クレジット・サラ金問題(個人破産の急増)
現在の実情
昭和40年代以前は、社会全体が金不足の状況にあり、今日ほどカードやサラ金会社も多くはなく、借金自体なかなかできない状態でした。
ところが、経済が豊かになり金余りの状態になるとカードやサラ金会社が次々と増加していきました。これらのサラ金会社は、主に、銀行等などから借入れた資金で高利息を取り消費者へ貸付をしています。そして、贅沢な資金を手に入れたサラ金会社は、業務拡大に次ぐ拡大を図り、わずか4,5年の間に融資残高が8倍近くでる業者もでる始末でした。この業務拡大の裏には、無選別融資(誰にでも気軽に貸します)、過剰融資(返済能力に関係なく貸します)という不自然な形での融資をしていることが関係しています。このような融資では早々破綻するのは目にみえており、業者側は債権回収のため、極めて厳しい取立を行い、その結果、自殺者・夜逃げが頻発し、深刻な社会問題になりました(第一次サラ金パニック)。
昭和58年以降、貸金業規制法の施行により自己破産は減少の傾向をたどりましたが、再び平成2年以後(バブル景気の崩壊)増加に転じ平成9年にはついに7万件を超え、現在においては10万件余に達しています(第二次サラ金パニック)。この数字は第一次サラ金パニックのときにおける自己破産件数が2万件代であることからも常識を超えた数であることが分かるとおもいます。さらに驚くべきことは、これら破産申立をした者以外に破産予備軍といわれる人が100万人〜150万人もいるということです。これは既に一個人の問題ではなく、社会全体の問題であると言っても過言ではないでしょう。
このように、現在これほどまでに自己破産が増加したのは、単に消費者側の責任だけではなく、上記のような無選別融資・過剰融資の他に無人契約機の急激な増加それに伴うテレビコマーシャルや広告による派手な宣伝で消費意欲をあおっているサラ金業者にもあることを認識する必要があります。
大手・中堅消費者金融会社は、史上空前の経常利益を計上し、その増加に伴い自己破産件数も比例して増加しています。一方、貸倒償却率は、ある大手において1997年3月期にわずか2.12%でした。これについて大手業者側は適正な与信に基づいて融資をしているからであり過剰与信によって利益を上げているわけではないと主張していますが貸倒償却率が低いのは借手側が最初に訪れる金融業者の90%近くが大手企業であることから、たとえ返済が困難になったとしても度重なる督促をすれば他の消費者金融から借りてきて返済金を作る漠然性が高く、与信の正確性が貸倒の低さの原因となっているのではないともいえます。
破産したら不利益をうけるのか?
破産者が破産宣告の後に得た収入、財産は原則として破産者が自由につかえます。また、破産しても戸籍や住民票に載せられるということはありません(なぜか戸籍・住民票に載せられるという誤解が世間にはわりと根強くあるようです)し、選挙権が奪われることもありません。ただ、破産宣告を受けると破産者の本籍地の市町村役場の「破産者名簿」に記載されますが、これは「身分証明書」(禁治産および破産者でないことの証明書)を発行させないためのものです。しかし、この証明書を必要とするのは破産者でないことが一定の資格の条件とされている場合(例、弁護士・公認会計士・司法書士・税理士等)ですので、これがなくても、日常の社会生活にはとくに問題ないと言えます。なお、後日、免責決定が確定すれば、破産者名簿から外され、証明書の交付を受けることができるようになります。
会社勤めをしている人にとっては破産すると会社をクビになるのではといったことを心配されることがあるようですが、そのようなことはありません。そもそも、従業員が破産したことを会社が知り得ても、解雇することはできません。また、破産したことが会社に知られることは、本来はありません。では、会社に知られるのはどういう場合なのかと言うと債務者において、破産に踏み切れずに、債権者への支払をずるずると引き伸ばしている内に、債権者から勤務先にも督促がいくようになり、事実上、職場に行きずらくなるということです。なお、会社側では、解雇をすることはできませんので、いかなる手をとってくるかというと、辞職を暗に勧告し、従業員の方から辞職願いを会社に提出させるというケースが多いようです。しかし、このような辞職勧告は、実質的には、解雇に対する規制を潜脱しようとするものであり、疑問といわざるを得ません。もちろん、勤務先に督促がいけば、職場の同僚や上司にも迷惑がかかります。このような事態は決して好ましいことではありません。したがって、そのようになる前に弁護士や司法書士に相談して何らかの解決策をたてるのがよいでしょう。とにかく、どうにもならない状況になってしまったときは自分1人で悩まずに誰かに相談してください。きっと良い解決方法があるはずです。
どんなとき破産できるのか?
