真壁京子『気象予報士になりたい!』講談社、1,300円
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5月13日の「ウォッチ!」でお天気コーナーを担当している松岡洋子さん、あの娘だけは「かわいい」ということなのか、しょっちゅうトチっても、スタジオの男たちは【たぶんサブ(=副調=副調整室=サブ・コントロール・ルームの略称)の男たちも。ついでながら、前から気になっているのですが、ピンマイクをつけている出演者が、途中でトイレに行くことは珍しくないわけですが、あれってサブの音声の人にはずっと聞こえているわけですよね。トイレに入る前に、ピンマイクに向かって「これからトイレに入ります。音源をお切りください」とか言ってみようかな。話が逸れました。とにかく「かわいい」に弱い男たちは皆】ニコニコして許しているのだよなあ、で、その松岡さんに、アナウンサーの久保田智子さんは「真壁さ〜ん」と呼びかけてしまいました。
TBSの建物の外にいた松岡さんは一瞬絶句し、スタジオにいる私の横で元気よく「真壁さ〜ん」と呼んでしまった久保田さんは、机に突っ伏したまま動きません。コメンテーターの米原万里さんは「それ誰?」とか私に聞いてきます。
また話が逸れますが、米原さんは、例えば白装束集団が木々に白い布を巻いている画面のあとでコメントを求められて、「あの布にカラフルな絵の具で色を塗ってあげたらどうかしら」なんてことを、突発的に言ってしまうのですよねえ。一瞬かなり驚きますが、確かにそれは器物損壊罪ではないし、あの布ぐるぐる巻きが犯罪でないのなら、そのうえに絵を描いちゃうのもアリだろう、でも、怒るだろうなあ彼らは、というふうに考えてゆくと、意外に深いところをついているような気もします。 で、この米原さんは番組終了後の短い反省会でも積極的に発言するので偉いなあと私などは思ってしまうわけですが、ときどき、こんなことも平然と皆の前で問うたりもします。「ねえ、男の人はセックスするとき、相手をいい気持ちにさせたいと思ってするの? それとも自分がいい気持ちになればいいと思ってするの?」 お、俺に顔向けて訊かないで。朝っぱらから、なんてことを。
さて、たまたま私は今年1月から3月まで「おはよう!グッデイ」で真壁京子さんを近くで見ていました。だから米原さんに、前の気象コーナー担当者であることを伝えました。 その以前には「ニュース23」や「あの街この町 天気予報」とか「ウィークエンドウェザー」や、99年4月からスタートした「エクスプレス」から朝のTBS情報番組のお天気コーナーを担当していたのだったと思います、と。 ついでながら、そう見てくると、TBSの朝の情報番組はころころ変わっていますよね。きっと、やぶれかぶれで米原さんや俺を使おうという話になったのだろうなあ。 だってさ、相当変わり者であることは疑いのない米原さんが、俺のことを「かなり変わっている」って言うんだよ。まじっすか。
本題の真壁京子さんの本でありますが、表紙カバーに全身の写真、裏表紙にも別の写真、カバーの折り返しにも、どアップの顔写真が出ています。「ザ・ワイド」のコメンテーターを毎日こなす有田芳生さんは、昨年11月に『「コメント力」を鍛える』(NHK生活人新書)を出されましたが、その太い帯に、どアップの顔写真が出ていました。よくOKしたなあ(笑)。
これから会う人に、途中で思い出して新刊を贈呈しようと思うこともあるわけで、そういうとき書店に入って買おうとして自分のどアップ写真があったら、レジでは裏返すしかありませんが、あらま裏表紙にも何と有田さんのどアップ写真が2葉も! 以前いっしょに飲みに行ったとき、や〜さん6人クループから声をかけられて、「あ、有田さんでしょ、テレビに出てる」とか言われて、その横に座っていた兄貴さんは弟分さんをたしなめて、「やくざに声をかけられたら有田さんも何かとやっかいだから、やめときな」とかと、隣のテーブルでは話が弾んで夜はふけてまいりました。
さて、真壁京子さんの本の帯には《やればできる!》とあり、でもまあ誰もが《やればできる!》ってわけでもないだろう、とも思ってしまいます。 ディスコ大好き短大生時代に、アルバイトで《いつしか、週に八本のレギュラー出演をし、時には一日に三局もかけもちするほどになっていた》(P19)。で、就職活動の時期になると、《私にとって就職とは、ニコニコして数時間立っているだけで数万円が手に入るアルバイトをやめる、ということである》(P21)。外車販売のヤナセに就職してからは、そのまま踊りに行ける格好で出社し、《「キミは会社をなめてるのか」「はい。すいません」》(P25−26) その次が、日航のスチュワーデスになるわけです。 どこが《普通》なんだよ、っと突っ込む前に、次の一文を堪能されたい。スチュワーデスの就職試験での、数人のグループ面接の場面です。
《私の身長は、ギリギリの一五九センチしかなく、ずば抜けて美しいというわけでもないので……》(P38)
美人と言われることの多い人は、自分でもそう思っているのだなあ、と知りました。というか、無防備に書くかな。
真壁さんは、充実したスチュワーデスの仕事に就いて三年半目に、航空性中耳炎を患ってしまいます。《辞めたくない。しかし、辞めなければ、耳が聞こえなくなってしまう》(p105)。空の仕事を通じて、たぶん彼女が恋をしていた(妻帯者だったのも)パイロット氏は、しばしば天気のことを詳しく彼女にコックピットで教えてくれたそうです(P94−99)。コックピットの恋って、なんだかいい響きだね。 こうして、彼女は「天気」に目覚めていきます。
本書には、なかなかの箴言(しんげん)もちりばめられています。《人生は、偶然という必然で彩られているのだと私は思う。人生において無意味なことは何もない、という気がしている。過去のすべてが今の自分を築くためにあるのにちがいない》(P122)
調査の仕事をしていたときの反省は――。《〔ボスである森田正光さんからの〕「調べればいいってもんじゃない」の一言はつらかった。〔中略〕ただデータを調べるだけの作業は頭を使わない。そこから先、そのデータをどう処理し、どんな構成のストーリーを組み立てるか、テレビの画面で短時間にどう表現するかということまでイメージできるようなコンテを作ることが、リサーチャーの腕の見せどころだったのだ》(P156) ほんとそうだよね。
なお、たまたま今週は私も「気象予報」の本や資料を読みふけったのですが、同書にも紹介されている『学研まんが 天気100のひみつ』(学研、800円)と白木正規『百万人の天気教室』(成山堂書店、2,800円)は、本当によくできた本です。 目からウロコが何枚も落ちるでしょう。
(「ガッキィファイター」2003年5月18日号に掲載)
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