大型書店

               平井誠一

久々の休日。さて、今日は東にしようか、西にしようかと思案する。あらかじめの目的はない。出会いを求めてということだ。

各地に大型書店ができている。よく行くのが大阪灘波のジュンク堂と、JR名古屋高島屋11階の三省堂書店。驚くほど広く、どこになにがあるのか分からずウロウロすることもしばしばである。

大型書店にも、それぞれ特徴があり、三省堂書店の方が楽しく時間が過ぎる様に思う。ジュンク堂は疲れる。それはどうも書庫のように本棚が高い事と関係している。収容量が増えるとはいえ、圧迫感がある。

書架の高さは人の背丈ぐらいの180cm位で、その前にひざの高さ位の陳列台があり、本が三列ぐらい平積みで置いてあるほうがよい。背文字だけが見えるより、表紙が見えた方が印象深く、選ぶ楽しさが増える。そのタイトルや装丁に惹かれ手にとって、ぱらぱらめくれば偶然の一行に目が留まる。

ジュンク堂の良さもある。受付カウンターの端で、こちらを向いているタッチパネルディスプレイがあり、間違ってこちらを向いているのではない。求める本が、この書店のどきに陳列されているかを検索する物であることがわかった。はじめて見た。

そうだ、高校の同級生である「沖森卓也」と入力した。いっぱいでてきた。さすがだ。専門書はパスするとして、一般向きと思われる、「日本語の誕生」を選択すると、あるべき書架の番号が示された。この辺かと、右から左へと探すとすぐに見つかった。レジへと運び購入した。

ポップ付きで平積みされた新刊本のコーナーには話題の今が表れている。新聞広告や書評で取り上げられていた書籍が並んでいる。まだ読んだこともないのに懐かしく思うこの瞬間。しゃれた装丁や個性的な字体、また書名自体もいろいろである。300万部を突破したという、ベストセラー小説「世界の中心で愛をさけぶ」もある。この題名はどこか翻訳調のように思える。ひょっとすると外国文学に元となる題名や言い回しがあるのかもしれない。いずれにしてもなかなかこんな題は付けられない。プロの仕業だ。

これが「13歳のハローワーク」か。新聞広告などで知っていたが、厚い表紙の大判であることに驚いた。もっと小さな本と想像していた。手に取ってみた。450ページほどあり2600円。様々な職業がきっちりと紹介されており、現代のその職業を取り巻く状況や問題点、将来性などについても端的に述べられている。「仕事の図鑑」といえるものだ。

今の子供達は我々が経験しなかった将来に対する不安、職業に対する不安を持っている。私もそれを外来での診察を通して感じている。
 中学生で将来の職業を考えたときこの本を開ければ、「世の中にはこんなに沢山の職業がある、興味在るのはどれか、自分の目指す職業はどうゆうものか」と参考になる。

自分の好みや希望の職業を描いたとしてもその職業に就けるとは限らないが、まずもって、それを目標に進めばよいのではないか。

また、希望どおりの職業に就いたとしても、仕事には辛さ苦しさもある。それを超えて、仕事を通じて社会の役に立ち、自分の能力を発揮することで喜びを得るためには、著者のいうようにはじめに「好き」がなくてはならない。

突然、妻からの携帯が鳴った。もう帰りの時刻だ。出口も間違えそうになる。


      のびのび2004.6月号