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  和  解 内 容    

声明

2003年8月29日
中野区非常勤職員賃金差別裁判 原告 平川景子・支援する会・原告弁護団

 本日、中野区非常勤職員賃金差別裁判が、和解で解決しました。
3年間、ご支援いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。

 この裁判は、全国に30万人余ともいわれる地方自治体で働く非常勤職員の一人であった原告が、職の廃止による退職後、賃金の均等待遇と間接性差別の是正を求め、2000年9月22日、中野区を提訴したものでした。自治体のパート労働者の9割は女性です。家族的責任を果たしつつ働きながら不当な処遇に強い憤りを覚えていても、現職で雇用者を訴えることはきわめて困難である現状で、この裁判は個人訴訟であるにもかかわらず公務パートで働く多くの女性たちの支援を受けました。
 膨大な準備書面のやり取りと証人並びに原告本人の尋問を経て結審したのち、033月、東京地裁は和解を勧告しました。従来、行政訴訟で和解が勧められることはあまり例のないことですが、裁判所のこうした姿勢は原告側の主張に重大な関心を寄せ、かつこの処遇については不合理なものがあることを意識しつつも、法制度の限界に鑑みて和解を勧めているものと受け止めました。原告・被告が和解内容を協議・検討し、それをふまえて裁判所が別紙の和解案を示し、原告・被告とも合意に達しました。

和解内容の第1項は、「被告は、原告の従事した学習コーディネーター職について、職務レベル・勤務時間において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして、原告が本件訴訟を提起したことにつき、現行法制度の限界や問題点を真摯に受け止める」となっています。
 公務パートは、地方公務員法の3条3項3号等不適切な条項の濫用を受けるなど、法制度の不備こそが劣悪な労働条件の原因であり、そうした現状を踏まえて裁判所と被告中野区が現行法制度の不備を「真摯に受け止める」必要を認めたものとして、了承しました。

2項は、「被告は、現行法制度のもとで、常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性などを考慮して均衡処遇に努めてきたが、なお、原告の賃金額について、原告の指摘する類似常勤職員との均等待遇の要請に添えなかった部分のあることを認める」としています
 これまでの公務パートの判例に照らして、少なくとも裁判所が「均衡処遇」「均等待遇」に言及した点で、かつ非常勤職員と「類似常勤職員」との比較に言及した点で、均等待遇原則が日本でも公序として認められる方向性を展望するものとして和解に応じることとしました。
 しかし、和解内容が個別原告の問題に押しとどめられ、女性が9割を占めている公務パートの間接性差別性についてまったく言及していないことは、残念でなりません。
 本裁判では、21世紀を切り拓く意志をもって「均等待遇」「間接性差別」を争ってきました。しかし、法制度が整備されていないことなど(別紙CEDAW「主要関心事項及び勧告 22、33」を参照)をふまえ、今回の裁判での確認点を、賃金等の労働条件改善や立法への働きかけの足がかりとして、今後の取り組みに活かしたいと思います。

3、4項で、原告は本件訴訟で求めた1000万円を優に超える損害賠償金の取下げという、実に大きな譲歩を決断しました。これには、民間企業に対する賠償請求とは異なって、自治体を被告とする場合、和解金の支払には議会の決議を経なければならないという事情もありました。そうした困難な状況と、上記の項目の検討の結果、これらの文言は今後の運動の礎になりうるものと認識し、かつ交渉のなかで被告側にこれらの経済要求に応じる意志がないと判断したため、和解に応じることを決意したものです。今後さらに詳細なご報告をし、またご批判を受けていきたいと考えています。

最後に、裁判に協力・支援してくださったすべての方に心からの感謝を重ねて申し上げます

本当にありがとうございました。                        以上


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和解内容

 

原告 代理人 中野麻美 様     被告 代理人 河野通孝 様

所属:東京地方裁判所民事第11部 裁判官氏名:多見谷 寿郎

TEL:(略) FAX:(略)

事件名:東京地裁平成12年(行ウ) 第240号 損害賠償請求事件

送信日:平成15627日送付

 

 和解期日での双方の議論の成果を踏まえ、平成1548日送付の和解案を別紙「1和解条項」に改定して、再度和解案を提示しますから、よろしくご検討ください。

 なお、「2補足説明」は、和解条項の趣旨に対する裁判所の解釈をお示しするものであって、和解条項のほかに和解の内容を構成する性質のものではありませんので、和解調書に記載することは予定していません。                                     以上

(別紙)

1 和解条項

(1) 被告は、原告の従事した学習コーディネーター職について、職務レベル・勤務時間において常勤職員との賃金格差に納得できる要因が乏しいとして、原告が本件訴訟を提起したことにつき、現行法制度の限界や問題点を真摯に受け止める。

(2) 被告は、現行法制度のもとで、常勤職員の賃金との比較、その職の専門性や困難性などを考慮して均衡処遇に努めてきたが、なお、原告の賃金額について、原告の指摘する類似常勤職員との均等待遇の要請に添えなかった部分のあることを認める。

(3) 原告はその余の請求を放棄する。

(4) 訴訟費用は各自の負担とする

 

補足説明

1 和解条項(1)の趣旨は次のとおりである。

 原告の従事した学習コーディネーター職は、原告の経歴や能力の高さに鑑みても、その職務内容においてむしろ他の常勤職員に対する指導的な役割が期待されていたといっても過言ではない職務レベルにあったこと、勤務時間が常勤職員の4分の3とされていたが、出勤した日は常勤職員と同様に勤務する実態にあったこと、原告の待遇が常勤職員に比べると相当に低いことから、原告の取る非正規・非常勤職員についても正規・常勤職員との均等待遇を保障しなければならないとの立場からすると、本件訴訟を提起することには十分な理由がある。そこで、被告としては和解条項(2)のとおり現行法制度の範囲内で適正な処遇に努めてきたが、現行法制度が正規・常勤職員を原則とし、非正規・非常勤職員につき十分な措置が講じられているとはいいがたいことに起因して本件訴訟が提起されたことを理解し、本件訴訟がまったく理由がないとか、立場が違うとかと受け流すのではなく、きちんと受け止めるというものである。

2 和解条項(2)は、被告は、現行法制度の範囲内で均衡処遇に努めてきたが、同(1)のとおり、その限界や問題点に起因し、原告主張の類似常勤職員との均等処遇が実現できなかったことを認める趣旨である。


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