原告側準備書面(6/18)
追加。資料集第5号で掲載するはずでした
被告側準備書面8/3)
弁論準備手続きの記録(8・3) 女性学・ジェンダー研究フォーラムのレジュメと資料
(2001/8/25〜26)


1 原告側準備書面(2001/6/18) 

平成12年(行ウ)第240号

直送済

 平川景

 中野

準備書面

平成13年6月18日

東京地方裁判所民事第11部 御中

原告ら訴訟代理人 弁護士 中島通     同        弁護士 中野麻

         弁護士 菅沼友        同        弁護士 秦 雅

 

第1 非常勤制度および非常勤職員に適用される賃金の違法性

1 社会的身分による差別(憲法14条・労基法3 条違反)

(1)

 憲法14条にいう「社会的身分」は、最高裁判決および多数の学説が、「人の生まれにしたがって決定される地位」のみならず「社会において占める継続的な地位」と広く解釈している。

(2)

 労基法3 条の「社会的身分」については、その範囲を狭く解釈する学説、判例が多いが、労基法は、刑罰を背景にした労働基準監督によって、労働条件の最低基準を使用者に遵守させようとする公法的側面と、違反する労働条件等を定める契約等を無効とし、無効部分を直接規律し、あるいは不法行為の構成要件とする私法的側面をあわせもつ法である。このうち前者については、罪刑法定主義の原則により、刑罰適用の対象は限定され得るが、後者については憲法14条の平等原則を制限する理由は全くない。

(3)

 とくに本件被告は中野区という公権力であるから、憲法14条の社会的身分による差別の禁止に関し労基法3条を限定的に解釈することは許されない。

(4)

 本件非常勤制度および非常勤職員であることを理由とする常勤職員との賃金格差は、社会的身分を理由とする差別的取扱いであって、憲法14条および労基法3条に違反し違法である。

 

2 性差別(憲法14条・労基法4条違反)

(1)直接性差別

 本件非常勤職員制度は、一般的に家計補助的役割を担う者として期待される女性を低賃金で処遇するための就業形態として設けられ、運用されているから、このような就業形態およびそれを理由とする賃金格差は、女性であることを理由とする直接性差別であって、憲法14条および労基法4 条に違反し違法である。

(2)間接性差別

 かりに本件賃金格差が女性に対する直接性差別でないとしても、非常勤職員の圧倒的多数は女性であり、非常勤という基準による賃金制度は女性に不利益をもたらすから、間接性差別であって、憲法14条および労基法4 条に違反し違法である。

 

3 均等待遇原則違反(憲法13条・14条・労基法3条・4条・民法90条違反)

(1)

 原告に対する賃金格差は、憲法13条及び14条並びに労働基準法3条4条の基礎をなす均等待遇原則に違反して違法である。

(2)

 憲法13条、憲法14条は、すべて人は個人として尊重されるべきであって、その度合いに軽重があってはならず、法の下に平等であるという原則を明らかにしている。また、憲法27条は、そうした人権保障が労働関係にも貫かれるべきであることから、労働条件の最低基準は法律で定めるとし、これを受けて制定された労働基準法3条は社会的身分などによる労働条件上の差別を禁止し、同4条は男女同一賃金の原則を定めた。この差別禁止条項違反には刑罰が科せられ、国家の刑罰権行使を圧力にして完全な履行が求められている。こうした憲法および労働基準法に基づく各規定を支える基礎理念が、およそ人はその人格的基礎において平等であって、その働きには等しく公正に報われるべきであるという均等待遇原則である。それは、近代市民社会における普遍的な原則というべきであって、わが国において前述した平等原則が法体系に占める位置からすると、公序を形成し、労働関係を規律する法規範というべきである。

 したがって、労働基準法3条および4条が明文上定める「社会的身分」や「性」による差別に該当しなくとも、この原則に違反するような取り扱いについては、民法90条に反し違法無効とされるべきである。

(3)

 以上の基本的な考え方は、裁判所においても採用されてきたところである。すなわち、正社員と臨時社員の賃金格差が問題となった丸子警報器女性臨時社員賃金差別事件についてなされた第一審判決(長野地方裁判所上田支部判決、判例タイムズ905号276頁)は、「労働基準法3条、4条のような差別禁止規定は、直接的には社会的身分や性による差別を禁止しているものではあるが、その根底には、およそ人はその労働に対し等しく報われなければならないという均等待遇の理念が存在していると解される。それは言わば、人格の価値を平等とみる市民法の普遍的な原則と考えるべきものである。」とし、「その理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして、公序良俗違反の違法を招来する場合があると言うべきである」と判断しているところである。

(4)

 被告は、年功賃金が一般的なわが国においては同一(価値)労働同一賃金原則や均等待遇原則は公序として形成されていないかのように主張する。しかし、年功賃金が形成されているところであっても近代市民法の普遍的原則は適用されなければならない。むしろ、同等のキャリアを積んだ労働者に対する処遇を同等にすることこそ合理的であり、公序に叶ったことというべきである。

