6月28日(土)
早朝、原チャリで下田港へ
結局、後輩の北村の2人で行くことになった。朝4時集合だったが僕が5分前に着いた時は喜多村は既に来ていて、着ている服は迷彩服、アタマにはヘッドランプ、靴は安全靴では全然なかったが、やる気が感じられた。
最初は原チャリで約90km離れた静岡県下田港へと向かう。早朝だけに道は空いていて60km/hをキープして順調に進む。半袖、短パンと言う格好だっただけに肌寒かったが、海を見た途端不思議な力が沸いてきて、爆走を続けた……と言うことはなく、すぐにコンビニに入り朝食を取ることにした。

ミニストップとホットスパーを合体させたような地元チックなそのコンビニは、24時間、牛丼やラーメンなどの飯を食えると同時に、おでんと肉まんが夏のみ発売と言う事で我々2人を震撼させた。僕は牛丼を頼んだが、マルハの牛丼クラスのおいしさで牛丼偏差値でいうところの43くらいだった。まあ、こんなお店でおいしさを求めることは難しいのだが……。
朝食を食ってすっかり満足すると再び爆走を始める。途中、ゴッドファーザーのテーマを弾きばがら爆竹をばらまくと言うこともなく静かに進む。30分位、信号無しでノンストップと言うこともあり、約3時間後である7時過ぎにはすでに下田港に着くことが出来たのだった。

照りつける太陽。それを反射する海。暑さを体全体に浴びて流れる汗を拭う。 っと言う事を想像していた僕だったが、意に反して下田港は寒かった。たき火の後を復活させてそれに「ぶーさむい」と言いながら振るえる始末だった。 北村は小さな灯台に登り出す暴挙に出たが、止めはしなかった。
それから2時間後、手続きをすませ入船する。船券を学割で買うことが出来なかった北村はこの世が終わるような落胆ぶりだったが、自殺するまでには至らなかった。船は当然の様に1等でテレビ、シャワー、トイレ付きである。と言うことはもちろん無くみんなザコ寝の2等である。しかしまだシーズンでは無いので席はガラガラ。これはラッキーだった。船はすぐに出発し離れていく本土をいつまでも眺めていた、と言うことも無く、時計のアラームを設定してすぐに寝に入った。

神津島に無事到着! でも港が予定と違う?
目が覚めるとと既に船は接岸準備にはいっていて、慌てて北村を起こす。下船して神津島上陸後、速攻地図を確認しつつ、キャンプ場に向かい出発。気合いを入れるため、靴は最新のエアマックスなんてことはなくサンダル。ずんずんと坂道を進んでいった。
しかし、どうもおかしい。持っていたのが3年前の地図だったから地形が変わったのだろうか? 道が地図と全然違う。途中で気づいたのだが、どうやら予定の長浜では無く多幸湾についたようだ。波が高いとこうなるらしい。と言うわけで予定よりも3倍近く歩く必要がなる。しかしそこは毎日家の正門から玄関まで10km歩いている僕にとってはさしたる事は無かった。北村も余裕なようだ。
途中、夕食の食材を買いキャンプ場に到着。テントの設営を2秒ですませ、神津島で有名な300人入れる温泉に向かった。温泉は工事中とのことで露天風呂はなんとタダ。100万円づつ持ってきている我々だが嬉しかった。
温泉は水着着用で、台風が刻々と近づく荒海を眺めながら爽快に浸かった。
中はさすがに広く、人目を気にしなければ泳ぐことも楽勝だ。30分くらいで温泉には満足し、再びキャンプ場に戻った。
キャンプ場はトイレ、水、洗い場などほとんど完全装備だったが季節がまだ早いようで他にキャンパーはいなかった。夕食は青椒肉絲(チンジャロロース)。途中で肉を買いすぎたことに気づいたが、北村が「大丈夫っすよ。僕は米3合食えますから。」と言うので安心した。しかしその発言はウソで大量におかずは残ってしまった。メシを食ったら今日は寝るだけなので速攻寝に入った。疲れていたのですぐに寝るだろうと予想していたが、そうは問屋がおろさないのだった。
テントは今回がデビューで綺麗だったが、奴がやってきた。そう、台風だ。
とにかく聞こえるのは激しい風の音と波の音。たまに砂も運んでくる。激しい
風が吹く度に自分の人生がフィードバックする思いだった。雨も混じり始める豪風雨の中でピンチに立つ我々だった。
29日(日)
猛烈な台風がテントを襲い、避難する!
台風はどんどん強くなってきてさすがにやばくなってきた。テントは4000円の品で値段的にもそろそろぶっとぶか? と思い始めてきた。
北村「やばいっすよ。奥に明かりがついている民家がありますから避難しましょう」
と言うことで、激しい風の中消えかけたライトを付けて明かりに向かった。
しかしそこに着いて呆然とした。民家かと思ったそこはトイレだったのだ。
「トイレの中で寝るか……」と言う超危険な発想も産まれたが、すぐに奥に小さな家みたいなものがあるのが気づいた。そちらには電気が付いていない。
北村「玄関が開いてません! あ、窓が開いてますよ!」
考える間もなく住居無断進入を実行した。中は8畳位の部屋とキッチン。近に神社がるだけに神社の関係の建物だろうか? 北村は死体が無いか不安そうな顔で本気
で探している。幽霊が出るならここだろうという感じの不気味な場所ではあったが台風の風は防げたのでテントを心配しつつ爆睡した。
快晴! そして天井山登山!
起きると晴れ間が広がっていて、昨日の台風がウソのようだった。テントが移動していたので、ウソではなかっただろう。すぐにテントや荷物を撤収して観光協会に向かう。そこでショックな事実が発覚した。今日出航予定の船が欠航してしまった のだ。雨風はやんだがまだ波が高く危険らしい。仕方がないので神津島のウリでも ある、天井山に登ることにした。

