書名 おじいちゃん日本のことを教えて
著者 中條高徳
出版社 致知出版社
初版 平成13年6月29日



この「おじいちゃん日本のことを教えて」は平成10年に発刊された「おじいちゃん戦争のことを教えて」に続くおじいちゃんと孫娘との書簡集である。おじいちゃんこと中條高徳氏は昭和2年生まれ、陸軍士官学校から旧制松本高等学校、学習院大学を卒業し、アサヒビールの副社長を勤め上げられた御仁である。片や孫娘こと馬場景子さんは父親の転勤と共に高校2年生の時にニューヨークに転校し、現在アメリカの大学に在学中の女子大生。

ことの発端は孫娘がニューヨークで通っていた高校の歴史の宿題に出された「戦争経験者に当時の話を聞き、それをレポートにまとめよ」がきっかけとなり始まった孫娘とおじいちゃんとの手紙のやりとりが前作と今回のこの本となって上梓されたという訳である。

孫娘からの「おじいちゃんが生まれたころの日本の様子はどうだったのか」「アメリカとの戦争は日本にとって正しかったと思うか」「極東軍事裁判をどう考えるか」と云った十六項目の質問状に答えるおじいちゃんの回答は「おじいちゃん戦争のことを教えて」でベストセラーになった。本書はその続編である。

おじいちゃんは孫娘からの質問状び対し自分自身の人生を見つめ、更に胸の中にある想いを次に続く世代に伝えていくという使命感、緊張感をもって真剣に回答を認め、その想いは読者の琴線に触れる言葉となって表れている。時正に、教育問題がクローズアップされ、歴史教科書問題がマスコミを賑わせる中、おじいちゃんの想いは自然と熱のこもった声となって伝わってくる。教育の原点は先人の訓えを伝えることにあるとすれば戦後、核家族化の進展と共におじいちゃん、おばあちゃんの生き様を直接身近に聞くことが本当に難しくなってしまった今に生きる我々日本人はこのおじいちゃんの孫娘に語りかける言葉に教育の原点を見出すのではないだろうか。

昨今の歴史教科書の問題にもおじいちゃんは触れ、「中国や韓国で使われている歴史教科書は実に驚くべき内容で、その特徴を一言で言えば徹底的に日本及び日本人を悪者に仕立てるということに尽き、その意図を剥き出しにした露骨さは、かえって感心してしまう。恨みとか敵意とかいう以上に日本や日本人への憎悪を煽るような教育を何故、中国は行っているのか・・・・。中国は日本の教科書や政府要人の発言をとらえて、過去の歴史認識を改めよと度々抗議してきている。そして、それは内政干渉ではないという。それなら、逆もまた真なりである。日本は中国がこのような誤った歴史教科書で教育を行っていることを看過すべきではない。」等々、憂うべき日本の教育の現状に対し警醒の言葉を吐露している。

21世紀に伝える先人の言葉として又、現今の歴史認識問題に対して考えさせられる一冊であると思う。