今話題の3MIX−MP法って?
最近、マスコミ等で、「歯を大きく削らない、痛くない、3MIX−MP法」という記事をご覧になった方も多いかと思います。当院でも導入していますので、どんな方法なのかを簡単にご案内致します。

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 3MIX−MP(スリーミックス エムピー法)って?

 皆さんも経験があるかとは思いますが、歯医者さんで虫歯の治療で歯を削ってもらったら、舌で触ったら、思ったより大きな穴になっていてびっくりしたことがあるかと思います。

 今まで、虫歯の治療と言えば、虫歯の所だけでなく、予防的に、そのまわりの健康な歯の部分まで削り取って感染を拡大させないといういわば、外科的な方法がメインでした。
 
 その為に、ある意味、健康な歯の部分を犠牲にして、大きな虫歯となると、痛くなくても、神経まで取るような処置をせざるを得ない場合がありました。

 しかし、歯の神経(歯髄)は全身に歯の感覚を伝えつつ栄養を与え、また種々多様な細菌から身体を守る免疫の役割を受け持つ大切な組織であることから、健康な歯を保つためには本来歯を削ることや歯髄を取ることは極力控えるべきなのです。 
 
 そこで大切な神経を守り、歯自らの自然治癒力を活用するために細菌だけを薬によって殺す治療法である病巣無菌化修復療法(3Mix-MP法)が考案されました。 
 この3Mix−MP法は、虫歯に侵食された箇所を最小限削った後に安全な3種類の抗菌剤の混合薬を塗布することにより、周囲の虫歯に侵された疑いのある部分や歯髄内の細菌を無菌化する、いわば内科的な薬物療法で虫歯を治す方法です。 
 
 また、この治療法は大きく深い虫歯であっても極力削らず歯髄を残すことが可能なため歯へのダメージが少なく歯髄に達するほどの大きな虫歯や歯根部に膿ができて骨が溶けた症状など、従来法では治療が不可能なケースにも対応できることが特徴です。

 従って殆どの場合、比較的大きな虫歯でも麻酔も必要無い場合があります。
 
 


 よくある質問。

Q:LSTR療法って何ですか?

A:細菌が原因で起こっている病気では、病巣の細菌を殺菌し無菌化することによって、生体が本来持っている組織修復機能により病気を治す、という考え方で、特に新しいものではありません。 
例えば、軽いすり傷を負った時に、傷を洗って消毒します。これもLSTR療法です。つまり医療では普通に行われていることです。 しかし歯科領域、特に歯の治療に際しては、細菌が侵入して生じた病巣(例えば虫歯)は削り取ってしまう療法を採り、細菌だけを殺して病巣組織の回復を図る療法(=LSTR療法)は行われていません。

Q:病巣の無菌化は必要なのですか?

A:「細菌性の疾患が治る」ということは、「細菌が除去される」ことが前提です。
 つまり無菌化される、ということです。生体には感染防御機構(免疫作用)があって、細菌と常に戦っています。激しい戦いの場合に「腫れ、痛み、発熱」という「症状」として出現しますが、戦いに勝つと症状はなくなり、その時には無菌化が達成されています。 
 歯の場合、エナメル質が破壊されている状態(=虫歯)は、皮膚や粘膜における潰瘍と同じで、細菌が自由に体内に出入りできることを意味しています。歯の感染防御機構(免疫作用)は非常に弱い、一方、侵入してくる細菌(口の中の細菌)は非常に多いので、通常、戦いに負けて病巣組織(=虫歯)は拡大します。

 この様に免疫機構によって細菌が除去されにくい場合、3Mixのような人工的な殺菌剤を援軍として送ることにより、病巣の無菌化を図ります。

Q:なぜ3種類もの抗生物質・抗菌剤の混合が必要なのでしょうか?

A:象牙質病巣(ウ蝕部)や、歯髄炎、感染根管の病巣部には、口腔の細菌が入り込んでいます。その種類は雑多で、きわめて多種類の細菌の殺菌が必要です。新潟大学口腔細菌学教室で口腔のいろいろな場に生息・感染している細菌の種類を調べ、これに対する抗菌薬剤の殺菌効果を調べたところ、1種類の抗菌薬剤では全滅させることができず、2種類でもできない場合があり、3種類の混合薬剤の組み合わせ(=3Mix)を用いると、調べた限り完全に殺菌できました。

Q:治療ではどのくらいの量が使われるのですか?

A:極めてわずかの量で有効です。
単位としてはμg/mlです。具体的には、混合薬剤の量として、直径1oの塊が1回分で、ほとんどの症例では1回の使用で済みます。全身投与で用いる量に比べると、数十分の一から数百分の一の量です。

Q:抗生物質・抗菌剤は、アレルギーが怖いのですが大丈夫ですか?

A:治療は、歯の中に薬剤を充填し、シッカリ蓋をする型になります。歯から薬剤が漏れ出て血管の中に入ることは考えられません。万が一、薬剤が漏れたとしても、3Mixは、水に接すると薬の効果を失ってしまうので、アレルギーは起こり難いと考えられます。これまで、15年間に何万人かに使用してきて、アレルギーの報告はありません。しかし、薬物アレルギーのある方は、治療を受ける時に申し出てください。

Q:抗生物質・抗菌剤に耐性菌はつきものですが、大丈夫ですか?

A:第1に、それぞれ作用機序の違う薬剤3種類に同時に耐性を持つように遺伝子を変えるのは難しい。
第2に、正しく使用すると病巣の細菌は100%殺菌されるので、生き残る細菌はいない。という理由から耐性菌は生まれにくいと言えます。

Q.3Mixを使用できない症例(=禁忌症)にはどんなものがありますか?

A.禁忌症例とは多少異なりますが、次にあげた患者さんには使用しません。

・ 3Mix-MPの使用に同意を得られなかった患者さん
・ 多種多様の薬剤にアレルギーのある患者
・ 3Mixを使うまでもなく治ると思われる症例

Q:乳歯の治療に使った場合、その下にある永久歯に悪い影響はありませんか?

A:3Mixの中にテトラサイクリンという、歯に着色する薬剤が入っているので気になるでしょうが、その心配は全くありません。  

Q:妊婦・授乳中のお母さんに使用しても大丈夫ですか?

A:前にも書きましたが、「薬剤が血液中に入ることは無い」と言って良いほど可能性は非常に少ない点、使用量が微量な点、薬が薬効を失いやすい点等を考えると、安全と考えられます。しかし危険はゼロではありませんので、3Mix以外の治療法があれば、そちらを選択するべきです。


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