

とはいうものの、女王はスターバックスで買ってきた
ティラミス味のポップコーンをぽりぽり。

なぜなら今日は、夜7時から、都内某所で
□□□□のツアーファイナルのライブが行われるのである。

□□□□の全国ツアー、10箇所のうち、すでに5箇所を制覇した経験上、
すきっぱらで出かけた日には倒れることがわかっているので、
カロリーの高い、甘い甘いポップコーンをほおばっておくのである。

なんてことを書くと、「女王断食」はどうなった?
という疑問がアナタのあたまを渦巻くかもしれないが、
そんなものは女王のしったこっちゃないのである。



本当は
「□□□□のライブがあるのです。 この会議、6時半までには終わりますよね? ね? ね?」と
すべての会議メンバーにプレッシャーをかけたい女王であるが、
一応オトナでもあるので、最初からあきらめモードである。

仙台、新潟、高松、広島、名古屋で、すでに5回見たのである。
女王も多少のことなら我慢をするのである。



予想通り、会議の終了は、7時過ぎである。
しかも女王の少ないお小遣いで買ったスターバックスのティラミス味のポップコーンは
K部長や、N部長や、M原さんまでがぽりぽりしはじめ、あっというまになくなったのである。
をいをいである。

が、ダッシュで片付けをしているうちに、
グッドアイディアを思いつく女王である。

「M原さん、□□□□をいっしょに見に行きませんか?」と甘い誘惑である。

特殊企業の特殊セクションにいたM原さんといっしょにいくと、
禁断のスタッフパスがもらえる可能性があるのである。


通常は、
「女王を□□□□に近づけてはいけない条例」が制定されているので、
女王は□□□□の楽屋に入ることはできないのである。
ノリのいいM原さんは
「お、いいね、いこうか」と軽い足取りである。

しめしめである。



都内某所の巨大なライブハウスにたどりつくと、
M原さんは「関係者入口」へ、
女王は「一般入口」へとわかれわかれである。

「カメラや録音できる機械はもっていませんね」と
スタッフに厳しくチェックもされてしまう女王である。

関係者入口にいたM原さんにすりすりすりよっていくと、
「しょうがないなービーム」を発しながら、
女王にもスタッフパスをくれるマネージャーである。

しめしめである。



関係者席に座るM原さんとわかれ、
立見席の後方で、ライブを鑑賞する女王である。



□□□□の長い長いMCと、おとなしめの楽曲のあいだは、
おとなしく壁際にいる女王である。

□□□□が着替え、オレンジのジャケットになってアップテンポになった瞬間、
新興宗教の信者のように、
自然に踊り出してしまう女王である。
18歳のときにインプットされた踊りは、
38歳になっても自然にアウトプットされてしまうのである。
三つ子の魂百までである。

定番のスピーディな楽曲のあと、
白いTシャツにきがえた□□□□がコルグのキーボードで弾き語りである。

と、女王のそばにM原さんが登場である。
あかりがついた場内で声をかけると
「おれ、家遠いからさ、楽屋寄らないで帰るわ」というのである。

げげげ。

M原さんがいなければ、
女王が知っている関係者は、マネージャーと□□□□本人だけなのである。
特殊企業に勤めてはいるものの、
□□□□と仕事をしたわけではない女王は、
周辺のスタッフや関係者とはまったく面識がないのである。

げげげ。

それで楽屋見舞へ行けというのか。

だがここで行っておかないと、
「女王を□□□□に近づけてはいけない条例」がまた制定されてしまう。

この条例は、罰則規定こそないものの、
非常に厳密に運営されているので、
くぐりぬけるのはかなり困難なのである。

そんなわけで
「眉毛かいてない」
「リップクリーム(すら)ぬってない、いわんやファンデーションをや」
「踊りすぎて汗くさい」

という悪条件にもかかわらず、
終演後おちあったセニョーラNとTY嬢を、都内某所の寒空のもとへとほおりだし、
□□□□の待つ楽屋へ
ひとりぼっちで行ってしまった女王である。










女王感傷。




どうしてこんなに好きになってしまったのだろう。
届かない片想いなら、いっそ掌に触れられなければいいのに。
結界のむこうがわにずっとずっといてくれたらいいのに。

勝手に自分が越境しておいて、
ひとりで感傷にひたる女王である。










打上の王子はお肌がつやつやでした。
茶色と黒の太めのボーダーのシャツに、ポケットがたくさんたくさんついたパンツ。
ちょーかわゆい。
今日はMCが史上最長になってしまったと挨拶で笑っていました。

「千秋楽おめでとうございます。名古屋すごかったですねー。」
「神戸もね。すごかったんですよ。来られました?」
「いきたかったんですけど、いけなかったんです」
「そうですよね、お仕事ありますもんね」

(この話の前提として、当然こいつはきてるだろう、って感じね)

「今回の選曲は、新旧のバランス、緩急のバランスがよくて
うるうるしながら聞いてました。
友達もすごく感動してて、
代表してこの感激を伝えてきてって
いってました」
「そうですか(笑顔)」

みたいな会話。あーん。牛みたいに反芻しちゃる。
最後にとうとう握手をねだってしまった。

あうあう。
リアルの恋なんていらないや。
(ってこーゆーこといってっから条例制定されるんだっちゅーの)




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