チェス用語小辞典(英和)――読解と上達のために

(866項目+5付表+外部リンク35件) 付表は末尾。付1:棋譜解説の記号、付2:レイティングと称号、付3:各国語の駒と色の名称、付4:オンラインの長時間対局グループ、付5:ネット対局場のStandardトーナメント。
 原則としてチェスでしか使われない用語・意味・訳語だけを記す。見出し語は米綴りを原則とし、主なものには英綴りを併記した。英語における外来語には冒頭に元の言語を示す。
 また検索の便のため、一部の語に分野別のラベルを付した。【Elo】【記譜】【作局】【終盤】【称号】【序盤】【組織】【通信】【名局】【用具】。
 説明中の駒の名前は略号で示す。K=キング、Q=クイン、R=ルーク、B=ビショップ、N=ナイト、P=ポーン。→は「参照せよ」の意。

(リンクはこのページでもトップページでもご自由にどうぞ。トップページ→

-A-
absolute pin:絶対ピン。敵Kを的として狙うピン。ピンされた駒は絶対に動けない。ただし、キャスリングなどでKを逃がす手がチェックになる場合は要注意。 →relative pin
accelerated:【序盤】早組み戦法。ある定跡形を、一部の手を省いて通常より早く組む定跡。 例:1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4に対して、4...Nf6...d6...g6とフィアンケットするのをDragon Variationと言うが、すぐに4...g6と指すのをAccelerated Dragonと言う。また1.e4 c5 2.Nf3 g6をHyper-Accelerated Dragonと言う。 →deferred
accelerated Swiss:加速スイス式。 →Swiss system
accept:(1)相手の捨て駒(特にギャンビット(→gambit)されたP)を取ること。たとえば1.e4 e5 2.f4 exf4はKing's Gambit Acceptedという定跡。 (2)ドロー提案に同意すること。 →decline
ACP:【組織】Association of Chess Professionals。2003年創立、GMを中心としたプレイヤーの組織。→リンク。なおPCA(→)とは別の団体である。
active:(1)駒が動きやすく、有効に働いていること。逆はinactiveまたはpassive。動詞はactivate。 (2)現役。通常、レイティングリストに載っている状態を言う。数年間公式対局がないと抹消される。逆はinactive。
active chess、action chess:→rapid chess
adjournment:指しかけ。対局をいったん中断して、後に再開すること。長くチェス界の伝統であったが、コンピュータ解析が発達したため、90年代末ごろからほぼ全面的に廃止された。 →sealed move
adjudication:判定。時間の制約などのため、その場にいる最強者が最終局面を判定し、対局結果を定めること。親睦を主眼とする団体戦に多い。オンライン対局でも、回線切断の対策として行なわれることがある。
advance:進める。駒(特にP)を敵陣に近づく方向に動かすこと。
advanced chess:アドバンスト・チェス。対局中にデータベースによる序盤検索、チェスソフトによる局面解析を自由に使える新ルールのチェス。freestyle、computer-assistedとも言う。実験的に行なわれているが流行はしていない。またプレイヤーを、神話の半人半獣の動物になぞらえてCentaur(ケンタウロス)と呼ぶことがある。
advanced pawn:5段目以降に前進したポーン。
Alekhine's Gun:アリョーヒンの大砲。3個の大駒を下からQRRの順に重ねた形。第4代世界チャンピオンAlekhineが自戦解説の中で、3個の大駒を重ねるにはこの形が最善と書いた。 実戦例はAlekhine対Nimzovich戦。 なおこの名前は「アレキン」と呼ばれることもあるが、ロシア語での読みは「アリョーヒン」が正しい。
algebraic notation:【記譜】代数式(座標式)記譜法。英米式(→descriptive n.)に対して国際式(international n.)とも言う。また1981年以降、FIDEの唯一の公式記譜法であることから、standard n.とも言う。
代数式記譜法:
 1)手を「(動く駒の名前)(到着枡のファイル名+ランク番号)」で表現する。
 2)駒名は大文字、ただしPの手の場合は省略する。
 3)ファイルはa〜h、ランクは1〜8の座標で表す。白の左手前がa1。
 4)駒を取る場合、駒名の次に「x」をはさむ。Pで駒を取る場合は、駒名の代わりにPのファイル名を記す。アンパッサンでも「x」の後に到着枡を書くだけでよい。
 5)複数の手が考えられる場合は、動かす駒(取られる駒)をそのファイル名かランク番号で特定する。
 6)Kサイドキャスリングは「o-o」、Qサイドキャスリングは「o-o-o」。
 7)昇格はたとえば「d8/Q」のように書く。
 記譜例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nge7 4.o-o g6 5.c3 Bg7 6.d4 exd4 7.cxd4。
 8)変種として、「x」の代わりに「:」を使う場合(ドイツ式)、省略する場合もある。出発枡を併記する方式(例:1.e2-e4 e7-e5 2.Ng1-f3 Nb8-c6 3.Bf1-b5 Ng8-e7)をlong algebraic(長記法)、駒を文字ではなく絵で示す方式をfigurine algebraicと呼ぶ。
all-play-all:→round robin
amaurosis schacchistica:(ラテン)→chess blindness
ambush:アンブッシュ、待ち伏せ。discovered attack(→)の準備として、ラインピースを味方の駒の陰に入れること。 例1:序盤の有名なはめ手。1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nf6 5.Qe2!?(ambush) Nbd7?? 6.Nd6#。 例2:白Kd1,Re1、黒Kd6,f3,g3、白先勝(L.Prokes、1946年作)。1.Kd2! f2 2.Rd1! (ambush) g2 3.Ke3+ で勝ち。
analysis:分析、検討。
analysis set:【用具】検討用のやや小型のチェスセット。
analyst:分析家。実戦に参加せず、序盤・終盤の定跡を研究し、その成果を書籍や雑誌に発表する人。
Anastasia's mate:アナスタシアのメイト。盤端のKをNとRでメイトする一形。白Nd5,Qc2,Re3、黒Kg8,Rf8,f7,g7,h7。1.Ne7+ Kh8 2.Qxh7+! Kxh7 3.Rh3#。Anastasiaはこのメイトが登場するある小説の主人公。
annofritz:Fritzというチェスソフトを使って注釈をつけること。
annotation:注釈、ゲーム解説。
 自戦分析にすぐソフトを使う人がいるが、陸上の選手が車に乗るようなものだ。目的地には楽に着くが、足腰は鍛えられない。わかったつもりで同じ間違いを繰り返すことになる。なるべく自力で検討し、その内容を記録しておいて、後でソフトの分析と照らし合わせるべきである。
 チェスにはこんな格言がある。「ヘボがいい手を指すことはある。強い人に勝つこともある。しかしすぐれた解説を書くことは絶対にない」。チェスの理解の深さをはかるには、解説を書かせてみればよい。
announced mate:メイト宣言。20世紀初頭まで、強制手順でメイトできることを読みきった側がその旨を宣言する習慣があった。現代では行なわれない。
Anti-(定跡名):【序盤】〜外し。ある定跡の複雑なメインラインを外す指し方。たとえば1.e4 c5のSicilianでは2.Nf3〜3.d4とPを交換して活発な局面にするのがメインラインだが、2.c3、2.Nc3、2.f4などこれを外す指し方をAnti-Siciliansと総称する。ほかにAnti-Marshall、Anti-Meranなどがある。通常のanti-の意味用法とは少し違っている。
anti-positional move:通常の好形の原則(positional principles)に反して愚形を作る手。悪手とは限らず、愚形の妙手というものもある。
appeal:アピール、不服申し立て。試合結果やアービターの裁定等についてプレイヤーが対局後に行なう申し立て。濫用を防ぐため証拠金の供託を求め、否決の際に没収とすることがある。→次項
appeal(s) committee:不服審査委員会。対局中や運営に関して発生したトラブルを裁定する委員会で、選手(団体戦ならキャプテン)の互選で選ばれる場合と、運営側の委員の場合とがある。(3人または5人)+(委員が当事者になった時のための補欠2人)という構成が多い。
Arabian mate:アラビアのメイト。隅のKをNとRでメイトする形(白Nf6,Rh7、黒Kh8など)。チェスのルールは歴史的に変化してきたが、K、R、Nの動きは古来から変わっていない。そのためこの形は中世アラビアの写本にも現われている。
arbiter:アービター。審判員。
Argentinean tragedy:【名局】1955年のインターゾーン大会(→interzonal)で、偶然あるラウンドにソ連の3選手(Geller、Keres、Bronstein)とアルゼンチンの3選手(Panno、Najdorf、Pilnik)が同じ色で対戦した。3局とも当時の流行形に進み、黒のアルゼンチン側は序盤で研究ずみの新手を繰り出したが、Gellerがこれをとがめる妙手順を発見し、3局とも短手数でソ連側の勝ちに終わった。このエピソードが「アルゼンチンの悲劇」と伝えられている。→棋譜
Armageddon:アーマゲドン。ノックアウト方式の大会で、プレーオフの最後に行なわれるブリッツの一発勝負。ドローを黒勝ちとする代わり、白6分対黒5分など持時間にハンデをつける。single fast decisive gameとも言う。
array:対局開始時の駒の並び(initial array)。
arrival square:到着枡。ある1手において、駒が動いた先の枡。 →departure square
artificial castling:キャスリングのルールを使わず、たとえば初めの位置からKf2-Rf1-Kg1と指すなど、3手以上かけてキャスリング後の形を作ること。castling by handとも言う。
artillery:砲兵、メジャーピース(特にR)の比喩的表現。前線で戦う歩兵(P)や騎兵(N)に対して、自陣後方からにらみを利かせるというイメージ。 →cavalry、infantry
attack:(1)攻め。敵のKや陣形を攻撃すること。特にKへの攻撃だけを指すことも多く、たとえばattacking styleは「Kへの攻撃を主体とした棋風」である。 (2)利き。ある駒が、敵駒やある枡に利いていること。 (3)【序盤】定跡名、大文字で書かれる。ほとんどは白の戦法だが、Marshall A.のように黒の戦法の場合もある。
attraction:→decoying
automatic move、automatic reply:手拍子。あまりに自然に見えるため、他の手を検討せずすぐに指してしまった応手。あるいは「こう指すしかない、当然の一手」という意味のこともある。
-B-
back-rank:バックランク。自分にとって一番手前のランク(第1か第8)。back-rowとも言う。
back-rank mate:バックランクにQかRが入ってのメイト。口語的にback-rankerとも言う。
backward pawn:バックワードポーン、出遅れポーン。隣のファイルの味方Pが自分より前進しており、自分が進む枡に敵Pが利いているP。Pで守れない上、前進も難しく、弱点となりやすい。またその前の枡は相手の拠点(→outpost)になる。 例:1.d4 d5 2.f4?はeポーンをバックワードにする疑問手。
bad bishop:バッドビショップ。同じ色の枡の味方Pに働きをじゃまされたB。終盤では明らかに不利だが、中盤では敵のブレーク(→break)を予防したり、強いPチェーンを支えていることも多い。 →big pawn(2)
bailout:緊急脱出、逃げる。指しすぎによって不利になった側が、主に駒交換によってドローに逃げこもうとすること。
banter chess:おしゃべりチェス。対局者が思考内容を観戦者に伝達しながら行なう対局。ネット対局やテレビ対局で行なわれる。もちろん話す内容は対戦相手には聞こえない。
bare king:【終盤】裸のK。ほかに味方の駒がまったくいない単独のK。〜to the bare kingsと言うと「裸のKどうしになるまで」、つまり最後の最後まで戦うという意味。
basic mates:【終盤】基本メイト。裸のK(→前項)をmating material(→)でメイトする形。elementary matesとも言う。
battery:バッテリー。(1)同じライン上を動く複数のラインピース(たとえばRとR、QとB)を同じライン上に重ねること。 (2)discovered attack(→)の準備として、ラインピースの利きの上に別の種類のピースがいる形。
bayonet attack:バヨネット・アタック、銃剣突撃。白で言えば、b2/g2のポーンを(通常はc6/f6の敵Nを目標に)2枡進めること。歩兵が敵騎兵に向けて勢いよく突進するという連想。
BCE:【終盤】(1)Batsford Chess Endings。1巻本の終盤戦事典。1993年刊。 (2)Basic Chess Endings。同じく1巻本の終盤戦事典。(1)と区別するため、著者の名前をつけてFBCE(Fine's BCE)と略されることも多い。初版1941年、改訂版1969年で内容が古くなっていたが、2003年にBenkoによる修訂版が出た(ただし誤りはまだかなり残っている)。
終盤の本について:
 同種の本として、2001年刊のFundamental Chess Endingsにはテーブルベース(→tablebase)による新しい成果やデータベースによる実戦での生起率が記載されているほか、基本情報と実戦の心得のバランスもよく、推薦できる。2003年刊のDvoretsky's Endgame Manualは終盤でよく使われるアイデアを軸に構成しており、併読をお勧めしたい。またこの分野の基本文献であるAverbakhのComprehensive Chess Endingsは2003年に電子化された。誤りをすべて修正した上、局面検索やテーブルベースとの連動も行なえ、価格も紙版の数分の一である。
 対局者双方が十分な知識を持っていると、本に載って結論の出ている形は避けるように指す(優勢側はドローの形を避け、劣勢側は負けの形を避ける)。その結果、ミスがなければ必然的に未解決の新しい形が盤上に現われる。これがハイレベルな完全情報ゲームの醍醐味だ。だから序盤定跡の進歩とまったく同じプロセスによって、終盤の定跡もゆっくり広がり、進歩していく。たとえばDvoretskyの本の第2版(2006年刊)では、重要なRエンディングの新手を7ページにわたって詳解している。終盤の教科書として古いFineの本を盲目的に勧める人がいるが、このあたりがわかっていないのだろう。
BCF:【組織】British Chess Federation。イングランド・チェス連盟の旧名。 →ECF
BCF grade:→grade
BCMBritish Chess Magazine。イギリスの伝統あるチェス雑誌。→リンク
BCO:【序盤】Batsford Chess Openings。1巻本の序盤の定跡事典、1982年刊。第2版(BCO2)は1989年刊。後にNCO(→)に引き継がれた。
Berger:→Sonneborn-Berger
Berlin wall:ベルリンの壁。Spanish Berlin Defense (1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6)の異名。研究によって非常に堅固な防御法となり、黒で負けにくい戦法として現代のトップクラスでもよく使われている。
best of #:#番勝負。過半数のポイントを先取したほうが勝ちになる形式のマッチ。たとえばbest of 24 matchなら24局、12.5ポイント先取で終了する。チェスのマッチは、手番の有利不利をなくすため、局数は必ず偶数である。
big pawn:(1)敵陣内に進んで敵の動きを制約している強力なP。 (2)きわめて働きの悪いBを揶揄して「図体の大きいP」と表現する。 例:白a5,b6,c5、黒a6,Bb7,c6。b6の白Pは(1)の意味でbig pawnである。黒Bはほとんど動けず、(2)の意味で"big pawn"である。
bind:位を高くして相手の動きを封じる態勢。押さえ込み。序盤戦形ではMaroczy Bind(1.e4 c5 2. Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 g6 5.c4)が有名。
bishop:ビショップ。
駒の特性:
●利き枡の数は隅で7、中央13だが、中央に拠点(outpost)を持つと1方向の利きは味方Pにじゃまされるため、位置の影響はさほど大きくない。
●Nと違い、何手かけても盤上の半数の枡しか攻撃できない。もう1個のBをはじめ、別の色の枡を支配する他の駒との連携を考えなくてはならない。
●特に、BもPも自分と同じ色の枡にしか利かず、ブロックされたPは長期的にBのラインを塞ぐため、全体的なPとの協調が重要である。味方P列の外に出るのが早すぎると敵のNやPに追い詰められて相手にツービショップを与えるし、遅すぎるとバッドビショップとなるおそれがある。BとPの協調はすべての序盤のテーマである。
●同色の敵Pチェーンに対しては、Pチェーンを崩せる(またはBが裏に回りこむ)かPチェーンに押さえこまれるかで優劣が大きく分かれる。必ずしもB有利ではない。
●盤の対角線上(たとえば右上と左下)で同時に戦いが起こる場合には、攻防両用の威力を発揮しやすい。
●BとNを近くに置くとやや相性が悪い。同じ色の枡に置く(たとえばBg7+Nf6)とNがBの利きを妨害するし、違う色の枡に置く(Bg7+Nf7)と利きが重複するおそれがある。
bishop pair:→two bishops
black:(1)黒。濃色の駒。実際の駒の色は黒のほか、こげ茶、濃灰、赤、緑などもある。 (2)黒駒を持つ後手番のプレイヤー(the second player)。Blackと大文字で書くことが多い。
Blackburne's mate:ブラックバーンのメイト。(1)キャスリングしたKを小駒3個でメイトする一形。白Bb2,Bc2,Ng5,Qb1、黒Kg8,Rf8,f7,g6,h7。1.Qh1 h5 2.Qxh5! gxh5 3.Bh7#。 (2)盤端のKを、Qを捨ててN2個でメイトする一形。白Qh6 ,Nf5,Ng6、黒Kg8,Rf7,Nh7。1.Qg7+! Rxg7 2.Nh6#。 Blackburneは19世紀イギリスの名手。
blindfold chess:めかくしチェス。盤面を見ずに、読み上げられる棋譜を基に記憶だけで指す。(仏)sans voir(=without seeing)もたまに使われる。
blindfold simul:めかくし同時対局。世界記録はKoltanowskiによる34局。
blitz:(名詞)ブリッツ。持時間3分から10分程度の早指し戦。lightning gameとも言う。 (動詞)(ブリッツのように)手を速く指す。
block:(1)ブロック。敵Pの前の枡を味方の駒で占領すること。特にPどうしで互いに前進できない状態を言う。 (2)敵味方のラインピースの利きを別の駒で止めること。 (3)Kの逃げ道を味方の駒がふさいでいること。 →self-block(2)
blockade:ブロッケード。敵Pの前の枡をピースで占領し、動きを封じること。ただし上のblock(1)と区別せず使うこともある。
bluff:ブラフ、はったり。ほんとうは狙いがない(または悪手である)のに、狙いがある(または好手である)かのように指すこと。 →ghost
blunder:ブランダー、大悪手。ポカ。
blunder-check:ブランダーチェック。着手の直前に、その手がブランダーでないかもう一度たしかめること。
board:(1)【用具】チェス盤。対局者の右手前に白枡が来るように置くのが正しい。公式のサイズは、枡の一辺50〜65ミリとされている。材質は規定されておらず、木製のほか合成樹脂、石、皮革、紙製などがある。 (2)大会会場での席次。 (3)転じて、団体戦でのチーム内席次。first b., second b.等。「1番ボード」または「1将」のように訳される。
board prize:ボード賞。団体戦の個人表彰で、ボード別に勝率かパフォーマンス順によって与えられる。
Boden's mate:ボーデンのメイト。QサイドにキャスリングしたKをB2個でメイトする形。白Kc1,Rd1,Nd2,a2,b2,c3、黒Qf6,Be7,Bg6。1...Qxc3+! 2.bxc3 Ba3#。Bodenは19世紀イギリスのプレイヤー。
body check:体当たり。Kが隣接して敵駒を攻撃すること。ただしshouldering(→)の意味で使う人もいる。
Boleslavsky wall:ボレスラフスキーの壁。King's Indian Defenseでd4でのP交換後に黒がQサイドに作るa7-b7-c6-d6の形。Boleslavskyはソ連のGM。
bonus time:→increment
bonus mode:→Fischer mode
book:(1)ブック、定跡。本に載っている定跡手順。終盤についても言い、本に載っているドロー/勝ちの常形をbook draw/book winという。theoretical draw/winもほぼ同じである(情報源は本でなくデータベースかもしれないが)。 (2)チェスソフトの序盤定跡データ。
book(ish) player:定跡を重視するプレイヤー。本の知識頼りで応用力に乏しいというニュアンスがある。
