| ←back | next→ |
下剤乱用で痩せるということはありません。下剤を使っても食べた量のおよそ1割しかカロリーは排出されないからです。
そして、下剤乱用によって身体の様々なバランスを崩してしまいます。
まず、下剤乱用によって体内の電解質バランスの崩れが起こります。
胃液や腸液の中にはカリウムが含まれています。下剤乱用によりカリウムが多量に失われると低カリウム血症になることもあるのです。
カリウムは筋肉の収縮や神経の働きを保つ役割を担っていますので、カリウムが不足すると全身倦怠感(だるさ)、筋力低下を引き起こします。また、不整脈になったり、心臓麻痺を起こして死亡することもあるそうです。
そして、腸のシステムそのものが壊れることも忘れてはいけません。
便と一緒に腸内の必要なバクテリアまでもがたくさん流されてしまいます。そうすると、自然な便意を起こしてくれるようになるまで3日かかります。
また、便意のない時に肛門をぎゅっと閉めてくれる筋肉が正常に伸び縮みしてくれなくなり、便の垂れ流し状態になってしまうこともあります。
オムツ無しでは外出できないまでになった方もいらっしゃいます。
その他にも胃腸の痙攣、結腸の正常粘膜の喪失などたくさんの危険が生じるのです。

下剤乱用への対処
上では下剤乱用が身体にもたらす悪影響を並べてしまいました。
でも、自分が今やっていることがどんな結果をもたらすのかを知っておくことも大事だと思います。そして、あなたの身体をあなた自身がいたわる気持ちを少しでも持ってくれることを願います。
ただ、いつかは下剤乱用をやめる意思を持たなければならないのです。
いきなりスパッとやめるのはなかなか困難なことかもしれません。それなら、一日10錠飲んでいたのを8錠に減らす、それを三、四日続けたら今度は6錠に減らす、というふうに少しずつ減らしていくのはどうでしょう?
そして、毎日飲んでいた間隔を二日おき、三日おきと開けていく。自然な排便が起こるのを待ってみましょう。
だんだんと身体は自然なリズムを思い出してくれます。
リズムが整うまでは消化の良い食事(柔らかめに炊いたごはん、野菜の煮物など)と、充分な水分補給に気をつけてみましょう。

私の経験
私も下剤乱用の常習者でした。
拒食症ピークのとき、「摂食障害の人は下剤でさらに体重をコントロールしようとする」という情報を耳にしました。「そうか、下剤を使うともっと痩せられるのか」と安易な動機で手を出してしまったのが悪夢の日々の始まり。
一日20錠ぐらい飲んでいた時期もありました。
ズキンッと下っ腹に痛みが走り、腸がねじれるような感覚。肛門の筋肉が引き締まらずにふわふわして、ちょっと力を抜けばそこで全部出してしまいそうな恐怖。一日何度もトイレに駆け込むのですが出るものがないから、便の状態も水分がほとんど。
トイレから出てくると脱水症状と電解質バランスの崩れでもうグッタリして、魂の抜け殻のよう・・・。
家でなら誰にも見られませんが、私は大学生だったのでその身体をひきずって学校へも行っていました。ガマンできずに授業中に何度もトイレに立ったこともありました。友だちも私のやつれた顔を見て「だいじょうぶ?」と声をかけずにはいられないほど。
そんな私が下剤乱用からきっぱり縁を切ろうと思えたのは、仲間とのきずなと支えがあったからでした。
私が拒食症のときに毎日訪れていた摂食障害用掲示板がありました。みんな苦しい毎日を送っていながらもすごく優しくて、繊細で、楽しい人たちばかりでした。
ある日、仲間の1人が「もう下剤乱用も嘔吐もやめる」と書き込みをしました。そうすると、他の何人かの仲間も「私も一緒に頑張る」とレスしていました。毎日お互いが励まし合っている書き込みを読んでいました。そして、「私もこのままでは身体が壊れてしまう。みんなと頑張りたい。もう下剤も嘔吐もしたくない」と思い立ち、下剤を少しずつ減らしていくことを始めました。
毎日飲んでいた下剤を飲まないことは苦痛でした。私の腸はすでに自然な便意をもよおすことを忘れていましたから、一日でも飲まないと全く排便がありません。それでも、二日待ってみて、出ないなら飲む、ということを繰り返していました。腸に便が溜まっていることが許せない自分との戦いでした。
今では自然な便意があります。
あのとき、一緒に下剤乱用から自分を断ち切ろうと励まし合った仲間に感謝です。
| ←back | next→ |