目次

これまでの経過
和解にむけての原告の提案(03/4/2)
(裁判所から)(03/4/8)
(中野区から)和解勧告条項の検討結果・修正案・修正理由 (03/4/23)
ご連絡(03/4/23)
(中野区から)質問に対する回答(03/4/28)
御報告・原告側和解案・和解案対比表(03/5/2) 
原告側和解案に対する中野区検討結果の回答(03/5/30)  

これまでの経過

証人尋問(02/11/05)
証人尋問(02/11/26)
13回弁論準備手続き(02/12/26)
最終弁論(03/3/3)
鑑定意見書提出(03/3/17)
和解手続き(03/3/28)
和解手続(03/4/17)
和解手続(03/5/6)
和解手続(03/6/6)

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和解にむけての原告の提案(03/4/2)

東京地方裁判所民事第11部 御中

  原告ら訴訟代理人  弁護士中島通子 同 中野麻美 同 菅沼友子 同 秦 雅子   

(1)
中野区は、原告が本件訴訟を提起した基本的趣旨と訴えの内容を真摯に受け止め、原告の働きに公正に報いることができなかったことに遺憾の意を表明する

(2)
中野区は、一般職常勤職員との均等待遇を考慮すれば、原告の賃金に関する取扱には改善の余地のあったこと、及び、これによって原告に多大な苦痛を与えたことを認める。

(3)
中野区は、原告の本件訴訟提起の趣旨並びに中野区男女平等基本条例に定める基本理念及び中野区女性基本計画推進プランをふまえ、今後とも、均等待遇保障を含め、非常勤職員の賃金・労働条件改善し、もって女性を活かす人事管理をすすめ、非常勤職員に対して公正に報いることができるよう努力する。

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裁判所から

 事案の内容等諸般の事情に鑑み、以下のとおり和解を勧告しますから、よろしくご検討ください。

 

和解条項

(1)被告は、原告の従事した学習コーディネーターが、その勤務時間がさほど短くないなど自由度が乏しく、また、その職務のレベルや責任度が常勤職員に比べて勝るとも劣らないことなど、常勤職員との大きな賃金格差の存在を納得できる要因が乏しいという点で、原告が本件訴訟を提起した趣旨を真摯に受け止める。

(2)被告は、非常勤職員の中には原告よりも常勤職員に近い待遇を受けている者があること、人事政策上も非常勤職員の待遇について常勤職員との均衡を考慮して行う必要性があることに鑑み、原告の賃金額について改善の余地があったことを認め、原告に対し遺憾の意を表明する。

(3) 原告はその余の請求を放棄する。

(4)訴訟費用は各自の負担とする。

以上

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(中野区から)和解勧告条項の検討結果・修正案・修正理由

和解勧告条項の検討結果

1 和解条項(1)の内容で「原告が本件訴訟を提起した趣旨を真摯に受け止める」ということになると、結果として「勤務時間がさほど短くないなど自由度が乏しく」、「職務ののレベルや責任度が常勤職員に比べて勝るとも劣らない」、「常勤職員との大きな賃金格差の存在を納得できる要因が乏しい」といった原告の主張を区が認めたかのようにとられかねない。しかし、原告の従事した学習コーディネーターの職がその職務内容に比べて常勤職員との賃金格差が大きすぎるとして本件訴訟を提起した心情を真摯に受けとめる。

 
2 和解条項(2)について

(1)「非常勤職員の中には原告よりも常勤職員に近い待遇を受けている者がある」との表現は、非常勤職員の中には報酬以外の面で常勤職員に近い待遇を受けているかのような誤解を生じるおそれのある表現である。

(2)原告の賃金額について和解条項(2)の内容で「改善の余地があったことを認める」という表現は、常勤職員との比較だけで賃金額が決まると受け取られるおそれがある。

 区は、原告の賃金額が、常勤職員の給与との比較、その職の専門性や困難性、他の非常勤職員の賃金との比較、他区の状況等を考慮したものであり、法制度に照らして妥当な水準であったと認識しているが、その賃金額について、他の類似職の賃金水準との比較において、原告の期待に添えなかったものであると考えている。

(3)原告に対し遺憾の意を表明することは、区が非を認めることになるため、受け入れることはできない。

 

