野口旭『経済学を知らないエコノミストたち』
(日本評論社、1,800円)
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専門知をしっかり踏まえつつ、世間知に翻訳して論じることを啓蒙といいます。しかし、マスコミに登場するエコノミストは、世論に迎合してしまうため、たいてい世間知だけで饒舌にものをいい、専門知での整合性を捨て去っています。
そのあたりを、ずばりと突いた本です。
不良債権が「問題」であることは、誰にだってわかります。不良債権が日本経済の本格的回復を妨げている、という説にも異論はありません。しかし、だからといって、不良債権処理をするために、膨大な税金を投入するのはどうなのか、あるいは、「最終処理」を何度もやって、本当に日本経済は回復するのか、という点すら曖昧なまま、竹中大臣と銀行トップが密室で合議しているという次第です。
ふざけろってんだよ。
問題は、不良債権が不況の主因なのかどうか。
そうではないでしょう。不良債権は、不況の原因ではなく、むしろ結果なのです。では、その原因は何だったのか。
ほとんどすべてのエコノミストが、いつのまにか無前提に不良債権処理の断行を唱える、その姿は異常だ、と明確にいってのける本書は、激しい論争の書でもあります。
ときどき、経済音痴のままでいいのかなあ、と思うことってありますよね。私は経済学と科学が弱かったので、「エコノミスト」の巻頭連載を引き受け続けることで自分にプレッシャーをかけて励み、「サイエンス サイトーク」でもいやいや(笑)毎週大量の科学書を読み、第一線の科学者たちと邂逅し続けることで、なんとか自分の弱点を克服しようと努めてきました。
でもさ、よくわっかんねぇんだよなぁこれが。
本書は、経済を理解したいと思っている読者が、マスコミやエコノミスト諸氏の迷言に騙されず、何がその問題の本質なのかを踏まえるために有用な一冊です。
デフレがいかに恐ろしいかを、何よりもまず深く知ってください。
(「ガッキィファイター」2002年12月2日号に掲載) |
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