Braille chess:【用具】ブライユ・チェス。視覚障害者用のチェスセットで、各枡に穴のあいた特殊な盤に、軸のついた駒を差し込んで固定できる。対戦者は指した手を記号で読み上げ、視覚障害者のプレイヤーは局面を確かめるため駒に触ることができる。IBCA(International Braille Chess Association)という国際団体があり、チェスオリンピックにも参加している。
break:ブレーク。前進してブロックされている敵PにPをぶつけて(特にRのために)ラインを開こうとすること。1.e4 e6 2.d4 d5 3.e5に対して3...c5がbreakの一例。後に...f6とKサイドでもbreakを狙える。
breakthrough:突破。特に、相手Pの列をPだけで突破し、パスPを作ることを言う。 例:白f5,g5,h5,黒f7,g7,h7で白番。1.g6! fxg6 2.h6! gxh6 3.f6でパスPができる。なお黒番で突破を防ぐには、やはり1...g6!と中を突くのが正しい(1...h6? 2.f6!)。
brevity:→miniature
bridge:→Lucena position
brilliancy prize:名局賞。一大会中、最高のゲームに授与される。beauty prize、best game prizeも同様。ただしbrilliancyというと短手数できれいに決まったゲームというニュアンスが強い。
Bronstein mode:→delay mode
Buchholz:ブッフホルツ。タイブレークの一法。 →tie break
bullet:ブレット。blitz(→)よりもさらに短い、持時間3分未満の対局。主にオンライン対局(対局時計を押す必要がない)で用いられる。
bulletin:ブレティン、対局日報。競技会で毎日作成される、ある日の全対局を記載した小冊子。
bust:(1)refute(→)と同義、口語的な表現。つぶす、とがめる。 (2)【作局】作意が成立せず正解がないことを示すこと。不詰指摘。 →cook、demolition
bye:バイ。(1)手あき。プレイヤーの人数が奇数のため、1人があるラウンドの対戦から除外されること。(2)と区別して強制バイ(forced bye)と呼ぶ。スイス式では1点か1/2点が与えられ、同じ人が2度バイを受けることはない。 (2)不戦。スイス式で、プレイヤーが一部のラウンドに限って不参加を選ぶこと。 (1)(2)共通して、与えられる点に応じてfull/half/zero-point byeと呼ぶ。
-C-
Caissa:カイサ、チェスの女神。Kaissaとも綴る。
calculation:計算、ではなくて「読み」。頭の中で手を読むこと。読み違いはmiscalculation。
candidate:(1)世界選手権の挑戦者決定大会に出場できる選手。年によって違うが8〜15人であった。Candidateと大文字で書かれることが多い。挑戦者決定大会をCandidates' tournament(「ct」と略す)、マッチによるノックアウト方式の場合はC. matches(「cm」)と呼んだが、現在は制度が変わって開かれなくなった。 (2)パスポーン候補。同じファイルに敵Pがなく、隣のファイルに味方Pがいるため、前進していけばパスPを作り得るP(semi-passed pawn、potential p.p.とも言う)。 例:白b3,c3、黒b6の形ではcファイルの白Pをcandidateと呼ぶ(厳密に言うとP交換によってbポーンがcファイルに進んでパスPになるのだが)。パスPを作りに行くには、まず1.c4とcandidateのほうを進めるのが原則である。1.b4? b5!では2個とも止まってしまう。
candidate master:【称号】準マスター。(1)各国でnational master(→)の下のレベルを指す。master candidateとも言う。 (2)FIDEが2004年に設けた、FIDE master(→)のさらに下の称号。「CM」と略す。FMと同様に確定レイティングだけで取得できる。
candidate move:候補手。ある局面でプレイヤーが比較検討するいくつかの手。
Capablanca's rule:カパブランカの法則。(1)自分のBが1個しかない場合は、味方のPをBと違う色の枡に置けという法則。 (2)パスPを作ろうとする時はまずcandidate(→)を先に突けという法則。 (3)【終盤】Q+Nの組み合わせは、Q+Bよりやや相性がよいという法則。もっとも、棋譜データベースを使った近年の統計調査によるとほとんど差はない。Capablancaは第3代世界チャンピオン。
capture:(敵駒を)取る。なおrecaptureは、味方の駒を取ってきた敵駒を取り返すこと。
cash in:「現金化する」、つまりポジショナルな優位や攻撃の効果を駒得に変換すること。
castle:(動詞)キャスリングする。口語では「キャする」とも言う。 (名詞)Rの別名。古い言い方である。
castle into it:慣用句で、「敵が攻めようとしているサイドにキャスリングして、すぐ厳しい攻めを受ける」の意味。 例:Euwe - Alekhine 1935年世界選手権第14局。1.d4 Nf6 2. c4 g6 3.Nc3 d5 4.Bf4 Nh5? 5.Be5 f6 6.Bg3 Nxg3 7.hxg3 c6 8.e3 Bg7 9.Bd3 o-o?? 10.Rxh7! ですでに白勝勢。10...Kxh7は11.Qh5+ Kg8 Bxg6でつぶれ。
castling:キャスリング。Kがチェックを受けている場合(castle out of check)、敵駒の効き枡を通過する場合(c. through check)、移動後にチェックになってしまう場合(c. into check)には行なえない。実戦ではRを動かす手と区別するため、必ずKを先に動かす。当然Kの動きと見なされ、もし反則手だった場合はタッチアンドムーブでKを動かさねばならない。
 初心者向けの心得として「なるべく早くキャスリングせよ」と教える人がいるが、キャスリング自体は中央にすぐには効かない手のため、中央の主導権争いに遅れるおそれがある。また「K2手+R1手」分の大きな動きであり、Kが安全な限りは左右へのキャスリングの可能性を残すのが柔軟な指し方となることがある。
castling by hand:→artificial castling
Catalan bishop:【序盤】Catalan Openingにおいてg2にフィアンケットされた白B。
category:(1)カテゴリー。参加者のレイティング平均によって決まる国際競技会の格付け。両性共通称号の場合、平均2251〜2275をカテゴリー1とし、25点刻みに1段階上がる。女子称号では共通称号の200点下。ノーム計算の基礎となる。 →norm  (2)ソ連/ロシアはじめ東欧諸国で、candidate master(1)(→)より下の層を、強い方から第1カテゴリー、第2カテゴリー…と分類している。「級」と訳してもいいだろう。
cavalry:騎兵、Nの比喩的表現。 →artillery、infantry
CBMChessBase Magazine。データベースと連動した、CD-ROM/DVDを媒体とする電子チェス雑誌、隔月刊。そのサイトはチェスニュースのページとして人気が高い。
CC:→correspondence chess
Centaur:advanced chess(→)のプレイヤー。
center(米)、centre(英):センター、中央。d4、d5、e4、e5の4つの枡。その周囲を含めた16の枡を指すこともある。
center pawn:dファイルとeファイルのP。
centralization:セントラリゼーション、中央進出。ピースを中央に寄せていき、働きを高めること。逆はdecentralization。
Centrini's Rule:【終盤】チェントリーニの法則。B+P対Bの終盤において、劣勢側のKがPの前に入れない時、Pの進むべき枡を通る短い斜線(→short diagonal)が3枡以下なら負け、4枡以上ならドローという法則。 例:白Kf7,g6,Bd4、黒Kf5,Bh6。白先。1.Be3! Bf8! 2.Bd2!でツークツワンク。しかし初形を1路左に寄せると、1.Bd3 Be8 2.Bc2 Bh5と4つ目の枡に逃げて受かる。
chameleon echo:→echo
cheapo:戦術的な罠。見え見えの安っぽい罠(cheap trick)というニュアンスがある。だまし手。
check:チェック(する)、王手。別にチェックの際に発声する必要はない。公式の対局ではむしろ発声しないのが当然のマナーである。これも間違って説明している日本語の入門書がある。
checking distance:【終盤】ラインピース(主にR)がチェックを続けるために必要な間合い。 例:白g7,Kf7、黒Rd8。1...Rd7+ 2.Kf8 Rd8+ 3.Ke7 ではこれ以上チェックできない。黒Rがもう1路遠くcファイルにいれば、3.Ke7 Rc7+とチェックを続けて白Pの昇格を防ぐことができる。
checkmate:チェックメイト(する)、詰み(詰ます)。チェックをかけられていて、合法な手がひとつもない状態。古くはcheck and mateという形も用いられた。一般の英和辞典に「王手詰め」という訳語が載っているが、そんなことばは誰も使わない。英和辞典の中にしかない日本語の一例である。
Chess960:→Fischerandom
chess blindness:強いプレイヤーが非常に簡単な手を見落とす状態をこう表現する。たとえば世界ベスト10クラスのあるプレイヤーが、時間切迫でバックランクの1手メイトを逃したことがある。空白の一瞬、というやつだ。(ラテン)amaurosis schacchisticaとも言う。
chess board:→board
chess bum:チェスごろ。チェスにはまって身を持ち崩した人。将棋の真剣師を「くすぶり」と言うが、それに近い語感がある。
chess clock:【用具】チェスクロック、対局時計。消費時間を計るため、2つの時計をつなぎ、上部のボタンを押して一方を止めると他方が動き始めるようにしたもの。駒を動かした手でボタンを押すのがルールになっている。競技会で初めて使われたのは1867年。近年は累加秒など複雑な方式に対応するデジタル式のものが増えた。
Chess Collectors International:【組織】美術的なチェス駒など、関連品コレクターの国際団体。→リンク
chess column:チェスコラム。新聞雑誌のチェス欄。
chess culture:チェスの教養。チェスの技法はほとんどが過去からの蓄積である。そのため、個人の経験を超えて過去の知的遺産を身につけておかねばならない。それがchess cultureである。
chess engine:チェスエンジン。チェスソフトの中で、手順の生成と局面の評価選択を行なう中核部分。
Chess Informant:1966年創刊のチェス専門誌。FIDEの機関誌でもある。ベオグラードに編集部があり、セルビア・クロアチア語ではSahovski Informator。外国語の知識がいらないよう、棋譜中の駒を図で示し、解説用の記号体系を作り(その一部は→付1)、ECO code(→)を採用した。現在は年3回刊、トップクラスの棋譜を毎号数百局掲載している。掲載局は「54/204」(第54巻第204局)のように表記される。→リンク
chess league:チェスリーグ。クラブを単位とする対抗戦で、シーズン中の毎週末に、伝統的持時間の長いゲームを1、2局ずつ消化していく。上位チームではスポンサーを獲得し、強化のためにプロを雇うことも多い。独Bundesliga、英Four Nations Chess League(4NCL)など。また米United States Chess Leagueでは都市対抗の形でネット対戦を行なっている。
クラブ対抗戦の意義:
 先進国ではクラブ対抗のリーグ戦が長時間の競技チェスへの入り口となっている。熱心な人は毎週出場し、そうでない人はたまに補欠で指せばよい。また盤を並べて対局するのだから、自然に強い人の指導も受けられる。集団への帰属意識が強いと言われる日本人には特に向いていそうだが、存在しない。1局の持時間は短いのに週末をまるまる潰すウイークエンド大会があたり前と思われている。
 チェス先進国の組織は、まず各都市のクラブがあり、地域のリーグができ、それが集まって国の協会やFIDEができていった。つまり下から上へのボトムアップ式である。その過程で妙な人(支配欲の強い人、実力以上の肩書を欲しがる人、強いプレイヤーに劣等コンプレックスを抱く人など)は支持を失うから、運営の中枢に進んでしまうことも少ない。ところが後進国では、まずFIDEと関係をつけた人からトップダウン式で組織ができてきた。最初の世代はやむを得なかったとしても、世代交代をどうやるかが各国の課題である。
Chess Life:アメリカのチェス雑誌(USCFの機関誌)。
chessmen:【用具】チェス駒。実戦用としては、抵抗感なく動かせ、倒れにくいよう重りが入り(weighted)、底が薄いフェルト張りで、表面がつや消しのものがよい(光ると見にくい)。公式のサイズはKの高さ85〜100ミリ、その底面直径が高さの40〜50%。材質は「木かプラスチック、その模造品」と規定されている。 →Staunton chessmen
chess nationality:チェス国籍。FIDEレイティングの処理をどの国の協会を通じて行なっているかを示し、レイティングリストにIOC方式の3字略号で記載される。実際の国籍との関係は、協会により異なる。ただし世界選手権予選・オリンピックなど、FIDE主催の競技会に国を代表して出場するには実国籍が必要になった。別の国の協会への移籍(transfer)は、移籍先協会の同意と事務費用の払込みだけで行なうことができる。
Chess Oscar:チェスオスカー、年間優秀チェスプレイヤー賞。1967年から各国チェスジャーナリストの投票で選ばれてきた。1997年からはロシアの雑誌"64"が主催している。→リンク
chess server:チェスサーバ。オンラインのチェス対局場。ICC(→)、FICS(→)、Playchess(→)、World Chess Live、InstantChessなど。短時間のゲームが多いが、比較的長い持時間で対戦するグループや大会もある(→付4、付5)。ほかに通信戦専用のサーバもある(Chessworld、GameKnot、RedHotPawnなど)。
オンライン対局の注意点:
 短時間の対局が多いが、時計を押し棋譜を取る必要がないし、周囲の対局に気を取られることもないため、OTBより長く感じるものだ。慣れていないからと言って自分独自の持時間で押し通すと、実はその持時間に不慣れな相手とばかり対戦する結果となり、実力は測れない。主流の持時間に合わせるようにしたい。また、高いレイティングの相手としか対戦しないというのも同様で、実力を測定できない。
 短時間のゲームでは、盤面のサイズとコントラスト、手の入力方法、駒の移動スピードなど設定をよく調整しておきたい。また長時間のゲームでは、画面ではなく別に盤駒を置いて考えるほうがいいかもしれない。慣れもあるが、画面では集中しにくい人もいる。
 時差も問題だが、日本の夕刻にはアメリカよりヨーロッパのサーバのほうが人が多い。最後に、寝不足と目の疲れにはよくご注意を。
chess set:【用具】チェスセット。盤と駒を組にしたもの。ただし「駒一式」の意味で使われている場合も多い。
chess table:【用具】チェステーブル。対局用のテーブルで、表面にチェス盤がはめこまれているもの。木の象嵌が多い。
circuit:(1)サーキット。GM/IMノームの取得できる国際大会を開くには、多彩な国籍の選手が必要になる。そこでタイトルに必要な2、3回のノームを連続して取れるように、近隣の国々が持ち回りで開く一連の大会をmaster/grandmaster circuitと言う。 (2)Nが往復するルートをこう表現することがある。
claim:クレイム、申し立て。対局中に、ゲームの進行についてプレイヤーが行なう申し立て。自分の手番中に、自分の持時間を使って行なう。タッチアンドムーブの指摘、同形三復や50手ルールによるドロー、時間切れによる勝ちなど。相手が同意しなければアービターに確認を求めることになる。これらはいずれも申し立てがあって初めて成立するのであり、たとえば同形が何回生じようがどちらもクレイムしなければゲームは続く。それゆえ、第三者(アービターを含む)が勝手に指摘すると助言となるおそれがあるので注意されたい。 参考→illegal move。 なお対局後に行なう不服申し立てはappeal(→)である。
classical center:古典的センター。中央4段目にPを2個並べた形(白ならd4,e4)。古典的な序盤では、まずこの形を作ることを目標としていた。
classical chess:古典的、伝統的チェス。いろいろな意味があり得るが、(1)advanced chess(→)やrandomized chess(→)に対して、通常のルールのチェス。 (2)FIDE time control(→)など短い持時間に対して、伝統的持時間(→次々項)のチェス。 (3)1998年以降、FIDE champion(→)に対して、伝統的なマッチによってタイトルを獲得したプレイヤーをclassical chess championと呼ぶことがある。98-00年はKasparov、00年-現在はKramnik。 (4)classical style(→次項)のチェス。
classical style:クラシカル・スタイル。駒をすばやく展開し、中央をPで占領し、そこから直接的な攻撃を狙う古典的な戦略。Tarrasch、Rubinsteinが代表的なプレイヤー。少し前ならKeres、今ならAnandが近い棋風である。 →hypermodern
classical time control:伝統的持時間。国際競技会では、戦前は「30手120分+15手ごとに60分」、戦後は「40手150分+16手ごとに60分」から「40手120分+20手ごとに60分」と徐々に短くなり、90年代末ごろからは指しかけをなくして「40手120分+次の20手60分+終局まで30分」が伝統的な持時間である。これは所要時間からseven-hour sessionとも言う。最近はさらに累加秒(→increment)を組み合わせることもある。→FIDE time control
後進国の錯覚:
 日本には短い持時間の大会しかない。先進国のプレイヤーは、さほど強くなくともクラブのリーグ戦や国際オープン大会で長時間のゲームをあたりまえに経験している。つまり日本でそれなりのレイティングがあっても、実は「終盤をはじめマスターの高度な技術が発揮しにくい短い持時間でなんとか一定の勝率を上げる人たち」にすぎない。だから先進国のプレイヤーに比べると、レイティングの数字は同じでもチェスの理解には大差がある。20年、30年の競技歴があるのにチェスをまともに教えることができない。たまに外国の長時間の大会に参加しては、首をひねりながら帰ってくる。
classic bishop sacrifice:キャスリングしたKに対するh7/h2へのBサクリファイス。Greek gift(グレコの贈り物)とも言う。 →Greco's Mate(2)、double bishop sacrifice
class player:アメリカ等の国で、Expertより下の層を強い方からClass A、Class B....と分類するが、その層のプレイヤー。tournament player(→)のうちの初級・中級と言える。 →category(2)
class prize:クラス賞。スイス式の大会で、一定以下のレイティングの参加者だけを対象に与えられる賞。一度取ると次回からは上のクラスに編入されるのがふつう。
clearance:クリアランス、解放。ある枡(またはライン)を別の駒に使わせるために、今いる駒をどけること。駒に着目すれば、「じゃま駒消去」ということになる。 枡の場合はsquare c.またはspace c.、ラインの場合はline c.と言う。vacationも同義。 squareの例:白Qf7,Ne5,h6、黒Kh8,Rg8,e7,h7。 1.Qf6+! exf6 2.Nf7#。 lineの例:白Qd1,Rh1,g6、黒Kg8,Rf8,f7,g7。 1.Rh8+! Kxh8 2.Qh1+ Kg8 3.Qh7#。
clock move:正式の競技ルールであるtouch move(→)に対して、駒に触っても時計を押すまでは着手を完了したと見なさず、手を変えてもよいという非公式のルール。「時計を押す=着手の完了」という意味。
clock simul:計時同時対局。通常の同時対局と違って、対局時計を使って双方に時間制限を行なう同時対局。比較的強いプレイヤー数人を相手にするのがふつう。Kasparovが各国の代表チームと行なった一連の試合が有名。なおネットの同時対局では計時を行なうのが普通である。
closed:クローズド、閉じた。Pが多数ブロックし合っていて、開いたラインの少ない局面。
 閉じた局面とはいつか開く局面である。いろいろなブレイク(→break)の可能性によって、いつどういう形で開くかを含みに駒繰りを行なっていくわけだ。だからまずオープンな局面の指し方を十分に体得するのが先決である。それができないうちは形だけまねてもまったく理解はできないだろう。
closed file:クローズドファイル。双方のPが残っているファイル。 →open file
Closed Game:【序盤】closedの通常の意味とは別に、「1.d4 d5」で始まる定跡を総称する場合がある。この場合「1.d4に対して1...d5以外」をSemi-Closed Game、「1.e4 e5」をOpen Game、「1.e4に対して1...e5以外」をSemi-Open Gameと呼ぶ。通常、大文字で書かれる。やや古風な呼び方。 →ECO code
closed tournament:クローズド大会。オープン大会(→open)に対して、参加者の限られた競技会。主催者の招待によるもの(invitational t.)と、予選通過者だけが参加できるもの(qualified t.)とがある。