和解条項修正案

1 被告は、原告の従事した学習コーディネーターの職がその職務内容に比べて常勤職員との賃金格差が大きすぎるとして本件訴訟を提起した心情を真摯に受けとめる。

2 被告は、原告の賃金額が、常勤職員の給与との比較、その職の専門性や困難性、他の非常勤職員の賃金との比較、他区の状況等を考慮したものであり、法制度に照らして妥当な水準であったと認識しているが、その賃金額について、他の類似職の賃金水準との比較において、原告の期待に添えなかったものであることを認める。

3 原告はその余の請求を放棄する。

4 訴訟費用は各自の負担とする。

 

和解勧告条項の修正理由

1 和解条項(1)の内容で「原告が本件訴訟を提起した趣旨を真摯に受け止める」ということになると、結果として「勤務時間がさほど短くないなど自由度が乏しく」、「職務ののレベルや責任度が常勤職員に比べて勝るとも劣らない」、「常勤職員との大きな賃金格差の存在を納得できる要因が乏しい」といった原告の主張を区が認めたかのようにとられかねない。

2 和解条項(2)について

(1)「非常勤職員の中には原告よりも常勤職員に近い待遇を受けている者がある」との表現は、非常勤職員の中には報酬以外の面で常勤職員に近い待遇を受けているかのような誤解を生じるおそれのある表現である。

(2)原告の賃金額について和解条項(2)の内容で「改善の余地があったことを認める」という表現は、常勤職員との比較だけで賃金額が決まると受け取られるおそれがある。

3)原告に対し遺憾の意を表明することは、区が非を認めることになるため、受け入れることはできない。

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ご連絡

御  連  絡

中野区指定代理人 
原告訴訟代理人                         

中野区和解案について、理由書もあわせて交付いただいておりますが、合意の可否を検討するにあたって以下の点に不明な部分がありますので、質問させていただきます。今週内にご回答いただければ幸いです。

第1 第1項の原告訴訟提起の「心情」を真摯に受け止めるとは具体的にどういうことか、「訴訟提起の趣旨」を「心情」に言い換える真意をうかがいたい。

第2 同様に、第2項において「原告の期待に添えなかった」とあるが、この場合の原告の期待とは、具体的に何をさすのか指摘していただきたい。

第3 和解案の全体的な基調は、区側は客観的に適正な制度の運用を行ってきたが、原告の「心情」「期待」といった表現が意味しているように、原告がこれを問題であると主観的に思い込んで訴訟を提起したということになり、原告の側にも問題があったことをうかがわせる表現になっています。そのような趣旨のことを和解において確認するということか。

第4 第2項において、被告区は、原告の賃金額は法制度に照らして妥当なものであったというが、妥当性の根拠の一つとして、「他の非常勤職員の賃金との比較」をいうが、具体的には何をさすのか

第5 上記のように妥当であるとしながら、他の類似職の賃金との比較において原告の期待に添えなかったとする 「他の類似職」とは何を想定しているのか。

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(中野区から)質問に対する回答

1 第1について

 「和解勧告条項の検討結果」で述べたように、「訴訟を提起した趣旨を真摯に受け止める」とした場合、結果として、原告の主張する「職務のレベルや責任度が常勤職員に比べて勝るとも劣らない」、「常勤職員との大きな賃金格差の存在を納得できる要因が乏しい」等の前提事実を明確に認めながらも、区は原告に対して今回の措置を取っていたという趣旨に受け取られかねない点を考慮したものです。区としても、労働者としての立場から常勤職員との賃金の格差を見たときの原告の気持ちは察しており、その気持ちから原告が本件訴訟を提起したということについては十分理解しているところであり、その意を込めて「心情」という表現を用いたものです。

2 第2について

 原告の従事した職務内容に類似した他の職(他の自治体あるいは民間企業における職)には、賃金について原告と異なる取扱いを受けているものがあり、その意味では、なお原告の賃金にも改善できる余地があったのではないかという原告の主張を、「原告の期待」として表現したものです。

3 第3について

 区としては、原告の賃金について、現行法制度の下で適正な取扱いをしてきましたので、区は、こうした区の立場、主張も一定程度盛り込んだ形での和解ができればと考えたものであり、「心情」あるいは「期待」といった表現が原告側にも問題があったという風にはまったく認識しておりません。

