二人とも電通出身者で、独立起業した方です。対談の形をとったブランド論 であり、日本企業論でもあります。
――だけど、いま、自信がない企業や商品が多いのではないか。だから背伸 びが必要になる。商品カットを撮るとき、異常なまでのクオリティで撮影する でしょ。
――広告というものの基本にあるのはある種のユーモアだよね。笑いやおか しさ。それを生むためには、自己諧謔とか自分に対する何らかのシニカルな視 点が必要だ、ということだと思うんだ。
――この世の中で組織を作るときの台詞は、だいたい次の3つのいずれかだ。 「(1)一緒になってよりお金を儲けましょう」「(2)家族みたいになって 生きていきましょう」「(3)志のために人生をかけましょう」
――二番目や三番目に後追いで出てくる商品の場合は、オリエンテーション 自体にその志が足りない。だから何となく「とにかくシェアを取ってほしいん だよね、できれば3カ月以内に」ということになってしまう。
――「タレントが好き」という弊害に関しては、ほとんど病気だと僕は思う。 どう考えても、契約してるから出ているだけでしょう。
――みんなに届くようにすると、結局は誰にも届かない。
――「大っ嫌いだ。やめてくれ」と言ったら、広告やめるときもあるじゃな い。で、やめると動いたことになるでしょ、大企業が。気持ちいいよね、ク レーム言う方は。でも、「僕は好きです」と言っても、企業は動かない。
――部下と上司という人間関係が希薄になっている。それに、だんだん会社 のおかれた環境が変わってきて、外部の目、というものが重要になってきたで しょう。組織の内側だけの視点でしか相談できない、考えないという風潮が、 企業が大きな間違いを犯す原因にもなっている。だから外部の親身で有能な友 人の存在価値は高い。
一つひとつは、ごくあたりまえの指摘なのだけれど、広告という仕事を通し て、いまの日本が置かれた状況についての認識論になっているところが、味わ い深いと思います。
末筆ながら、30−40代の読者へのメッセージも。
――30代後半から変わる、という人はいないね。
――いないよ、そんな人。だいたい30代でケリがついている。ふつう、40代 は余生のようなものか、40歳までの実績でやっていけるもの。だから、秋山さ ん〔秋山晶、コピーライター〕はすごいよね、やっぱり。今でも書いているん だから。
――生涯現役なんだね。
――顔が違う。カッコいい。あんな人は他にいない。誰にも似ていない。
――俺たちは40代でもう一勝負かけないと、いい顔になれないよ。
誰にも似ていない、いい顔の大人になりましょう。
(「ガッキィファイター」2004年2月10日号に掲載) |