カップラーメンをサクッと食べ、天井山に登り始める。500m級の山だが道中は 険しく山登りの経験がほとんどない僕には辛い。北村はサクサク登っていく。 しかし途中から景色が開け、伊豆の島々が壮大に見えてくる。かなりいい感じだ。

休憩をバンバン入れてなんとか登頂に成功した。天井山と言われるだけあって 山頂はとても広く荘厳な感じだ。「天空の丘」など言うゲームチックな場所もあっ たが360度の大パノラマ!ここは山登り好きにはお勧めだろう。
ひいこらひいこら言いながら、がんばって下山。昨日とは違うキャンプ場に向かう 。多幸湾キャンプ場と言うところでめちゃくちゃ蚊が多いところだったが設備は ここも万全だった。この日はとても疲れていたので、スパゲッティを食って寝た。
30日(月)
旅のアクセント!? サイフを落とす!
起きるとスカッと晴れていた。速攻で撤収して港に向かう。今日はおそらく島の
反対側から船が出るはずなので少々ブルーになっていた。また炎天下の中、5km
の坂道を行かねばならないからである。
「どっかの車がのっけてくれないかなあ。」と僕らは思っていた。
そこへダイビングの車とウエットスーツの女の人がやってきた。自動販売機で
バンバン、ジュースを買っている。
すかさず北村が「長浜(島の向こう側)はどの道が早いですか?」とさりげなく女の人に遠くまで歩かなければならないことをアピール。しかし、大量にジュースを買っていることからも島の反対側まで行こうと言う雰囲気では無い。その場はとりとめのない話題で終わった。

しかし、そこでラッキーな事が起きた。たまたま軽トラックで来ていたおじさん が「長浜まで行くなら送ってくよ!」と言うのだ。僕らは狂喜して一瞬おじさん からオーラが出ているのを見た。気がする。
トラックの荷台に乗り、出発した。トラックは爆走を続けあっと言う間に長浜に
ついた。歩くと1時間はかかるだけにこれは嬉しい。
おじさんに港を少し行った所で降ろして貰い、港へ向かう。そして港の待合所で
とんでも無いことに気づく。
「サイフが無い……。」
しばらく呆然としてしまった。お金はもとより、帰りの切符、免許、学生証、
クレジットカード、各種鍵などが入っている。
「最後にサイフを使ったのは多幸湾の港だったな……。」
「行くしかないですよ。」と北村が言う。
そのとおりだ。かなりブルーな気分で5km先の多幸湾に戻るため歩き出した。途中、何度も親指を立ててヒッチハイクを試みたが全く捕まらない。
北村「タクシーを呼んだ方がいいですよ。」
これに僕も同意し、電話BOXを探す。途中ガソリンスタンドにも電話は無く、
NTTまで行く羽目になってしまった。しかしNTTの電話BOXは10円玉
が入らない! NTTの人に頼んで中で電話を借りることにして、タクシーに
電話をした。するとタクシーは出ていて捕まらない!ついてない事は続くもの
だ。ところが事情を話すとNTTの人が原チャリを貸してくれると言う。
北村が早速原チャリに乗って多幸湾に向かっていった。
約30分後、北村が戻ってきた。どうやら発見出来なかったようだ、、。 と、言うことはトラックの荷台にあるのだろうか……。トラックは黒っぽい と言うことしか覚えていない。とりあえず、親切だったNTTの人に礼を言い 警察に紛失届けを出しに行った。マンガとビデオを地元の人に貸し出している 不思議な所だった。まず、奥さんが出てそれから警察の人が来た。若くて親切 な人だった。いろいろ話合った末、北村には予定通りの船で帰ってもらい、 僕は神津島にもう一泊して家から電報為替でお金を送ってもらうことにした。
北村は港へ行き、僕がお金が無いので警察の人はお米とリンゴをくれた。なんて親切なんだ。そして観光協会でテント場を使う登録をして、港に置いといた荷物を取りに行った。するとさっきの警察の人が来て、「あ、いたいた。東海汽船の人が金を貸してくれるって!」といい船のとこまでパトカーで送ってくれたのだ。東海汽船の方は1万円も貸してくれ、無事に船に乗ることが出来たのだった。パトカーであらわれた僕は乗船している人から怪しい目で見られたことはいうまでもない。
神津島。いろいろなできごとがあったが良い島だ。もう一度行ってみたい。
そして、なくした財布も無事に発見されて、事なきを得たのだった。