素材の話
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K邸ではフローリングに能登ヒバの無垢材を使いました。ヒバは翌檜(あすなろ)の別名で檜の仲間ですが檜よりも精油成分(ヒノキチオール)が多く、数年経っても帰ってきて玄関のドアを開けると檜系の香りに包まれます。この匂いが好きな方には特にお勧めしています。また防虫防腐効果が高いため水廻りも最適です。通常使われるフローリングは合板に薄い単板(0.何mmから厚くても2mm程度)を貼ったものに合成樹脂の表面加工をしています。このため傷が付きにくく最近はワックスをかけなくても良いものまで有ります。しかし足と直接触れるのは合成樹脂の膜ですから、いくら表面に天然の木材を使っていても冷たい感触になってしまいます。
ヒバをはじめ、檜や松などの針葉樹は特に感触がソフトで真冬に素足で歩いてもそれほど冷たくは感じません。確かに細かい傷は付き易いですがフローリングの厚みすべてが天然木ですから下から合板が出てくる事もなく補修も可能です。通常の合板のフローリングでは小さな傷は確かに付きにくいけれど表面の樹脂の膜に傷が付くと、根本的な補修の方法はなくホームセンターなどで売っている『かくれん棒』などで誤魔化すしかなく、合板の部分まで傷が達するとほとんど補修は出来ません。
ところで、国産の無垢材のフローリングはとても値段が高いとの印象が有るようです。今までにハウスメーカーや工務店で家を建てた経験のある方で、無垢材のフローリングを希望して、驚くような見積書を出されて諦めた方も多いのではないでしょうか。確かに通常の材木店で流通していた節の無い無垢材のフローリングはコストがかかりすぎ特に国産材などは住宅で使うには無理が有りました。しかし北欧の家具のような節のある材料は今までの木材の流通から弾き飛ばされていたため、産地では出荷されずにもてあまされてきました。最近これらの国産の材木と無垢材にあこがれる都会の消費者(建主)を結んで国内の林業を活性化させようという動きが各地で出てきています。
この中で私は知人の紹介で木童(こどう)の木原さんと出会いました。神戸市の北区で「ウッドコーディネーター」を名乗る木原さんは国内各地の木材産地を直接訪れ、出荷できずにもてあまし気味の材木を試行錯誤を繰り返しながら、住宅で使えるような材料として製品化し建築家や工務店そして、本気で家造りに参加しようとしている建主に届けてきた話を熱い思いを込めて話してくれました。
確かに普及品の合板のフローリングと比べると割高では有るけれどやや高級な合板フローリングと同程度のコストにまでなっていると思います。また別の項目で記述していますがオスモの塗料を自分たちで塗る事によりメンテナンスも楽になり更にコストダウンにつながります。
木童のフローリングには能登ヒバだけではなく、から松や杉などの針葉樹やならや樺、くりなどの広葉樹、建築用材としてはあまりなじみのない唐檜(樅)までいろいろな樹種が有ります。又壁材としても使用できます。またフローリングだけではなく壁材にも使え、壁材専用に加工したものもあります。家造りを考える方は一度検討してみる価値は有ると思います。E-mail ;
ルナファーザーチップス
(天然の紙を素材とした塗装下地壁紙)
K邸の天井の大部分は「ルナファーザーチップス」と呼ばれる紙と紙の間に木片をすき込んだ多層抄合紙で出来た壁紙を使いました。天井だけではなく壁にも使えますが、今回は珪藻土系の塗壁材を使った為に天井だけにとどめました。
この壁紙は天然の紙を素材とした塗装下地壁紙で、リサイクルペーパーを使い天然素材で製造された呼吸する壁紙なので通気性、吸湿性に優れ結露やカビに大変効果的です。さらに、化学物質を使用していないのでホルムアルデヒドなど、人体に有害な物質の発生もありません。ウッドチップの凹凸模様により独特の風合を表現してくれます。本来好みに合わせた色を塗装して仕上げますがそのままでも真っ白で充分美しいので、はじめはそのまま使う事をお勧めします。好みの色に塗装するのは将来のお楽しみという事で良いのではないでしょうか。
最近は、国産の壁紙も環境や健康に配慮したものが出回ってきています。コスト的にもそれらのものと特に差はありませんが、それぞれの特徴を生かした使い方が出来ると思います。E-mail ;
ケイソーライム
(珪藻土系の塗壁材)
K邸の内壁はケイソーライムという珪藻土系の塗壁材を使いました。元々真壁という事も有り漆喰(しっくい)の壁を建主も私も考えていましたが漆喰壁は柱の廻りが隙いてくる事などから、いろいろな素材を探していました。今回初めて使う素材として実験的な意味も有りましたが通常の塗壁は部分補修が難しく、補修した部分が目立ちますがこのケイソーライムは部分的な補修をしてもあまり目立たず又吸湿発散性を損なわない専用の塗料で塗装する事が可能で将来のメンテナンスが容易であると考えて採用しました。
最近内外装材として珪藻土が注目されていますが、珪藻土とは海や湖に生息している珪藻(プランクトン)の遺骸が永年にわたって堆積し化石化した土であり、有害物質を含まず、吸湿発散性に優れた特徴を持っています。但し珪藻土だけを壁に塗ると乾燥するとひび割れがしやすくなります。そこでこのケイソーライムは補強剤(すさ)として炭素繊維を混ぜることで、ひび割れに強い仕上材にしています。
タナクリーム
(生石灰クリームの塗壁材)
我が家のリビングと玄関の内壁はタナクリームという生石灰クリームの塗壁材を使いました。生石灰クリームは漆喰と同様、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなり硬化します。このクリームは、日本の伝統的な白い壁としてあげられる漆喰同様、環境に悪影響を及ぼすこともなく、有害化学物質を発生させることもありません。美観に富むとともに、保温性・調湿性・長期的な堅牢性といった長所を兼ね備えた材料です。
上記のケイソーライムや漆喰等の左官材料は職人の腕により仕上がりが左右されますが、近年住宅現場ではほかに左官職が行う仕事が減少したこともあり腕のよい左官職人を確保することが難しくなっています。
このタナクリームは、刷毛やローラーでもぬれますので特に熟練した職人でなくても、それなりの仕上がりが得られます。今回我が家では、私と現場監督で塗ってしまいました。プロの仕上がりとはいえませんが、これはこれでいい仕上げになったと感じています。E-mail ;