
2000.12.17より
ポルノグラフィー
好色文学、絵画、映画、写真など。女を性的な欲望の対象としてのみ描き、女の性を物(商品)化する差別的表現という批判があるが、この領域では女も男も物になることが出来るからよいのだという困った見解もある。確かに社会的に対等な者同士の間では、相手の性を物(商品)化しあうということは差別にはならないが、社会的な弱者に性の物(商品)化を押し付けることになれば抑圧的差別であり、文学的な文脈と社会学的な文脈の間をいかに橋渡しするかが問題となろう。上野千鶴子、小倉千加子、富岡多恵子による『男流文学論』では、弱者を徹底的に破壊するポルノグラフィー『城の中のイギリス人』(マンディアルグ著)について、訳者澁澤龍彦が典型的な女嫌いと一刀両断にされる一方、原著自体は称揚されているのだがなぜであろうか。なお、プロとアマチュアの中間に位置する女性作家が描く「やおい」(ヤマなし、オチなし、イミなし)と呼ばれる表現領域においては、男性同性愛が描かれるが、ポルノグラフィーによって差別されていた存在である女性が、ゲイを差別する側にまわるという興味深い現象が生じている。