『子どもに力をつける基礎・基本の徹底システム』伴一孝・明治図書 ★
主張したいことはよくわかるのだが,重要な部分をすべて指導案や日記風に書かれたのでは,私のような活字狂は読む気がしない。
『到達度評価で国語の指導を変える』須田実編著・明治図書 ★
評価方法が観察ばかりで,これまでの国語科授業と何が変わったのかよくわからない。「実践国語」の悪しき曖昧性が顕著に出た一
冊。主張の方向性が我々と異なることを差し引いても,批判されて仕方ない著作だと思う。
『「相互交流のコミュニケーション」が授業を変える』有元秀文編著・明治図書 ★★
「総合交流コミュニケーション」の内容自体は,従来から言われてきたものと理念的にはそう変わらない。ただし,掲載されている実践
群には興味深いものが多々あった。学ぶべきことは多い。
『国語科話し合い指導の改革』高橋俊三・明治図書 ★★★★
「パネルディスカッション」の話し合いとしての構造が初めてよくわかった。この本は,「総合的学習の時間」のために,勤務校の先生方
にも買わせなければならない本だ。それにしても,『聴く力を鍛える授業』といい,この本といい,俊三先生の本は細かなところを曖昧に
しないでじっくり検討しているところがいい。勉強になる。
『お笑いに学ぶ教育技術』上條晴夫編著・学事出版 ★
書名に偽りあり,という類の本だ。これは「お笑いに学ぶ教育技術」の本ではない。学習ゲーム紹介の本だ。まあ,使える素材はいくつ
かあったので,金が惜しいとは思わないが……。ただし,わざわざ本にして1600円も払わせる値打ちがあるとは思えない。
『アメリカンスクールはどう英語を教えているか』瀧沢広人・はまの出版 ★★
「言語技術教育」の方法論の一つをこの本に書かれている手法から編み出せそうな予感がある。今回は斜め読みだったが,落ち着い
てじっくりと読む必要がありそうだ。正直なところ,これまで英語教育をバカにしていたところがあったのだが,勉強し検討してみる価値が
あるのかもしれない。
『中学校・新国語科授業モデル(1) 「話すこと・聞くこと」編』河野庸介編著・明治図書 ★★
『中学校・新国語科授業モデル(2) 「書くこと」編』河野庸介編著・明治図書 ★★
『中学校・新国語科授業モデル(3) 「読むこと」編』河野庸介編著・明治図書 ★★
『中学校・新国語科授業モデル(4) 「選択教科」編』河野庸介編著・明治図書 ★★★
ざっと目を通しただけだが,「使えない……」という印象が強い。上の伴さんの本でも書いたが,指導案形式で実践を載せられると,読
む気がしない。筆者の指向の軌跡が読み取れないからである。唯一,「選択教科」編だけが興味深い実践が載っていた。ちなみに「書く
こと」領域(第2巻)には,「研究集団ことのは」の田中幹也先生が寄稿している。
『学びを紡ぐ共同体としての国語教室づくり』河野順子著・明治図書 ★
「学びの紡ぐ共同体」とは大上段に出たな……と思う。要は実践報告の書だ。興味深い実践も多少あったが,中学校教師の食指は動
かない,といった趣。小学校の先生にとっては一読の価値があるかもしれない。実践の意義を抽象化してメタ化することに,もう少し紙面
を咲いてもいいのにな……と感じる本だ。それにしても,今月は珍しく教育書ばかり読んでいる。
『増補版・戦後国語教育問題史』田近洵一著・大修館書店 ★★★★★
私が新卒の時に出た本の増補版だ。単元学習史が増えている。「言語教育・文学教育論争」の争点を非常にシンプルにまとめているこ
とに改めて驚かされた。必読の書である。
『国語教育方法論史』飛田多喜雄著・明治図書 ★★★★★
「実践研究ことのは」の本の紹介の連載のために読んでいたら,面白くて最初から最後まで読んでしまった。これも必読の書である。歴
史は繰り返しているなぁ,と思う。現在,国語教育界で「新たな問題」とされていることの多くは,戦前から問われていたものばかりだ。
『9月11日メディアが試された日』外岡秀俊・枝川公一・室賢二編・トランスアート ★★
タイトルに惹かれて買った。期待して読み始めた。がっかりした。論究が浅い。
