
2000.12.17より
ヤンガードライアス期(Younger Dryas time)
最終氷期から完新世への移行期の約12000年前から約1000年間継続した寒冷期で,温暖なアレレード期に続きプレボレアル期に先行する寒冷期.最終氷期はヤンガードライアスの終焉をもって終わったとされている.新ドリアス期とも呼ばれるデンマークの花粉帯IIIに対応する.デンマークでは,この寒冷化に伴い再びチョウノスケ草(Dryas
octopetala)の植物遷移が起ったことに由来する.米国のブロッカーらの研究によれば,ヤンガードライアス・イベントは,次のようにして起った.最終氷期末期の急激な温暖化に伴う北米ローレンタイド氷床からの大量の融水は,氷床末端のアガシー湖(カナダ南部の現ウィニペグ湖周辺)に注いだ後,湖の東側の氷床の張り出しのため,ミシシッピー川を経てメキシコ湾に流入していた.氷床の後退に伴うアガシー湖東側の氷崖の崩壊により,アガシー湖からの多量の淡水は,セントローレンス川を通り北大西洋に流入し,海洋表層の低塩分化(低密度化)により深層水の形成を弱めるとともに,暖流であるメキシコ湾流の北上を弱めた結果,寒冷化が進行した.これがヤンガードライアス・イベントで,約1000年後にローレンタイド氷床が前進し再びアガシー湖をせき止め,融水が北大西洋に流入しなくなり終焉したと考えられている.

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