甲野善紀『古武術に学ぶ身体操法』(岩波アクティブ新書、700円)
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つい最近まで私が知らなかっただけで、この著者はとても有名な方のようです。以前このメルマガで、氏の「車内暴力 誰でもできる護身術」を絶賛したことがありました(2003年5月11日配信の第37号。会員専用サイトでバックナンバーをご覧になれます)。
====〈引用はじめ〉=====
武術稽古研究会を主宰する甲野さんの「護身術」は、タイトルから察すると「車内暴力」対策としか思えませんが、これは実に秀逸な人生論です。
私などがこれまでたくさんの字数を費やして、なんとかこのことを自分にも言い聞かせ、文章で伝えようともがいてきたことを、明快に語っておられます。
それは、「相手の予想を外す」という方法論です。
私がめざしているコミュニケーションや文章上の方法論も、戦略的には「予想を外す」というところにあります。日常の「笑い」も煎じ詰めると「予想を外す」ことがその本質としてあることは間違いありません。
そのことを、護身術のプロから明快に語られて、わたしゃ嬉しくて仕方ありませんでした。
====〈引用おわり〉===「ガッキィファイター」第37号より===
この機会に氏の本や文章を読んでみました。
巨人の桑田真澄投手を再生させた古武術家として若い人にもよく知られるようになった甲野氏ですが、かねてより氏の書く文章は、自ら主宰する稽古会についての組織論でも、身体論でも、体育論でも、発想論でも、原理的で役に立つ知見に溢れておりました。
前々号で「巨人の星」に関して述べた文章でも触れたことですが、押し付け型(俺についてこい型、監督の私物型)スポーツとの訣別に際しても、実に多くの示唆が含まれています。冒頭に登場する桐朋高校バスケ部の金田監督も、押しつけ型から、部員に考えさせるタイプの練習方法に切り替えた一人です。そのほうが楽しく、生徒もやる気になり、人生観も変わった様子がよくわかります。
甲野氏は大学進学にあたり畜産学科に入学しており、この経歴も異色といえば異色ですが、そこで、「頭のいい高学歴の人たち」が隠蔽してきた社会問題に気づいた経緯についての記述(P62〜)も、ぜひ若い世代に読んでもらいたいと私は思いました。
本書をお薦めする理由は、これらスポーツのあり方についてだけでなく、
「発想を育む」という点でも参考になることが多く、またさらに、本書は「ナショナリズム」について深く考える素材を多く含んでいるからです。
(「ガッキィファイター」2003年09月23日号に掲載)
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