『教師はどこを見られているか』有田和正著・明治図書 ★
有田先生の文章に触れたのは何年振りだろうか。雑誌でも,滅多に読まなくなっていた。この著作は,1995年に一度読んでいる。今
回は再読である。最初に読んだときは,「自分を戒めねば」と自戒したものだが,今回は,ずいぶんと有田先生にひねくれた自己宣伝の
印象をもった。幾つになっても,こういう本を出すことはもちろん,こういう文章は書きたくないなと感じた。確かに読んでいて,面白いです
けどね。ちょっと,品がないですね,この本は。
『国民の教育』渡辺昇一・扶桑社 ★★★★
こんな分厚い本を読み切れるだけの忍耐力があるだろうか……。そう思いながら読み始めたが,あまりに面白くて一気に読んでしまっ
た。まあ,現場感覚からは納得出来ない論述もたくさんあったが,なかなか「読ませる」文体だった。
『文学教育基本論文集(1)』西郷竹彦・浜本純逸・足立悦男編・明治図書 ★★★★★
久し振りに読んだ。全編読んだ。おそらく13年振りだ。竹内好の「文学教育は可能か?」は何度読んでも心にズシンと来る文章だ。こう
いう文章が最近の教育界には見あたらない。それが残念といえば残念だ。
『小説三島由紀夫事件』山崎行太郎著・四谷ラウンド ★★★
「三島事件にこういう解釈もあったのか……」という大きな感動を期待して読み始めたが,それほど新しい情報はなかったというのが実
感。ただ,多くの参考文献を資料としてよく整理して書いたなという印象はある。文体が「小説…」と銘打つのにふさわしくない。
『正統の哲学 異端の思想 「人権」「平等」「民主」の禍毒』中川八洋著・徳間書店 ★★★★★
どこまでも保守的な発想を貫く過激な本だった。南山さんにお勧め。終章「伝統・権威と自由の原理─保守する精神」は圧巻。
『古典論』外山滋比古著・みすず書房 ★★★★★
前著『俳句的…』に続いて,人生を考える上で参考になる書だ。特に,最近,本や原稿を書くようになって自戒すべきことはこれだ,と目
を見開かれる論述が数々あった。外山滋比古を読み始めて,もう15年になる。いつ読んでも新鮮な著者だ。重たいことをさりげなく書く,
独特の文体も魅力。論者とはこうありたいと,切に思う。
『江藤淳 神話からの覚醒』高澤秀次著・筑摩書房 ★★★★★
江藤淳は森田が大好きだった評論家だった。私は江藤よりも磯田光一あたりの俯瞰的論理性の方が好きだった。しかし,江藤が亡く
なってから本格的に読み始めて,あれだけ政治を論じていた江藤の人間臭さがとても心地よい感じがする。江藤論は様々に書かれてい
るが,どれも彼の人間臭さを描いているところが共通している。この書もご多分に漏れず,そういった江藤論だ。
『心に届く話し方』川崎洋著・ちくま文庫 ★★★
こういったタイプの本は類書が多い。しかし,この本には詩人独特の感性が随所に見られる。良書である。
『象牙の塔の殺意』由良三郎作・新潮文庫 ★★★★
地下鉄通勤の友達にしているミステリー作家である。由良三郎は10年くらい前から大好きなミステリー作家である。本業は医者であ
るから,医学的な盲点をついた作品が多い。この作品もなかなか味わい深い。ミステリーなのでストーリーの紹介は避けようと思う。
『性依存 その理解と回復』吉岡隆+高畠克子編・中央法規 ★★★
「性依存」という概念を初めて知った。書店で見て,すぐに買った。性衝動が原因で問題行動を起こす生徒は多い。その点ではずいぶ
んと参考になることがあった。ただ,多くの紙面を手記に負っているのはいかがなものかと思う。読み物として面白いが,もっと「分析」を
しっかりと載せて欲しいと感じた。
『見方をふやす技術』藤原和博著・ちくま文庫 ★
ありきたり。自習監督の暇つぶしにはなった。楽しんで読む分には退屈しない。
『エニアグラム あなたを知る9つのタイプ 【基礎編】』ドン・リチャードリソ&ラス・ハドソン著・角川書店 ★★★★
なかなか面白かった。人間のタイプには9つあり,それらと照らし合わせながら「自己理解」をさせていくシステムは,ふりがちとは言
え,はまってしまった。少し「エニアグラム」を追求してみようという気になった。