民主党の生き方   02. 8.18

          HOME > 政治TOP > 政治コラム目次 >

          HOME > 横断コラム目次 >


8月17日土曜日、まだ半分眠ったままテレビから流れてくる音声を聞いていた。何かの討論番組で、テーマは民主党の代表選だったのではないかと思う。
何時ごろ、どの局のどの番組で、誰が発言したのか全く覚えていない(無責任な引用ですみません)。だが半分眠りながらもこの話を聞いて、胸のつかえが取れたような、非常にスッキリとした気分になっていった。

発言は、市民政党・民主党のあり方についてだった。内容を思い出し、私なりの解釈を加えて書くと、次のようなものだったと思う。


民主党は1996年に日本新党、さきがけの流れを汲んで誕生した。
当時は、小さいながらも、市民による草の根からの政治の実現という理念を掲げ、挑戦していた。
「市民政治」とは究極のボトムアップの政治であり、市民レベルの議論のプロセスが最重要になる。極端に言えば、市民による議論が活性化されていれば、その中の誰が代表者(議員)になろうと同じである。そのような仕組みを内部に持つ政党が「市民政党」である。
結成当時の民主党はまさに、市民政党を目指していた。それはまだ挑戦という段階であったが、小さい政党なりに、何年も時間をかけながら、それまでの日本の政治にはなかった仕組みを作ろうという理念があった。
民主党は日本で市民政党、市民政治のモデルを作るという実験・挑戦をするという使命も負っていた。

ところが、1998年、新進党が解党する。かつて新進党に所属していた政治家が民主党に加入した。現在の民主党の原型はここで作られた。
新進党が消滅し、そこにいた政治家が吸収され、民主党は野党第一党になった。もう「小さいながらもキラリと光る政党に」とは言っていられなくなった。自民党を倒し、政権を奪取する使命を負ってしまったからだ。
政権を担える政党でなくてはならないため、ある程度の現実路線が必要になる。いまの民主党は結党当時の市民政治の理念が揺らいでしまっている。
民主党は結党当時の原点に立ち返ってほしい。


さて、結党当時の民主党(「旧民主党」と呼ばれたりする)と、新進党組み合流後の現在の民主党の、党内ムードの変化を指摘する声を聞くことがしばしばある。(当然ながらそういう声の主は民主党に何らかの関わりを持つ人であり、旧民主党の時代を知る人である)。
「昔の民主党は草の根からの政治という理念がしっかり通っていた。今の民主党は少々風通しが悪いところがある」という批判を私が聞いたのは、民主党の支持団体の方からだった。
民主党内部の方からも聞くことがあった。「以前の民主党は、地方の声も何でも吸い上げようとして、実際にそういう場を設けたりもし、とても良いムードだった。今は政策決定にしろ党運営にしろ、一部の人が決めてしまう「シャンシャン総会」が多い」と。

私はそのような話を聞いても、それがなぜ起こったのか深く考えたことはなかった。
無理に原因を求めようとすれば次のような答えを出してしまったのではないだろうか(多くの一般の人たちもこう考えるのではないだろうか)。
新進党組み合流後の民主党は、いろいろな旧政党出身者で構成されるようになった。各労働組合との結びつきも強くなった。党内に見えないしがらみが絡まるようになって、かつての風通しの良さが失われるようになってしまった。

ところが上記の番組で発せられた声は、原因はそれぞれの民主党に課せられた使命の差であるという考えだった。
新進党という自民党を倒しうる存在があった頃の旧民主党は、理想を追求し、ボトムアップのモデルを作るという使命があった。
野党第一党になってからの民主党は、ある程度理想を捨て、現実的に自民党を倒し、政権を担当するという使命を背負った。

この放送を聞き、何度か聞かされてきた民主党内の問題にはこういう背景があったのかと、スッキリした気分になった。
もしかしたらこのような考えは常識と化しているのかもしれないが、私にとっては初めて聞いた考えであり、目から鱗が落ちる思いだったのだ。

同じ政党でも色んな考えの人がいるのは当然だし、そこから議論が生まれる。
しかし民主党は、党内の「バラバラ感」というものを半ば先入観があるのではないかと思うくらいに批判されている政党。
党の中(議員だけでなく党スタッフや支持者も含む)に、旧民主党的な市民政治を追求したい人と、現実的に政権奪取が最優先だと考える人がいるという事実も、「バラバラ感」に一役買っているのかもしれない(実際は自民党の方が遥かにまとまりないのに)。

いまの日本で「市民政党」を追求することと、政権奪取を目指すことを両立するのは難しいと思う。
どちらに重きを置くかという問題で、上記の番組の発言者は「民主党は結党当時の原点に立ち返ってほしい」と言っていた。私はそうは思わない。
他に自民党を引きずり下ろせる勢力がいればそれでも良いが、民主党がやるしかないのである。
いまやるべきことは、政権を取り、自民党政治を終わらせ、利権と配分の政治構造を変え、財源を地方に移すこと。構造改革である。
政権交代をし、地方分権が行われてこそ、ボトムアップの市民政治、市民政党が実現しうる政治風土が育つ。まずは政権交代だ。

秋の代表選では、そのために本気で党内をまとめようとしているのは誰かに注目したい。
旧民主党的なムードも、いまの民主党的なムードも、程度問題であり、自民党の政官財が生み出す政治に対するアンチテーゼとして一致していることは間違いない。
その比較からすれば、民主党は間違いなく一枚岩で市民政党を目指しているともいえる。
政権を取るという大前提のもとに、細部の意見を集約し、党に一本の方針を通し、それを外に発信できる代表を誕生させることはできるだろうか。

 ▼戻るE−mailはこちら 
 HOME > 政治TOP > 政治コラム目次 >
 HOME > 横断コラム目次 >


■このサイトには他人の発言や文章、または報道機関の報道を受けて私の意見を書いているページがあります。引用元の発信者(個人・機関)が意図する真意に対し短絡的な誤解、曲解がないよう十分注意をしておりますが、絶対ではありません。私が引用元の発信者の意図とは異なる解釈で発信を受け止めてこの文章を書く可能性もあります。このサイトだけを参考にして引用元の発信者の是非を判断することのないようお願いいたします。発信者の意見を受けて書いた私の意見に対する批判は歓迎です。
■勉強中の身ゆえ、私自身の考えも日に日に変わっています。このサイトの各ページには、ページ作成・更新の日付がつけてあります。正確には「現在の私の意見」ではなく、「yy年mm月dd日時点の私の意見」だと捉えていただければ幸いです。
Copyright (C) 2001-2002 Masuda Hironori ALL rights reserved.