4 第4について

 具体的には、区が任用している種々の非常勤職員の賃金額との比較を指すものです。区は、種々の非常勤職員を任用していますが、それら非常勤職員の賃金額は、従事する職の困難性や専門性、一定の資格を必要とするか否かといったことを総合的に考慮し、それらの要素を他の非常勤職員と比較検討した上で、最終的に各非常勤職員の賃金を決定するものです。原告が従事した学習コーディネーターの職の賃金もそのような比較検討の下にその額が決定され、その結果Mランクの位置付けとなったものです。

5 第5について

 2で述べたように、他の類似職とは、他の自治体あるいは民間企業において同様の職務を行う職を想定したものです。

 なお、本項の「原告の期待に添えなかった」というのは、区は、現行法制下において、上記4で述べたような種々の点を考慮しつつ各非常勤職員の賃金を決定しているわけですが、他の自治体あるいは民間企業等の類似の職の賃金と比較してなお十分ではないとの原告の思いに十分応えることができなかったことについて、「原告の期待に添えなかった」と表現したものです。

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和解案対比表

御  報  告

                      2003年5月2日

東京地方裁判所民事第11部御中

原告訴訟代理人   弁護士 中島通子  同   中野麻美   同   菅沼友子    同   秦 雅子

                        

頭書損害賠償請求事件について被告中野区とのやり取りの経過及び原告側の原告側の対応についてあらかじめ御連絡申し上げます。

4月23日に、中野区和解案に対する原告側からの質問を行いました。中野区の真意を確認のうえ、当方の対応について検討したいと考えたことによりますが、質問の内容は以下の通りです。

第1 第1項の原告訴訟提起の「心情」を真摯に受け止めるとは具体的にどういうことか、「訴訟提起の趣旨」を「心情」に言い換える真意をうかがいたい。

第2 同様に、第2項において「原告の期待に添えなかった」とあるが、この場合の原告の期待とは、具体的に何をさすのか指摘していただきたい。

第3 和解案の全体的な基調は、区側は客観的に適正な制度の運用を行ってきたが、原告の「心情」「期待」といった表現が意味しているように、原告がこれを問題であると主観的に思い込んで訴訟を提起したということになり、原告の側にも問題があったことをうかがわせる表現になっています。そのような趣旨のことを和解において確認するということか。

第4 第2項において、被告区は、原告の賃金額は法制度に照らして妥当なものであったというが、妥当性の根拠の一つとして、「他の非常勤職員の賃金との比較」をいうが、具体的には何をさすのか

第5 上記のように妥当であるとしながら、他の類似職の賃金との比較において原告の期待に添えなかったとする「他の類似職」とは何を想定しているのか。

以上の質問に対し、4月30日に回答を戴き、原告側もその趣旨をふまえて検討いたしました。その結果、以下の和解案を再度提示します。

 

原告側和解案

1 被告は、原告の従事した学習コーディネーター職について、職務レベル・勤務時間・責任において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして原告が訴訟提起した趣旨を真摯に受け止める。

 

2 被告は現行法制度のもとで、常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性などを考慮して均衡処遇に務めてきたが、なお、他の類似職の賃金水準との比較において均等待遇保障の要請に添えなかったものであることを認め(て遺憾の意を表明す)る。

 

(遺憾の意の表明ができないのであれば3項として以下を加える。ただし、以下の趣旨ということであって、表現は弾力的に考慮する)

3 中野区は、今後とも前項を考慮して、中野区男女平等基本条例に定める基本理念及び中野区女性基本計画推進プランにそって、女性を生かす人事管理をすすめ、全職員に対し公正に報いることができるように努める。



★原告側作成 和解案対比表


 

裁判所和解案

中野区和解案

中野区コメント・回答

原告コメント

被告は、原告の従事した学習コーディネーターがその勤務時間がさほど短くないなど自由度が乏しく、また、その職務レベルや責任度が常勤職員に比べて勝るとも劣らないことなど、常勤職員との大きな賃金格差の存在を納得できる要因が乏しいという点で、原告が本件訴訟を提起した趣旨を真摯に受け止める。