club player:クラブプレイヤー。地域・職場・学校などのチェスクラブに所属して、気軽な対局や対抗戦を楽しむプレイヤー。当然、その国のチェスの普及度・組織率・伝統によって技術レベルは大きく異なる。たとえばあるイギリスの著者は「平均的なクラブプレイヤー」をレイティング1600前後としているのに対し、イスラエルの著者は2000強としている。 →social player、tournament player
CM:→candidate master(2)
coach:コーチ。trainer(→)とも似ているが、どちらかというとアマチュアに指導をする人の場合が多い。その場合は「レッスンプロ」と訳すこともできよう。
coffee-house chess:コーヒーハウス・チェス。(1)16〜18世紀ごろ、当時流行したコーヒーハウスを舞台に行なわれたチェス。パトロンを得て職業プレイヤーが現れ、ルールの統一や盤上の技術が大いに進んだ。 (2)現代では、喫茶店で指すような気軽な対局を言う。軽蔑的に用いられることもある。
color(米)、colour(英):色。 (1)枡の色。 (2)駒の色。ルールには濃色と淡色としか書いていないが、実際に公式戦で使われるのは「白と黒」か「茶色の濃淡」のいずれかのみである。 (3)転じて白(先手)か黒(後手)かという手番を意味する。手番を決めるには、一方が白黒のPを1個ずつ取り、中がわからないよう両手に握って差しだし、相手に選ばせる。
color barrier:色の壁。ある相手に、白番なら勝ったことがあるが黒番ではないという場合、「色の壁」があると表現する。
color weakness:特定の色の枡の弱み。たとえばBlack(dark) square weaknessなら黒枡の弱み。BとPは自分と同じ色の枡にしか利かないため、盤上の残り方が偏るとある色の枡が守りにくくなる。 例:1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 c5 5.a3 Bxc3 6.bxc3、黒は中央のPを白枡に固定し、さらに黒枡Bを交換したため、黒枡が弱くなっている。
combination:コンビネーション。連続技、複合技。基本手筋の組み合わせによって大きな利得を得る鮮やかな手順。一時的なサクリファイスを含むことが多い。
commit:(自陣の)形を決める。形を決めず柔軟なままにしておく手をnon-committal(またはnon-committing) moveと言う。
柔軟性の原則:
 形勢互角のうちはcommittingな動きを避け、柔軟な態勢を保つのが原則である。では、どういう手がよりcommittingなのか。
●まずもっともcommittingな手とは、後戻りのきかない手である。駒の交換、Pの前進(特に中央)、左右にキャスリングできる状態でのキャスリング、キャスリング権を失う手などがそうだ。
●それ以外の手では、一般に値段の高い駒の動きほどcommittingである。たとえばKやQをある枡に動かせば、敵はその枡を目標にして手得したり、両取りをかけたりしやすい。committingな手とは、言い換えると相手に逆用されやすい手である。
●選択肢の多い駒を動かす手は、選択肢の少ない駒の手よりcommittingである。たとえば序盤では、Nが1手で展開できる枡は2〜3種類なのに対し、Bには5〜6種類ある。Nをまず動かし、Bの位置決定を後に残すほうが柔軟である。
●ただしラインピースは、同じライン上の枡はすべて1手で移れる。たとえばBf1-b5と展開しても、c4,d3,e2へは1手で戻れる。しかしNは、Ng1-e2と展開するとf3に方向転換するのに2手かかる。この意味ではNの手のほうがややcommittingである。
communication:連絡。特に、左右両翼の間ですばやく駒を移せるかどうかを言う。 →space advantage
compensation:代償。特に、駒損に対する代償(手得、陣形の差、攻撃の可能性など)を言う。
competitive player:競技プレイヤー。social player(→)に対して、なんらかの競技会に参加するプレイヤー。つまりclub player(→)とtournament player(→)の総称と考えてよい。
complicated position、complication:複雑な局面。
composer:【作局】作局家。composition(→次項)を創作する人。
composition:作局。実戦に対して、プロブレムやスタディなど創作された問題。創作物ではあるが、国際的な慣習として、作者名・出典・発表年を記せば自由に転載できることになっている。
computer cheating:ソフト指し。オンライン対局で、ひそかにチェスソフトを使うこと。computer abuse、また短くcomp cheatとも言う。最近は小型通信機器の発達によって実戦競技会でも問題になり始めた。
computer notation:【記譜】駒の発着枡だけを示す記譜法。 例:1.E2E4 E7E6 2.D2D4 D7D5 3.B1C3 F8B4。市販のチェス専用コンピュータでは、この方式を使って4桁のデジタル表示で手を示すものが多い。coordinate n.とも言う。
concrete variation:直感に頼らず、綿密に読んだ手順。c. analysis、c. calculationも同様で、きっちり読みを入れる、という意味。
congress:チェス大会。本来はchess congressでチェス関係者の会議であったが、並行して大会を開くのが通例となり、今では大会だけを指すことが多い。
conjugate squares:【終盤】→corresponding squares
connected passed pawns:連結パスポーン。隣合ったファイルにある複数のパスP。実際に斜めにつながっている必要はない。連携して前進するときわめて強力で、6段目に2個並ぶとRかそれ以上に匹敵すると言われる。 →protected passed pawn
connected pawns:連結ポーン。隣合ったファイルにあり、互いに守り合うことが可能な複数のP。実際に斜めにつながっている必要はない。united p.とも言う。 →separated pawns
connected rooks:連結ルーク。互いに守りあった2個のR。好形である。逆はdisconnected。
consolidation:整形。混乱している駒の調和を取り戻し、安定した形にすること。
consultation game:相談対局。一方または双方が、複数のプレイヤーの相談で指し手を決める対局。相談している側をalliesまたはconsultantsと表現する。
continuation:手順。
control:(1)利き。ある駒がある枡に利いていること。 (2)支配。ある枡/ラインに敵より多くの駒が利いていて、自由に使える(または敵に使わせない)状態。
control notation:【記譜】本稿でも使われているように、「白Ke2,Qe3,b3、黒Ka7,Re6,Rh6,b7」など駒の位置をひとつずつ示す記譜法。
conversion:(1)駒割りや陣形の小さな優位を、エンドゲームによって勝ちに持っていく(変換する)こと。→squeeze(1) (2)【終盤】パスPを進めていき昇格させること。
cook:(1)実戦ではrefute(→)に同じ。 (2)【作局】作意以外に解答条件を満たす解を示すこと。余詰指摘。 →bust、demolition
coordinate:(名詞)座標。枡を表すためのa〜h、1〜8の座標。 (動詞) →coordination
coordinate squares:【終盤】→corresponding squares
coordination:協調。複数の駒の働きの調和。cooperationも同じ。
cordon:【終盤】哨戒線。基本メイト(→basic mates)において、裸のKが安全に動ける範囲の外周。 例:白Kc8,Ra6、黒Ke8。黒Kの動ける範囲はeファイルより右、第7ランクより上である。1.Ra7 Kf8 2.Kd8とcordonを狭めていけばよい。
corner:隅。a1、h1、a8、h8の4つの枡。
corral:馬囲い。白Be5、黒Nh5のように盤端のNを中央のBで封じ込める手筋。domination(→)の一種。
correspondence chess:通信戦。「CC」または「corr.」と略す。郵便・電報・電子メール・電子掲示板などを使い、対局者が直接対面しない対局すべてを指す(ただしオンラインでのリアルタイム対局は除く)。伝統的に書籍やデータベースを使った序盤・終盤の調査(research)は許されているが、ソフト指しの可否については議論が多い。なお、地上郵便による対局だけを指す場合はpostal chessという。 →over-the-board
通信戦の特徴:
 昔は、近くに相手のいない人でもチェスが楽しめるのが大きなメリットだったが、これはリアルタイムのオンライン対局が出現して消えてしまった。他のメリットとしては、持時間が長いのでゆっくり考えられる、分析の習慣と技術が身につく、時間切迫による悪手がまずない、定跡手順も間違えないから最先端の研究を試しやすい、などがある。
 逆にデメリットとしては、持時間が長いために読みだけに頼りがちで、短時間で正着を判断する技術(棋理の理解)が伸びないことがある(若い頃のKeresにもその傾向があった)。また個人競技としても問題が多い。考慮時間が生活の時間と共通なため、要するにヒマな人が有利である。しかも複数の対局が同時進行するため、どのゲームにどれだけ時間をかけるかの綾があり、なんらかの理由でマークされる人は明らかに不利だ。さらに近年はソフト指しの問題も大きい。
correspondence notation:【通信】【記譜】通信用記譜法。外国語の知識がいらないよう、ファイル、ランクともに1〜8とする座標で駒の発着枡を示す。キャスリングはKの発着枡で示す。ICCF numeric(数字式)とも言う。 例:「1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4」は「1.5254 3735 2.7163 4746 3.4244 3544」となる。
corresponding squares:【終盤】対応枡、呼応枡。Pが固定された終盤において、一方のピースが占める枡と、その時他方のピースが占めるべき枡の組み合わせ。PエンディングにおけるK対Kの場合が多いが、ほかにもQ対Kの場合、B対Nの場合にも発生し得る。異名が多く、companion s.、co-ordinate s.、conjugate s.、sister s.とも言う。opposition(→)は対応枡のもっとも簡単な例である。
counterattack、counterchances、counterplay:(1)反撃。 (2)【序盤】またCounter Attackは黒の定跡名としても使われる。
counter-gambit:【序盤】カウンターギャンビット。 (1)白のギャンビット(→gambit)に対して、黒がPを捨て返す定跡。すぐに捨て返す場合と、白のギャンビットをいったん取って、後で捨て返す場合とがある。 例:1.d4 d5 2.c4のQueen's Gambitに対して、2...e5はAlbin C.G.という定跡。 (2)広義には、黒によるギャンビットすべてを指す。 例:1.e4 e5 2.Nf3 f5?! はGreco C.G.。
counter-pin:カウンターピン。味方の駒をピンしている敵の駒を、逆にピンすること。 例:白Ke2,Qe3,Rb6,Rh4,b3,b5,h3、黒Ka7,Qe7,Re6,Rh6,a6,b7,c5。白先勝(B.Horwitz、1873年作)。Qをピンされて絶望に見えるが… 1.Rbxe6 Rxe6 2.b6+ Kxb6(2...Kb8? 3.Rh8)3.Rh6! と逆にピンして勝ち。これは縦横2方向からのdouble pinでもある(3...Rxh6 4.Qxe7)。
counter-sacrifice:カウンターサクリファイス。 相手の捨て駒に対して駒を捨て返すこと。
counting:【終盤】Pエンディングの双方がパスPを進める状況(→pawn race)で、互いの昇格までの手数を数えて優劣を判断すること(tempo-counting)。簡便ではあるが、shouldering(→)など相手を制約する手筋を見損じるおそれがあり、あまりお勧めできない。
cover:(動詞)(1)抑える。守るべき枡に駒が利いていること。 (2)駒が敵駒のラインを塞いで、重要な駒(たいていはK)を守っていること。 →pawn cover
cramped position:態勢が低く、駒繰りの難しい窮屈な陣形。
critical position:クリティカル・ポジション、危機的局面。変化が多く、そこでの決断で形勢が大きく分かれるような緊張した重要局面。手どころ、勝負どころ。念のため、このcriticalはcrisisの形容詞で、criticの形容詞ではない。「批判的局面」とした翻訳書があったが誤りである。
cross-check:クロスチェック、逆王手。味方Kへのチェックを防ぎながら同時に敵Kにチェックをかけること。
cross-pin:→double pin
crosstable:(総当り競技会の)星取表。
cumulative score:累積スコア。タイブレークの一法。 →tie-break
cut-off:【終盤】カットオフ、遮断。ラインピース(通常R)によって敵Kの動きを制約する手筋。 例:白Ra8,Kh8、黒Ke6、d4。白先勝ち。黒KがPを守って進めていければドローになるが、1.Ra5!と遮断すれば1....d3 2.Ra3! d2 3.Rd3で簡単に勝ち。
-D-
Damiano's mate:ダミアノのメイト。盤端のKをPとQでメイトする形(白Qh7,g6、黒Kg8,Rf8,g7など)。Damianoは16世紀イタリアのプレイヤー。
dangerous corner:→safe corner
dark bishop、dark-colored bishop:黒枡ビショップ。黒い枡を移動するB、つまり最初c1/f8にいるBのこと。dark-squared b.とも言う。 →light bishop
dark square:黒枡。色の濃いほうの枡。black squareも同じ。
database:【用具】棋譜データベース。棋譜管理、手順・局面の検索、ツリー表示などができる。1局を単位とするもの(ChessBase、Chess Assistant)と、局面を単位とするもの(BookUp)とがある。局面単位のものは移行(→transposition)を処理しやすい反面、ある局面までの手順は確定できない。またMac用ではExaChessがある。また局数は限られるがオンラインで利用できるものもある。→Chessgames。本稿の著名局もこのサイトへのリンクを利用している。
decisive:決定的、という一般の意味のほかに、「(ドローでなく)勝負が着いた」の意味になることがある。 →accept
decline:(1)相手の捨て駒(特にギャンビット(→gambit)されたP)を取らないこと。たとえば1.d4 d5 2.c4 e6はQueen's Gambit Declinedという定跡。 (2)ドロー提案を拒否すること。 →accept
decoy、decoying:捨て駒によって敵ピース(特にK)を危険な枡に引き出す手筋。attraction、luringとも言う。引き出し、誘い出し。その時の捨て駒がdecoy(囮)である。ただし、deflection(→)と区別せず使う人もいる。実例は→Reti's mate(9.Qd8!!)
defense(米)、defence(英):(1)受け。相手の攻撃に対処すること。 (2)守り。ある枡に敵駒が入れないようにする、あるいは駒が取られた時にすぐ取り返せる状態にすること。ヒモをつける。 (3)【序盤】黒のさまざまな定跡名、大文字で書かれる。Sicilian D.、Grunfeld D.など。
deferred:【序盤】ある定跡形を、通常より遅れて組む定跡。delayedとも言う。 例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5に対して、3...d6をSteinitz Defenseと言うが、3...a6 4.Ba4としてから4...d6と指すのをS.D.Deferredと言う。 →accelerated
deflection:捨て駒によって守り駒を移動させ、その利きをある枡から外させる手筋。ずらし。distraction、diversionも同じ。ただし、decoy(→)と区別せず使う人もいる。 例:白Kd6,e7,Nf5、黒Kf7,Ng4,h7、白先勝。1.Kd7? Nf6+ 2. Kd8 Ne8では失敗。黒Nの利きをずらすには……1.Nh6+! Nxh6 2.Kd7でQができる。
delay mode:ディレイ方式。対局時計の設定で、ボタンを押してから一定秒数の間は他方の時計を始動しない方式。つまり1手ごとに持時間を追加するが、使い残しの秒数は累加しない。Bronstein modeとも言う。Bronsteinは1951年の世界選手権挑戦者。囲碁のNHK杯は1手30秒、それを超えると通常の持時間に食い込むが、あれがdelay modeである。 →Fischer mode
demolition:(1)→destructive combination。 (2)【作局】bust(→)とcook(→)の総称(動詞はdemolish)。不完全指摘。
demonstration board:【用具】解説・表示用の大盤。マグネットか差込み式だが、最近は実際の盤のセンサーから情報を受けて、自動的に電光表示するものもある。
departure square:出発枡。ある1手において、駒が初めにいた枡。 →arrival square
depth:探索深度。チェスソフトの読みの深さをプライ(ply、半手)単位で表した数字。
descriptive notation:【記譜】記述式記譜法。古い英米の本に見られ、「英米式」(English n.)とも言う。局面によっては手を正確に表現しにくく、現在では廃れた。ただしcファイルとfファイルのPを総称してBP(Bishop's Pawns)と呼ぶなどの略称は、代数式記譜法の本でもよく使われる。
記述式記譜法:
 1)手を「(動く駒)−(到着枡のファイル名+ランク番号)」で表現する。
 2)すべて大文字を用いる。駒名はPでも省略しない。
 3)ファイルは、最初にそのファイルにいた駒の名前で呼ぶ。aファイルから順にQR(queen's rook、以下同様)、QN、QB、Q、K、KB、KN、KRファイル。ただしa-c、f-hファイルについて、「K」「Q」を省いても手を特定できる場合は省く。
 4)ランクは、各プレイヤーの手前から数える(つまり黒の手では代数式の逆になる)。
 5)駒を取る場合、「x」の後に(到着枡でなく)取った駒を書く。アンパッサンには「e.p.」を付す。
 6)複数の手が考えられる場合は、動かす駒(取られる駒)を、最初にいたサイドにより「K」「Q」を頭に付して特定する。または駒名の後にファイル名かランク番号を後に付して特定する(例:B(N)、R(6))。Pの場合はファイル名で特定する。
 7)キャスリングは代数式と同じ「o−o」「o−o−o」。
 8)昇格はたとえば「P-Q8(Q)」のように書く。
 記譜例:次項の棋譜を記述式で書いておくので、比較されたい。1.P-K4 P-K3 2.P-Q4 P-Q4 3.N-QB3[Ng1-f3と区別する] N-KB3[同様] 4.P-K5 KN-Q2[KN=f6のN] 5.P-B4[c2-c4は指せないのでこれでよい] P-QB4[f7-f5と区別] 6.N-B3 N-QB3 7.B-K3 Q-N3 8.R-QN1? PxP 9.KNxP[Nc3xd5と区別] B-B4 10.N-R4 Q-R4ch 11.P-B3 BxN 12.BxB NxB 13.P-QN4 N-B6ch。
 9)変種として、Nを「Kt」と書く、第1ランクの数字を省略する、キャスリングを「Castles」とことばで書く、などの場合もある。
desperado:(西)デスペラード。 (1)取られそうな駒を、最大のダメージを与えるために強制的に取らせにいくこと。投げ捨て。原義は「命知らずの無法者」。 例:1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5 Nfd7 5.f4 c5 6.Nf3 Nc6 7.Be3 Qb6 8.Rb1? cxd4 9.Nxd4 Bc5 10.Na4 Qa5+ 11.c3 Bxd4 12.Bxd4 Nxd4 13.b4、ここで黒Qが逃げれば14.Qxd4で傷のない形だが、13....Nf3+!(desperado) 14.gxf3 Qd8で白のKサイドがひどく弱まった(尾崎行孝−西村裕之、'95日本選手権)。  (2)ステイルメイトに持ち込むために押し売りされる駒。時にkamikazeとも表現される。 →rampant rook
desperation:絶望的な形勢の側が最後の攻撃に出てくること。もがく、暴れる。「最後のお願い」。上のdesperadoと混同しないように。
destructive combination:敵ポーンカバー(→pawn cover)のどれかをピースで取って捨て駒とし、Kの守りを破壊するコンビネーション。demolitionとも言う。
development:展開。ピースを最初の位置から前方に進めていくこと。
DGT clock:【用具】Digital Game Timer。累加秒ほか多彩な持時間設定のできるFIDE公認のデジタル対局時計。
diagonal:ダイアゴナル、斜線。Bの動く、斜めに連続した枡の列。「a2-g8の斜線」のように起点と終点の枡で表す。チェス盤が2色に塗り分けてあるのは、主に斜線を見やすくするためである。
didactic position:例題、原理図。実戦や作局ではなく、なんらかの棋理や手筋を説明するために作った局面。
different colored bishops:→opposite colored bishops
difficult position:指しにくい局面、難局。「難解な局面」ではない。 →complication
