くらしと労働のトピックス

労働組合が発揮を<NEW>
日系人や外国人実習生問題
 丹野清人首都大学東京准教授

10月5日に全国青年大集会<NEW>
「使い捨て労働」の転換訴え

「労働者を道具扱いするな」<NEW>
 森永卓郎獨協大学教授
  新自由主義政策を批判

「名ばかり管理職」に尊厳を<NEW>
 コンビに店長ら都内で集会
    長時間労働の規制訴え

店長からの訴え(「名ばかり管理職」)<NEW>

国と建材メーカーの責任問う<NEW>
  アスベスト被害 建設労働者と遺族が集団提訴

大阪地裁、看護師の過労死認定
  基準下回る残業時間で「門戸を広げる判決」

ほとんどが長時間労働
        病院の勤務医

■海外労働短信

■安全問題でスト(イタリア)<NEW>

■シェルの下請けでスト(英国)<NEW>

■労働組合が発揮を<NEW>
日系人や外国人実習生問題
 丹野清人首都大学東京准教授

 日本のモノつせくりを底辺で支えながら低賃金や人権侵害などの問題が指摘される日系人労働者と外国人研修・実習生。 この問題に詳しい丹野清人首都大学准教授が6月5日、都内で開かれた基幹労連のセミナーで講演し、曲がり角にある外国人労働の問題点を指摘するとともに、労組の役割わ強調した。日本は海外からの単純労働の受け入れを認めていないが、実際は日系人労働者や外国人研修・技能実習生などが安価な労働力として使われているのが実情だ。

事業主のためだけの制度
 時給300円ー。研修生(期限1年)の場合、違法ではない。国際研修協力機構(JITCO)の指針では、賃金ゼロでも現物支給でも構わない。労働法が適用されるのは技能実習生(同2年)からとなっているためだ。
 丹野氏は「地域最賃額を貰っている人はほとんどいない。(少しでも多く稼ぐという)目的が明確で、残業もいとわずよく働く。構造不況業種の事業主にとってこれほど都合のいい存在はない」と指摘する。同制度は途上国への技能移転という国際貢献を目的にしたものだが、「たとえば繊維産業の場合、疑問に思うものが多々ある。立体縫製などの技能を持つ研修生がほとんどで、来日して新たに身に着ける技能などない。『研修に名を借りた労働力以外の何者でもない」。
 こうした現状について、「事業主が生き残るためだけの制度と思わざるを得ないケースもある。悪質なブローカーも平気で使う。問題が解消されない限り研修生の悲惨な状況はなくならない」と述べた。

貧乏予備軍の日系人
 製造現場で請負会社の社員として働く日系人の平均的な時給は1,200円と高めだが、ボーナスも社会保険加入も昇給もない。フルタイムで働いても年収は200万円前後。家族を養うにはとても足りない。
 日系3世の定住在留資格が認められてから18年。丹野准教授は「ワーキングプア(働く貧困層)の働き方は日系人の中で確立された」とみる。日本人労働者の労働条件を押し下げてきたと指摘だ。
 さらに深刻なのは、次世代への貧困の連鎖。日系人の子どもの高校進学率は5割りを切るといわれる。親の生活水準に達しない人も多く、非行や犯罪なども懸念される。「日系人労働者が自ら声をあげることは極めてむずかしい。長期で働く人に正社員採用の道を開くことなどを、職場の労働組合が団体交渉の議題に設定してほしい。将来の希望が必要だ」と述べた。

 

■10月5日に全国青年大集会<NEW>
「使い捨て労働」の転換訴え

 全労連青年部や首都圏青年ユニオン、日本民主青年同盟などでつくる実行委員会は「まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい!」と訴える全国青年大集会を10月5日、東京都新宿区の明治公園で開く。 雇用形態の多様化によって職場で孤立しがちな若者たちの連帯を広げ、「使い捨て労働」を進める政策の転換を訴える。

 若者の雇用の改善を訴える全国集会は03年以来、5回目。昨年は3,300人が集まった。今回は「質量ともに昨年を上回る取り組み」(河添誠首都圏青年ユニオン書記長)を呼びかけ5,000人の参加をめざす。
  サブスローガンには「日雇い派遣をなくせ」などを検討中。不安定雇用を生み出す日雇い・登録型派遣の問題を「『国民的課題』としてたたかうことが大事」と訴える。

