非常勤賃金差別裁判提訴

 七年間で退職金一七〇万円のはずが非常勤はゼロ


 東京・中野区女性会館で非常勤職員として働いてきた平川景子さんは、非常勤職員が常勤職員と比べて不当に低い賃金で働いていることなどから、昨年九月に中野区を相手どり東京地裁に提訴した。五人の弁護団と共に始まったこの裁判を見守って欲しいと原告の平川さん。

 わたしは、中野区の女性会館で七年間非常勤職員として働いてきました。常勤職員の四分の三の労働時間でしたが、年収では二〇〇万円ほどで、常勤職員には支給されているボーナス・退職金・調整手当(都市勤務に対する手当)・住宅手当等の諸手当はありませんでした。
 九九年三月に退職するとき、常勤で七年勤続の場合は七ヵ月分の退職金があると知り、自分の給与に掛けてみたとき、一七三万八八〇〇円だと知ったのが、提訴の直接のきっかけです。
 弁護団は、この裁判を次のように構成する予定です。すなわち、憲法・労基法・地方公務員法などの差別禁止規定に反して、@女性差別 A社会的身分差別 B均等待遇違反があったとする主張です。@はパート労働者・公務非常勤労働者に圧倒的に女性が多く(九七年自治労調べ)、非常勤であることを理由に差別することは女性に対する間接差別であるということです。「女性だから」という直接差別ではなく、「パートだから」という間接差別を問うことになります。Aは非常勤は社会的「身分」であり、これにもとづく差別は禁じられているという主張です。Bは労働時間に比例した賃金・同一価値労働同一賃金という、国際労働機関(ILO)などの国際的潮流に照らした主張です。
 わたしは、パート問題は日本のフェミニズムが長く引きずってきた「主婦」VS「働く女」という二項対立をつなぐ結節点だと思っています。家族的責任を負いながら短時間働く働き方が、半人前とか非熟練とかいわれた時代は、民間では終わりを告げていますが、公務非常勤が取り残されているのです。
 学校・病院・公務員が非常郭の三悪職場だと聞いたことがありますが、とくに地方自治体の臨時・非常勤職員の方から、提訴後たくさんのご連絡をいただいています。なかでも、女性施策の拠点たるべき女性会館・女性センターの非常勤職員の方から、共感と、雇用を含めた苦しい現状を寄せていただいています。わたしの知るかぎり、いま、東京では東京ウィメンズプラザと中野区女性会館で、深刻な非常勤の雇用不安が起こっています。そのほかにも、ほとんどの自治体に臨時・非常勤・パートなどの「身分」で働く人たちがいて、保育園・図書館・各種の相談業務事務など公務労働の実質を担っているのです。
 提訴してみて感じたことですが、「この裁判制度では現職の非常勤は提訴にたいへんな苦労をする」と思いました。裁判にお金と時間がかかることはうすうすわかっていましたが、昼間、休みをとって裁判所に行くことなど、少なくともわたしの在職中にはとても難しかったと思います。NPOなどの経済的支援も必要だと思いました。
 気鋭のフェミニストの弁護団が名乗りをあげてくださいました。しかし、とても難しい裁判なのだと思います。ぜひ、たくさんの方に、とくにパート・非常勤の方に、この問題について「発言」していただきたいと思います。ご連絡いただければ最新情報をお届けします。「使い捨てを許さない!泣き寝入りしない!!」が合言葉です。