direct mate:【作局】直接メイト。通常のルールに従い、限定手数でメイトできる初手(→key)を求めるプロブレム。
disconnected pawns:→separated pawns
discovered attack、discovered check:ディスカバード・アタック(チェック)。ラインピースの利きを止めていた味方の駒が動くことで、ラインピースが敵駒を攻撃すること。それがチェックなら、ディスカバード・チェック(開き王手)。2つの駒が同時に敵駒を攻撃する可能性があり、強力な手筋となる。実例は→windmill。 単にdiscoveryとも言う(「発見」ではなく「カバーを外す」の意)。
distance:(1)盤上で、ある枡から別の枡までの距離。たとえばa1とe1なら4枡と数えるのがふつう。 (2)【終盤】tablebase(→)において、ある局面からメイトまたは別の駒割り(駒の捕獲か昇格によって変わる)までの手数。前者をd. to mate(DTM)、後者をd. to conversion(DTC)と言う。
distraction、diversion:→deflection
domination:ドミネーション。敵のあるピースが動けるすべての枡(またはひとつのライン上のすべての枡)を直接・間接に支配すること。 例1:白Kf7,Ra2,b2,黒Kh7,Bc8,Nc7。白先勝(J.Fritz、1950年作)。1.Ra1(狙いRc1とRh1#)Bb7 2.Ra7 Nb5! 3.Rxb7! Nd6+ 4.Ke7 Nxb7 5.b4! 白KとPで黒Nをdominateしている。以下Kd7-c7xb7を防げない。 例2:白Kg2,Nc2,a5,f2、黒Kc6,Bh6,h2。白先勝(R.Reti、1922年作)。1.Nd4+ Kc5(1...Kd5? 2.a6、ほかは2.Kxh2で勝ち) 2.Kh1!! ツークツヴァンク! 2...Kd6はNf5+、ほかのKの動きは3.a6でPが止まらず、黒Bが動ける6つの枡はすべてNフォークを食う。
double:(動詞)(1)重ねる。同じライン上にラインピースを2個並べること。 (2)ダブルPを作る。
double attack:ダブルアタック、両取り。1個の駒で敵の2つの駒を攻撃すること。チェスの駒はRPを除いてすべて単独で両取りをかける可能性がある。 例:マスター同士の最短手数局。Z.Djordjevic - Kovacevic Bela Crkva 1984 1.d4 Nf6 2.Bg5 c6 3.e3?? Qa5+ 0-1
double bishop sacrifice:h7/h2へのBサクリファイス(→classic bishop sacrifice)に続けてg7/g2にもう1個のBを捨てる連続捨て駒。実戦での初出はLasker対Bauer戦とされる。Lasker sacrificeとも言う。
double check:ダブルチェック、両王手。ディスカバード・アタックによって、2つの駒が同時に敵Kにチェックをかけること。相手はKを動かすしかなく、強制力が強い。実戦例は →Reti's mate
doubled pawns:ダブルポーン。同じファイルにある味方どうしの2つのP。縦に重なったPは互いに守りあえず、終盤でパスPを作る力も弱いために弱点になり得る(逆に言えば、もともとパスPを作れない場所で、隣のファイルにPが残っていればほとんど問題ではない)。中盤では同時に生じる駒交換やオープンラインの価値との総合判断が必要。なお3つ重なればtripled、4つならquadrupledである。
Double King Pawn Opening:【序盤】1.e4 e5で始まる序盤の総称。Open Game(→)に同じ。
double pin:ダブルピン。敵駒を2つの方向から同時にピンすること。そのうち、ピンの方向が直交するものをcross pin(十字ピン)と呼ぶ。 例:白Kb2,Qd4,Bd2,黒Kh6,Qb8,Bc7,b4,f7,h7。白先勝(A.A.Troitzky、1930年作)。2度のダブルピンが現れる。1.Qf6+ Kh5 2.Qf5+ Kh6 3.Be3+ Kg7 4.Qg5+ Kf8 5.Bc5+ Bd6 6.Qe5!! Kg8 7.Bxd6 Qd8 8.Qg3+ Kh8 9.Be5+ f6 10.Qg5! 白勝ち。 もうひとつの例は→counter-pin
Double Queen Pawn Opening:【序盤】1.d4 d5で始まる序盤の総称。Closed Game(→)に同じ。
double rook ending:双方にRが2個ずつ残った終盤。R1個ずつではないので注意。
double rook sacrifice:動いていない2個のRを、敵Qに続けて取らせるサクリファイスの大技。 実戦例としてAlekhine対Levenfish戦を挙げておく。
double step:2枡前進。Pが初めの位置から2枡動くこと。
down:駒損の状態を意味する。a rook downならルーク1個損。同じ意味で〜minus、〜behind、〜to the deficitという表現もよく使われる。 →up
Dragon bishop:【序盤】Sicilian Dragon Variationという定跡においてg7にフィアンケットされたB。
draw:ドロー、引き分け。1)双方の合意(draw by agreement)、2)パーぺチュアル(千日手)等の同形三復、3)ステイルメイト、4)50手ルール、5)双方の戦力不足、6)QPF(→)における時間切れ+相手の戦力不足、の6つの場合がある。終局後には結果を示すため、両Kを倒して交差させ、盤中央に置いておくことがある。また両手のひとさし指をX字に交差させたサインはドローの結果または提案を意味する。
ドローの意義:
 第一に、形勢判断が複雑になる。たとえば「六分四分で有利」と言っても、10回指して6勝4敗になりそうなのか、4勝2敗4和か、それとも2勝0敗8和なのか。また、「どちらが有利か」の判断よりも「有利の程度がドローの幅を超えているか」の判断のほうが難しい。知らない人には想像もつかないだろう。また棋風の違いも出やすい。
 第二に、先手の利を中和している。ドローのないゲームで研究が進むと、全部先手勝ちになるおそれがある。囲碁は昭和初期にそういう状態に近づいてコミを導入したし、将棋の名人戦では最近10年間(55期〜64期)の先手勝率が7割を超えている。チェスでは「先番の利」が「ドローの幅」とうまく釣り合っている。白が勝つか、黒がドローに逃げ込むか、あるいは白の指しすぎを誘ってうっちゃるか、研究が進んでも興趣は失われない。
 第三に、競技会の観戦もおもしろくなる。結果が3種類ある分、展開が多様になるし、大詰めでは他のゲームの進行を見ながら互いにドローで満足するか勝ちにいくかという駆引きがある。 →play for one/two/three result(s)
 日本には戦略目標が1種類しかなく、結果も2種類しかないゲームがある。チェスより複雑だと思っている人が多いらしいが不思議でならない。サッカーやボクシングでもドローの名勝負は多い。チェスはドローが多くてつまらないという人は、「自分は内容を味わう力がない」と告白しているだけである。ドローの名局としては古典のImmortal Draw(→)のほかにFischer対Tal戦が有名。
drawing master:ドローの名手。ドローがきわめて多いマスター。ただし強くなくてはいけない。昔ならPetrosian、今ならLekoが代表的。
draw in hand:ドローを確保して。特に白が、負けの可能性を最小にしながら勝ちを追求する指し方を言う。
drawish:「ドローになりやすい」または「(証明は難しいが)おそらくドローになりそうな」。
drawn:「ドローになった」または「(双方が正しく指せば)ドローになるはずの」。
draw offer:ドロー提案。公式のルールでは、自分の手を指した後、時計を押す直前にのみ提案できる。棋譜用紙に、手の後に「=」の記号で記録することになった。
draw(ing) of lots:抽籤。総当りの大会で対戦順を決めるために、またマッチや団体戦で色(手番)を決めるために行なう。国際戦の場合、同国籍の選手が早く対戦するよう制約を加えることがあり、これをrestricted d.o.l.と言う。
dual:【作局】作意以外に解答条件を満たす手順。余詰。
dynamic equality、dynamic equilibrium:動的平衡。双方に攻撃の可能性があり、活発な変化が予想されるが、形勢は拮抗していてほぼ互角の局面。
dynamic factors:動的要因。形勢判断の要素のうち変化しやすい要素、すなわち駒の働き、手の損得、Kの攻撃等を言う。 →static factors
-E-
ECE:【終盤】Encyclopaedia of Chess Endings。5巻本の終盤戦事典。Chess Informant刊。
ECF:【組織】English Chess Federation。イングランド・チェス連盟。→リンク。 旧名はBritish C.F.だったが、管轄はもともと狭義のEnglandだけであった。2005年に改名。
echo:【作局】エコー。ある局面から、ひとつまたは複数の変化の中に、位置を変えてそっくりの手順・形が現われること。ひとつの手順中に連続して現われる場合をseries e.(連続エコー)、ふたつの変化に現われる場合をparallel e.(並行エコー)と言う。実戦解説でも時に使われる。 例:白Ka6,Rg7,Bf2、黒Kd8,Bf6,Bg2,d3,g4。白先ドロー(F.J.Prokop、1925年作)。1.Bh4! Bxh4 2.Rxg4の後、(a) 2...Bf2 なら3.Rxg2 d2 4.Rg5! d1/Q 5.Rd5+ Qxd5ステイルメイト。(b) 2...Bf1 なら3.Rxh4 d2 4.Ka5! d1/Q 5.Rd4+ Qxd4ステイルメイト。2つの変化がこだまのように響きあう。この例のように白枡上と黒枡上に場所を変えて現われるものをchameleon e.(カメレオン・エコー)と言う。
ECO:【序盤】Encyclopaedia of Chess Openings。5巻本の序盤定跡事典。Chess Informant刊。1974年に初版刊行開始、1巻2年弱のペースで改訂を進め、2005年現在第4版が刊行中。「ECO4」のように版数を後ろにつけて呼ぶ。手順と独自の記号体系だけで、自然言語による解説がまったくないのが特徴。約15万局分の情報を収める。1999年にはダイジェスト版の1巻本Small ECO、2003年にはその第2版が刊行された。1巻本の定跡事典としてはもっとも情報量が多く、特に流行形にはかなりのページ数を割いている。
ECO code:【序盤】ECOコード。創案者の名前からRabar Indexとも言う。「A00」から「E99」までの500のコードを使う全序盤の分類法で、チェス界の標準となっている。
ECOコードの概要:
 A:A00-09が各種Flank Opening(1.b3、1.f4、1.Nf3等)、A10-39がEnglish(1.c4)、A40-59が雑多なSemi-Closed Game(Budapest、Benko等)、A60-79がBenoni(1.d4 Nf6...c5)、A80-99がDutch(1.d4 f5)。
 B:B00-09が雑多なSemi-Open Game(1.e4 d5、Nf6、d6等)、B10-19がCaro-Kann(1.e4 c6)、B20-99がSicilian(1.e4 c5)。
 C:C00-19がFrench(1.e4 e6)、C20-49が雑多なOpen Game(1.e4 e5)、C50-59がItalian(1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4)、C60-99がSpanish(1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5)。
 D:D00-09が雑多なClosed Game(1.d4 d5)、D10-19がSlav(1.d4 d5 2.c4 c6)、D20-29がQGA(2...dxc4)、D30-69がQGD(2...e6)、D70-99がGrunfeld系(1.d4 Nf6...g6...d5)。
 E:E00-09がCatalan系(1.d4 Nf6 2.c4...3.g3)、E10-19がQID等、E20-59がNID、E60-99がKID。
 詳しくは→Bill Wall's Chess Page内のECOコード表を参照。
edge:(1)盤端(edge of the board)。a、hファイルと第1、第8ランクの枡を言う。rimも同じ。 (2)わずかな優位。
EG:【終盤】終盤分析とスタディの専門誌。1964年創刊。
elastic band:輪ゴムのナイト。ディスカバード・アタックを利用したNによる駒得の手筋。 例:白Bb5,d4,e5、黒Bd7,Nc6,d5,e6。1...Nxe5! 2.Bxd7 Nxd7とNが伸びて戻ってP得。
-elect:たとえば規定数のGMノームを達成して、総会でのタイトル承認を待つだけの人をGM-electと呼ぶ。 →norm
electronic board:【用具】電子チェス盤。盤にしこんだセンサーによって駒の動きを捉え、指し手の記録・送信・計時などを自動的に行なえるチェス盤。sensory boardとも言う。
elimination:(1)除去。敵駒を取って、盤上から取り除くこと。 (2)→knockout tournament
Elo:Arpad Elo氏の創案したレイティング・システム。またその点数。1959年にUSCF、1970年にFIDEが採用してチェス界では広く普及している。本稿の関連用語には【Elo】のラベルを付した。「ELO」と書くこともあるが、略号ではない。また「国際レイティング」の意味に限って用いる人もいるが、ほとんどの国内レイティングもEloシステムに従っており、誤用である。
Eloレイティングに関する注意:
 よくある誤解のひとつは、違う時代のレイティングをそのまま比較することである。レイティングはある時点での相対比較にすぎず、プレイの質をそのまま示すわけではない。現在の2600のプレイヤーは(インフレがなければ)過去の2600のプレイヤーより、チェス界全体の進歩のぶん技術は上のはずである。歴史的なレイティング比較については、Eloシステムを改良した→Chessmetricsが面白い。またレイティングの基準点は自由に決められるため、他の競技・集団のレイティングとの比較も無意味である。分布のようすから集団の性格を推測することはできる。
 さらには、数字を気にして内容の面白いゲームが減る、上位者に対して白でドローを目指す人が増える、などマイナス面もある。上位者に白で初めからドローを目指すのは、技を学ぶ機会を放棄すると同時に、相手のチェスの楽しみを奪う行為である(そんな下位者には、教えてあげようという気持ちも失せるものだ)。レイティングは「下がれば上がりやすくなり、上がれば下がりやすくなる」のだから、目前の数字にこだわらず堂々とぶつかっていく人のほうが上達が早く、長期的にはレイティングも高くなる。
 Elo理論と現実との整合にも疑問が残っていることは忘れてはならない。たとえば点の高い相手だけと対戦すれば、自分の点を不当に高く保つことができる。またどの人も、システムに「低い点で入って高い点で出て行く」のが通例であるため、長期的には全体がデフレになる。対策としてなんらかのボーナス点で上方修正を加えることが多いが、完全にバランスさせることは不可能である。たとえばFIDEレイティングは年4、5点のペースでゆるやかなインフレ傾向にあるが、特に対策は取られていない。
FIDEレイティングの計算法:
 レイティングの計算方式はさまざまあるが、FIDEレイティング等の計算式を示しておく。
    新レイティング=旧レイティング+(P−Pe)×K
 ここでK=1局ごとの変動を決める定数(→K-factor)、P=獲得ポイント、Pe=対戦相手の平均レイティングとの差から算出した予想獲得ポイント。
 たとえば1800の人が平均1920の相手と6局指したとする。120点差の期待勝率は33%なのでPe=6×0.33=1.98。実際には健闘して3.5ポイント取ったとする。FIDEの場合K=15なので(3.5−1.98)×15=22.8、次回のレイティングは23点上がって1823となる。
勝率とレイティング差の関係は→このページで確認できる。
Encyclopaedia, the:【序盤】→ECO
endgame、ending:(1)エンドゲーム、終盤。駒数が減り、Kへの攻撃の可能性が薄くなった段階。ending(エンディング)もほぼ同義だが、endgameに比べるとさらに単純な局面であることが多い。その時残っている最強の駒に注目して、Qエンディング、Rエンディング、…Pエンディングと分類する。 (2)【作局】ではスタディ(→study)のことを単にendgameと呼ぶことがある。
終盤の重要性:
 終盤の研究には3つの意義がある。1)実戦に生じた終盤を正確に指せる。2)優勢の中盤を簡明に勝てる。3)駒の働きのわずかな違いに敏感になる。 また、序盤や中盤の研究より結果がはっきり出るため、棋理も身につきやすい。終盤がわかって初めて、長期的な戦略や、終盤(Pの昇格)と中盤(Kへの攻撃)をからめた駆け引きがわかるようになる。無知な者どうしが1手30秒の闇試合やなれあいのドローを繰り返すだけで、わかるようになるはずがない。終盤がわからないとは、チェスがわからないということである。
English notation:【記譜】→descriptive notation
en passant:(仏)アンパッサン。「e.p.」と略す。2枡前進した敵Pを、その直後に、隣の列5段目のPで取ること。
en prise:(仏)アンプリーズ。駒が次に取られる状態にあること。当たり。
epaulet(te) mate:エポレット・メイト。盤端でR(またはP)に挟まれているKを、Q1個(またはRとその他の駒)でメイトする形。 例:黒Kg8,Rf8,Rh8、白Qg6でメイト。黒Kh6,h5,h7、白Rf6,Ne6でメイト。エポレットとは軍服の両肩につける肩章のこと。
equal、equality:形勢互角。互角の表現としてはeven、levelもよく使われる。
equalize(米)、equalise(英):イコライズ。互角化。劣勢側が形勢を挽回して互角に追いつくこと。特に序盤で、黒が白の先手の利を打ち消して互角にすること。互角にする手をequalizerと言う。
 黒の序盤の方針としては、まずこの状態を目指すのが本筋である。消極的なようだがそうでない。高いレベルの対局で白が負ける理由としては、黒がイコライズに成功しているのに、白がまだ先手の利を保っていると錯覚して指しすぎ、とがめられる場合が多い。また、互角(equalized)とドローになりやすい(drawish)とは違う。ドローになりにくい不均衡な(→imbalance)互角の局面に到達できれば、後は腕しだいである。
established rating:【Elo】本(確定)レイティング。十分な対局数(通常20〜30局程度)によって計算された信頼性の高いレイティング。競技会参加や称号取得の条件となることがある。 →provisional rating
evaluation:局面評価。特に、綿密な分析やコンピュータによる客観性の高い評価を言う。assessmentもほぼ同義。 →judgment
evaluation function:局面評価関数。チェスコンピュータが一定の公式に基づいて局面の優劣を数値評価するための関数(functionは「機能」ではないので注意)。
Evergreen Game:【名局】常緑の局。Anderssen対Dufresne戦(Berlin、1852年。白勝ち)の異名。→棋譜
Excelsior:【作局】(ラテン)エクセルシオール。自陣にいるPが、さまざまな狙いのからみによって前進していき、一気に昇格に至る手順。実戦解説にも時に使われる。原義は「より高く」。 例:Schuster - Carls, Bremen 1914 1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nf6 5.Ng3 h5 6.Bg5 h4 7.Bxf6? hxg3! 8.Be5 Rxh2! 豪快な技が決まる。9.Rxh2 Qa5+! 10.c3 Qxe5+!! 11.dxe5 gxh2 白投了。
exchange:駒の交換。trade、また口語的にswapも同じ。
駒交換の重み:
 チェスでは、取られた駒は永久にゲームから消える。だから単純に見える駒交換が重い意味を持っている。たとえばバックランクで1手で詰む形ができても、敵の大駒が全部消えれば関係はない。むしろ逃げ道を空ける1手を省略したことになる。あるいはRPと「悪い色」のBが残っても、どこかでBを交換できれば問題にならない。またKを攻められていてもQ交換で終盤に持ち込めば、その瞬間互角以上になることもある。1個の駒交換でも最終盤までの影響を考えなくてはならない。
 これに対して将棋では、取られた駒も盤上に戻ってくるため長期的な影響は少ないし、好形・愚形がわかりやすい。たとえば桂を渡すと頓死する形ができれば、桂を渡さないように攻めなくてはならない。自陣の形は手を入れない限りずっと「愚形」である。将棋出身者はこの違いに気づかず、チェスの駒交換を非常に簡単に考える傾向がある。エンドゲームも知らずに「チェスは駒を交換していくとドローになる」などと言う人は、難しさがわかっていないだけである。
exchange,the:エクスチェンジ。R1個と小駒(BかN)1個の交換。the exchangeと定冠詞をつけて使う。ふつうの「交換」の意味と混同しないこと。Rを取った側をexchange up、逆をexchange downという。またthe exchange for a pawnというと、「(R)対(小駒+P)の交換」の意味になる。ちなみにラテン系の言語では(仏)qualiteなど「質」を意味する単語で表現される。
exchange sacrifice:エクスチェンジ・サクリファイス。小駒を取ってRを捨てるサクリファイス。
