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 −なぜ日本画で格闘技を描くのか−

 今までの日本画で格闘技を描いたものはほとんどありません。あるとしたら、伝記の中の闘いと相撲の絵くらいでしょうか。日本画というと花や、雄大な自然を描いたものをイメージされる方も多いと思います。花や自然はもちろん美しいものです。多くの画家たちが美しいと感じ描いています。それと同様に、私は格闘技を最高に美しいと感じ描いているのです。

 それでは、なぜ格闘技は美しいのか?それは闘いの中に「他者とのコミュニケーション」があるからだと思います。リングの中の2人が生み出す渦にみんながのみ込まれ、ひとつの試合の行方に対して一喜一憂し、百人、千人、万人という人たちが全部、なにか同じ心とけあって熱中する。その熱い興奮の中で、いま自分はここに存在している、という「生きている実感」があるのだと思います。今の時代は「個」の時代になっていて、それぞれがバラバラに、孤立して生きています。そのような時代だからこそ、格闘技が生み出す他者との一体感に惹かれるのでしょう。

 私はそのような「他者とのコミュニケーションとしての格闘技」を描いてゆきたいと思うのです。



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