支払不能のとき…要するに、八方手をつくしてもお金を工面できず、支払を滞納していても全く支払えない状態のことです。
具体的判断として
@ 債務者の財産だけでなく、労力、信用なども考慮されます。つまり、収入の少ない人は、少し借金がかさんでも支払えなくなってしまいますが、収入の多い人は、少しくらい借金があっても返済が可能です。
A 支払不能が継続的、一般的であることが要件である。一時的にお金がないことはダメということです。
B 支払不能は客観的なものでなければなりません。債務者が自分の支払能力を過少評価しても、支払不能とはいえません。逆に、高利のサラ金からの借金などの無理算段で支払いを続けていても、支払能力があるとはいえません。
支払不能の目安
一般的に、無理なく返済できる借金の限界は
1. 年収の3倍程度ぐらい
2. 年間の利息を含めた返済額が年収の25%以内
といわれています。
任意整理と自己破産の分岐点
債務者の手取収入から衣食住の必要経費を控除した可処分所得の大半を返済に充てたとして、3年〜5年以内で全ての借金を返済できるかどうか。このような、窮屈な財政的な生活を続けられる限界が概ねそのぐらいが限度だと思われます。
多額の債務を負ってしまったり、多重債務に陥ってしまった場合、どんなに頑張っても返済しきれないと思ったときは一日も早く債務を整理しなくてはなりません。債務整理の方法にはいくつかの選択肢があり、代表的なものに「任意整理」「債務弁済調停(特定調停)」「自己破産」などがあります。
1.任意整理 裁判所が介入せずに、債権者と債務者双方が合意して借金の整理を行う方法です。ただ、債務者の立場が非常に弱いので本人では、債権者と交渉しにくいのが実情です。そこで、弁護士に相談されるのがよいでしょう。また、一般的に終了まで3年ぐらいかかります。
2.債務弁済調停(特定調停)
上記任意整理と同様のことを簡易裁判所にて調停委員が債務者と業者との交渉をあっせんし、当事者同士の合意をさせることによって解決する方法です。合意が成立すると、調停調書が作られます。調停証書は裁判で判決が確定したものと同じ効力があるので、毎月期日までに確実に返済するなどの注意が必要です。費用に関しては申し立てた債務額により異なりますが、比較的低額で、裁判所に申立書とともに印紙で納めます。 2000年2月より、「特定債務等の調停の促進のための特定調停に関する法律」が施行されました。
この法律は「支払不能」のおそれ、あるいは「支払困難」の状況にある者(個人以外でも申し立て可能)が対象となり、債権者が1件であっても(多重債務でなくとも)申し立てできます。ただし、支払不能である事を説明するために、申し立て時に裁判所に対し財産や債務などの一覧表を提出する必要があります。 この法律により、特定調停を申し立てた場合、
裁判所が必要と判断した場合、不動産などの差し押さえ等を止める(執行停止)ことができるようになります(一部例外があります)。
調停の相手方である個々の債権者の裁判所の管轄にこだわらず、すべて一つの裁判所に併合して、一つの調停手続の中で
全体的な債務調整を行うようになります。場合によっては簡易裁判所から地方裁判所に移送される場合もあります。
調停委員会は当事者に対し文書の提出を求めることができます(場合によっては調停委員会が職権により証拠調べをすることもできます)。また文書を提出しない場合には過料を課されることになります。この規定では、利息制限法による利息の引き直しを行いますし、調停委員会から取引経過の開示を求められたにもかかわらずそれに応じない事の多い貸金業者に対して一定の圧力がかかることにもなります。
なお、今までの調停と同様に、債権者の合意があってはじめて調停が成立する点は今までと同様です。合意なき場合は調停は不成立となります。 費用 申し立てた債務額に応じた、所定の額の収入印紙(約1万円)
特定債務等の調停の促進のための特定調停に関する法律 3.自己破産 最後の手段が「自己破産」となります。これは住所地を管轄する地方裁判所に、支払不能であることを申し立てるものです。債務者の財産は生活必需品を除き、破産管財人を立てて、裁判所による「破産決定」後、現金に換価した上で業者などに債権額に応じて公平に分配するなどの手続きが有りますが、めぼしい財産がなく、その場合に必要な費用さえ捻出できない時には「破産同時廃止」という制度があり、破産決定と同時にその手続きを終結させるものです。個人の破産の場合、破産者に再出発の機会を与えるための「免責」の制度があり、破産決定後に裁判所に免責を申し立て、その許可を受けた場合はそれまでの借金の返済義務は無くなります。自分で言わない限り破産の事実を他人に知られることもありません。自己破産の手続き(申し立て)は債務者自身で行うことが出来ますが、「書類が難しい」と感じたときは書類の作成を司法書士が代行します。さらに「裁判所での手続きがわからない」等の時は手続きを弁護士に依頼することになります。 費用 20〜30万円(司法書士に依頼・同時廃止)
約3万円(本人申し立ての場合・同時廃止) ※不動産・多額の退職金や生命保険などのめぼしい財産があり、その合計額がおおむね50万円以上ある場合は「破産管財人」が財産を処分(換価)、分配することになります。その場合、裁判所に予納金として最低50万円を納める必要があります。
債務処理は自分でも出来ます!
自己破産や債務弁済調停は一般の方でも裁判所にて手続きが出来ます。自分で法的手続きを行えばかかる費用は予納金や印紙代などの裁判所に納める費用と書類代・交通費ぐらいでで済みます。 (自己破産申立書類などは裁判所内で頒布(越谷市は無料)されている場合がありますので、ご利用ください)
悪徳商法の横行!
多重債務者の増大と比例して、悪徳商法もまた暗躍しています。これらの商法が債務者の困窮に付け込む許し難い違法行為であることは言うまでもありません。悪徳商法の罠にはまり、さらに困窮の度合いを強めていく被害者はそれこそ毎日といっていいほど量産されており、なお多くの業者が現在においても違法行為を繰り返しています。
・ 紹介屋…電話等で融資の申込をすると実際には融資をせず、被融資者の現在の債務額を聞き出し、融資条件の甘い消費者金融業者を紹介し(実際に融資の働きかけをしているわけではありません)20%〜40%の紹介手数料を取ろうとするものです。
・ 買い取り屋…被融資者の持っているクレジットカードで換金性の高いものを購入させ、半値程度で買い取ろうとするものです。
・ 整理屋…債務整理(だいたいが任意整理)によって月々多額の返済金を要求し、それら振り込まれた返済金の中から整理屋が多額の手数料を徴収するものです。
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