江畑謙介『兵器と戦略』(朝日新聞社、1,300円)
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戦争について、旧来のイデオロギーに依拠して考えた気分になる、という悪い習慣に嫌気がさしている方も多いでしょう。本書は新刊ではありませんが、対イラク戦争を前に、また朝鮮半島や「有事」について、まともに考えてみたいと思っておられる方々に、ぜひ「この1冊」をお薦めしたいと思います。
本書は、江畑氏の他の本と比較しても、日本人または知日軍事評論家が書いた他の書物と比較しても、すでに名著と言っていいでしょう。
序章は、こう始まります。《同じ種類の兵器でも、質が異なるとその威力に絶対的といってよい差が生じることがある。一九九一年の「湾岸戦争」では、イラク軍も多国籍軍も「暗視装置」を有していた》。続く第1章は、さらに歴史を遡り、《兵器の質による絶対的な力の差は、人類の戦いの歴史において何度か生じている。〔中略〕青銅器と鉄器の差は絶対的であった。〔中略〕アステカ人は鉄器を知らなかったし、鉄や大砲も知らなかった。そしてさらに大きな影響を与えた「兵器」をスペイン人は持っていた。「馬」である》。
《相手の知らない兵器を戦場に投入すると、敵はそれが何であるか分からないから、対抗する手段も分からずにパニックに陥る。毒ガスの最初の使用がそうであった》。1916年9月15日に世界で初めて登場した戦車も、同様の効果があった。だが戦車も、三次元の機動力を持つ戦闘機には為す術もなく、海中では潜水艦の登場が再び「戦争」を変えた。
《ところが航空機と潜水艦の登場は、非戦闘員の市民を戦争に否応なしに巻き込む結果をもたらしたのである》。
私は、このような啓蒙書こそ「市民」に、いま読まれるべきだと思います。
第2章以下では、核兵器について、弾道ミサイルについて、宇宙開発について、非常にわかりやすく、かつ俯瞰(全体)的に書かれています。「いま」読んでほしいと思う所以です。
(「ガッキィファイター」2003年2月4日号に掲載) |
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