月刊「正論」様からの罵詈雑言

 以下は、月刊「正論」に載った聖学院大学専任講師様による一文ですが、「正論」編集部によって《こんな"批評"は許さない! と叫ぶ人たちの異様な感性》とのリード文がついているので、「正論」様からの罵詈雑言として、ありがたく返上させていただきます。

《日垣隆氏が『新潮45』(六月号)の連載で「こんな"批評"を私は許さない」と題し〔潮匡人氏が出した文庫『田中知事の「真実」』を〕批判した。
 加えて、〔潮氏への〕無言電話、ウイルス入りの爆弾メール、サーバーへのアタックなど卑劣な攻撃も相次いだ。犯人は特定できないが、他に思い当たる節はない。田中知事も出演する某放送局からは、それまで出演していた番組の降板を告げられた。
〔中略〕今回、私が受けた攻撃にはジャーナリズムの貧困と病理が露呈しているように思われる。》(「正論」二〇〇一年八月号)


30×15  大丈夫か「正論」、こんな文章を通しちゃって。そういうレベルの雑誌だと思われるのがオチだ。まあ、そうなんだろうけど。
《犯人は特定できないが、他に思い当たる節はない》? これを素直に読めば、《加えて》の前後に他には何も書かれていないのだから、思い当たる犯人ってのは俺のことを指しているのかな。
 すごいよなあ。

 私は悪口や本当のことを書かれたときはもちろん、嘘八百を活字にされたときにも、これまで編集部や局に怒鳴り込んだこともなければ、抗議をしたことすらありません。穏やかに反論文の掲載を要求したことはありますし(これまで二度。そのいずれも、つまり「赤旗」と「週刊金曜日」には拒否されましたが)、今まさにやっているように事実経過や反論を公表することはあります。物書きは自分でそれなりに書く場をもっているわけですから、コネや圧力を使って言論以外の"処置"を編集部や上層部に要求するのは、みっともないし筋違いだと思ってきたからです。

《田中知事も出演する某放送局》というのは、朝日ニュースターのことでしょうか。これも誰かの不当な圧力によって、《それまで出演していた番組の降板を告げられた》と仰っているわけだよね。
 私は何度かこの方が出ている番組を拝見したことがあります。「使い物になる」のなら、降板させられないんじゃないでしょうか。それだけの話だと思います。もし誰かが圧力をかけたのなら、その事情をプロデューサーにしっかりお聞きになったほうがいいのではないでしょうか。
 私たちが属するマスコミ業界では、連載やレギュラーといえども、三カ月とか半年とか一年単位の契約更新で成り立っているのですから、ある時期に「これにて」といわれても、その恨みや責任(犯人!)を、たまたまその時期に自分を批判した人間のせいにしてしまうのは、いくらなんでも、という気がします。
 大学を辞めさせられたわけではないのだし、ヒステリーを起こさないでね。
「正論」の連載は論理的にハチャメチャだし、「諸君!」の連載は他人の褌でヨイショしているだけだし、もう少しがんばってください。



《日垣隆氏の「公式サイト」(ホームページ)「ガッキィファイター」は以下のように日々の出来事を綴る。
「対談1件、講演なし、PG4回(田中康夫の本を全部読んだための後遺症的幻覚と思われる)。」(括弧内も引用)
〔中略〕右の「PG」とは田中知事の造語「ペログリ」の略称だ。田中康夫氏は「性交」や「交接」に「ペログリ」とルビを振っている。要するにセックスのことだ。
 日垣氏は「書き手の説明責任(アカウンタビリティー)を宣言した初めてのホームページ」と謳う。「女子アナとの義理的コンパ」に参加したことや、性的な「幻覚」を公開することが「書き手の説明責任」に当たるという認識は田中陣営に共通する。》


30×15 この人、冗談という世界があることを知らないのでしょうか。
 石頭ちゃんには説明しても仕方ないのかもしれませんが、私が「説明責任」とかつてホームページの冒頭で掲げていたのは、次のような一文です。
「書き手の説明責任(アカウンタビリティー)を宣言した初めてのホームページです。取材に使用した参考資料(貴重な文献を含む)の複写代行、自著の注文販売……」
 私が本や雑誌や新聞などに書いたものに関しては、どんな小さな文章の断片でも、その根拠を問われた場合に書き手としての説明責任を果たします、と宣言したのです。ただし、私が自分のサイトを開いたのは、一〇ほどの理由があります。そのうちの一つにすぎません。あたりまえのことですが、「ガッキィファイター」に出てくるすべてが「説明責任」という目的に収斂されるわけなどない。
魔羅の肖像」なんて、どこが説明責任だ。
 なんていう冗談も通じないのでしょうが。