被告は、原告の従事した学習コーディネーター職がその職務内容に比べて常勤職員との賃金格差が大きすぎるとして本件訴訟を提起した心情を真摯に受け止める。

裁判所和解案の摘示する具体的な事情を区が認めながら今回の措置をとっていたという趣旨に受け取られかねない点を考慮して削除したが、常勤職員との賃金格差を見たときの原告の気持ちは察しており、その気持ちから訴訟提起したことについては十分理解しているという意を込めて「心情」を用いた。

「趣旨」とは、物事の中心となるおもむき。文章や話でいおうとしていること、あることをする目的や理由をいうのであって、中野区の趣旨からしても「本件訴訟提起の趣旨」で構わないのではないか。またそうであれば、「職務レベル・勤務時間・責任において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして原告が訴訟提起した趣旨」とすることに問題はない。

被告は、非常勤職員の中には原告よりも常勤職員に近い待遇を受けている者があること、人事政策上も非常勤職員の待遇について常勤職員との均衡を考慮して行う必要性があることに鑑み、原告の地人額について改善の余地があったことを認め、原告に対し遺憾の意を表する。

被告は、原告の賃金額が常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性、他の非常勤職員の賃金との比較、他区の状況等を考慮したものであり、法制度に照らして妥当な水準であったと認識しているが、その賃金額について、他の類似職の賃金水準との比較において、原告の期待に添えなかったものであることを認める。

原告の職務内容に類似した他の職(他の自治体あるいは民間企業における職)には、賃金について原告と異なる取り扱いを受けているものがあり、その意味では、なお原告の賃金にも改善できる余地があったのではないかと言う原告の主張を「原告の期待」と表現した。

他の非常勤職員と比較検討したうえで最終的に各非常勤職員の賃金を決定するなかでMランクとした。

「期待」「心情」は、原告側の主観に過ぎず原告側に問題があったとはまったく認識していない

中野区のコメント通りであるとすれば、「被告は現行法制度のもとで、常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性などを考慮して均衡処遇に務めてきたが、なお、他の類似職の賃金水準との比較において、原告の指摘する均等待遇保障の要請(ないし課題に)添えなかったものであることを認める。」とすることはできないか。

また、「遺憾の意の表明」は、その語彙が「残念である」というもので問題はないと考えるが、原告の第一案3項を挿入する。


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原告側和解案に対する中野区検討結果の回答(03/5/30)

第1項について

 訴えられた被告の側が、原告側和解案の前段部分のような「職務レベル・勤務時間・責任において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして原告が訴訟提起した趣旨」等の表現内容の如何にかかわらず、この趣旨を真摯に受けとめるということになると、一般的には、そのような原告の主張を区が認めたように受けとられるので、「趣旨」という表現は認められない。

 中野区和解条項修正案にあるように、「その職務内容に比べて常勤職員との賃金格差が大きすぎるとして本件訴訟を提起した」その原告の気持ちは区としても察しており、他の適当な表現がないので、それを表現する言葉として「心情」を用いてもらいたい。

 仮に、「心情」が認められるとすれば、原則として原告側和解案のとおりでよいが、「責任」については常勤職員と同じであったとはいえないため、原告側和解案中「・責任」の部分は認められず、削ってもらいたい。

第2項について

 訴えられた被告の側が、遺憾の意を表明する場合は、単に「残念である」という意味には受けとられず、一般的には「謝罪」の意味を含んだものと受け取られる。よって、遺憾の意の表明はできないので、原告側和解案中「遺憾の意を表明する」の部分は削ってもらいたい。

 その他の部分については、原告側和解案中「務めて」の部分は「努めて」に、「なお、他の類似職の賃金水準との比較において均等待遇保障の要請に添えなかったものであることを」の部分は「なお、均等待遇保障を求める原告の要請に十分添えなかった点について」に表現を改めれば、原告側和解案のとおりでよい。

第3項について

 原告個人との和解条項の中に、中野区の職員の人事管理や全職員に関する事項を盛り込むことは不適当なので、この条項を入れることは認められない。

再修正後の和解案(第1項、第2項部分)

1 被告は、原告の従事した学習コーディネーター職について、職務レベル・勤務時間において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして原告が訴訟提起した心情を真摯に受けとめる。

2 被告は、現行法制度のもとで、常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性などを考慮して均衡処遇に努めてきたが、なお均等待遇保障を求める原告の要請に十分添えなかった点について認める。

 

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