 

第2 被告による地公法3条3項3号の濫用

 

1 任用における濫用

(1)

 地公法3条3項3号にいう特別職の非常勤は、本来、常勤を必要としない業務について、特定の学識経験のあるものを充てようとする場合の任用形態を規定したものである。常勤を必要とするかどうかは、その職務が恒常的に処理される必要があるかどうかによって決定されるものであり、特定の知識・経験を要する職であるか否かは、一般職のように使用従属関係の中で指揮命令に従って遂行されるものではなく、専門性に基づいて独自に必要な判断を行って完遂されるべきものか、による。

(2)

 原告が中野区女性会館において担当していた職務は、講座など学習の機会と場の提供、情報提供、自主グループ活動支援などで、一般行政職職員と区別なく同じ内容を分担していたものである。これらは恒常的に処理される必要があるものであり、また、そのために必要とされる専門的知識・経験は、女性会館職員の一員として館長の指揮の元に発揮されるものであって、独自に必要な判断を行って職務を完遂することまで求められるものではない。

(3)

 したがって、原告が担当する職務については、地公法3条3項3号の特別職非常勤職員ではなく、正規職員をもって充てるべきであった。

(4)

 しかしながら、被告は、原告を上記職務に従事させるにあたって、正規職員として任用するのではなく、地公法3条3項3号に規定する非常勤職員として任用した。これは、正規職員の受験資格の年齢制限とあいまって、非常勤を主として家族的責任を負担する女性用の就業形態として、一般行政職より著しく低賃金で処遇するための方便である。かかる取り扱いが、女性に対する差別であり、また非常勤という社会的身分による差別であるのは明らかである。被告は、かかる違法な目的のもとに、本来正規職員として任用すべき原告を地公法3条3項3号の非常勤職員として任用したのであるから、この任用自体が地公法の特別職非常勤制度の濫用であって、違法である。

(5)

 なお、被告は、原告の場合には年齢の問題で受験資格を充足していないから正規職員としての採用はできないと主張するが、年齢による受験資格の制限は合理性がなく、実際上家族的責任を負担することの多い女性を正規職員から排除する差別的効果を持つものであり、違法・無効である。

 

2 処遇における濫用

(1)

 被告は、既に述べたとおり、地公法3条3項3号を濫用して原告を特別職非常勤職員として任用し、その後も、実際に上記のとおり正規職員が担当すべき職務に従事させてきた。そのような場合、非常勤という任用形態は被告の濫用による違法なものであるから、その処遇についてはその任用形態を前提とする規定(特別職非常勤の報酬・費用弁償等に関する地方自治法203条等)の適用は排除され、正規職員に準じて取り扱われるべきである。

(2)

 しかし、被告は、あくまで地公法3条3項3号の特別職非常勤職員であることを理由に、昇級及び本給に格差を設け、調整手当、期末・勤勉手当、退職金を支給しない取扱いを行った。かかる取扱いは、女性に対する差別、非常勤という社会的身分による差別であるとともに、均等待遇原則に違反し、地公法3条3項3号を濫用した違法がある。こうした濫用は、違法な処遇を正当化する口実として継続させられてきたもので、極めて悪質である。

 

第3 条例等条項の法的効力と適用関係

 

1 中野区における職員の給与を定める条例等条項

(1)

 中野区に雇用される職員の給与は、中野区職員の給与に関する条例(以下給与条例という)および中野区非常勤職員の報酬および費用弁償に関する条例(以下非常勤条例という)に基づいて決定されることになっており、原告のように中野区女性会館に配属された職員の処遇については、中野区女性会館処務規程(昭和59年、以下規程という)および中野区女性会館学習コーディネーター設置要綱(平成元年、以下要綱という)によっている。

(2)

 給与条例によれば、同条例18条に定める臨時職員を除いてたすべての職員に同条例が定める給料表を適用するとされ(5条2項)、職員の職務はその困難および責任の程度に基づき、これを給料表に定める職務の級に分類するものとし、その分類の基準となるべき標準的な職務の内容は、人事委員会が定めるところにより(同条3項)、任命権者は、すべての職員の職を人事委員会が定める基準にしたがって給料表に掲げる職務の級のいずれかに格付けして賃金を支給しなければならないと定めている(同条4条)。また、職員に対しては、上記の給料以外に、扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、超過勤務手当等の手当が支給されることが定められている。

(3)

 これに対して非常勤条例は、非常勤職員には報酬および費用弁償を支給するとし、その金額の上限および支給方法を定めている。同条例が年額の上限を8万8000円と定めているところからすると、常時勤務を要しない職であるという非常勤職員について条例が予定している概念が、きわめて限定されたものであることがわかる。

(4)