 実行委員会では日雇い派遣で働いた経験のある人に実情を聞く調査を8月末まで全国で行い、必要に応じて労働局への告発を進めるほか、秋には集約結果を発表し社会的にアピールする。派遣法改正についての学習会も検討している。
 6月13日に都内で開いたプレ企画で、民主青年同盟の田中悠委員長は「日雇い派遣で自分も働いてみた。そこで知り合った青年は所持金が400円しかなく『何のために生きているのか』と話していた。小林多喜二の小説『蟹工船』では連帯して立ち上がるところに希望があることを示している。青年の生きづらさをリアルにとらえ、懐の深い運動を進めたい」。

 河添書記長は「派遣労働という将来に対する絶望と社会への不信を募らせる働き方を根本から正す必要がある」と述べ、使い捨て労働に苦しむ若者とのつながりを広げる運動が急務であると強調した。

 

■「労働者を道具扱いするな」<NEW>
 森永卓郎獨協大学教授
  新自由主義政策を批判

 経済アナリストで獨協大学教授の森永卓郎さんは連合が開いた「社会保障シンポジュウム」(6月9日、東京)の基調提起として、「働く者を道具(もの)扱いするのが新自由主義の特徴だ」と指摘した。小泉政権で本格化した新自由主義の政策は米英とも共通する内容だと分析したうえで、こうした政策の早期転換を訴えた。 

  森永教授は新自由主義の特徴について、@規制緩和と民営化で弱肉強食の社会をつくるA金持ち・大企業に減税し庶民にそのつけをまわすB大幅に社会保障をカットするC社会に選別教育を持ち込むD庶民・若者を無能化し「できの悪い子」を戦場に送るーの五点をあげながら批判した。
  「要するに、経済を支えている強い人だけが生き残ればいいという考え方。労働者は労働力なのであって人間ではない。労働力としてこき使い、壊れたら捨てて新しい部品を調達すればいいだけ。社会保障を削るのも同じで、体調を壊したり年をとったりした人は死ねばいいと思っている。壊れた道具にカネを使うのではなく、ポンポン捨てるということだ」 森永教授は日本の社会保障政策について、「正社員を含めた国民全体を貧困に落とす方向にへ動いている。75歳を超えたら医者にかかれなくするという基本設計だ。それを勝ち組だけが集まって議論している。75歳以上を切り離す後期高齢者医療制度は、保険制度のあり方からしても大きな間違い」と指摘した。

 

■「名ばかり管理職」に尊厳を<NEW>
 コンビに店長ら都内で集会
    長時間労働の規制訴え

 「なくそう!長時間労働 『名ばかり店長』に尊厳を」と訴える集会が5月19日、東京都内で開かれた。コンビにストアやァーストフード 店などで働く店長らが、残業代も支払われない中で心身をむしばむ深刻な過重労働を強いられている実情を報告し、実効ある規制を求めた。東京管理職ユニオン(連合加盟)、首都圏ユニオン(全労連)、全国一般東京東部労組(全労協)による実行委員会が主催した。会場は200人の参加者であふれ、多くのマスコミが取材した。

 実行委員会を代表してあいさつした安部誠東京管理職ユニオン副委員長は、「(マクドナルド直営店の店長は『管理監督者』ではないとして残業代支払いを命じた)東京地裁判決は当然の判断。これが画期的といわれるところに日本の労働者が置かれている現状が表れている」とし、労働時間規制逃れを許さない運動を呼びかけた。
 マクドナルドのほか、紳士服大手「コナカ」、牛丼チェーン「すき家」、コンビニエンスストアの「SHOP99」「セブンイレブン」の現役・元店長らが長時間労働の実情を報告した。

 日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎事務局次長は「長時間労働をなくす立法闘争」が必要と強調。「管理監督者の要件を法律に明記させ、使用者には長時間労働を抑制する義務を課し、月45時間など残業の上限を設けるべき」と述べた。

■店長からの訴え(「名ばかり管理職」)<NEW>

▼過労死なくせのうねりを。 マクドナルド店長・高野広志さん

 成果主義制度が導入され、結果だけが評価されるようになった。その後、過労がたたり脳梗塞(こうそく)を患った。
ユニオン に入り長時間労働の解消を訴えたが、会社からは「君の能力の問題」「嫌ならやめればいい」と言われた。会社が労働者を駒としてしか扱わないならば、私たちも個人の権利を主張しなければならないと考え、裁判を起こすことを決意した。この行動を一発の打ち上げ花火に終わらせてはならない。一人一人の声を集めて『過労死なくせ』の大きなうねりをつくろう。

 会社は業務評価次第で店長を降格させる制度を導入した。評価基準は明らかではない。裁判で勝っても、不利益な扱いを許せばだれもたたかわなくなる。会社に残り職場環境をよくすることが私の使命だと思う。
 