exchanging combination:清算コンビネーション。連続した駒の交換を強制して、簡明な勝ち(またはドロー)の終盤に持ち込むコンビネーション。一般にコンビネーションと言うとサクリファイスを含むが、この場合は含まないことも多い。simplifying c.とも言う。
Expert:【称号】アメリカなどの国で、マスターのすぐ下の層をExpert(USCFレイティングでは2000-2200)と呼ぶ。ある本で「チェスの専門家」と訳していたが大間違い。せいぜいアマの腕自慢程度。
exposed king:Pのカバー(→cover)がなくなり、無防備になっているK。
extended fianchetto:拡大フィアンケット。通常のフィアンケットは「g3+Bg2」等の形だが、「g4+Bg2」または「g3+Bh3」の形を言う。あまり使われない。
extra:駒得・手得を意味する。たとえばan extra pawnとあれば、単に「P1個得」の意味である。「特別」や「余分」という意味はないので注意。
-F-
fairy:フェアリー。通常と異なるルールを使った実戦や作局。
family check:ファミリーチェック。NによるKとQへの両取り。王手Q取り。royal forkとも言う。
FA:【称号】FIDE Arbiter。IA(→)に次ぐFIDEの審判員資格。
FAN:→figurine algebraic notation
FBCE:【終盤】Fine's Basic Chess Endings→BCE(2)
FEN:Forsyth-Edwards Notation。ASCIIテキストによる局面の記録フォーマット。Forsyth記法(→)に手番やキャスリングの可否などの情報を追加したもの。ファイル拡張子は「.fen」。PGN(→)の一部として開始局面の指定にも使われる。
fianchetto:(伊)フィアンケット。序盤に、Bを盤の対角線に(b2/g2/b7/g7に)展開すること。bファイルの場合をQueen f. 、gファイルの場合をKing f.と言う。複数形は-ttoesだが、イタリア語文法に従い-ttiとされることもある。原義は「小さな翼(flank)」。
FICS:【組織】Free Internet Chess Server。世界最大の無料インターネット対局場。サーバ時間はGMT-8で、日本時間-17(夏時間中は-16)。夏時間は3月第2日曜から11月第2日曜まで。→リンク。 →付5:ICC/FICSのStandardトーナメント。→ICC、Playchess
FIDE:【組織】世界チェス連盟(Federation Internationale des Echecs)。1924 年創立。仏語の略号のため、英語においても「フィデ」と発音する。→リンク。英語の正式名称はWorld Chess Federation。近年、世界選手権制度の崩壊、持時間の強引な短縮(→FIDE time control)、公式タイトルの安易な拡大、財務面の不透明など不評が続き、Federation avec l'Intention de Detruire les Echecs(チェス破壊策謀連盟)と呼ぶ人もある。
FIDE Album:【作局】FIDEの編纂する作局集。3年ごとに刊行。入選するとポイントが与えられ、その累計によって実戦チェスに準じた称号が授与される。
FIDE champion:FIDEチャンピオン。 (1)1993年、世界チャンピオンKasparovとShortの間で「世界選手権」と銘打つマッチがPCA(→)の主催で行なわれ、FIDEはこの2人をレイティングリストから削除し、別にマッチを行なってチャンピオンを決定した。93年Karpov対Timman戦と、96年Karpov対Kamsky戦である。この時期のKarpovが、PCAチャンピオンKasparovに対してFIDEチャンピオンと呼ばれた。 (2)さらに1998年以降、FIDEの新方式(ノックアウト方式、早指しによるプレーオフ)によって選ばれたチャンピオン。98年Karpov、99年Khalifman、00年Anand、02年Ponomariov、04年Kasimdzanov。
 FIDEは2000年の総会で、世界選手権はじめ主催の全大会を90分+1手30秒累加の「FIDE持時間」で行なうと決め、チェス先進国の協会や長考派のGMたちから強い反発を受けながら強行した。多数のトップ選手がFIDE選手権をボイコットした上、運の要素の強い方式のため、世界ランキング20位以下の選手の優勝が頻発した(99年、02年、04年)。そして2005年10月、改めて伝統的な持時間による選手権を開催することになった(ブルガリアのTopalovが優勝)。持時間が短いほど高度な技術を発揮しにくいのだから、腕のいいプレイヤーほどいやがるのは当然である。 →classical time control、World Championship

FIDE Master:【称号】GM、IMに次ぐ称号。「FM」と略す。1978年制定。GM/IMと違ってノームは必要なく、確定レイティングだけで取得できる。
FIDE rating:【Elo】FIDEレイティング、国際レイティング。現在は年4回発表される。リスト登載の下限は2300→2200→2000→1800→1400と順次拡大された。国内レイティングは不要になるだろう。
FIDE time control:FIDE持時間。90分+1手30秒累加の持時間。アジア大会等でこの持時間の競技をClassicと称しているが、欺瞞そのものである。なお2004年以降は40手目に15分または30分を加える場合もある。 →classical time control
field:(1)Kの周囲の8つの枡(King's field)。 (2)競技会の参加者全体。たとえばstrong fieldと言えばレベルの高い大会のこと。
fifty move law:50手ルール。ポーンの移動も駒の捕獲もないまま50手を経過すると、どちらかのプレイヤーの申し立て(→claim)によりドローにできるというルール。スタディ(→study)では適用しないことがある。
 一時期、メイトに50手以上かかる例外的な局面(K+N+N対K+Pなど)について制限を75手や100手に延ばすというルールが存在した。しかしコンピュータ解析によって例外が次々に見つかり(中には200手以上かかるものもある)、また実戦では劣勢側が疲労によるミスで負けることが増えたため、すべて50手に統一された。間違った説明をしている日本語の入門書があるため、特記しておく。メイトがゲームの最終目的という点から考えるとすっきりしないが、わずかな配置の違いで結果が変わることになり、よりおもしろくなったとも言える。
figure:P以外の駒、ピース(→piece(1))に同じ。ヨーロッパ各国語ではfigureに対応した語で表現されることが多く、英語でもたまに使われる。
figurine algebraic notation:駒を文字でなく図で表す代数式記譜法。FANと略す。symbolic n.とも言う。本稿では用いないが、チェス駒の図はUnicodeでも定義されている。CodepointはU+2654〜U+265F、HTMLは#9812〜9823。 →algebraic notation
file:ファイル。盤の縦列、a〜hのアルファベットで表す。あるいはそのファイルに初めにいた駒の名前によって、Kファイル、QBファイル等と呼ぶ。column、vertical lineとも言う。
fingerfehler(独)、fingerslip(英):触り間違い。自分の意図と違う駒を触ったり、違う枡に置いてしまうこと。また、そうとしか思えないようなひどい悪手。(ラテン)lapsus manusも同義。 例:2004年女子オリンピックでの1局。1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxa6?? Rxa6....以下黒勝ち。
finish:フィニッシュ、決め手。初学者はending(→)と混同しないように。
fireworks:花火。捨て駒に次ぐ捨て駒の非常に派手な手順を言う。
Fischerandom:フィッシャーランダム。1列目の配置を一定の制限内でランダムに決める新ルールのチェス。1996年、元世界チャンピオンのFischerが序盤の記憶力勝負を避けるために提唱したもので、ネット対局場(ICCではwild22と呼ばれている)やチェスソフトでの対応、世界選手権の開催、レイティングリスト作成とかなり普及してきた。駒の並び方が960通りあるため、Chess960とも呼ばれる(キャスリングが左右非対称のため、駒の並びが左右対称の2つの配置は別の局面である)。なおK、Qの位置が不定なため、通常のQサイドをa-side、Kサイドをh-sideと呼ぶ。たしかに定跡を覚える必要がない上、見たこともない形ができて面白いが、配置によって先手の利に幅があるため多少運の要素がある。
  ルール:まず白の1列目の配置を適宜無作為に決める。2個のBが同色になった場合は、右側のBを(c←→d)か(e←→f)か(g←→h)となるように隣の駒と入れ替え、色違いにする。次にKと2個のRに着目し、R−K−Rの順に並ぶよう入れ替える。黒はその鏡面対称に並べる。キャスリングは通常のルールと同じ制約で行なえ、キャスリング後は常に「Kc1+Rd1」か「Kg1+Rf1」の形になる。KとRの一方だけが動く場合、また同じ方向に動く場合もある。たとえば「Re1,Kf1」の形からa-sideにキャスリングすると、どちらも左に動く。なおキャスリングの際、a1/b1、またはh1に敵味方の駒があってもかまわない。またRの到着枡であるd1/f1に敵の駒が利いていても、その枡をKが通過しなければキャスリングできる。へりに座標の記された盤を使うとキャスリングの際に混乱しにくい。最初の配置をランダムに生成する機能を持ったデジタル対局時計(DGT960)も発売された。 参考文献:Gligoric:Shall We Play Fischerandom Chess?
Fischer mode:フィッシャー方式。sudden death(→)の状況を避けるため1手ごとに持時間を追加する方式。bonus modeとも言う。やはりFischerが提唱した。この設定のできるデジタル式対局時計をFischer clockと呼び、1992年のFischer対Spassky戦で初めて用いられた。 →delay mode、increment
fixed center:白d4/黒d5でeファイルがオープンかセミオープン、あるいは白e4/黒e5でdファイルがオープンかセミオープンの状態。
fixed opening:→thematic tournament
fixed pawn:ブロックされて動けないP。
flag:(名詞)旗。チェスクロックで、長針が正時を過ぎたことを明示するための小さな棒。赤色が普通で、正時を過ぎると長針の先端から外れて落ちる(drop、fall)ようになっている。 (動詞)落とす。相手を時間切れにする。敗勢の局面で相手の時間切れだけを狙って指しつづける人をflaggerと言う。
flank:(1)翼。中央以外の、a〜cおよびf〜hファイルのこと。 wingも同義。チェスでは実際の軍隊と違って、盤外から回り込んで敵の側面を攻撃するわけにはいかない。f. attackは「側面攻撃」ではなく「翼(右翼または左翼)での攻撃」と訳すべきであろう。  (2)側面からの。Rが横からチェックをかけることをf. checkという。
flank opening:【序盤】dポーン、eポーン以外の初手で始まるオープニング。1.b3(Larsen)、1.c4(English)、1.Nf3(Reti)、1.f4(Bird)など。
flight square:逃げ道。Kが動ける枡(king's flight)。
FM:【称号】→FIDE master
focal point、focal square:焦点。複数のラインピースの利きが交差する枡。
fool's mate:フールズ・メイト、愚者のメイト。1.f4 e6 2.g4?? Qh4#など、動いていないKに対する短い斜線からのメイト。「馬鹿詰」と訳す人がいるが、この語には詰将棋において特殊な意味(→helpmate)があるので避けたい。
forced move、forced variation:絶対手(手順)。強制された、変化の余地のない手。一本道。ほかの手ではすぐに敗勢になる場合と、ほかに合法な手がない場合とがある。
forfeit:(1)試合開始時間の遅刻による不戦敗。 (2)反則負け。 (3)時間切れによる負け(time-forfeit)。
fork:フォーク。NまたはPによる両取り。ただしすべての両取りに使う人もいる。
fork trick:フォークを利用した手筋。特に、中央の敵Pをピースで取り、取り返したピースにPで両取りをかける手を言う。 例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.Nc3?! Nxe4! 5.Nxe4 d5ですでに互角とされる。黒は1枡しか進めそうになかったdポーンを、2枡進んだ白のeポーンと交換したことになる。
Forsyth notation:【記譜】フォーサイス記法。局面の記録方式のひとつ。白駒を大文字、黒駒を小文字、空き枡は枡の数の数字で表す。第8ランクから始め、ランクごとに「/」をはさむ。空白のランクが連続したら、合計して「/16/」「/24/」…とする。 例:1.e4の局面は、[rnbqkbnr/pppppppp/16/4P3/8/PPPP1PPP/RNBQKBNR]となる。特に駒数の少ない局面に便利。 →FEN
fortress:【終盤】フォートレス、要塞。通常は負けの駒割りなのに、ほぼ一定の手を繰り返すだけでドローになる安定した守りの形。positional draw(→)の一種。 例1:B+N対Qはふつう負けであるが、Ka1,Bb2,Nd4の形に組むとドローに持ち込める。 例2:白のK+Qに対して、黒Kh7,Rf6,g7。実戦に現われやすいfortressである。この形はPがNファイルか自陣2段目にあれば全部ドロー(ただしRPの場合は3段目)なので覚えておかれるとよい。
free pawn:→passed pawn
freestyle chess:→advanced chess
French bishop:【序盤】1.e4 e6 2.d4 d5のFrench Defenseにおいてc8にいる黒B。中央Pとの関係でバッドビショップになりやすく、これがさばけるかどうかが形勢に直結する。
Fritzy move:チェスソフトが指すような、複雑な局面で人間の直感に反する正確な手。チェスソフトFritzの名前から。
-G-
G/#:(#は数字)指しきりの持時間を示す。GはGameの意。たとえば「G/60」なら1局60分指しきり。
gambit:【序盤】ギャンビット。P(まれにピース)を犠牲にして展開の速さを求める定跡。 例:1.e4 e5 2.f4はKing's Gambit。ピースを捨てる例では1.e4 e5 2.Nf3 Nf6 3.Nxe5 d6 4.Nxf7!?がCochrane Gambit。
game:(1)ゲーム。1局の対局。 (2)【序盤】定跡名、大文字で書かれる。1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 Scotch Gameなど。この名前がつくのは昔からの定跡ばかりである。
Game of the Century:【名局】D.Byrne対Fischer(当時13歳)戦(New York、1956年。黒勝ち)の異名。→棋譜
game point:ゲームポイント。団体戦で、チームの全対局の得点を単純に加えたもの。→team point
gamesmanship:盤外戦術。盤上以外の勝負のかけひき。
GBR code:【作局】Guy-Blandford-Roycroft code。局面を駒の種類と数で分類する4桁+2桁の数値コード。QRBNのそれぞれについて、白駒1個=1、黒駒1個=3とした和を並べて4桁とし、小数点の後に白・黒のPの数を付す。 例:対局開始時の局面は「4888.88」。白K+B+P対黒K+Nの終盤は「0013.10」。主にスタディの分類に使われる。
geometry:部分の形。特に、Kの逃げ道を味方の駒がじゃましている場合に用いられる。
ghost:相手の手がほんとうは狙いになっていないのに、狙いがあるように思い込んだ場合、これをghost(亡霊)と言う。影(におびえる)。 →bluff
Glicko:【Elo】Eloシステムの改良としてMark Glickman教授が考案したレイティングシステム。確定/仮定レイティングの区別を廃し、レイティング偏差(→ratings deviation)を導入した。ネット対局場のFICSで使われているほか、USCFでも導入を検討中。
GM:【称号】→grandmaster
GMA:【組織】Grandmasters Association。1987年創立。Kasparovの主導で作られた、GMを中心とするプレイヤーの組織。World Cup(→)という年6大会からなる個人選手権を主催した。後にPCA(→)に継承された。
GPA:【序盤】Grand Prix Attack。定跡名。Sicilian(1.e4 c5)に対して白がf4からBc4と展開する急戦法。一時期、イギリスのグランプリ(→Grand Prix)のオープン大会で大流行した。
grade、grading:【Elo】イングランド・チェス連盟(→ECF)独自のレイティング。1点差がElo(→)の8点差に相当。経験的な近似では、(gradeの点数)×8+600=FIDEレイティングと見てよい。
Grandmaster:【称号】グランドマスター。(1)チェス界最高位の称号。FIDEが1950年に制定した。2005年10月現在、世界に974人。「GM」と略す。正しくはInternational Grandmasterであり、「IGM」と略すこともある。 (2)ソ連には(1)より前からソ連邦グランドマスター(SSSR grossmeister)というタイトルがあり、これも翻訳書ではgrandmasterと訳される。1950年以前に関する記述では注意しなくてはならない。 (3)歴史的には1914年St.Petersburgの大会で決勝ラウンドに残った5人(Lasker、Capablanca、Alekhine、Tarrasch、Marshall)をこう呼んだのが最初である。この5人をoriginal grandmastersと呼ぶことがある。
grandmaster draw:グランドマスター・ドロー。戦う意志のない、短手数でのドローを言う。対局者は別にGMとは限らない。無気力相撲(?)。
Grand Prix:グランプリ。各国で一定以上の規模のオープン大会をグランプリ対象として入賞者にポイントを与え、年間の通算成績を争う競技。個々の大会とは別に賞金が出る。
Greco's mate:グレコのメイト。(1)隅のKをBとRでメイトする一形。 例:白Ra1,Bc4,Nd5、黒Kg8,Rf8,f6,g7,h7。1.Ne7+ Kh8 2.Ng6+! hxg6 3.Rh1#。 (2)classic bishop sacrifice(→)からKをe7でメイトする形。 例:白Qd1,Bc1,Bd3,Nf3,e5、黒Kg8,Qd8,Rf8,f7,g7,h7。1.Bxh7+ Kxh7 2.Ng5+ Kg8 3.Qh5 Re8 4.Qxf7+ Kh8 5.Qh5+ Kf8 6.Qh7+ Kf8 7.Qh8+ Ke7 8.Qxg7#。Grecoは16世紀イタリアの名手。
Greek gift:classic bishop sacrifice(→)の異名。Greek giftとは通常「トロイの木馬」を意味するが、ここでは関係なく、前項のグレコの名前から来ている。
Grimshaw interference:【作局】グリムショー干渉。2つのラインピースの利きが交差している時、一方がその交点に(駒を取らずに)動くことで、他方の利きが遮断されること。実戦解説では単にinterferenceと言うことが多い。 →Nowotny interference
guard:守り駒。ある枡や別の駒に利いて、守っている駒。
guillotine:ギロチン。sudden death(→)と同じだが、語感がまがまがしく、あまり使われなくなった。
-H-
half-center:ハーフ・センター。中央のPがひと組交換され、d4対e6、e4対d6(またはその裏返し)になった形。
half-move:半手。チェスでは自分の手と相手の手を一組にして1手と数える習慣のため、一方だけの1手をこう呼ぶ。チェス・コンピュータ関係では同じ意味でプライ(ply)が使われる。
half-open file:ハーフ・オープン・ファイル。自分のPはいないが相手のPの残っているファイル。semi-open fileとも言う。
half out:点を分ける。特にgrandmaster draw(→)によって半点ずつを確保すること。
half-pin:ハーフピン。ラインピースが、同じライン上で2つの敵駒をピンすること。 例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5、白Bが黒のNc6とPd7をハーフピンしている。 →pin
Handbuch:(1)【序盤】Handbuch des Schachspiels。1843年から20世紀初頭まで版を重ねたドイツ語のチェス教科書・序盤定跡事典。編者の名前からBilguerとも言う。 (2)【終盤】Lehr- und Handbuch der Endspiele。分析家Cheronによる4巻本の終盤戦事典。初版1952年、第2版1960年。正確で名高い。
hanging:駒がただで取られる状態。浮き駒。en prise(→)と同じ意味だが、口語的な表現。
hanging pawns:ハンギングポーン。敵Pのないファイルにある連結ポーンで、両脇のファイルに味方Pがないもの。孤立ポーン(→isolated pawn)と似た性質を持つ。 例:白a2-c4-d4-f2-g2-h2、黒a7-b6-e6-f7-g7-h7。c4-d4がハンギングポーンである。宙に浮いているという意味。
Harkness:→median
heavy piece:→major piece
hedgehog:ヘッジホッグ(ハリネズミ)。Pを横一線に連ねた壁。特に、1.c4 c5から生じる黒a6-b6-d6-e6の戦形を言う。