 そうすると、非常勤職員本来の概念に当てはまらない職員については、給与条例5条に基づいて、給料表に基づく給料等を支給することができる。問題は、被告中野区が、原告のような学習コーディネーターの職にある職員に対し、給与条例を適用するものとして処遇するか、非常勤条例を適用するものとして処遇するかということである。

 

2 女性会館職員の雇用と勤務条件

 被告中野区は、規程3条で、中野区女性会館に専門職員を置くことができるとし、その専門職員を非常勤とすると定めている。そして、中野区女性会館学習コーディネーターについては、要綱2条で、地方公務員方3条3項3号の非常勤職員とするとし、その勤務条件を定めている。

 

3 規程3条2項および要綱2条の違法性

 しかし、中野区女性会館学習コーディネーターの職は、その職の基本的性格および勤務の実態から、給与条例を適用すべきものであるところ、被告中野区は、その職に充てる職員が女性であることから、その賃金を低く抑制するために非常勤職としたものである。

 したがって、規程3条2項および要綱2条の非常員職員とするとの定めは、地方公務員法3条3項3号を濫用した違法があり、かつ、憲法14条、労働基準法4条の定めに反する。よって、原告ら中野区女性会館非常勤職員には、給与条例5条に定める職員として、同条例の定める給料および諸手当が支給されるべきであり、要綱に定める処遇に関する条項のうち、給与条例の基準を満たさない部分については違法・無効である。前記給与条例の適用に基づいて賃金が支給されてしかるべきである。

 

4 要綱の処遇条項の違法

 また、仮に右規程および要綱の非常勤職とする定めそれ自体が違法・無効でないとしても、要綱に定める処遇基準は、労働基準法3条・4条および均等待遇原則に反して違法・無効である。すなわち、規程および要綱によって非常勤職員とされた原告らの処遇については、少なくとも給与条例に定めるところに準じて均等に処遇されるべきであって、要綱は、そ12条2項に定める均衡処遇への要請が、給与条例に基づく給料表の適用および諸手当の支給を完全に実施するとされる限りにおいて、条例違反の指摘を免れるものというべきである。

第4 本件請求権

 以上のとおり、原告らの賃金を決定する被告中野区の条例条項の法的効力およびその適用関係によれば、原告は、給与条例の適用によってこれに基づいて決定された賃金の支給を受ける権利を有する。

 また、中野区長は、原告ら職員の採用および処遇の決定するにあたり、その職の基本的性格および勤務実態にもかかわらず、地公法3条3項3号を差別的に濫用して原告を非常勤職員として採用し、さらにその後も「非常勤」の烙印を押して賃金を低く抑制し続けたものであり、これによって原告は、憲法13条、14条、27条、労働基準法3条、4条、民法90条に基づいて、公正に報われて働き続ける権利を侵害された。よって原告は、被告に対し、国家賠償法2条に基づいて訴状記載の損害金について賠償請求をなす権利を有する。



2 被告側準備書面(2001/8/3)

平成12年(行ウ)第240号 損害賠償請求事件

原告 平川景子

被告 中野区

準備書面(4)

平成13年8月3日

東京地方裁判所民事第11部 御中

 

被告指定代理人 河野通孝・盛岡清和・小川正明・大谷良二・江川宏・大内山高幸・片岡和則

 

第1 非常勤制度および非常勤職員に適用される賃金の違法性に対する反論

 原告は、非常勤制度及び非常勤職員に適用される賃金(報酬)について、@社会的身分による差別、A性差別及びB均等待遇原則違反の3点から違法である旨を主張している。

 

以下、具体的に反論する。

1 社会的身分による差別(憲法14条・労基法3条違反)との主張について

 労働基準法(以下「労基法」という。)3条の「社会的身分」の解釈として、原告は憲法14条の「社会的身分」の解釈同様に「社会において占める継続的な地位」と解すべきとし、常勤職員と非常勤職員という勤務形態による区別もこれに含まれると主張する。

 しかし、原告の主張は、労基法3条の「社会的身分」に解する一般的な解釈及び判例に反するものである。

 労基法3条の「社会的身分」の解釈としては、「生来的身分」のほか、「後発的な理由によるものであっても、一定期間にわたって自らの意思によって離れることのできない固定した地位であれば、これに含まれる。」と解する説もあるが、いずれの説をとるにしても、臨時工と常用工のような職制上の地位又はパートタイム労働者などの従業員としての種別は、労基法3条の「社会的身分」に含まれないと考えられている(乙第13号証及び14号証)。

 また、労基法3条に関し、パートタイマーや臨時雇用など雇用形態が争われた裁判例においても、「臨時労働者の地位と常雇労働者のそれとの差異は労働契約の内容自体に基づくものであるから、これを持って憲法14条、労働基準法3条にいういわゆる社会的身分による差別的取扱をなしたものということもできない。」としている(帝倉荷役事件・東京地裁昭和48年3月20日、丸子警報器事件判決・長野地裁上田支部平成8年3月15日等)。

