蟹のほほをなでてゆくトスカーナのグリーンな風 written by Ayala

2001.01.29 up



 おととしの初秋を思い出します。
外苑前といえば、神宮球場。ド○○○ズが優○した、
いわば聖地とも言える場所なのです。
 「蟹堪能の夕べ」の誘いを受け、
真っ先に思ったのは失礼ながらそんなことでした。
神宮球場は、ド○○○ズはとっても相性が良く、
ほとんどいつも勝ち越しで、ホームランも良く出るし…

 なんて言ってる場合ではない!今回は蟹です。蟹・蟹・蟹。

 女王からの御誘いを慎んで喜んでお受けしたものの、
やはりひとつの疑問が頭をかすめました。
   「ワインは?ワインは??!!」

 そう、私は、数年前より日本列島をかけぬけたワインブームにしっかり乗り切ってしまった
ワイン愛好家のひとりです。
 美味しいごはんがあれば、
そこにワインがあってほしい……。
ワインあっての、美味しいごはんなのです。思い切って女王にたずねました。

 「そこのお店のワインはいかに。」
 「あるとは思うけれど、ふだんは飲まないのでよく覚えていないわ。
  おすすめがあるなら持ち込みを交渉してあげてもよくってよ。」
  素敵です。あなたについてきて良かった。

ごはんに合わせるワインを選ぶことに、極上の喜びを感じる私。
それはもうハリきりました。
手許にあるワインたちの名前が頭をすごい速さで駆け巡りました。

 もちろん、白だろう。
その場合、候補は4つだな。
待てよ、あれはダメだ。蟹には重過ぎる、繊細な蟹が死んでしまう。
そうだあれもいかん。あれは蟹とケンカしそうだ。やはり、あの2つか。

「あの2つ」をご紹介しましょう。

@ワイン名:Vernaccia di San Gimignano(D.O.C.G) *99
生産者名:Teruzzi & Puthod


昨秋、トスカーナを旅行した(某イタリアンレストラン「a」主催)際に訪れた
サンジミニャーノのカンティーナ(=ワイナリー)のワインです。
家族経営で、2代目の若社長が一生懸命頑張っているカンティーナ。

ハイテク技術を積極的に取り入れていて、こんなこぢんまりした田舎の(失礼!)
家族ワイナリーでなぜここまで…と思わず言ってしまうような管理・制御体制でした。

リリースする同じワインのすべてのボトルの内容が同じである自信があるとおっしゃっていました。

(前日に訪れたカンティーナはまったく対照的で、
古きよきワイン作りを脈々と続けているようなクラシカルなカンティーナ。
そこでは、「ワインのボトルの内容はすべて異なる、それがワインの良い所だろう?」と。
2つのカンティーナに共通するのは、自分のワインに絶大なる自信とプライドを持っているということ。)

「機械を増やすために敷地を広げたいが、
何せこののんびりマイペースなお国柄、許可がおりない。
いつになることやら。ハハハ。」

そんなカンティーナで生まれたヴェルナッチャ。
香りや味わいの上品さ、繊細さ、控えめさが蟹にはぴったりでは?と候補に入れました。

Aワイン名:I SISTRI (Toscana I.G.T) *97 Chardonnay
生産者名:Fattoria di felsina berardenga


シエナのワイン店で購入。

その店で私は日本にワインを送るべく、あれこれ物色していました。
トスカーナはキャンティやブルネロなど赤ワインが有名で、
私ももちろんいくつかのキャンティとブルネロを選びました。
しかし、さて白は…となった時に、選択に困りました。

前出のヴェルナッチャはまよわず手に取ったものの、
ほかにトスカーナにおいて白は何を選んでいいのか分かりません。
そこで、店員(←のちに、一緒のツアーの人々によって「ツルッパ」というアダ名をつけられる気の毒な人!)
にすすめてもらったのがこのシャルドネでした。

旅の最後の夕食(買ってきた食材とワインで宿にて取り行なわれたパーティー
某「L」の料理人Yさんによって、非常に華やかなテーブルになりました。)

で、「a」店の支配人であるソムリエが選んだのもこのワインで、
私は自分がそれを買っていたことも忘れ(←忘れるなよ…)
「美味しい!これ美味しい!」と飲んでいたら、
隣に座った某に「買ったではないか。」と言われ、
自分の幸運にしばし浸ったものでした。ツルッパよ、ありがとう。

シャルドネらしい華やかさとやや力強さをもつワインで、
蟹のためにというより、このワインがあまりにも好きで候補に入れました。
この華やかさが蟹にはどうだろう、というところ。

結局、蟹のために選んだのはやはりヴェルナッチャ。
最後の決め手となったのは、立ち読みした本に、
「ヴェルナッチャには甲殻類が合いますよ。」
と書かれていたからという、ただそれだけの理由で(すみません。安直で。)、
でも迷いに迷っていた私にとっては、ポンと背中を押されたような気分でした。

蟹の日の前夜から自宅にて冷やし、
会社に行っても冷やし
(暑い夏などは勤務中にビールを空けて寝てしまう理解不能の
「Kさんに飲まれないよう注意を」という女王の警告に焦りながら。)
飲むその瞬間にぬるくなっているようなことのないようにしました。
ぬるくなっては台無しのワインですからね。

色は、ややグリーンがかった淡い淡いイエロー。
香りは、まだ青いレモンを思わせるような若々しく瑞々しい香り。
はちみつはわずかで、それよりもグリーンなイメージが強い。
草をちぎって風にそよがせたようなイメージ。
ほんの少しスパイシーさも。

味は、控えめな第一印象で、ややシャープな酸が口に広がり、
甘さというよりもドライで繊細な果実味をもつワイン。
全体的に最初は控えめに感じるが、徐々にコクや果実味が増して行き、
バランスが良くなっていく。余韻は短い方。

蟹のうまみ・甘みを上手く(美味く?)引き立て、
蟹の繊細さを殺すことなく、
この結婚(=ワイン用語でワインと料理を組み合わせることをmariageというのです。なんだか、ロマンティック。)は、
成功したといえると思います。

トスカーナの緑色の風と、蟹が出逢った御満悦の夜でした。

Ayala

■■Ayalaさん、どうもありがとう♪ また行きましょう。女王@痛風一直線より■■



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