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成年後見制度とは


判断能力の衰えの程度に応じ、財産管理等の面で支援する制度を成年後見制度といいます。          

私たちは社会生活を送る中で、銀行へ行ってお金を引き出したり、スーパーで買い物をしたりといった日常生活で行う契約から、不動産や有価証券を売却するといった契約までさまざまな契約をします。この契約をするには判断能力が必要です。この判断能力が衰えてくると、社会生活で支障をきたします。

たとえば、認知症高齢者の方や、知的障がい者、精神障がい者の方などで

1.収入に見合わない高額な商品を次々に買ってしまう。
→訪問販売などで言葉巧みにいろんなものを買わされ、現金で払えないとローン契約をさせられてしまい、最終的には住んでる家まで手放さなければならなくなることもあります。
2.必要のないものを山ほど買ってしまう。                           
→家に火災報知器が何十台と取り付けられている。
→昨日買った豆腐を食べないまま今日、明日と豆腐を買い続け、いつのまにか冷蔵庫が豆腐であふれている。

3.自分の身内のことすらわからなくなる。何を聞いても返答がない。

1のような方の場合、補助の申立をして、3万円以上の商品の売買契約については補助人の同意を要する旨の審判をもらえば、本人がローン契約をしても補助人がその契約を取り消すことができます。
2→3のような方の場合、保佐または後見の申立をして、保佐人または後見人が本人に代わって施設入所契約をしたり、契約を取り消したりすることになります。

成年後見制度は、本人の判断できる能力を活用しつつ、その程度に応じて支援する形が変わる制度なのです。

また、判断能力があるうちに、信頼のできる人(任意後見人予定者)と契約をして、自分の判断能力が衰えてきたときはこのようにしてほしいという内容を予め決めておく任意後見制度というのがあります。

詳しくは、こちらもご覧下さい。

実際の後見人の仕事

あくまで一般的な仕事を挙げておりますが、これ以外にも仕事はたくさんあります。          

家庭裁判所で事件記録を閲覧した後、本人・関係者の方々と面談
 ご親族の方が後見人の場合は必要ありませんが、司法書士などの第三者が後見人等となる場合、どのような経緯で申立がなされたのかを確認した後、ご親戚や担当医師、ケアマネージャー等からお話をお伺いし、今後の問題点と、どのような業務が必要かを組み立てて行きます。

本人の通帳、年金証書、実印等のお預かり、財産目録の作成
 後見人の職務中、財産管理は大切な仕事です。そこでまず、本人の財産を把握し、通帳等もお預かりし、現在本人にどれだけの資産(預金・不動産など)負債(借金)があり、毎月どれだけの支出が見込まれるかをまとめて、後見人に選任後1ヶ月以内に、家庭裁判所に財産目録を提出する必要があります。
 
金融機関、役所等に成年後見届の提出
 後見人選任後、金融機関に対しては○○(本人の名前)後見人○○(後見人の名前)という名義で入出金を行うため、成年後見届を提出しなければなりません。このとき、後見人個人の印鑑証明書、後見人であることを証明する登記事項証明書等が必要となります。
 また役所でも健康保険、介護保険、固定資産税など各担当窓口に成年後見人としての届けが必要となります。

本人の身上に関する契約
 居宅介護サービス契約、施設入所契約、診療契約等その時の状況に応じて契約をする必要があります。
また、本人が施設に入所した場合、必要に応じ家庭裁判所の許可を得た上で、居住用不動産の売却や賃貸契約の解除も本人に代わって行います。

債務の支払い、契約の取り消し、訴訟行為など
 後見申立前に、本人がクレジット契約等で多額の債務を負っている場合などは債権者と交渉し、場合によっては本人に代わり訴訟なども起こします。

家庭裁判所への報告
 不動産の処分など重要な法律行為を行った場合等の前後に裁判所と事前協議をしたり、事後の報告をしたりします。特に何もない場合でも1年に1回程度は家庭裁判所に報告書を提出しなければなりません。


後見人・保佐人の報酬について

 家庭裁判所で後見人等が選任されると、後見人等はその業務を開始します。そして、後見人等が行った業務に対して家庭裁判所に対し報告書を提出すると共に、報酬付与の申立を付与すると、家庭裁判所はその業務内容と本人の財産を勘案し、ご本人の生活を害しない程度で一定の報酬額を付与します。そして後見人等は本人の預貯金から、家庭裁判所が決定した金額の報酬を引き出すことになります。
 ですから、本人の財産が多ければ、比較的事務量が増え報酬額は高く、財産が少なければ事務量が少なく報酬は低くなる傾向にあります。しかし、財産が少ないからといって後見人等がいいかげんな業務をすることは許されませんし、報酬付与の申立をしなければ財産がいくらあっても後見人等は本人から勝手に報酬を請求することはできません。


任意後見制度について

 任意後見制度とは、本人が元気なうちに信頼できる人(任意後見人予定者)と任意後見契約を締結します。この任意後見契約は公証役場において、書面でしなければなりません。
任意後見契約書には、本人の判断能力が衰えたときに、任意後見人にどのような事務を行ってもらいたいか、あるいはそれに対する報酬はいくらにするかなどを記載します。契約が締結されると、公証人は、契約内容を法務局に申請し、法務局はその内容を登記します。
本人の判断能力が衰えてくると、任意後見人等は家庭裁判所に対し、任意後見監督人選任申立てを行います。そして、任意後見監督人が選任されると、任意後見人は、任意後見契約に基づいた事務を行うことになります。

見守り契約及び財産管理等委任契約・死後事務委任契約

 任意後見人は、本人の判断能力が衰えた後に家庭裁判所への申立によりその業務が開始するのですが、それまでの間、本人の生活状況等を見守らなければ、判断能力が衰えてきたことを判断できません。このため任意後見契約と共に月一回程度本人のもとに訪問(または電話連絡)をし、生活状況等を見守らせていただく契約(見守り契約といいます)を締結することもあります。
また、任意後見人は、本人が亡くなると後見契約は終了してしまうのですが、死後の葬式、身内への連絡、菩提寺への納骨等についても予め契約をさせていただくことにより、死後の事務についても行うことができます。頼れる身寄りのない方は、このような契約を利用されることもあります。


法定後見制度と任意後見制度の違い

法定後見制度は、判断能力が衰えてから、本人・四親等内の親族等の申立により家庭裁判所が後見人等を選任するため、誰が後見人になるかは最終的に裁判所が決めます。それに対し、元気なうちに任意後見制度を利用すれば、本人と任意後見契約を締結した人が任意後見人となります。また、任意後見監督人選任の申立は、任意後見人予定者もすることが可能です。
身寄りのない方であれば、元気なうちに自分の将来のことについて任意後見人予定者と話ができるため、任意後見契約を締結しておかれるのがよいと思います。
しかし、任意後見人は、契約で定めたことしか本人に代わってすることができず、また、任意後見人就任後、本人がしてしまった契約について任意後見人に取消権はないため、高価な商品を買わされたとしても、任意後見人はその契約を取り消すことができない点で注意が必要です。

平木司法書士事務所では後見業務に積極的に取り組んでいます。まだまだ活用しづらい制度ではありますが、さまざまなサポートを行うことで、少しでも使いやすい制度となるよう、日々取り組んでいます。