女王外遊 六

2001.07.12 up





●7月3日<火曜日>●

世界一ワイルドなはばかり。

それは、雪に半分以上埋められた、小さな小屋だった。
遠めには、ほとんど犬小屋という感じである。

くまちゃんが、「トイレいきたい・・・」とぼそっとつぶやく。
女王もつられる。
が、ふたりとも、勇気がでない。

しかしながら、我々ハイキング隊は、
アグラ隊長と、くしゃおじさんの顔をもつネッドのもと、
これから氷河を見に行くのである。
道のりは長い。しかも冷える。

「やっぱ、はいっとく?」



ということで、まずはくまちゃんが突入。

個室にいたるまでに、雪の階段を3つくだる。
「ぎゃー。し、しめたくないよ〜」と
怪しい悲鳴をあげたくまちゃんは、扉のすきまを数センチあけたまま、
個室にとじこもる。

用足しの前に、扉の上から手を振るおちゃめさん。
さらに用足しの後、個室から出ようとしたら
なぜだか扉がひらかなくなるおちゃめさん。

社会的ひきこもりが憂慮される昨今だけに、
やや心配な女王である。



「下の(はばかり)より、臭くなかったよ〜」という
敵情報告を得て、女王も突入である。

ちびっこ女王には段差のはげしすぎる雪の階段を、ようやくのことでくだり、
個室に潜入。

くまちゃん同様、扉をしめきってしまうと
「いざというときに出られないのではないか」という本能的な危機感がきざし、
やはり扉は数センチあけたままである。
人間、本能は大切である。

便器のまわりには純白の白い雪が、
小屋の屋根からふきこんだまま、溶け残っている。
なんとも美しい光景である。

便座のふたをあける。
さまざまな人種の、さまざまな肉体を通過した、ありとあらゆる歴史が
そこには積み重ねられていたのであった。

おそるおそる、冷たいにちがいない便座に腰をおろし、
はばかってみる女王である。


●つづきはこちら