 したがって、常勤職員と非常勤職員という職務上の地位が労基法3条の「社会的身分」に該当するとの原告の主張は、明らかに失当である。

 

2 性差別(憲法14条・労基法4条違反)との主張について

 原告は、@常勤職員と非常勤職員との賃金格差は、女性であることを理由とする直接性差別であり、A仮に直接性差別でないとしても、非常勤という基準による賃金制度は女性に不利益をもたらすから間接差別であり、違法であると主張する。

 

@ 直接性差別との主張に対する反論

 労基法4条の「女性であることを理由として」差別的取扱をするとの解釈に関し、施行通達(昭和22年9月13日発基第17号)は、「職務、能率、技能等によって賃金に個人的差異のあることは、本条に規定する差別待遇ではないこと。しかしながら労働者が女性であることのみを理由として、あるいは社会通念として又は事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者でないこと等の理由によって女子労働者に対し、賃金に差別をつけることは違法であること。」としている。すなわち、労基法4条は、合理的理由のない男女間の賃金格差を違法とする規定ということができる。

 ところで、被告中野区における非常勤職員制度は、常勤職員に比べ、3で述べるように違法な賃金格差はないのであり、まして非常勤職員を女性であることを理由として、ことさら賃金格差を設けている事実はないのであるから、直接性差別にあたるものではない。

 

A 間接性差別との主張に対する反論

 原告は、非常勤職員制度が直接女性を差別するものではないにしても、非常勤職員の圧倒的多数は女性であり、非常勤という基準による賃金制度は女性に不利益をもたらすから、間接性差別として女性差別にあたると主張する。

 間接性差別に関するリーディングケースとして三陽物産事件判決(東京地裁平成6年6月16日判例時報1502号32頁)があるが、同判決は、給与制度において、基本給としての本人給につき、非世帯主及び独身の世帯主の従業員には25歳相当の本人給を、また家族を有する世帯主の従業員には実年齢に応じた本人給を支給するという基準(世帯主・非世帯主の基準)及び勤務地域を限定して勤務についている従業員には26歳相当の本人給を、勤務地を限定しないで勤務についている従業員には実年齢に応じた本人給を支給するという基準(勤務地限定・無限定の基準)を設けていたことに関し、いずれの基準も「同基準の適用の結果生ずる効果が、女子従業員に一方的に著しい不利益となることを容認して同基準を制定したものと推認することができ」労基法4条に違反し、無効であると判示したものである。

 すなわち、同判決は、世帯主・非世帯主の基準については、「被告は住民票上、女子の大多数が非世帯主又は独身の世帯主に該当するという社会的現実及び被告の従業員構成を認識しながら、世帯主・非世帯主の基準の適用の結果生じる効果が女子従業員に一方的に著しい不利益となることを容認して右基準を制定したもの」とし、勤務地限定・無限定の基準については、「真に広域配転の可能性があるが故に実年齢による本人給を支給する趣旨で設けられたものではなく、女子従業員の本人給が男子従業員のそれより一方的に低く抑えられる結果となることを容認して制定され運用されてきたものであり」女子であることを理由に賃金を差別したものであると認定したものである。

 しかし、被告中野区における非常勤職員制度は、非常勤職員の大半が女性であることを想定して設けられたものではなく、また、女性の差別につながることを認識し、それを認容しつつ当該制度を設けているわけではない。

 すなわち、非常勤職員制度は、地方公務員法に基づく法律上の制度であって、その趣旨は、特定の専門分野の業務において、その専門的な知識や経験を活用するために、又は業務量が少ない、勤務を必要とする時間が短い、変則的である等の理由で一般常勤職員を配置することが適切でない場合を想定して設けられたものである。

 そして、採用実体を見ても、平成13年4月1日現在、被告区において採用されている非常勤職員309名中、男性は108人(35パーセント)、女性は201人(65パーセント)であり、非常勤職員に占める女性の割合は高いことは事実であるが、これは、非常勤という勤務形態が女性にとって働きやすい側面があり、女性の就労希望者が多いこと等の理由が考えられ、女性自身の自主的選択による結果と解することができるものであって先述の引用判決に見られるように、やむを得ない選択を迫られるようなものではない。

 また、いわゆる間接性差別においても、直接性差別と同様、当該基準による賃金決定自体に不合理な格差が存することが前提となるところ、本件においては3で述べるように、被告中野区における常勤職員と非常勤職員との間に給与体系上不合理な格差が存在するとは言えないのであるから、間接性差別も存在しない。

 

3 均等待遇原則等違反(憲法13条・14条・労基法3条・4条・民法90条違反)との主張について

 原告は、同一(価値)労働同一賃金原則や均等待遇原則が近代市民法の普遍的原則として公序を形成していると主張し、原告に対する賃金格差は憲法13条及び14条並びに労基法3条・4条に違反し、無効であると主張する。