▼人間的な生活をしたい。コナカ店長・高橋勇さん

 私は「コナカ」 という会社が好きだから裁判をあえて起こした。経営側は「信用に傷がつく」などと圧力をかけてくるが、全国約三百店舗の店長のためにも人間的な生活を送ることができる会社にしたい。
 労組を通じて交渉し、昨年10月、店長は「管理監督者」ではないと認めさせたが、会社は過去2年分の未払い残業代について支払いを拒否続け、同時にそれまで約6万円あった手当てを削った。

 いままできつい労働を強いられながら、今度は会社の方針が変ったからと給与を下げられる。どちらにしても店長は損な役回りだ。それでも従業員を守らなければならない、と必死になって働いている。こうした(多店舗展開する)事業は大なり小なり共通する点が多いと思う。同じような境遇の店長の地位を向上させたい。

▼行動起こせば変る。すき家元店長(在職)・福岡淳子さん

 「すき家」では1時間に5000円の売り上げがないと、アルバイトを二人使えない。来客数を予想するのは不可能で、アルバイトをシフトに入れても店が暇だった場合、店長(契約社員)はその分ただ働きになる。そのため、月400時間近く働いても 収入が9〜10万円ということもあった。
 多くの店長が辞めていった。大量に辞めそうになると会社は「もう少し働けば正社員になれる」とだましながら、店長を使い捨てにしてきた。東証一部に上場しているが、従業員の処遇はまともではない。
 私たちは当たり前のことを請求しているだけ、人間として当たり前に生きていけるように、何かできることがあるのではと考えユニオンに加入した。パートなどで働くみなさん、絶対に泣き寝入りしないでください。何か行動を起こせば必ず変ります。

▼まるで人の自転車操業。SHOP99元店長(休職中)・清水文美さん

 高校卒8年間フリーターとしていろいろなアルバイトをした。20代後半、将来不安が募りハローワークで「正社員」の募集を見つけ、就職した。入社4か月後、何も分らない状態で店舗を任され、1年で6回も配転させられた。
 本部からは人件費を「売り上げの9.8%」に抑えるよう指示される。達成するには、残業代のでない店長が毎日12時間は働かなければならない。毎月、店長が辞めていく。まるで「 人の自転車操業」だ。月の労働が300時間を超えて眠れない日々が続いた。2か月間で1日しか休めず、健康診断で「うつ状態」と指摘されたが、病院にも通えなかった。
 本部は「店長のマネジメントが悪い」と責任を押しつけるばかり。人を人と扱わず、利益を追求するだけの姿勢は許せない。

▼先輩の死を機に組合結成。セブンイレブン(フランチャイズ店)店長・赤羽勇介さん

 組合を結成したのは4年前。きっかけは先輩店長の在職死だった。「入院すればくびになる」とためらう先輩を病院に連れていったところ、脳梗塞(こうそく)と診断された。緊急入院したが数ヶ月後に亡くなった。その知らせを聞いた時、あまりに悔しくて店で泣いた。
 子どもが起きる前に出勤し、就眠後に帰宅する毎日。出退勤時間の自由もなくアルバイトの時給を決めることもできない私たちは、「管理者」であっても「管理監督者」ではない。
 組合結成後きパートさんの年休を認めさせた。だが、会社はいまだに店長が「管理監督者」であると主張し続けているため、昨秋、提訴した。私たちのようなケースは氷山の一角だと思う。コンプライス(法令順守)を進める運動が必要だ。

■国と建材メーカーの責任問う
  アスベスト被害 建設労働者と遺族が集団提訴

 建設現場での作業中にアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫などの深刻な呼吸器疾患にかかったとして、東京、埼玉、千葉の建設労働者とその遺族ら178人が5月16日、国と建材メーカー46社を相手取り東京地裁に起こした。
 石綿被害の賠償を求めた建設労働者による集団訴訟は初めて。原告側の小野寺利孝弁護士は「国や企業の法的責任を明らかにする裁判。被害を根絶するため、国の政策を転換させる壮大な闘いを原告は決意した」と意義を語っている。

 原告らは東京土建など首都圏にある建設労組の組合員。半数が闘病中で、来月提訴予定の神奈川もあわせると200人を超える予定だ。原告団は、石綿による健康被害は遅くとも1960年代には疫学的に明らかになっていたと指摘。「石綿被害をもたらしている要因は、何よりも建材メーカーと一体となった国の石綿推進政策にある。石綿建材に対する国の規制の大幅な遅れと、建材メーカーの対策の大幅な遅れであり、両者の責任は明白」としている。

