『イミダス』(集英社、2,650円)
『基礎知識』(自由国民社、2,400円)『知恵蔵』(朝日新聞社、2,550円) |
私は毎年ずっと3冊とも買っているので、どれがいちばんいいか、と悩まな くて済んでいますが、3年前から発売直後に3冊を集中的に使ってみて、どれ が一番いいか、をメルマガ上で診断してまいりました。
今年の特徴の筆頭は、『現代用語の基礎知識』(2,400円、自由国民社)が、 版型を小さくしたことでしょう。長所としては机上に置きやすくなったこと、 短所としては総ての項目が中途半端になったこと。しかし、この種の年鑑を机 上に置く人はほとんどいないでしょうから、コンパクトさは裏目に出るでしょ う。執筆陣の選定も、もはや末期的症状というほかありません。
まことに残念ながら、このままゆけば老舗の『基礎知識』は、もうモタない と思います。これからは『現代用語のクソ知識』と呼ばれてしまうことでしょ う。
付録も最悪です。「別冊」には「マツケンサンバ」や「カジノ議連」、なぜ か「クアハウス」やら「ヤマケイ(月刊誌「山と渓谷」のこと)」や「讃岐う どん」などが出ているのですが、なにゆえこれらを(本誌ではなく)別冊に入 れるのか、さっぱり意味が分かりません。舐めんなよ、です。
本誌では、「流行とことば」全体や、加藤久雄「ボーダレス犯罪」など読ま せるコンテンツもあることはあるのですが、総じて惨敗であることは疑いあり ません。合掌。
付録という点では、『イミダス』(2,650円、集英社)と『知恵蔵』(2,550 円、朝日新聞社)が、ともに一見そっくりなスケジュール手帖(ダイアリー) をもってきました。前年版(2004年版)から『イミダス』がつけ始めたわけで すが、これをいったん始めると泥沼です。毎年、この手帖を付けなければ無責 任の謗(そし)りを免れないからです。逆に言えば、編集部が毎年付録に頭を 悩ませなくて済む、という利点はあるでしょう。
小遣いが少なく出費を切り詰めなければならないサラリーマンは、もしかす るとスケジュール手帖を別に買わずにこの付録を兼用して満足するのでは、と いう読みがあったのかもしれません。しかし、手帖代を惜しむような人が、こ のような年鑑を買い求めるとは思えません。
ただし、『イミダス』が1年先行したにもかかわらず、否、それゆえに、後 発の『知恵蔵』に付録されたスケジュール手帖のほうが数段リッチな感じです。 でも、手帖は会社から配給されたものか、文具店で買うのがいいのではないで しょうか。私は「ほぼ日」のを使っています。
さらにもう1点ずつ、『イミダス』には「暮らしのお金の本」が、『知恵 蔵』には「ニュースを読み解く情報世界地図」がついています。
前者は、まったく内容が陳腐きわまれりとしか言いようがなくタダでも要り ません。後者は、このためだけに1,500円出してもおトクな出来栄えです。
現代用語年鑑は、1948年に出版社(自由国民社)が始めたものでしたが、 『クソ知識』のように書き手の主観が暴走するものは不適であり、最新の記録 性や定義の確かさが期待される辞典(年鑑)です。
『知恵蔵』も、おもしろみには欠けるのですが、内容、項目の選定、過不足の なさ、最新情報の盛り込み具合、データの豊富さ、および付録の点でも、2005 年版は『知恵蔵』が圧倒的にがまさっています。
蛇足ながら、私はこの手の年鑑は、「引く」よりも「読む」ほうがいいので はないかと思うのです。
たとえ『イミダス』や『クソ知識』であっても、全体にざっと目を通すだけ でも、非常に有意義なはずです。もしそれが無理なのでしたら、自分が「弱 い」と思っている分野二つと、「得意」な分野二つを、ぜひ通し読みしてみて ください。
(「ガッキィファイター」2004年11月22日号に掲載)
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