 しかし、以下に述べるとおり、同一(価値)労働同一賃金原則は、原告が主張するように法規範として存在していると認めることはできない。

 すなわち、使用者が労働者との契約においてどのような賃金を定めるかは、基本的には契約自由の原則が支配する領域であり、労働者と使用者との力関係の差に着目して労働者保護のために立法化された各種労働法規上の規制を見ても、労働基準法3条、4条のような差別禁止規定や賃金の最低限を保障する最低賃金法は存在するものの、同一労働同一賃金の原則についてはこれを明言する実定法の規定は未だ存在しない。

 更に、明文の規定はなくとも「公の秩序」としてこの原則が存在すると考えるべきかについても、これを否定せざるを得ない。それは、これまでのわが国では、国や地方公共団体はもとより多くの私企業においても、年功序列による賃金体系を基本とし、更に職歴による賃金の加算や、扶養家族手当の支給などさまざまな制度を設けてきたのであって、同一労働に単純に同一賃金を支給してきたわけではない。また、最近の私企業においては、従来の年功序列ではない給与体系を採用しようという動きも見られるが、そこでも同一労働同一賃金といった基準が単純に適用されているとは必ずしも言えない状況にある。

 しかも、同一の労働には同一の賃金を支払うべきであると言っても、特に職種が異なる労働を比べるような場合、その労働価値が同一であるか否かを客観性をもって評価判定することは、人の労働というものの性質上著しい困難を伴うことは明らかである。要するに、この同一労働同一賃金の原則は、著しく不合理な賃金格差を是正するための理念とはなり得ても、これに反する賃金格差が直ちに違法になるという意味での公序とみなすことはできないのである。

 原告が引用する丸子警報器事件判決においても、「同一(価値)労働同一賃金の原則は、不合理な賃金格差を是正するための一個の指導理念になり得ても、これに反する賃金格差が直ちに違法になるという意味での公序と見なすことはできない。」と判示するが、これは上記の趣旨を示すものである。

 また、原告は、原告に対する賃金格差は憲法13条及び14条並びに労基法3条・4条の基礎をなす均等待遇原則に違反すると主張する。

 そして、この点について上記丸子警報器事件判決は、均等待遇の理念について、人格の価値を平等と見る市民法の普遍的な原理と考えるべきものであり、その理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして公序良俗違反になる場合があるとし、正社員と同じ労働時間で働いている女性臨時社員の賃金が、同じ勤続年数の女性正社員の8割以下となるときは、許容される賃金格差の範囲を明らかに越え、違法になると判示し、均等待遇原則に違反する賃金格差が違法となることを認めている。

しかし、この場合においても被告中野区における非常勤職員の報酬については、以下に述べるように常勤職員の給料月額に準じる形で算出しており、常勤職員との給料月額の差が、上記判例のいう裁量の範囲を逸脱したものということは到底できない。

すなわち、原告が任用されていた学習コーディネーターの職は、非常勤職員報酬額一覧(乙第15号証乃至第20号証)の中で、Mランクに位置づけられており、原告が在籍していた平成4年度についていえば、算出の基準として常勤一般行政職の3級8号給(大学卒業程度で新規採用され、4年後に適用される職務の級及び号給)の給料月額200,400円を基礎として、1時間当たりの時間単価1,230円を算出し、これに1日の勤務時間(8時間)及び1月の勤務日数(15日)、つまり、1月あたり120時間を乗じた金額147,600円を報酬月額として定めたものである。

 したがって、非常勤職員の報酬については、その勤務時間実績に基づき、常勤一般行政職員の給与月額とほぼ同等の金額を支給していたのであり、報酬額そのものに、裁量の範囲を逸脱した差別が存在するとは、到底解されない。

 また、学習コーディネーターの報酬額について、その報酬の基礎となる時間単価を平成5年度については、1,310円(報酬月額157,200円)、以下、平成6年度時間単価1,370円(報酬月額164,400円)、平成7年度時間単価1,385円(報酬月額166,200円)、平成8年度時間単価1,405円(報酬月額168,600円)、平成9年度時間単価1,420円(報酬月額170,400円)、平成10年度時間単価1,440円(報酬月額172、800円)というように、常勤職員のベースアップ分等を考慮して決定しているのである。

 更に、平成5年度におけるMランクの報酬額は、常勤一般行政職給料表の3級8号と9号の中間的な額とし、平成6年度には、3級9号の給料月額を基準とするように、常勤職員の昇給に準じた取扱いも行っているのである。

 なお、原告は、非常勤職員に地方自治法で常勤職員に認められている調整手当、住居手当、期末・勤勉手当及び退職金を支給しないのは、不当な差別であり、違法であると主張しているが、地方自治法上これらの手当等を非常勤職員である原告に支給することができないのは明らかであり(自治法204条の2)、この点についても均等待遇原則違反を論ずる余地はない。

 

第2 被告における地公法3条3項3号の濫用との主張に対する反論 原告は、地方公務員法(以下「地公法」という。)3条3項3号の特別職非常勤の運用について、任用及び処遇の2点において、被告中野区に運用上の濫用があると主張する。