 被災者救済を目的に06年に成立した石綿新法についても「国や企業の責任を不問に付し、指定疾病を中皮腫やがんに限定するとともにね救済給付金も極めて低額に抑えられている」と批判、被害根絶のためにも「国と建材メーカーの法的責任を明確にすることは不可欠」と強調している。
 建物の解体などで、石綿の飛散量は今後増加することが見込まれる。小野寺弁護士は「『問題は解決済み』との認識を一変させる取り組み」と述べている。

 

■大阪地裁、看護師の過労死認定
  基準下回る残業時間で「門戸を広げる判決」

 国立循環器病センター(大阪府吹田市)在職中に脳血管疾患で亡くなった看護師の村上優子さん(当時25歳)の遺族が、公務災害の認定を求めていた行政訴訟で、大阪地裁は1月16日、国に対し遺族補償一時金など1260万円の支払いを命じた。裁判所が認定した村上さんの平均残業時間は過労死認定基準を下回ったが、判決は昼夜交代勤務の勤務間隔の密度の高さを指摘するなど、業務の過重性を認定し、公務災害とした。

 村上さんは勤続5年目の2001年2月、勤務終了後、自宅でくも膜下出血を発症、翌月亡くなった。両親が公務災害を申請したが、厚生労働省は04年、「公務外」として請求を退けた。

 大阪地裁が認定した、村上さんの発症前6カ月間の残業時間の平均は約52時間。判決は「量的過重性のみをもって発症の公務起因性を認めることは困難」としつつ、@昼夜交代の勤務間隔が5時間しかなく、十分な睡眠をとれないシフトが毎月5回あった。Aその場合の勤務時間は前後20時間近い。B交代勤務では心血管疾患のリスクが高まるーなどの業務の質的過重性をあわせて検討。

 「人事院指針の『通常業務に比較して特に質的もしくは量的に過重な業務』に匹敵するということができ、疲労を蓄積させていったことが認められる」とし、発症の公務起因性を認めた。
 過労死とみられるケースでも、発症前2〜6カ月の残業時間の平均が80時間を満たさない場合、公務災害と認定されないことが多い。

 原告側弁護代理人の松丸弁護士は判決につい、「認定基準の門戸を一歩広げる判断だ。月80時間の残業が認められない中、人事院指針に添いながらも、昼夜交代勤務シフト間隔の密度の高さを指摘し、業務の質的加重性わ認めた。看護師の過酷な勤務を解決する判決ともいえる」と述べている。

 

■ほとんどが長時間労働
        病院の勤務医

 病院で働くほとんどの勤務医が法定の週40時間を大幅に超えて勤務し、7割以上の医師が医療過誤の原因として「慢性的な疲労」をあげていることが、社団法人日本病院会がこのほど発表した「勤務医に関する意識調査」でわかった。

 調査は昨年7月、全国2,535病院を対象に実施、勤務医5,635人が答えた。夜勤当直を除く1週間の勤務時間は、48〜56時間未満が26.1%で最も多く、64時間以上23.2%、56〜64時間未満20.8%。40時間未満は4.1%にとどまった。医療過誤との関係については、71.3%が「過剰な業務のために慢性的に疲労している」と答えた。

 

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■海外労働短信

■安全問題でスト(イタリア)<NEW>

 国際勤続労連(IMF)本部によると、イタリアの三つの金属労組が6月17日、1時間のストライキを実施した。職場の健康と安全に関する新しい法律が施行されるに当たり、経営者団体の無責任な姿勢に抗議するのが目的。
 イタリアでは昨年12月に7人が労働災害で死亡。今年に入ってからも死亡災害が連続して発生していた。組合側は新しい法律の施行にあたって、経営者団体が下請け企業にかかわる安全問題について使用者責任を認めようとしていないと指摘。新法を骨抜きにさせてはならないと訴えている。

 

■シェルの下請けでスト(英国)<NEW>

 タンクローリー運転手らの賃金交渉が決裂したため、6月13日から4日間のストライキに突入した。運転手らは国際運輸労連(ITF)加盟の産別「ユナイト」の組合員。以前は石油会社大手シェルの直接雇用だったが、現在は輸送業務をアウトソーシングした二つの「独立系」下請け会社に雇用されている。
 組合員らはその下請け会社と賃金交渉を続けていたが12日の夜に交渉は決裂。組合は「シェル本体が紛争解決に乗り出すべきだ」と主張している。

 

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