helpmate:【作局】ヘルプメイト、馬鹿詰。フェアリー作局のひとつで、双方が協力して白Kを最短で詰ます問題。
hold:しのぐ、持ちこたえる。劣勢の側がドローに踏みとどまること。
hole:ホール、穴。自陣3段目か4段目で、そのファイルのPより前にあり、隣のファイルのPでは守れなくなった枡。敵ピースをPで追い出せないため、弱点になり得る。 例:1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 dxe4 4.Nxe4 f5?はe5に「穴」を残す悪手。
homework:対局に備えて、序盤・終盤の知識を隙なく身につけるための家での事前準備。
horizon effect:水平線効果。チェスソフトが、局面を悪化させる手で無駄に手数を延ばしてしまう現象。未来の不利な局面が、無駄手によって読みの限界(horizon)より遠くに押しやられ、ソフトには見えなくなるため。解決が難しいとされる。
horse:馬。Nの俗称。
house:白なら初形から「Nf3+g3+Bg2+o-o」でできる形の俗称。
human chess:→living chess
hypermodern:ハイパーモダーン。classical style(→)に対するアンチテーゼとして1920年代に起こってきた近代的な戦略。翼から中央への圧力、柔軟性、予防(→prophylaxis)などの新しい考え方を示した。Nimzovitch、Reti、Tartakower、Grunfeldなどが代表的プレイヤー。
-I-
IA:【称号】International Arbiter。FIDEの国際審判員。
ICC:【組織】Internet Chess Club。世界最大の有料インターネット対局場。年会費59.95ドル(学生半額)。対局だけでなく無料の講義、マスターの同時対局、自動の問題集、競技会の中継、さらには有料の指導など多彩な機能がある。サーバ時間はGMT-5で、日本時間-14(夏時間中は-13)。夏時間は3月第2日曜から11月第2日曜まで。→リンク。 →付5:ICC/FICSのStandardトーナメント。 →FICS、Playchess
ICCF:【組織】【通信】International Correspondence Chess Federation。国際通信チェス連盟。→リンク。 →correspondence chess
ICS:Internet Chess Serverの略。 →chess server
IECC:【組織】【通信】International Email Chess Club。電子メール戦の団体。→リンク
IECG:【組織】【通信】International Email Chess Group。電子メール戦の団体。→リンク
if-move:【通信】イフムーブ。通信戦でやり取りの回数を減らすために、相手の応手を仮定して指定しておく手。 例:「1.e4 if 1...c5 then 2.Nf3」(もし1...c5なら2.Nf3)のように書く。if-then move、conditional moveとも言う。
IGM:【称号】→grandmaster
illegal:不法、反則。ルールに違反していること。
illegal move:反則手。ルールに違反した手。チェスでは反則負けにはならず、直前の局面に戻して指しなおす。この時タッチアンドムーブ(→touch and move)が適用される。なお反則手はプレイヤーのクレイム(→claim)とは無関係で、第三者(アービターを含む)が指摘してかまわない。将棋の習慣とは異なるので注意されたい。またFIDEの競技ルールでは、1回目と2回目の反則手は相手の考慮時間に2分を加え、3回目で反則負けとすることになった。
illegal position:反則局面。初形から、ルールに違反した手を経て初めて起こり得る局面。実戦でこのような局面が生じた場合は、復元できるなるべく後の時点まで戻して指しなおす。最初の駒の配置が間違っていた場合は、初形に戻して新たに指しなおす。ただし盤の向きが違っていた場合(つまり右手前が黒枡になっていた場合)は、盤だけを直して続行する。
IM:【称号】→International Master
imbalance:インバランス、不均衡。互いに違う種類の優位を持っていること。駒得対展開、駒の異なる組み合わせ(B対N、R+P対小駒2個など)、違う場所のマジョリティ、違う場所のセミオープンファイルなど。不均衡の多い局面ほどチェスの総合力の差が出やすい。米国のトレーナー、Silmanの用語。asymmetryもほぼ同義。
Immortal Draw:【名局】不滅のドロー。Hamppe対Meitner戦(Vienna、1872年)の異名。→棋譜
Immortal Game:【名局】不滅の局。Anderssen対Kieseritzky戦(London、1851年。白勝ち)の異名。→棋譜
Immortal Zugzwang Game:【名局】不滅のツークツヴァンク局。Saemisch対Nimzovich戦(Copenhagen、1923年。黒勝ち)の異名。→棋譜
inaccuracy:結果を左右するほどではないが不正確な手。緩手、ゆるみ。
in-between move:→zwischenzug
increment:インクリメント、累加秒。1手ごとに追加される持時間。近年この方式が増えてきた。bonus timeとも言う。 →Fischer mode
Indian bishop:【序盤】(1)KID(→)においてg7にフィアンケットされた黒B。 (2)QID(→)においてb7にフィアンケットされた黒B。
Indian defense(s):【序盤】1.d4 Nf6から黒Pが1枡前進する戦法の総称。古いルールでは、Pは常に1枡しか進めなかった。そこで黒Pが初手で1枡進む戦法を、チェス発祥の地とされる「インド式」と呼んだ(という説が有力)。だから、1.d4 Nf6の後、黒が早期にc5を突くBenoni、d5を突くGrunfeldはIndianとは呼ばないのがふつうである。GrunfeldはECO code(→)でも1.d4 d5と同じDに分類されている。
infantry:歩兵、Pの比喩的表現。foot soldierも同様。 →artillery、cavalry
Informator:→Chess Informant
initiative:イニシアチブ、主導権。局面の流れを自分が決定できる状態。
innerswap:Pが敵駒を中央に向かって取ること。逆はouterswap。 例:1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nf6 5.Nxf6+、ここでgxf6(innerswap)と中央に力を集めながらgファイルを開く手、exf6(outerswap)とKサイドを固めてBの道を開く手、どちらも定跡である。
innovation:→novelty
Insufficient Losing Chances:負けのない局面。USCFのQPF(→)で適用されるルール。指し切りの残り時間が2分を切り、「時間が十分にあれば、1400のプレイヤーがマスターに対しても負ける可能性が小さい(10%以下)」局面の場合、アービターに申し立てすることでドローになる。だからよほど単純な局面でないと認められない。なお勝つ可能性の多寡は判断に無関係である。
insufficient material:【終盤】戦力不足。双方が協力してもメイト不可能な戦力。K対K、K+N対K、K+B対K、K+B対K+B(B同色)の4つの場合で、これらの局面が生じたら即座にドローになる。
 私見だが、Q対Q、R対R、あるいは小駒だけ1個ずつの局面になったら、そこから強制的なメイトが証明できない限り即座にドローというルールにしてよいと思う。たとえばN対Nで時間切れ負けにすべきかどうかなどのくだらないトラブルは皆無になる。終盤テーブルベースのある現在、メイトの有無の証明は簡単である。
interfere:インターフェア、干渉。自分のラインピースの利きを味方の駒で止めてしまうこと。 →Nowotny i.、Grimshaw i.
intermediate move:→zwischenzug
intermezzo:→zwischenzug
International Master:【称号】インターナショナル・マスター。GMに次ぐ称号で、1950年にGMタイトルとともに制定。2005年10月現在、世界に2675人。「IM」と略す。
international rating:【Elo】国際レイティング。 →FIDE rating
international tournament:国際大会。特にFIDE称号のノーム(→norm)規定が整備されてからは、GM/IMノーム取得の条件(参加者の国籍、有タイトル者数、平均レイティング等)を満たした競技会を言う。
interpose:合い駒、遮断。相手のラインピースの利き(特にチェック)を味方の駒で止めること。
interzonal tournament:インターゾーン大会。世界選手権で、各zone(→)の代表を集めた大会。「izt」と略す。これを勝ち抜くとcandidate(→)となる。現在は制度が変わって開かれなくなった。
inverted opening:→reverse opening
IPC:isolated pawn couple。hanging pawns(→)のひとつ手前、d4+c3の形。比較的新しい用語。
IQP:isolated queen's pawn。dファイルの孤立ポーン(→次項)。Pの島が「ab/d/fgh 対 ab/efgh(またはabc/fgh)」となり、dポーンが自陣4段目にある局面をIQP positionと呼ぶ。多くの違った定跡から発生し、双方に違った戦略を要求するため重要な概念となっている。
isolated pawn:孤立ポーン。両脇のファイルに味方のPがないP。味方Pで守れないため、攻撃されると弱いが、重要な枡を抑えている場合も多い。isolaniとも呼ぶ。
Italian bishop:【序盤】1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4のItalian Openingにおいてc4に展開された白B。 →Spanish bishop
Italian diagonal:【序盤】1.e4 e5で始まる序盤(Open Game)において、a2-g8の斜線。 →Spanish diagonal
-J-
J'adoube:(仏)ジャデゥーブ。タッチアンドムーブのルールに抵触しないよう、相手に「駒の位置を直します」と伝えるために国際的に使われる。英語では「I adjust」。 →touch and move
jettison:非常手段。差し迫ったメイトの危機から逃れるために駒を捨てること。原義は危険に陥った船が積荷を海中投棄することを言う。
judgment:形勢判断。特に実戦者による主観的な判断を言う。形勢判断の要素は大きく5種類ある。スペース、手の損得、駒の損得、Pの構造、Kの安全度である。 →evaluation、dynamic factors、static factors
-K-
Kashdan:カシュダン。タイブレークの一法。 →tie-break
key:【作局】キー。プロブレムの作意の最初の1手。
K-factor:【Elo】レイティングの計算において、1局の勝ち負けで何点差がつくかを決める定数。大きいほど変動が速くなる。最近のある調査によると、K=24が最適(つまり未来の勝率予測がもっとも正確になる)とされる。FIDEレイティングはK=10(2400以下はK=15)でかなり小さく変動が遅いため、対局数が少ないと信頼性は低い。
KGA:【序盤】King's Gambit Accepted。定跡名(1.e4 e5 2.f4 exf4)。
KGD:【序盤】King's Gambit Declined。定跡名(1.e4 e5 2.f4 Bc5)。
KIA:【序盤】King's Indian Attack。定跡名。KID(→)の形を白が指すreverse opening(→)の一種。
kibitz:(イディッシュ)助言する。あるいは対局を観戦し、コメントする。特にオンライン観戦でよく使われる。
kibitzer:観戦者。特に、上位者の感想戦に口を出すうるさい観戦者。
kick:蹴る。Pを進めて敵のピースを追い払うこと。口語的な表現。
KID:【序盤】King's Indian Defense。定跡名(1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7)。ラテン系の言語では「東インディアン」の意味の名称で呼ぶ。
kill:(駒を)殺す。 →trap(2)
king:キング。
駒の特性:
●一局はKをメイトする(またはそれが不可能になる)ことで決着がつくが、駒が減ってPの昇格を争う終盤にはKも戦いに参加する。では、中盤(Kへの攻撃)と終盤(Pの昇格)の両方の可能性がある時、Kをどこに置くべきか――これがチェス特有の難しさである。将棋にはPの昇格を争うエンドゲームがないため、戦略的には単純である。いきなり王将を隅に移して固める穴熊が有力な戦法になってしまう。
●また、必ずゲームの最後まで残る駒であり、終盤の戦略はすべてKの特性を考えに入れなくては理解できない。チェックが絶対の利きであること、盤端では働きが弱まる上にメイトの可能性が生じること、2点間の移動において最短の経路が多数あることなど。→shoulder off
●終盤での戦闘力はBやNより大きく、安全に活動できるならおよそ4点相当と言われる。
●敵のパスPはKで止めよ。もともと動きの小さい駒なので損害が少ないし、敵のPがKのカバーになる。さらに守りがなくなればすぐに敵Pを取ることができる。
king hunt:キング狩り。敵Kを危険な位置に引きずり出し、メイトを狙って盤上あちこちと追いまわすこと。
kingside:キングサイド。最初にKが位置している盤の半分。e〜hファイル。king's sideとも書く。また初めにKサイドに並んでいた駒を、King Rook(KR)、King Knight(KN)、King Bishop(KB)と呼ぶ。 →queenside
king walk:キングの散歩。中盤で、Kが危険を冒して自ら前線に出て行くこと。
KK match(es):(1)1984年から90年にかけてKasparovとKarpovが戦った5度にわたる世界選手権マッチ。「KK IV」のようにローマ数字をつけて表す。 (2)その前までは、78年と81年にKarpovとKorchnoiが戦った2度の世界選手権マッチを指した(74年の挑戦者決定戦決勝を含めることもある)。
knight:ナイト。
駒の特性:
●利き枡の数は隅で2、中央で8と位置の影響が大きい。特に中央の枡からは1手で攻撃できる枡が31あり、「利き+1手後の利き」は39でB(32)より大きくなる。中央に拠点を持てば非常に強い。
●他の駒を飛び越えられるため、駒密度の影響は受けにくい。「閉じた局面ではBよりNが有利」と言われるが、むしろNの価値は一定で、他のラインピースの価値が駒密度により変動すると見るべきだろう。
●同じ性質から、敵Pをブロックしても働きが落ちにくく、適役である。
●2個のNが守りあう形は互いの動きを妨げあう意味があり、やや働きの悪い形である。→superfluous knight
●Bと違い、手数をかければ盤上のすべての枡を攻撃できる。そのため、Kへの攻撃やパスPを進める際に特に役立つ。片翼だけにPの残った形にも強い。
●終盤で手待ちのできない唯一の駒である。言い換えると、1手で行ける枡に2手かけて行くことができない。また、Pを守ったまま動くこともできない。そのためツークツヴァンクのからむ争いに弱い。
knight player:(1)駒落ちで、マスターにN落ちで指せるプレイヤー。→odds (2)BよりもNを好むプレイヤー。Chigorin、Nimzovichなど。現代ではSmyslovやKarpovにもややその傾向がある。
knight's tour:ナイト・ツアー。(1)Nが、チェス盤(または別の形の盤)のすべての枡を1度ずつ通過する手順を求めるパズル問題。 (2)実戦で、Nによる数手連続の動き。
knight wheel:ナイトの輪。Nが、隣接する2枡を往復するだけの敵駒を連続して攻撃し、円弧を描いて展開する手筋。 例:白Nc3,Be4,f4、黒Kd6,Qe3,c5,d7,e7,f6,f7。1.Nb5+ Ke6 2.Nc7+ Kd6 3.Ne8+ Ke6 4.Ng7+ Kd6 5.Nf5+でQが落ちる。
knockout tournament:ノックアウト方式。2人ずつ対戦し、負けたほうが失格していく、日本でいわゆるトーナメント方式の競技会。eliminationとも言い、たとえば2敗失格方式をdouble e.と呼ぶ。
Kotov syndrome:コトフ症候群。手を何種類も検討した末に、持時間を気にして、最後に思いついた手をよく考えずに指してしまう現象。ソ連のGM、Kotovが著書Think Like a Grandmasterの中で指摘したためこの名がある。
 これを防ぐには、比較すべきいくつかの候補手(→candidate move)を最初に決め、それから読みを入れて比較すればよい。手の読みや局面判断のほか、こういった合理的な思考の技術も重要である。→blunder-check
Koya system:コヤ・システム。タイブレークの一法。 →tie-break
-L-
ladder:ラダー、順位昇降戦。プレイヤーに一定の順位をつけ、下位者が上位者に挑戦して勝つことで順位を入れ替える競技方式。クラブ内でよく行なわれる。
ladder mate:はしごのメイト。2個の大駒でKを連続チェックしてメイトする方法。 例:白Ra4,Rb5、黒Kh6。1.Ra6+ Kg7 2.Rb7+ Kf8 3.Ra8#。
lady, the:貴婦人。Qの比喩的表現。
lapsus manus:(ラテン)→fingerslip
Lasker sacrifice:→double bishop sacrifice
Lasker's ladder:【終盤】ラスカーのはしご。互いにパスPのあるRエンディングで、敵Kを追い詰めて勝つ妙手順。Lasker 1890年作:白Kc8,Rh7,c7、黒Ka5,Rc2,h2。1.Kb7 Rb2+ 2.Ka7 Rc2 3.Rh5+ Ka4 4.Kb6 Rb2+ 5.Ka6 Rc2 6.Rh4+ Ka3 7.Kb6 Rb2+ 8.Ka5 Rc2 9.Rh3+ Ka2 10.Rxh2!でQができる。Laskerは第2代世界チャンピオン。
Lasker's rule:ラスカーの法則。序盤はまずNを、次にBを展開せよという原則。 →commit
Laws of Chess:チェスの公式ルール。FIDEは昔、盤上のルールをLaws、記譜・持時間・封じ手等の対局規則をRulesと呼び分けていたが、現在では統合されている。
legal:合法。ルールに違反していないこと。
Legall's mate:レガールのメイト。次のゲームに現われた小駒3個によるメイト。Legall-St.Brie, Paris 1750 1.e4 e5 2.Bc4 d6 3.Nf3 Bg4 4.Nc3 g6? 5.Nxe5! Bxd1? 6.Bxf7+ Ke7 7.Nd5#。鮮やかなピン破りである。Legallは18世紀フランスのプレイヤー。
lemon:悪手。口語的な表現。
lever:→tension
Levitt's Equation:レヴィットの公式。「(到達できるレイティングの上限)=(その人のIQ)×10+1000」という式。イギリスのGM、Levittが著書Genius in Chessの中で述べた。別に統計的根拠があるわけではない(あまり真剣に受け取らないように、と断りがある)。
Lewis chessmen:【用具】ルイス駒。1831年にLewis島から出土したセイウチの牙製のチェス駒。独特の趣ある意匠で有名で、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』にも登場した。レプリカの駒は今もよく作られ、日本でも海洋堂が製品化している。
lift:Rをファイルに沿って縦に浮かし、中段で活用すること(rook lift)。浮き飛車(?)。
light bishop、light-colored bishop、:白枡ビショップ。白枡を移動するB、つまり最初f1/c8にいるBのこと。light-squared b.とも言う。 →dark bishop
light piece:→minor piece
light square:白枡。色の薄いほうの枡。white squareも同じ。
line:(1)一直線に並ぶ枡の列。ファイル、ランク、斜線の総称。 (2)ひとつの変化手順。
line-piece:ラインピース、線駒。直線の動きをするピース(Q、R、B)。
liquidation:清算。駒を交換して単純化すること。 →simplification
live rating:【Elo】一定期間ごとにまとめて計算して発表される公式レイティングに対して、変動を1大会ごと、または1局ごとに計算した非公式のレイティング。
living chess:人間チェス。仮装した人間を駒として、広場などで行なう。human chessも同じ。
logical:「論理的」であるが、(1)それまでの展開からして論理的、必然的という場合と、 (2)棋理にかなった、の場合とがある。「本筋」とも訳せよう。
Lolli's mate:ロッリのメイト。キャスリングしたKをPf6とQg7で詰ます形。 例:白Qg5,f5、黒Kg8,Rf8,f7,g7,h7。 1.f6 g6 2.Qh6で受けなし。Lolliは18世紀イタリアの名手。
long castling:Qサイドへの「長い」キャスリング。
long diagonal:(1)対角線。チェス盤の対角線を走るa1-h8、h1-a8の斜線。 (2)【終盤】Bエンディングにおいて、ある枡(通常パスPが次に進むべき枡)を通る2本の斜線のうち長いほう。→short diagonal
long range piece:【作局】長射程駒。直線上をどこまでも動ける駒、つまりQ、R、B。line-piece(→)に同じ。 →short range piece
