介護保険の導入により、それまでの家族が支える体制から社会全体で高齢者を支えるようになりました。その結果、超高齢化と介護の長期化という状況になりつつあります。健康のバロメーターとして「食欲」や、「生きる力」を育む「食」び重要性が認識されてきています。食事の内容の改善や個々人にあった対応、すなわちオーダーメードの対応が求められる昨今になっています。
高齢者の方は、ちょっとしてきっかけで、低栄養状態となりやすく、その結果、もともとの病気が悪化したり、免疫力の低下が起きやすくなります。病気の悪化と免疫力低下の悪循環をくりかえすことにより、長期入院や長期入所となることがしばしば見られることとなります。
高齢になること、加齢による身体機能の変化には、どのようなものがあるかを考えてみたいと思います。食欲が低下する、かむ力が衰える、唾液分泌が減少する、飲み込む力が減弱する、胃液や十二指腸液などの消化液の分泌が減少する、好みが変化する等々の変化が認められます。
高齢になりますと、食欲がかなり低下してまいります。若い頃ほど食べられなくなります。唾液の分泌が低下し、高齢になると唾液の分泌は若い頃の約半分になると言われています。味覚が低下し、特に塩味と甘味の味覚が低下します。その結果、知らず知らずのうちに濃い味つけを好むようになってきます。口渇が鈍くなり、脱水になりやすいということも起きます。歯が弱くなる、歯の老化も生じ、特に何人もの出産を体験した女性では、歯が弱くなることは顕著にみられ、その結果、入れ歯となり、固いものが食べづらくなることも起きます。かむ力は低下(1/3〜1/4になります)し、飲み込む力が低下し、むせやすくなります。胃の粘膜が萎縮し、胃液分泌低下が生じ、膵液分泌の低下も見られます。その結果、脂肪の消化・吸収力低下がみられ、下痢しやすくなります。小腸、大腸の運動能力の低下から消化機能低下や、便秘という状況になりやすくなります。
高齢者の方の、低栄養予防のチェックポイントを考えてみたいと思います。
(1)体重の減少がないか (2)食べる米飯の減少がないか (3)食べるおかずの減少がないか (4)食べる気力の低下がないか (5)動作が不自由になってきていないか 以上のポイントでチェックしていただきたいと思います。高齢者の方が低栄養になりますと、褥創の治癒が遷延し、寝たきり状態になりやすくなります。病気の回復が遷延し、合併症併発率や死亡率が上昇しますので、上記のポイントでチェックし、低栄養にならないようにしていただきたいと考えます。
高齢者の低栄養の原因としての以下の項目に注意しながらお仕事をしていただきたいと思います。食事摂取量の減少、生活活動度の低下、嚥下機能障害の程度、消化機能の程度、味覚低下の度合い、一人住まいかどうかや、老夫婦のみの生活かどうか、無刺激による閉じこもりなどの生活環境要因、精神的要因に注意しながら、介護されたり食事のお世話をしていただきたいと思います。
高齢者の方がどんな物を食べたらよいか、ということに関し調査した結果で興味深い結果があります。動物性タンパク質を多く食べている高齢者の方々のほうが老化の速度が遅く、病気になりにくい。植物性タンパク質を多く食べている高齢者のほうが老化の速度が速く病気になりやすいというデータがあります。動物性タンパク質を効果的に体に取り入れ、体の栄養状態を高めながら生活活動度を高く保つことが大切です。
|