| まず留意してほしい事は、感染の可能性があったら、「他の人に感染させる機会を減らす事」です。いきなり医療機関を診察の為に訪れると、その医療機関の待ち合い室にいる方及びスタッフ全員に感染させる可能性があります。もし可能性があると思われる方は、最寄りの医療機関、もしくは保健所にまずお電話下さい。あなたがSPREADERもしくはSUPER SPREADERにならないために一番重要な事なのです。 |
| 平成14年11月に中国広東省で『非定型性肺炎』の形で発症した原因不明の急激な経過を辿る肺炎は、5月31日現在世界32の国と地域に拡がり、総患者数8360名、死亡例764名に達するに到った。原因はコロナウィルスの変異種とほぼ断定できたが、その由来、感染経路については未だに不明であり、治療薬、ワクチンについても早急に開発される見込みはない。従って、感染の予防こそが現段階でできる最大の対策である事を認識する事が肝腎である。カナダでは一旦終息宣言が出されたものの、再び猛威を振るい始めた。しかし、終息宣言以降、完全に押さえ込む事に成功しているベトナム、ハノイ市の例もあり、対抗策が全く無いと言う訳でも無さそうである。是非落ち着いて、冷静に対処する事が望まれる。 |
| まずこの病気の特徴であるが、潜伏期(感染から発症までの無症状の時期)が2から10日で、いきなり38度を超える高い発熱、全身倦怠感、乾性咳嗽(痰を伴わず、ゼロゼロ言わない咳)、悪寒、呼吸困難等のインフルエンザ様症状で発症する。発疹や消化器症状は見られない事が多い。約90%の症例は一般の肺炎に対する治療で一週間以内に症状が回復する。不思議な事に、14才以下の症例はほとんどが重症化せず、逆に60才以上の症例は重症化する事が多い。重症化する因子として判明しているのが煙草を吸う症例、慢性肝炎症例などがある。 |
| 感染経路としては、肺炎症状である事から咳に伴う「飛沫感染」の可能性と、香港の症例から「環境感染」の可能性、更にはこのウィルスが患者尿中及び糞中にも排泄される事から、「接触性感染」や「経口感染」の可能性があるが、未だに確定されてはいない。但し、無機物上に置かれた状態でも、他のウィルスに比べて非常に多くのウィルスが生存している事が分かっており、注意が必要である。つまり、ウィルスの付着した場所を触った指で目をこすったりする事によっても感染する可能性がある訳である。 |
| 感染する機会であるが、これは「感染発生が確認された場所」に発症10日以内に渡航した事があるか、渡航した事のある人と濃厚な接触をした事が大前提である。台湾の感染した医師が関西方面に旅行したケースでは、観光バスの室内で比較的長時間接触したバスの運転手は感染しなかったので、ひどい咳込み等がない限り、感染する機会は大きくない事が推測される。 |
| 予防には今の所手洗いがもっとも有効と思われる。ウィルスの性質上、石鹸による丹念な手洗いで手指からの付着、感染をかなりの確率で予防できる。マスクは医療従事者のように感染者と濃厚な接触をする可能性のある場合は使用すべきで、できれば高機能マスクが望ましい。しかし、一般の生活では購入が困難である事、通過させる空気量が少ない事を考えると日常には不向きであり、普通の市販されているマスクでも十分であると思われる。大切な事は、鼻までしっかりとマスクする事、隙間を作らない事、マスクの表面(外側)は触らず、脱着には紐やゴムを触る事、できれば同じマスクは繰り替えし使用しない事、等が挙げられる。 |
| テレビで見られるような室外の消毒薬噴霧による消毒は効果が疑問視されている。明らかに感染者の排泄物が存在した場所や排泄物そのものに対しては次亜塩素酸ナトリウム溶液等が有効であるが、それ以外のオープンスペースに消毒薬を噴霧しても「安心感を得る」と言う事以外の意味はないとされている。 |
| 未だに確定例の見られていない日本ではあるが、十分に知識を持った上で、冷静に対処して、もし発生しても拡大発生等の無いようにしたいものである。また、噂や事実誤認等で他の人をキズつけ無いようにしなければならないし、また、便乗商法による被害にも十分警戒しなければならない。今の所、医薬品にも「特効薬」は見られない状態であり、いわゆる「健康食品」には明らかに効果が認められているものは存在しない事を覚えておきたい。 |
| 日立市医師会HPには、今後発表される新事実を踏まえて改訂版を順次アップして行く予定である。 |
■関連情報■
・厚生労働省
重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報(03.05.30更新)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1.html
・日本医師会
重症急性呼吸器症候群(SARS)
http://www.med.or.jp/kansen/sars/index.html |
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