long side:【終盤】広いサイド。終盤でパスPの左右両側のうち広いほうを言う。たとえばdポーンなら、a-cファイルがshort s.でe-hファイルがlong s.である。防御側のRは、チェックを続けやすいよう広いサイドに置くのが原則。 →checking distance
Lopez bishop:【序盤】→Spanish bishop
lose:(1)(1局のゲームに)負ける。losingは「敗勢」、lostはさらに形勢が離れた「必敗」。 (2)駒や手数を損する。lose the exchangeなら「小駒と引換えに自分のRを取られる」。
lose the move:【終盤】(ツークツヴァンクに入れるため)相手に手番(the move)を渡すこと。pass the moveも同じ。なお、不定冠詞を使ったlose a moveなら、「1手損する(lose a tempo)」の意味だが、「手番を渡す」の意味に誤用する人もいる。
Lucena position:【終盤】ルセナ・ポジション。R+P対Rの終盤で、優勢側が7段目のPを昇格させて勝つ基本形。 例:白Kg8,Rf1,g7、黒Ke8,Rh2。1.Rf4! Rh1 2.Re4+ Kd7と黒Kをどかせ、3.Kf7 Rf1+ 4.Kg6 Rg1+ 5.Kh6 Rh1+ 6.Kg5 Rg1+ 7.Rg4!とチェックを止めて勝ち。この白Rが中段でKを守る動きを、building (making) the bridge(橋を作る)と表現する。
Lucena's mate:ルセナのメイト。 →Philidor's Legacy
luft:(独)「空気穴」、つまりキャスリング後にPを突いて作るKの逃げ道。flight、escape squareも同様。
-M-
magic square:→quadrant
main line:メインライン。主変化、本線。定跡や読みの中でもっとも有力と思われる手順。対語はside lineまたはsub-line。
majority:マジョリティ、数的優勢。盤上のある部分(Kサイド、Qサイド、時にはセンター)で、相手よりPの数が多いこと。中盤では敵ピースを追い払う力が強く、終盤ではパスPを作る可能性があるために重要。パスPを作れる状態のものをhealthy m.、形が乱れてパスPを作れなくなったものをcrippled m.、と言う。 →minority
major piece:メジャーピース、大駒。QとR。Kと協力すれば、1個で裸のKをメイトできる。heavy pieceとも言う。 →minor piece
man:駒。
maneuver(米)、manoeuvre(英):マヌーバー、駒操り。特に攻撃を狙うのでなく、働きを高めるために同じ駒を連続して動かすこと。形勢がほぼ拮抗していて互いに急な手がなく、小さな動きを重ねる段階をmaneuvering phaseと言う。
master:マスター。(1)漠然と「チェスの名手」を意味する。 (2)NM、FM以上のプレイヤーの総称。 (3)International Grandmaster(GM)に対して、International Master(IM)だけを指すこともある。
master candidate:【称号】→candidate master
match:マッチ。(1)2人が何局も連続して戦う試合形式。a)局数を決め、一方が過半数のポイントを取った時点で終了する場合、b)局数無制限で一方が先に何局か勝った時点で終了する場合、c)局数を限るが、一方が先に何局か勝つとその時点で終了する場合、d)結果に関係なく一定局数を戦う場合(練習マッチ等)、などがある。 (2)団体戦で、2つのチーム間の1回の対戦。
Match of the Century:世紀のマッチ。(1)冷戦たけなわの1970年、ベオグラードで行なわれたソ連対世界(USSR vs. Rest of the World)の対抗戦。10人(+補欠2人)ずつが各4局を戦い、ソ連が20.5対19.5と辛勝した。同じ形の対抗戦は1984年にもロンドンで行なわれ、ソ連が21対19で勝利した。 (2)1972年、ソ連のSpasskyに米国のFischerが挑戦した世界選手権マッチを言う。
Match of the New Century:新世紀のマッチ。2002年、モスクワで行なわれたロシア対世界の対抗戦。25分+1手10秒の早指し戦で、10人ずつがScheveningen方式(→)で戦い、世界チームが52対48で勝利した。
match point:→team point
match tournament:各人が4局以上の小さなマッチを行なう総当りの大会。近年はほとんど見られない。
mate:→checkmate
material:マテリアル。駒の損得(駒割り)。陣形の乱れや手損を気にせず駒得に走る態度をmaterialismという。
material advantage:駒得。駒の価値(→value of pieces)で計算して1点以上得をしていること。 →positional advantage
mating material:【終盤】メイト戦力。裸のKをメイトするに必要な最低限のピースの組み合わせ。Q1個、R1個、B2個、B1個+N1個、(N3個)のいずれか。 →basic mates
mating net:メイトの網。敵Kの周囲に多数の駒が殺到し、メイトの可能性が生じている状態。
MCO:【序盤】Modern Chess Openings。1巻本の序盤定跡事典。1911年の初版から版を重ね、現在の最新版は2008年刊の第15版(MCO15)。Small ECO(→)やNCO(→)に比べ情報量は半分以下であるが、自然言語による説明が多いため愛用する人もいる。古い定跡にも比較的紙数を割いている。
median:メディアン。タイブレークの一法。 →tie-break
Meredith:【作局】両Kを含めて駒数8〜12個の作品。Meredithは19世紀アメリカの作局家。 →miniature(2)
middlegame:ミドルゲーム、中盤。将棋からの類推で、敵Kへの攻撃を「終盤」「寄せ」と表現する人がいるが、これはミドルゲームである。重大な誤解を招く誤りなので注意されたい。
miniature:(1)短手数局。ふつう25手以下のものを指す。brevityも同じ。 (2)【作局】両Kを含めて駒数7個以下の作品。 →Meredith
minimal:【作局】白がKと駒1個だけの作品。
minor exchange:小エクスチェンジ。Rと小駒の交換をthe exchangeと言うのに対して、BとNの交換を言う。あまり使われない。
minority:マイノリティ、数的劣勢。盤上のある部分(Kサイド、Qサイド、時にはセンター)で、相手よりPの数が少ないこと。 →majority
minority attack:マイノリティ・アタック。P数の少ない部分で、自らPをぶつけていき、相手Pの連係を崩そうとする攻撃。
minor piece:マイナーピース、小駒。BとN。Kと協力しても、1個では裸のKをメイトできない。light pieceとも言う。 →major piece
mirror mate:【作局】鏡のメイト。Kの周囲の8つの枡(→field)がすべて空いている形のメイト。ステイルメイトの場合も同様に言う。
mispairing:ミスペアリング。スイス式の対戦組み合わせの間違い。組み合わせ用のソフトが普及して少なくなった。
mobile center:可動センター。中央4段目にPが並び(d4+e4)、どちらもブロックされていないセンターの形。
mobility:モビリティ、可動性。駒の動きやすさ。
Mona Lisa:【名局】Bagirov対Gufeld戦(Kirovabad、1973年。黒勝ち)の異名。Gufeld自身が使っていた呼び名から。→棋譜
MonRoi:棋譜入力用ハンドヘルド機器のメーカー名。商品名はPersonal Chess Manager。対局者が液晶画面の盤面にタッチペンで手を入力すると自動的に棋譜がPGN形式で記録され、母機へのワイヤレス送信や機器上での棋譜再現ができる。
Morphy's mate:モーフィのメイト。隅のKをBとRでメイトする一形(白Bc3,Rg1、黒Kh8,h7など)。Morphyは19世紀アメリカの名手。
mouseslip:オンライン対局で、マウス操作による手の入力ミス。 →fingerslip
move:(名詞)(1)動き、ではなくて「手」。チェスでは白と黒の1手ずつを合わせて1手と数える。 (2)the moveで「手番」。 (動詞)手を指す。White to moveなら「白の手番」の意。
move-order trick:【序盤】手順トリック。手順の綾。普通の定跡手順を前後させて、相手の作戦選択の幅を狭める手法。 例:1.d4 Nf6 2.c4と指すと、2...c5のBenoni/Benkoや2...e5のBudapestが面倒である。2.Nf3から3.c4とすれば特に損をせずに避けることができる。ただし白もf3やf4は突けなくなるが。
#-mover:【作局】#手詰(#は数字)。プロブレムで、たとえば2手メイト問題をtwo-moverと言う。
mutual simul(taneous):相互同時対局。2人が複数の盤で同時に戦う対局。通常、盤ごとに対局時計を置いて行なう。
mysterious rook move:Rを1段目に沿って、取られるわけでもない味方Pの下に動かす手。予防(→prophylaxis)の一種。 例:白Kf2,Rd1,Bg3,a2,c4,d5,f5,h2、黒Kf7,Rd8,Bd6,a7,b6,c5,f6,h5、Chernin - Alterman Beersheva 1992。黒はBxg3-Rg8-Rg5の反撃を狙っている。白は1.Rh1! とこの狙いを防いだ。
-N-
N:(1)【序盤】新手を表す記号。 →novelty (2)【Elo】基準対局数。Eloレイティング計算の分母となる対局数。チェスでは20〜40局が多い。
National Master:【称号】国内マスター。各国協会が独自に与える称号で、基準は国によって違う。たとえばロシアではIMとほぼ同等、アメリカではレイティング2200以上、デンマークでは1900以上。「NM」と略す。なお、伝統国で個々にNMを授与していたのを、世界的なレイティング制度の整備に伴って統一しようとしたのがFMタイトルである。後発の国がNMを制定するのはあまり意味がない。
NCO:【序盤】Nunn's Chess Openings。1巻本の序盤定跡事典。1999年刊。BCO(→)の後継。ECO code(→)は使われていないが、戦形の並ぶ順序はECOに準じている。
next move:次の一手。実戦かそれに近い局面で妙手を問う問題。puzzle、quizとも言う。日本語の情報でこれを「プロブレム」と呼んでいるものがあるが、誤用である。 →problem
NIC、NiCNew In Chess。定跡研究を主とした上級者向けの雑誌。編集部はオランダ、年8回刊。NICKeyという新しい序盤分類法を用いている。 →リンク
NID:【序盤】Nimzo(vich) Indian Defense。定跡名(1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4)。
NM:【称号】→national master
NN:(ラテン)nescio nomen、名前不詳。マスターの同時対局の相手など、対局者名が記録に残っていない場合に使われる。
norm:ノーム。GM/IM(WGM/WIM)タイトル取得のために必要な基準成績。カテゴリー(→category(1))に対する勝率%の形で規定され、最低9局が必要。タイトル取得にはノームを2回以上達成し、その合計対局数が24局以上あることが必要。
novelty:【序盤】新手。innovationも同じ。昔は注目に値する手だけを新手と呼んでいたが、序盤データベースの普及につれて、「データベースから外れた最初の手」をすべて新手と呼ぶようになってきた。
Nowotny interference:【作局】ノヴォトニー干渉。Novotnyとも書く。2つのラインピースの利きが交差している時、交点への捨て駒を取ることでいずれかの利きが遮断されること。将棋で言う「焦点の捨て駒」。実戦解説にもたまに登場する。 例:白Ne2,d7,h7、黒Ba1,Rd1。RとBの利きが交差している。1.Nd4!でどちらかのPが昇格できる。→Grimshaw interference
numeric notation:【記譜】数字式記譜法。→correspondence notation
Nunn Convention:【終盤】ナン方式。終盤の厳密な分析を解説するための記号使用のきまり。!:ある結果(勝ち/ドロー)に至る唯一の手、?:結果を悪化させる手、??:勝ちを負けにする手、!?:結果は変わらないが相手の間違いの余地を増やす手、など。イギリスのGM、Nunnが著書Secrets of Rook Endingsの中で提唱した。
-O-
obstruction:敵が利用しようとしているライン上に、敵の駒を誘って閉じる(line-closing)手筋。 例:白Kg1,b6,f7,g2、黒Kg7,Rh6,g6、白先。1.b7? Rh8は負け。第8ランクを閉じたい。1.f8/Q+! Kxf8 2.b7でQができる。
occupy:(1)駒がある枡を占める。 (2)ラインピースがあるラインを支配する。
octopus knight:タコ足ナイト。敵陣中央(白ならd6やe6)に入り込み、簡単には追い出せない強力なN。8つの利きがすべて有効に働くようすが8本足を連想させるため。
odds:ハンディキャップ。material o.は駒落ち、time o.は持時間ハンデ、move o.は下手が先に何手か指し、draw o.はドローを下手勝ちとする。
 ある本(Soltis:Karl Marx Plays Chess)は、次のようなハンデの順序を記している。
 1.上手が黒。 2.ドロー下手勝ち(色は不問)。 3.上手白、fポーン落ち。 4.上手黒、fポーン落ち。 5.4.に加えて白が最初に2手指す。 以下は上手白で 6.QR落ち、下手はQN落ち。 7.QN落ち。 8.R落ち。落としたRの前のPを1枡進めておく。 9.Q落ち。 昔は駒落ちも盛んで、たとえばマスターにR(N)落ちで指せるプレイヤーをrook (knight) playerなどと呼んだ。
offer:(1)(強制力の弱い)捨て駒。取ってもいいが、取る必要はない場合を言う。 (2)→draw offer
offside:遊んでいる。駒が主戦場から離れて働いていない状態、out of playに同じ。
Olympiad:チェス・オリンピック。「ol」と略す。2年に一度開催される国別団体対抗戦。男子チームは4人+補欠2人、女子チームは3人+補欠1人の構成(2008年からは男女とも4人+1人になる)。男女合わせ選手だけで千人を超えるチェス界最大のイベント。過去の記録はOlimpbaseというサイトが詳しい。もっとも2002年からは持時間が90分+1手30秒のFIDE持時間となり、競技会の性格がだいぶ変化した。
open:オープン。(1)closedに対して、中央にPの数が少なく、開いたラインの多い局面。開いた局面。動詞なら「(局面やラインを)開く」。 (2)(動詞)白が初手を指す。 (3)(名詞)参加者に特に資格を設けない大会、オープン大会。またオープン大会において、レイティング上限のない最上クラスを言う。 (4)最近の用法として、女子限定の大会(women's)に対して性別不問の大会をこう呼ぶ場合もある。
open file:オープン・ファイル。双方のPがなくなったファイル。semi-open file(→)も含めていうこともある。
Open Game:【序盤】「1.e4 e5」で始まる定跡の総称。 →Closed Game
opening:(1)オープニング、序盤。不可算でThe O.なら「序盤」。可算でan o.なら「(個々の)戦形」。 (2)【序盤】白のさまざまな定跡名。大文字で書かれる。主に白の1手目で決まる。English O.(1.c4)、Reti O.(1.Nf3)など。2手目で決まる例では1.e4 e5 2.Bc4をBishop O.と呼ぶ。
 個々の定跡名は→Bill Wall's Chess Page内のリストを参照されたい。
 序盤定跡の勉強に時間を注ぎすぎる人が多い。序盤の目的はまずまともな中盤を迎えることで、定跡書にはわずかな形勢の違いが書いてあっても、それを最後までキープする中終盤の力がなければ意味はない。マスターのゲームを並べて、中終盤に何が起こっているのかだいたいわかるようになるまでは、駒の展開のパターンを覚え、相手から仕掛けてくる激しい変化の受け方・避け方を知れば十分。相手を困らせるより自分が対応に困らないことをまず目標にすべきである。
opening advantage:【序盤】序盤の優位。白が黒にイコライズ(→equalize)を許さず、先手の利を活かして長期的な優位を築くこと。
open line:オープン・ライン。Pによって妨害されていない、開いた直線(ファイル、ランク、斜線)の総称。
Opera Game,the:【名局】オペラ座の局。Morphy対Duke of Brunswick,Count Isouard戦(1858年。白勝ち)の異名。アメリカの天才Morphyが2人の貴族を相手に、オペラ座での観劇の幕間に指したと伝えられる。→棋譜
opposite colored bishops:色違いビショップ、異色ビショップ。双方にBが1個ずつ残り、それが違う色の枡を動く場合を言う。Bだけの終盤ではドローになりやすいが、中盤では互いにBの利きを受けにくく、むしろ勝負がつきやすい。different colored b.、unlike b.とも言う。
opposite side castling:逆方向キャスリング。一方がKサイド、他方がQサイドと逆方向にキャスリングすること。自分のKのいない翼ではPを前進させやすいため、活発な攻め合いになることが多い。 →same side castling
opposition:(1)【終盤】オポジション。見合い。Pエンディングで、双方のKが奇数個の枡を隔てて向き合い、ツークツヴァンクになっている形を言う。 例:白Kb5,b4,黒Kb7。Kがオポジションを取って、両ツークツヴァンクになっている。黒番なら1....Kc7 2.Ka6と逆に動いて白勝ち。白番なら1.Kc5 Kc7! 2.Kb5 Kb7!と黒がオポジションを保ってドロー。 両K間の枡が1枡のものをdirect o.、3枡以上のものをdistant o.と言う。またファイル上のものをvertical o.、ランク上のものをhorizontal o.、斜線上のものをdiagonal o.、長方形の対角線上のもの(たとえばKc3とKe7)をoblique (またはrectagular) o.と言う。上の例の形(b5対b7)はvertical direct o.である。さらに、オポジションの形だがツークツヴァンクではない場合をquasi-opposition(擬似オポジション)ということがある。 (2)対戦相手。複数の対戦相手を集合的に指す。
otb、OTB:→over-the-board
outbore:退屈な指し方を続けて相手をうんざりさせ、不注意による悪手を誘い出すこと(boreは「退屈させる」)。退屈に耐えるのも能力のうちである。
outcalculate:読み勝つ。相手より深く手を読む。
outerswap:→innerswap
outflank:【終盤】迂回。Pエンディングで、Kが敵Kの側面や背後に回りこむこと。 例:白Kd5,g5、黒Ke7,g6。1.Ke5(縦のオポジション) Kf7 2.Kd6 Kf8 3.Ke6 Kg7 4.Ke7(横のオポジション)Kg8 5.Kf6 Kh7 6.Kf7で次にPが落ちる。
outmaneuver:相手よりすぐれた駒繰りで優勢にする。 →maneuver
outplay:うまく指す。相手よりすぐれた指しまわしで優勢にする。
outpost:アウトポスト。拠点、前進基地。敵陣5、6、7段目で、味方のPが利いていて敵のPは利いていない枡。特にオープン・ファイル上で。ピースが敵陣に侵入する攻撃の拠点となりやすい。strongpointも同じ。
outside passed pawn:アウトサイド・パスポーン。敵K、またはほかのP群からいちばん離れたファイルにあるパスP。distant p.p.、offside p.p.、remote p.p.とも言う。終盤で、敵ピースを引きつけることができる。ただし前進の可能性が薄いと、単なる孤立Pとして弱点となることもある。これを作れるマジョリティ(→majority)がoutside m.で、通常は双方がKサイドへキャスリングした場合のQサイドに生じる。
overextention:伸びすぎ。Pが早く進みすぎた状態。Pが味方の援護を受けられず弱点となる場合と、Pが進んだ後のスペースに敵駒が入り込んでくる場合とがある。
overload:オーバーロード。敵駒が守っている複数の枡のうち、いずれかを守りきれなくすること。overworkも同じ。 例:白Qh4,Ng5,黒Kh8,Rg8,Bg6,h7,g7。黒Bがh7とf7の両方を守っているが…1.Qxh7+! Bxh7 2.Nf7#。
overlook:(動詞)見落とす。
overprotection:オーバープロテクション。味方Pを必要以上に多数の駒で守ること。相手のブレーク(→break)が来た後、味方Pのいた枡やオープンラインを多くの駒が利用できるため、ブレークを牽制する予防(→prophylaxis)の一手段となる。またPを失う心配なく、どの駒も自由に移動できる柔軟な態勢を作れる。 例:白Ra1,Nf3,d4,g2、黒Re8,Nc6,d5,e6。白Rは自由に動けるが、NはPを守るために動けない。他に急ぐ手がなければ、まず1.Rd1と守っておく。黒はe5のブレ−クが難しくなった(1...e5 2.dxe5 Nxe5 3.Rxd5)。また必要に応じてRもNもすぐに動ける。凝り形のようでそうでない。
oversight:見落とし。
over-the-board:人間どうしが実際に盤をはさんで行なう実戦対局。「otb」または「o-t-b」と略す。
-P-