以下、具体的に反論する。

 

1.任用における濫用に対する反論

 原告は、地公法3条3項3号に規定する特別職の非常勤は、本来、常勤を必要としない業務について、特定の学識経験のあるものを充てようとする場合の任用形態を規定したものであるとし、常勤を必要とするかどうかは、その職務が恒常的に処理される必要があるかどうかによって決定されると主張する。

 しかし、非常勤職員を充てる職については常勤勤務を要しない職でなければならないが、必ずしも臨時的なものでなければならないというものではなく、恒常的なものでも差し支えないものであって、また、そもそも特定の職に常勤職員を充てるか非常勤職員を充てるかは、当該職務の内容、当該職員に求められる資格、定数の問題あるいは当該職務に要する事務量などを総合的に考慮して決定されるものであり、原告が主張するように当該職が恒常的なものであるか否かには直接関わるものではない。

 また、原告は、自己の職務内容が実際には常勤職員のそれと変わらないことを理由に、原告を非常勤特別職として任用したことは違法であると主張するが、本件の学習コーディネーターの職にどのような知識、経験を期待するかはその職を設けた任命権者の意図の問題であり、任命権者が特別の専門的知識や経験を必要とする職として学習コーディネーターの職を設けた以上、学習コーディネーターには、その職にふさわしい専門的知識、経験を有する者を充て、その者が実際にもその職にふさわしい職務を遂行することが期待されていたと言うべきである。原告の主張は、行政遂行上必要とされる職を設けた側の任命権者の意図、すなわち任命権者が当該職にどのような職務遂行を期待しているかという非常勤特別職設置の趣旨をまったく考慮しないものである。

 本件の学習コーディネーターは、専門知識、経験を必要として設けられた職であり、大学院生や大学の講師といった一定の知識・経験を有する者を任用することを予定していたものであるから、原告を非常勤の特別職として任用したことに何ら違法はない。

 なお、原告は、Dにおいて常勤職員の年齢による受験資格の制限は合理性がなく、実際上家族的責任を負担することの多い女性を正規職員から排除する差別的効果を持つと主張する。

 しかし、人事委員会は、受験者に必要な資格として職務の遂行上必要な最小かつ適当の限度の客観的かつ画一的要件を定めるものとされている(地公法19条2項)。その内、年齢については、現実の年功序列型の人事配置を考慮して、一定の幅を定め、その受験資格を限定することが一般的に認められているところである。したがって、年齢による受験資格の制限が女性を正規職員から排除する差別的効果を持ち、違法無効であるとの原告の主張は、社会一般の状況を無視するものであり、こじつけ以外の何ものでもない。

 

2.処遇における濫用に対する反論

 原告は、@において非常勤という任用形態は被告中野区の濫用による違法なものであり、その処遇について非常勤職員の報酬・費用弁償等に関する地方自治法203条等の適用は排除され、正規職員に準じて取り扱われるべきであると主張する。しかし、1で述べたとおり、地方公務員法3条3項3号の濫用など全くないのであるから、このことを前提とする原告の主張は、失当である。

 また、仮に原告が主張するように非常勤職員としての任用行為そのものが違法であったとしても、直ちに、正規職員(常勤職員)に準じた取り扱いをしなければならない法的理由は考えられず、原告の主張はその明確な根拠を示していない。

更に、原告のAの主張については、常勤職員の給与と非常勤職員の報酬との間には、第1の3で述べたように、そもそも給料(本給)の額に不合理な格差が設けられているとは言えず、また、非常勤職員に諸手当等を支給できないことは、地方自治法上及び行政実務上明確である(乙第21号証)。

第3 条例等条項の法的効力と適用関係に関する反論

 原告の第3の主張は、基本的な法令解釈についての誤りがある。以下、具体的に反論する。

1.中野区における職員の給与を定める条例等条項についての反論

 @及びAについては概ねそのとおりであるが、Bの原告の主張は明らかに誤りである。

 すなわち、中野区非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年中野区条例第17号)2条によれば、中野区非常勤職員に対する報酬の額は、勤務1日につき、九千四百円をこえない範囲内において、任命権者が定める額と規定し、同条2項に「任命権者は、特に必要と認めた場合においては、報酬の額を、区長と協議して、時間を単位とする額、月額又は年額で定めることができる。この場合における報酬の額は1時間当りの額については、千二百円、月額については、三十五万円、年額については、八万八千円をこえてはならない」と規定しているのである(乙第10号証)。

 したがって、同条例が非常勤職員の報酬について年額の上限のみを定めており、非常勤職員の概念がきわめて限定されたものであるとの主張は明らかに原告の誤解に基づくものである。

2.女性会館職員の雇用と勤務条件

 この点については、そのとおりである。

3.規程3条2項および要綱2条の違法性についての反論

 原告は、ここでも中野区女性会館処務規程及び中野区女性会館学習コーディネーター設置要綱で学習コーディネーターを非常勤職員と定めたことを違法と主張しているが、この点については第2の1で述べたように、任命権者の判断に違法な点は全くない。

