渋川市 「カルビ伝説」   02. 7. 2

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肉を追加注文すると、注文を受けた女性店員が「お肉のオーダーいただきました!」と声をあげる。続けて、店内にいる十数名の店員が一斉に「ありがとうございます!」
群馬県渋川市の焼肉店「カルビ伝説」の店員さんは、とにかく元気がいい。社長の根木寛正さんが考える「理想の店」が、ここで実現されている。

今年、私が行った就職活動の過程で、多くの外食産業の経営者さん達と会話をする機会に恵まれた。その中でも根木さんは、同じ群馬出身ということもあり、何度もお話を聞かせていただいた。

外食産業の経営者にお話をうかがうと、皆さんに共通の思いがあることに気付く。
□ 「外食産業は最先端の産業である」。常に消費者(お客さん)と接し続けている。「食」という本能に関わる部分においてであるから、ごまかしは効かない。
さらに、他のサービス業と異なる点は、お客さんの反応がその場で起こること。料理が美味ければ「美味い」、まずければ「まずい」。客の反応は正直であり、それは常にリアルタイムで起こる。
大量生産の時代が終わり、現在は最先端でお客さんと接している人がマーケティング力を持ち、主導権を握る時代。
□ 衣食住の中でも人は食べ物に関しては毎日求めなければならない。そして求めるものは日々変化する。食べ物を提供する側としては、工夫のしがいがある。
□ 人は同じ物を食べ続けられないから、外食産業に寡占はない。だからチャンスが多い。地域に密着し、地域性のある独自の料理を提供することができる。
□ 仕事でやっているのに、お客さんから「ごちそうさま」「ありがとう」と感謝される。こんな産業、あまりない。

そして、根木さん独自の外食産業観。
根木さんは演劇活動に夢中になっていたときがあった。演劇は、音楽や映画と違い、作品を残すものではなく、「瞬間」を大事にする芸術である。創ったものがその場で消えていく外食という仕事に、根木さんは演劇との共通点を見出した。演劇と外食、目指すものは実は同じである。「お客様に楽しんでほしい」、「何かを感じてほしい」。
「自分の考え方を表現できる店を創りたい」と考え、根木さんは外食の仕事に取り組み始めた。それを具現化した店が「カルビ伝説」である。「伝説」とは、後に形として残っているものではなく、心の中に直接深く入り込んで残るもの。「消えてなくなるものを創り続ける」ことが根木さんのテーマだ。
理想は、「明るくて楽しくて、働く人たちが生き生きと魅力的に仕事をしている店であり、そんな人間の魅力が、店の魅力にできる店」。
冒頭に書いたように、「カルビ伝説」の店員さんたちは、元気な声を張り上げていた。マニュアル化された、おざなりな大声ではない。仕事が楽しくなければあの声は出ない。生き生きと魅力的に。私にはそう見えた。

最後に、「カルビ伝説」の隠れた逸品を紹介したい。
メニューの最後のページにある「生りんごジュース」(200円)だ。
株式会社伝説の果樹園では、さまざまな果物を作っているそうだ。その中でも一番の自慢はりんご。りんごは日光を浴びるほど甘くなるので、渋川のりんごは青森産や長野産よりも甘くなる。この果樹園のりんごは紙をかぶせず育てるので、形は多少悪くても美味しいりんごが作れるそうだ。
根木さんは、自社の店でゆくゆくはこのりんごのような自家製のこだわりの食材を使っていき、他社との差別化を図っていきたいと語ってくださった。

株式会社伝説ホームページ
http://www.den-s.com

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