 ところで、私は田中氏の「PG」を下品だと思っています。田中康夫論を書くにあたり、取材の一貫として彼の全著作を読んだため、食傷気味となった心情を、このような形で吐露したにすぎません。わざわざ括弧までつけて、冗談であることがわかるように書いているのに、ねえ。
 それに私は「田中陣営」であったことなど一度もありません。選挙事務所に行ったこともありませんでしたし、もちろん彼が知事に就任したあとも何らかのコネクションを行使したこともない。腐敗しきった前政権の"由緒正しき後継者"が圧勝を確信されていた状況下で、「勝てる候補」は田中康夫さんくらいしかいないだろう、と産経新聞のインタヴューで語り、記事化され、それが引き金となって立候補に至ったという経過があったにすぎないのです。もちろん私にも責任はあります。だからこそ、長く長野県に家族とともに敢えて住み続けてきた私は、「田中康夫」で本当に良かったのかと自問し続け、「文藝春秋」誌に知事としての田中康夫論を書いたのです(⇒『偽善系U』に収録)。
 そのような長期的な問題意識や逡巡は、やっつけ仕事かヨイショ書評しかやったことのない方には、おわかりにならないかもしれません。


《〔公式サイトでは日垣がブランド品を〕購入した時期と場所、使用回数、定価を明記し、ネット上で販売している。「ペログリ」記録と同様、私には理解できない感覚だ。これも「書き手の説明責任」なのだろうか。》


30×15 ううむ。これは珍しく冗談なのかなあ。
 私は「ペログリ」記録など公開したことはない。先ほどの引用箇所は、あくまで「今週の活動予定」のところで、冗談として書いたにすぎません。
 石頭ちゃんに申し上げます。
 これは「書き手の説明責任」というほどのものではありませんが、不用品をネットで売りに出し、その収益(私が購入した額からするとかなりお買い得だと思います)をもって自著の郵送費無料化への努力を重ねることが、仮に《私には理解できない感覚だ》としても、環境、経済効果、あるいは娯楽やサービスとしても、微小なりといえども一考に価するのではないでしょうか。サイト上で売りに出したものに、この場合は「書き手」としてではなく、少なくとも「売り手」として、その商品についての履歴をできるだけ詳しく表示しているから、おそらく買う側も「騙される心配」を抱くことなく、開催のたびに全品が売り切れているのではないかと思います。
 この大学講師さんは、ご著書のなかでもよく《私には理解できない感覚》という表現で相手を否定するロジックをお使いになりますが、これは根源的な意味において差別思想に繋がるものです。その程度の自覚はお持ちください。いくらお莫迦さんでも。


《仮に〔日垣が潮氏の他の論文を〕読んでいれば「自衛隊にいたわりには、ひたすら本に囲まれ本に呑まれて世の中を知らない」とも書かなかったはずだ。
〔中略、日垣〕氏は自衛隊のことをまるでご存知ない。自衛官の多くは、いい意味でも悪い意味でも世間知らずである。〔中略、自衛隊にいた〕私を世間知らずと中傷するのなら、「自衛隊にいたわりには」ではなく「自衛隊にいたためか」と書くべきであろう。》


30×15 わはは。座布団やって。
 俺はさ、「自衛隊にいたわりには、ひたすら本に囲まれ〜」ってことと、君が「世の中を知らない」っていう二つのことをいったのであって、自衛官にそれなりの敬意を表して「自衛官は世間知らず」だなんていわなかったのにね。自衛隊の機関紙といっていい「朝雲」の広告欄や「みんなのページ」を見ていれば、読書や世間の狭さはよくわかりますが、仕方ないじゃない。あなたのような人が出てきちゃうのも無理ないと思うよ。
 それにしても、うしおしぇんしぇいから文章指導をいただきましたが、仰せの通り修正すると、こうなるよね。
「自衛隊にいたためか、ひたすら本に囲まれ本に呑まれて〜」
 こんな文章でも、「正論」では通っちゃうんだねぇ。



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