 また、原告は、原告ら中野区女性会館非常勤職員に中野区職員の給与に関する条例(昭和26年中野区条例第16号)が適用されると主張するが、同条例は、地方自治法204条3項に基づき常勤の職員についての給料等について定めたものであり、これを非常勤職員に適用することは、明らかに地方自治法に違反し、認められるものでない。

4.要綱の処遇条項の違法性について

 原告は、中野区女性会館学習コーディネーター設置要綱に定める処遇基準は、労基法3条及び4条に違反して違法・無効であり、給与条例に基づく給料表の適用および諸手当の支給を完全に実施する限りにおいて、条例違反の指摘を免れると主張する。

しかし、ここまで述べてきたように、原告を非常勤職員として任用し、地方自治法及び中野区非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例2条に基づき、適正な額の報酬を支給してきたことに何ら違法性はないのである。原告のように非常勤職員に常勤職員に適用される職員の給与に関する条例を適用すべきとの主張自体、地方自治法の容認するところではなく、これを実施することは地方自治体の法令遵守義務に違反することとなる(地方自治法2条16項及び17項)。

 

第4 本件請求権に関する反論

 原告は、被告区の非常勤制度の運用に濫用があり、違法無効であるとして、当然に常勤職員に適用される職員の給与に関する条例が非常勤職員であった原告に適用されると主張するが、先述のようにその主張には根拠がなく、このことを前提とする職員の給与に関する条例に基づく賃金(報酬)の支給を受ける権利があるとする主張は、失当である。

 また、原告は、憲法13条、14条、27条、労働基準法3条、4条、民法90条に基づく公正に報われて働き続ける権利を侵害されたと主張するが、これまで述べてきたように、非常勤職員の報酬額については、常勤職員の給料等との比較において、違法な格差はなく、したがって権利侵害の事実もないのであるから、国家賠償法に基づく損害賠償請求は認められるものではない。

第5 求釈明

原告は、非常勤特別職であった原告に、地方自治法204条に基づき定められた中野区職員の給与に関する条例に基づく給与を支給すべきと主張するが、その法的根拠を明確にされたい。


3 弁論準備手続きの記録(2001/8/3)

第7回 弁論準備手続き

日時:2001/8/3(金) 午前10:07〜10:35

場所:東京地裁11民事部(13階)

出席者:原告側 代理人4名 原告 傍聴4名 計9名

    被告側 代理人5名 傍聴2名 計7名

記録者:山口・長倉

裁判官:乙15〜21の3ですね。

原告側(中野):これ(乙15号証 非常勤職員報酬額一覧)はどこから出したものですか。

被告側:これは冊子になっているものではなくて、作成される様式があって作成したものです。

原告側(中野):どこで作成したものですか。

被告側:中野区の職員課です。ひとまとめになったものではありません。

被告側:これは平成5年度分です。全部同じだということです。

原告側(中島):これはどこから出したものですか。毎年こういうかたちで、全職種についてまとまっているのですか。

被告側:各部にまたがっているものを、職員課が集めて一つにまとめて作ったものがこれです。これで全部です。6年度以降はMランクだけを抜粋したものです。

原告側(中野):変化はないですか。

被告側:ほとんど変化はないです。全体はこういうものですよと平成5年度で抜粋して、6年度以降は学習コーディネーターについてまとめたものです。

裁判官:他のものが必要ならありますね。

原告側(中島):十分検討していませんが、要望しようと思ったのは、人数に、これに性別を入れたものを、それぞれ女性何人とか、お願いしたいと思っているんです。

被告側:内訳はどうなっているかですか。

原告側(中野):比較すると、こちらは圧倒的多数が女性と主張しています。区の書面に非常勤職の男女の比率に違いがあるということで、原告が在職した期間中の男女比をお示しいただきたいと思います。

被告側:直近の13年度の数字ですので、ちょっと違うかもしれません。

被告側:過去のことで、どこまで追えるか…。

被告側:非常勤でそんなに数が違いましたか。

裁判官:あれは常勤じゃなかったですか。

原告側(中野):いえ、非常勤です。

裁判官:この資料には常勤職となっていますが。

原告側(中野):6月26日付準備書面の5ページです。平成13年度と12年度では、非常勤制度が変っていますので、比較にはならない。

裁判官:当時のものを出してみないと意味がないですね。

被告側:過去のものなので、どこまでさかのぼれるか。4年度から10年度までですね。やってみます。

原告側(中野):報酬一覧は職員課が作成されたということで、各部局で報酬は決定されるわけですか?区長の決裁は取っていますか。

被告側:当然取っているわけですよね。

原告側(中野):では、決裁文書を出してください。信用しないわけではないけれど、決定プロセスを知りたいので。

原告側(中島):文書のページが飛んでいます。

原告側(菅沼):乙16以下は、8ページのあと10ページになっていますが。

被告側:Mランクは8ページから9ページに出ています。他の職種は5年度と同じになっていますので省略しました。Mランクのうちの学習コーディネーターに必要なところだけを抜いてきたわけです。

