2002年 パ・リーグMVPを展望する   02. 8.18

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※このページに書かれている記録は全て8月16日現在のものです。

2002年8月16日、西武−大阪近鉄19回戦。
後世に語り継がれるであろうこの試合をテレビで観ていた。

TEAM
大阪近鉄バファローズ10
西武ライオンズ12

0−9からの逆転劇。同点に追いつかれた直後の勝ち越し弾。これ以上ない勝負強さで、ペナントレースの局面の試合をモノにした。今季初めてのマジックナンバー34が点灯。2位近鉄とのゲーム差は10に開いた。
どんな展開になっても気を引き締めて全力を尽くすのが伊原西武の真骨頂とはいえ、今日の試合は優勝を確信させるに充分な内容だ。もはや優勝は疑いようがない。
気を引き締めるのは選手に任せるとして、ファンは次へと思いを巡らそう。
優勝が決定的になると、ファンの関心は次の3点へと移行する。
1.優勝のしかた(優勝までのスピード、本拠地胴上げかどうか)
2.日本シリーズ(相手、先発投手、DHがないときのオーダー)
3.MVPは誰か

まだ43試合も残している段階でMVPなど本来は語れない。しかし、今だからこそ「中間発表」のような形でMVPを予想してみたい。

今年のパ・リーグでライオンズ以外の選手でMVPの可能性があるとするなら、本塁打の日本記録を大幅に更新した時のローズ選手しか考えられない。だがそのローズ選手も今年は打率が低く、MVPに推される可能性は少ないだろう。
高い確率で、申し分のない成績に加えて優勝への貢献度も考慮されるライオンズの選手がMVPに選出されるはずだ。

■ 投手
投手陣で受賞の可能性があるのは抑えの切り札、所沢の大魔神・豊田清投手しかいないだろう。開幕当初こそ故障で出遅れたが、クローザーに定着してからの安定感はここ数年のパ・リーグの抑え投手の中でもナンバーワンだ。救援失敗は6月に中村紀洋に本塁打を許した1度だけ。防御率は1.14を誇る。豊田投手個人の成績も立派だが、チームに与えている影響も計り知れない。投手陣は「豊田につなぐ」ことを目標に投げれば良いし、「豊田がいるから大丈夫」という安心感に支えられる。
今年のライオンズは8回までに1点でも相手をリードしていれば、事実上の勝ちゲームになるのである。
1点差ゲームに21勝9敗という接戦での強さも、豊田投手の存在感を表している。

先発投手陣はそれぞれが欠点を抱えていて、かなり厳しい。
開幕6連勝を飾った松坂大輔投手は、そのペースで行けばMVPの最右翼だっただろうが、度重なる故障で圏外へと去ってしまった。
チームの勝ち頭西口文也投手は、大黒柱として11勝6敗の数字は申し分ないが、今年はかつてMVPを獲った年のような絶対的な存在感は感じられない。
6月に加入した張誌家投手は7勝1敗と素晴らしい活躍をしている。このペースで勝ち続ければ、数字の上では文句なしにMVPにふさわしい記録になるだろう。しかし既に首位ロードに乗った後にチームに加わった分、優勝をもぎ取ったという印象度で劣るような気がする。
松坂投手の代役でオールスター第1戦に先発した三井浩二投手は、夏場以降中継ぎへと活躍の場を変えてしまった。三井投手の調子が悪いわけではなく、チームの投手層の厚さがそうさせているのだが、結果的にアピールの機会が奪われてしまっている。

豊田投手の前のセットアッパーとして驚異的な登板数を重ねる森慎二投手は、目立たないながらも快進撃を陰で支えている。シーズン終了後、「影のMVP」という声は挙がりそうだが、役割上、MVP獲得までは厳しいだろう。

■ 野手
野手で規定打席に達しているのは6人。
一番・松井選手、二番・小関選手、四番・カブレラ選手、五番・和田選手の4人は、パ・リーグの打率ランキングの3位から6位に固まっている。

松井稼頭央選手は三冠王より価値があるとも言われる打率3割・30本塁打・30盗塁の達成が見えてきた。12球団最高の一番打者として攻撃面で貢献している。また今年は2試合連続を含む3本のサヨナラ本塁打を放つなど、ここ一番の勝負強さも目立つ。

小関竜也選手はシーズン前の公約である打率3割を楽にクリアしそうだ。打点も残しているし、リーグ断トツの37犠打も記録している。二番打者だがチャンスメーカー、つなぎ役、ポイントゲッターと一、二、三番の役を全てこなしている。

A・カブレラ選手はチームの三冠王となる可能性がある。既に本塁打と打点は独走状態。今年は打率も高水準だ。何といっても64四球が大きい。出塁率も.442と小笠原選手を離してトップに立っている。ボール球に手を出さず、相手が勝負してこない時は歩く。相手が勝負をしてきたら容赦なくスタンドに叩き込む。昨年の単なる大物スラッガーから、今年は優勝するチームの四番打者へと変貌した。

カブレラ選手が四球を選べるようになったのは、後を打つ所沢のジダンこと和田一浩選手の存在が大きい。途中で故障による離脱があったが、それを忘れさせるほどの活躍で打線の軸になっている。特に春先の、まだ首位争いが熾烈だった時の打撃の印象が強烈だった。しかし得点圏打率などの数字を見ると、前3者よりは若干ポイントは低くなりそうだ。

今年、恐怖の九番打者に定着したのが高木浩之選手。特筆すべきは4割を雄に超える得点圏打率。下位打線が出塁し、九番の高木選手が返すという場面が今年何度あっただろうか。しかも高木選手が松井選手の前で出塁することで、得点力はさらにアップする。切れ目のない西武打線の象徴が高木浩之選手である。

もう1人、規定打席に達しているレギュラーは、今年40歳の伊東勤選手。西武の好調投手陣は彼によって支えられている。まずは守りの面で欠かせない存在だ。また今年から兼任コーチとしてスタッフミーティングに参加するなど、首脳陣としての激務をこなしながら結果を残していることも考慮したい。しかも、一打者としても今年は一流の成績を残しているのだ。打点46はカブレラ選手、松井選手、和田選手に次いでチーム4位の数字だ。八番打者でありながらのこの打点は、打撃面でも勝負強いことを裏付けている。

■ 展望
MVPをまだ獲ったことのない人に獲らせたい、という思いも含めて希望を書くと、こうなる。
◎ 伊 東
○ 豊 田
▲ 小 関

伊東選手に関してはかなり希望の度合いが強い。これだけの選手、やはり一度はMVPに輝いてほしい。実際に、例年ならMVPに選出されてもおかしくない活躍を見せている。しかし今年はチーム内に派手な活躍をしている選手が何人もいる。ことMVPレースに限っては、相手に恵まれていないというところだろう。
豊田投手は本当に、今季の貢献度ナンバーワンだと思っている。小関選手は、局面に応じて複数の役をこなしながら数字を残している万能さを買いたい。

が、純粋な予想をすればこれで堅い。
◎ カブレラ
○ 松 井
▲ 豊 田

やはりカブレラ、松井両選手が残している数字は文句のつけようがない。どちらが打線の柱であるかといえば、カブレラ選手だ。彼が故障でスタメンを外れた時に、その存在感に気付かされた。松井選手が欠けてもあれほどの喪失感はなかっただろう。カブレラ選手は2年目にして西武打線の主役中の主役になってしまった。

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