
2000.12.17より
クラスレート・ハイドレート(clathrate hydrate)
クラスレート・ハイドレートは,水分子が作る籠型構造(クラスレート構造)の中に気体分子(ゲスト分子)を取り込んだ独特な構造をもつ結晶であり,気体と水(氷)の共存状態において,ある圧力(解離圧)を超えると生成される水和物(ハイドレート)である.すなわち,構造名である'クラスレート'と物質名である'ハイドレート'をつないだ用語である.解離圧はゲスト分子の種類によって異なるが,空気の組成では,本号原稿「氷床コアの物理解析研究の現状と課題」中の図1に示すような曲線で与えられる.この解離圧曲線よりも高い圧力では,気泡は安定な状態としては存在し得ず,クラスレート・ハイドレートに変わるべきものである.ところが,実際の氷床では,この圧力を超えた後も,数百mにわたって気泡が存在する.年代にすると,気泡からハイドレートに遷移するのに,グリーンランドで数千年,南極で数万年という長い時間を必要とする.この長い遷移時間の原因は,核生成が律速であると考えられている.なお,氷床コア中に存在するクラスレート・ハイドレート結晶は,庄子仁らが1981年にグリーンランドのダイスリーコアではじめて発見し報告した.

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