原告側(中野):全部といいませんが、頁の続きが必要なので、どういう文書の中でこれがあるのか、きちんとしないと、立証にならないわけです。主張と同じになってしまいます。

原告側(中島):ただの表を出しているだけなら、ただの主張に過ぎません。

裁判官:何を言っているのかわかりません。乙15号証以下、提出しないということですね、今日は。ちゃんとしたものを出してください。原告で、これが必要というものを出したらいいじゃないですか。差し替えたりしたら、間違いが起こる元ですから。

被告側:どこまでさかのぼれるか、調査してみます。

原告側(中島):それに性別がなければ、書き入れてください。

裁判官:結局は男女比が問題なんでしょう。

原告側(中野):区がいっている、「均衡をはかって準じて賃金を決定してきた」という、基準があるかどうか。

被告側:一般職3−8、大卒4年目の給料表を、時間で割り返して、それをまったく同じ基準で計算しているということです。

被告側:昇給は考えていません。たまたま3−8だったのが、3−8とか3−9の間をとるとか、3−9だったとか、いうこともあったみたいですが。

原告側(中島):年度ごとにある程度の配慮で決定するということですか。そうすると、昇給については(常勤に)準ずるという言葉はおかしい。

被告側:結果的にそうなりました。

原告側(中島):そうすると準ずるとはいいません。

被告側:3−8で一貫しているわけではなく、3−9の中間ということが過去にあったということです。 ベースアップ分をそのまま上げたということでもないのです。昇給制度があったわけではありません。準ずるという取り扱いをしたわけではありません。

被告側:条例上限度額が決まっています。

裁判官:条例上でなく、決まっている部分もあるわけですか?最高額だけですか?

被告側:年度ごとの決裁が各部分にあるわけですが。

裁判官:年度を越えている内規とかあるわけですか?

被告側:全庁的に決めてはいません。決定の手続きは今回の書面では考慮しないで書いたわけです。

裁判官:考慮しなくていいという判断で書いたのですか。必要ないという判断で書いたのですか。必要があれば立証されるということですね?

わたしも準備書面をさぁーっとしかみていません。基本的な主張関係が出揃ったということであれば、内容を整理して、具体的な立証計画に入りたいと思っていますが。

原告側(中島):今いったことを明らかにしてくださった上で、こちらでまた反論したいと思っておりますが。

裁判官:反論を出されても、新たな主張ではないと思います。反論でなくても、違法事由をまとめたもので。

原告側(中野):こちらは地公法の濫用なんだと主張しています。被告のほうでは条例を根拠にしていますが。地公法の濫用論をまとめた事実について、新しい事実を出せないわけではないと思います。手続きの問題も主張していただいて、その主張をもう一度新たにこちらへお送りいただければと思います。

被告側:金額は計算上出して、まったく同じ金額を、昇給の点は別にして出しておりますので、取り立てて格差はないと思っております。手当の問題は別にして、そちらでどこを問題にされるのかわかりません。総額で考えられているのですか?

原告側(中野):昇給分についても手当についても、すべてにわたって問題です。訴状で、すべてにわたってと書いています。

原告側(中島):格差が違法であるとしても、8割未満ならいいのかという、新しい主張が本に出てきていますが、それについて新たにこちらで主張する必要があります。

裁判官:8割というのは、根拠は別にないでしょう。この事件ではたまたま8割を主張しています。

被告側:わたしたちの主張ということではないです。本件は8割だからどうということではないです。区では、3−8の大卒4年目が妥当だということでお支払いしたわけです。

原告側(中野):バランスをとった処遇で、格差が合理的であるという今回の主張について、こちらのほうで反論します。

裁判官:詰めていけば、事実関係で争いはなくなるはずです。主張関係は早めに出していただくということで、進んでいきますね。

原告側(中野):あまりさっさと進めていただいても…。

裁判官:いつ頃までに出してもらえますか?

被告側:過去と、調べることと、各部長決定で決裁をもらうことに時間がかかるかもしれません。保存年限の問題もあります。

原告側(中野):保存年限が規定上あるのでしたら、残っているものでやっていただくしかありません。

裁判官:たいへんでしたら原告に相談して、必要なものに絞っていただくとかして…。では、9月28日提出で。それとも、並行して原告からも出しますか?

原告側(中野):出すのはかまいませんが、一括してお出ししたほうがいいのでは?まとまって読んでい ただいたほうがいいと思います。次々回に、反論および新主張をします。

裁判官:必要な書証があるので、9月28日のあとで一度入れたほうがいいでしょう。これは必要という書証はつくっていただき、これはというものは現物を持ってきてください。

次回は10月5日、1時半ということで。


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