package deal:一括合意。複数の対局の結果を、事前または途中に、まとめて合意により決めること。 (1)チーム戦で、キャプテン同士が行なう。特に昔は、指しかけのゲームが溜まると選手の負担が大きく、有利な指しかけ局と不利な指しかけ局を2局まとめてドローにする、などがよく行なわれた。 (2)スイス式のオープン大会などで、最終ラウンド前に上位のプロたちが一括合意によって入賞賞金を確保することがある。こちらは不正な談合と言われても仕方がないが、防ぐのは難しい。
pairing:ペアリング、対戦組み合わせ。総当り競技会の各ラウンドの組み合わせを示した表をp. tablesと言う。
par:ある大会での成績について、レイティング差から算出される予測スコア(→Pe)どおりの結果。たとえばless than par resultなら予測スコア以下の、レイティングが下がるような成績である。
partial pin:不完全ピン。同じライン上を動くピースに対するピン。 例:白Ra8、黒Kg8、Rf8。f8の黒Rはピンされており、縦には動けないが、横には動くことができる。
passed pawn:パスポーン。同じファイル・両脇のファイルの前方に敵Pがおらず、昇格の可能性が高いP。特に口語で、passerとも言う。free pawnとも言う。
passive sacrifice:受動的サクリファイス。手抜き。駒を相手に取られる枡に動かすのではなく、相手が取りに来た駒を放置して取らせる捨て駒。double rook sacrifice(→)はその一例。
pat:(仏・独・露)ステイルメイト。ヨーロッパの各国語でpatと呼ばれるため、時に英語でも使われる。
Patriarch, the:法王。元世界チャンピオン、Botvinnikの引退後のあだ名。ソ連のチェス界に多大な影響力があった。
patzer:(独)へぼプレイヤー。
pawn:ポーン。通常、ファイル名を付けて呼ぶ(「aポーン」または「QRポーン」など)。ただし終盤の本では左右の対称性を考え、外からrook p.(a/h)、knight p.(b/g)、bishop p.(c/f)、center p.(d/e)と呼ぶ場合が多い。
駒の特性:
●なによりもまず、後戻りのできない唯一の駒である。Pの悪手は致命傷になりやすい。だから相手の進めたくないPをピースの圧力によって進めさせるのは中盤のひとつの狙いになる。
●また、動きと利きが違う唯一の駒である。2枡前進とアンパッサン、昇格のルールとあいまって、もっとも複雑な性質を持つ。「ポーンはゲームの魂である(Philidor)」と言われるのも当然である。本稿でも関連用語が多い。
●駒密度の高いうちは中央から敵駒を追い払う中央Pの価値が高く、駒密度が低くなると遠くにパスPを作れる両翼のPの価値が高くなるという矛盾した性質がある。チェスには「Kへの攻撃」と「Pの昇格」の二つの戦略目標があるためだ。だから中央にPが多い側は駒交換を避け、少ない側は駒交換を求めるのがひとつの基本である。
●RPは他のPと違い、利きが1枡しかない(つまり両取りをかける可能性もない)。しかも終盤の基本形で、RPの時だけ勝てない形が多数あり、他のPよりはっきり価値が低い。ただしNエンディングでは、Nを働きの悪い盤端にひきつけられるため、RPが有利な場合もある。
pawn break:→break
pawn center:2個以上の連結Pでできた中央の形。
pawn chain:ポーンチェーン。Pの鎖。斜めにつながった複数のP。鎖のいちばん下のPをbase of p.c.、いちばん前のPをforward p.と言う。
pawn cover:ポーンカバー。Kの上部を守っている数個のP。
pawn duo:中央付近で、横に2つ並んだブロックされていないP。4つの枡を抑えながら、状況に応じて常にいずれかが前進できる柔軟な好形。
pawn island:ポーンの島。隣接したファイルにあるPの集合。 例:白a2,c2,c3,e5,g2,h3、黒a7,b6,e6,f7,g7,h7。「島」の数は白がa/c/e/ghの4つ、黒ab/efghの2つ。島が少ないほどPが連係しやすく、終盤には有利。
pawn lever:→tension
pawn mass:ポーンの塊。3個以上のPからなる「島」(→前々項)。
pawn nail:ポーンの釘。敵陣6段目(特にKの近く)に刺さって敵の動きを大きく制約しているP。
pawn race:【終盤】ポーン競争。互いのパスPが昇格を目指して競争すること。
pawn roller:ポーン・ローラー。多数のPが昇格を目指して並行して前進していく攻撃。steamrollerとも言う。 →pawn storm
pawn snatching:「Pを取ること」だが、特に、主戦場を離れたそっぽのPを取りにいくこと。むさぼり。p. grabbingも同じ。 →poisoned pawn
pawn's square:【終盤】→quadrant
pawn storm:ポーン・ストーム。一翼において、敵Kめがけて多数のPを並行して前進させる大規模な攻撃。p. avalanche(Pの雪崩)も同様。 →pawn roller
pawn structure:ポーン構造。局面全体のPの形。p. skeleton(P骨格)、p. formation(P隊形)とも言う。ブロックされていない限りは、あまり固定したものと考えてはいけない。
pawn wedge:ポーンのくさび。たとえばc4-d5-e4-f3のように3個以上のPが逆V字に連なった形。特に頂点が敵陣内(5段目以降)にあるもの。pawn salientとも言う。
PCA:【組織】Professional Chess Association。1993年創立。同年Kasparov対Short、95年Kasparov対Anandと2度のPCA選手権マッチを主催したが、その後財政難に陥り解消した。 →FIDE champion
Pe:【Elo】Points Expected、レイティングから算出される予想獲得スコア。
Pearl of Wijk aan Zee:【名局】ワイクアーンゼーの真珠。Cifuentes-Parada対Zviagintsev戦(Wijk aan Zee、1995年。黒勝ち)の異名。→棋譜
Pearl of Zandvoort:【名局】ザントフォルトの真珠。Euwe対Alekhineの世界選手権マッチ第26局(1935年。白勝ち)の異名。→棋譜
pendulum draw:振り子のドロー。ラインピースが離れた二点間を往復して成立するパーペチュアルを言う。
percentage score:勝率。勝ち=1点、ドロー=1/2点で合計し、全対局数で割った率。ドローを除外することはない。
performance:【Elo】パフォーマンス。正しくはperformance rating、一大会の結果だけで計算したレイティング。スイス式のタイブレークにも使われる。他のタイブレーク法がその大会だけの結果に基づくのに対し、パフォーマンスはより長期の成績を基礎とするため、参加者の大部分に確定レイティングがついていれば信頼性が高い(なお同点者の間では、対局数が同じならパフォーマンス順位は「対戦相手のレイティング合計」の順位と一致する。割り算をする必要はない)。
period→session
perpetual、perpetual attack、perpetual check:パーペチュアル(・チェック)。千日手。将棋と違い、連続王手でもドローとなる。英語でもperpと略されるが、日本語でも口語で「パペる」と言う。
petite combination:小コンビネーション、軽手順。せいぜい数手の長さで、小さな成果を上げるコンビネーション。CapablancaやSmyslovのゲームによく見られる。
PGN:Portable Game Notation。ASCIIテキストによる棋譜の記録フォーマット。これを読み込んで図面として示すソフトをPGN viewerという。ファイル拡張子は「.pgn」。開始局面を指定するにはヘッダの一部にFEN(→)を使えばよい。
phalanx:ファランクス。3個以上のPが連携して前進していく状態。ローマ時代の歩兵の密集陣形から。
phase:フェイズ。序盤・中盤・終盤の各段階を言う。
Philidor position:【終盤】フィリドール・ポジション。3つの基本形がこう呼ばれている。 (1)R+P対Rの終盤で、劣勢側がドローに持ち込む基本形。 例:白Kf5,Ra2,e5、黒Ke8,Rb8。黒KはすでにPの昇格枡で待ち受けている。1...Rb6!と白Kの前進を防ぎ、2.e6とPが6段目に来た瞬間、2...Rb1!と入り、白Kの背後からチェックを続けてドロー。 (2)R+B対Rの終盤で、優勢側が盤端のKを攻めて勝つ形。 (3)Q対Rの終盤で、R側を隅に追い詰め、Qのトライアンギュレーションで勝つ形。 例:白Kc6,Qa5、黒Kb8,Rb7。1.Qe5+ Ka7 2.Qa1+ Kb8 3.Qa5! こう手を渡すとツークツヴァンクになっており、黒はどう指してもメイトされるかRを失う。
Philidor's legacy:フィリドールの遺産。Nとの連携からQを捨ててsmothered mate(→)にする手筋。 例:白Qd1,Ng5、黒Kg8,Rb8,g7,h7。1.Qd5+ Kh8 2.Nf7+ Kg8 3.Nh6+ Kh8 4.Qg8+! Rxg8 5.Nf7#。Philidorは18世紀フランスの名手。Lucena's mateとも言う。
piece:ピース。(1)KとP以外の駒(Q、R、B、N)を指す。終盤ではKも含めることがある。 (2)ただし駒の損得を言う場合には、小駒(B、N)だけを意味する。p. up/down、p. sacrificeなど。 (3)【用具】一般にはchessmen(→)と同じ。
pig:アメリカでRの俗称。特に7段目に入って左右に動くようすを指して言う。hogも同じ。
Pillsbury's mate:ピルズベリーのメイト。 (1)キャスリングしたKをBとRでメイトする一形。白Bc3,Ra1,Rg1、黒Kg8,Rc8,Rf8,f7,g7,h7。1.Rxg7+ Kh8 2.Rg8+! (ほかの手では2...Rxc3と抵抗される)Kxg8 3.Rg1#。 (2)隅のKをB1個でメイトする形。白Bc3,Qf2、黒Kh8,Qh5,Be6,Be5,h7。1.Qf8+ Bg8 2.Qf6+! Bxf6 3.Bxf6#。Pillsburyは20世紀初頭のアメリカの名手。
pin:ピン。 (1)ラインピースが、敵駒を間接的に狙うことで、間にある別の駒の動きを抑える(または駒得する)基本手筋。 例1(牽制):白Ke1,Nc3,b2、黒Bb4。黒Bが白Kを間接的に狙い、Nを動けなくしている。この時、黒Bをpinning piece、白Nをpinned piece、白Kをtarget pieceと呼ぶ。前置詞の使い分けを示すと「pin by a B of a N against the K」となる。 例2(交換得):白Ke1,Rc3,b2、黒Bb4。Rにヒモはついているが、次にBxc3でエクスチェンジ得となる。 例3(駒得):白Ke1,Rb4、黒Ba5。Rが浮き駒で守る手もないため、次にただで取れる。 →absolute pin、double pin、counter-pin、half-pin、pin-breaking、partial pin、relative pin、self-pin、unpin (2)【作局】プロブレムにおいては、Kを的とするピンだけを意味する。
pin-breaking:ピン破り。ピンされている駒が動くこと。何かの利きを利用して安全に動ける場合と、target piece(→前項)を捨てる場合とがある。実戦例は→Legall's mate。 →unpin
plan:プラン、構想。数手以上を要する、一貫性のある動き。
play:(1)チェスを指す(プレイする)こと。 (2)駒の活動。駒が主戦場にいてよく働いていることをin play、逆をout of playと言う。またBlack has some play.ならinitiativeに近い意味で、「黒から多少の反撃がある」。
playable:実戦で使える程度に有望な。将棋で「指せる」と言うとかなり積極的なニュアンスがあるが、playableはそこまで強くない。すぐにはとがめられないから実戦で試す価値はある、くらいの感じである。
play against the opponent:単に棋理に従って指すのではなく、相手の棋風、癖、心理を考慮して手を決める指し方。逆はp. a. the pieces(またはp. a. the board)。
play by position:結果を考えて手を決める(play for a win/draw)のではなく、局面の性質に合った素直な手を淡々と選ぶ指し方。
Playchess:【組織】欧州最大の有料インターネット対局場。年会費29.90ユーロ。サーバ時間はGMT+1で、日本時間-8(夏時間中は-7)。夏時間は3月最終日曜から10月最終日曜まで。→リンク
play for one/two/three result(s):〜one resultはひとつの結果だけ、つまり勝ちだけを目指す指し方。〜two resultsは主に白が、負けないようにドローを確保しながら勝ちの可能性を追求する指し方(→draw in hand)。そして〜three resultsは混戦で、勝ち・負け・ドローいずれの結果も考えられる場合に使われる。ロシア語から入った表現。
playing software:【用具】対局の相手や局面の分析をしてくれるソフトウェア。Fritz、Shredder、HIARCS、Junior、Rybka、Crafty、Chessmasterなどが有名。市販品とフリーウェアとがある。 →chess engine
play out:指し尽す。ある定跡がplayed outだと言えば、有力な手がすべて試されほぼ結論が出た状態を意味する。
play over、play through:(他動詞)並べる。つまり棋譜を見てその進行を盤上に再現すること。replayも同じ。
play to order:注文に合わせて指す。つまり勝ちが必要な場合、またはドローで十分な場合に、目指す結果に合わせて手を決める指し方。
plug:栓、蓋。相手の支配しているオープンファイル上、Pの利いている枡に小駒を置いてふさぐ手筋。 例:白Nf3,f2,g3、黒Rh7,Rh8。 1.Nh4とhファイルに蓋をする。
plus:(1)優位。 (2)駒得。a pawn plusならP得。 (3)勝ち越し。plus twoなら2局勝ち越し。
plus equal、plus minus:棋譜解説用の記号(±)から、「優勢」をplus minusと言うことがある。同様に、下が2本線になった「やや優勢」をplus equalと言う。
ply:→half-move
pocket set:【用具】ポケットセット。携帯用チェスセットのうち、駒がマグネットか差込式の平面で、折りたたむと文字通りポケットに入るものを言う。wallet setとも言う。→travel set
point count、point value:→value of pieces
points won/lost:たとえば5局中3.5ポイント獲得の成績を「3.5-1.5」と書くことがあり、前半(3.5)をPoints Won(獲得ポイント)、後半(1.5)をPoints Lost(喪失ポイント)と呼ぶ。
poisoned pawn:毒入りポーン、禁断のポーン。主に序盤で、ただで取れるが、取ると駒がそっぽに行くため強烈な反撃を受けるようなP。特にb2/b7のPであることが多い。
Polish Immortal Game:【名局】ポーランドの不滅の局。(1)Glucksberg対Najdorf戦(Varsovia、1929年。黒勝ち)の異名。→棋譜。 (2)Rotlewi対Rubinstein戦(Lodz、1907/08年。黒勝ち)の異名。→棋譜
position:(1)局面。また「陣形」に近い意味でも使われる。 (2)一方の側の陣形、陣地。White's p.なら「白陣」である。「態勢」と訳してもいいだろう。 (3)もちろん、King's p.(Kの位置)などと普通の意味でも使われる。
positional advantage:(1)狭義には、終盤での有利につながる長期的な安定した優位。空間、ツービショップ、Pマジョリティなど。→static factors (2)広義には、手得、オープンライン、敵Kへの攻撃なども含んだ、駒得以外のすべての優位。 →material advantage
positional draw:【終盤】ポジショナル・ドロー。ふつうは負けの駒割りなのに、特殊な陣形のためにドローにできる形。 例:K+B+P対Kはふつう勝ちであるが、白Kb5,Ba7,b6,黒Kb7の形は、黒Ka8-b7を繰り返すことでドローになる(この形をPonziani positionと言う)。 →fortress、wrong colored bishop
positional play:ポジショナル・プレイ。すぐに直接の攻撃を狙うのでなく、陣形のわずかな差を拡大して小さな優位を積み上げていこうとする指し方。近代チェスの基本的概念である。
positional sacrifice:ポジショナル・サクリファイス。すぐに駒を取り返したり、敵Kを攻撃したりするのでなく、長期的な陣形の差に代償を求めるサクリファイス。高度な形勢判断を要する。
postal chess:【通信】郵便戦。 →correspondence chess
post mortem:(ラテン)局後検討。原義は「死後(解剖)」。
practical chances:まぎれ。実戦で、相手が間違える可能性。
practice、praxis:実戦。 →tournament practice
prearranged draw:事前合意によるドロー。
 ルール違反かどうかは微妙で、禁止の方向になってきているが難しい面もある。事前合意や早期のドローを禁止してもプレイヤーの演技が巧みになるだけで、信頼性不明な棋譜が増えるおそれがあるからだ。実際、若き日のAnandがGMどうしのドローをまねて指したところ、それが実は事前合意によるいい加減な棋譜で、すぐに駒損して投了したことがある。こういう迷惑を防ぐため、事前合意の場合にはわざと無意味な手順にするプレイヤーもいる。 例:Miles - Huebner, Tilburg 1985 1.d4 e5 2.dxe5 Qh4 3.Nf3 Qa4 4.Nc3 Qa5 5.e4 1/2-1/2。同じ意味で、先例のある強制的なパーペチュアル手順もよく使われる。 →thirty move draw rule
 そもそもドローにするということは勝ち越しのチャンスを捨てることであり、他のプレイヤーに対してむしろ不利になる行為である。ほとんどの場合は厳しく禁止する意味はない。少なくとも、一方がわざと負ける(片)八百長とはかなり異質である。
prepared move、prepared variation:【序盤】用意の手、研究手(手順)。事前に十分に研究ずみの手。
preventive sacrifice:序盤で、Kへの攻撃を行なうため敵のキャスリングを阻止するサクリファイス。
problem:【作局】プロブレム。手数を限ってメイトに至る手順を解答として求める作局。実戦とは離れた特殊な発達をしている。プロブレムの創作・解答を行なう人をproblemistと言う。専門用語は日本チェス・プロブレム協会の→このページが詳しい。
progressive score:→cumulative score
promotion:昇格。Pが8段目に到達してピースに成ること。昇格は義務であり、Pのままにしておくことはできない。また昇格する駒は、盤上の枡に触れた時に確定する。盤外の駒に触ってもタッチアンドムーブは適用されない。
promoting square:昇格枡。あるPについて、それが昇格する8段目の枡。queening s.も同じ。
prophylaxis:予防。可動性(→mobility)を高めようとする相手の動きを予め抑えること。つまり、相手の狙いを消すこと。囲碁で言う「本手」(相手からの複数の利きを消しておく手)に近い場合もある。 →mysterious rook move、overprotection
protected passed pawn:ヒモつきパスポーン。別のP(パスPでない)に守られたパスP。両方がパスPの場合はconnected passed pawns(→)である。supported p.p.とも言う。
provisional rating:【Elo】仮(仮定)レイティング。対局数が少ないため、信頼性の低いレイティング。本人の変動を大きく、対戦相手の変動を小さくするという処理がされる。 →established rating
pull:わずかな優位。
pursuit:追撃、追い手順。敵のピース(特にK)を追いかけてパーぺチュアルに持ち込む長い手順。
push:突く。Pを進めること。口語的な表現。thrustも同じ意味。
-Q-
QGA:【序盤】Queen's Gambit Accepted。定跡名(1.d4 d5 2.c4 dxc4)。
QGD:【序盤】Queen's Gambit Declined。定跡名(1.d4 d5 2.c4 e6)。
QID:【序盤】Queen's Indian Defense。定跡名(1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 b6)。ラテン系の言語では「西インディアン」の意味の名称で呼ぶ。
QPF:Quick Play Finish。sudden death(→)の名称では、時間が切れると局面の性質に関係なく負けという印象が強い。そうではなく、局面からの論理的な帰結を尊重するということを強調した表現。 →Insufficient Losing Chances
quad:4つ1組のものを指す語だが、チェスでは (1)30〜45分程度の持時間で1日4局を行なうレイティング競技会。 (2)4人総当り(通常2局ずつ)の競技会(quadrangular tournament)。通信戦、オンライン対戦に多い。
quadrant:【終盤】象限。盤上の複数の枡からなる正方形の区画。特にパスPを止めるためにKがいるべき正方形の範囲(pawn's quadrant)。 例:白のパスPがb5にいる。黒Kが単独でこれを止めるには、b5-b8-e8-e5の正方形内に入らなければならない(rule of the squareと言う)。pawn's square、magic squareとも言うが、「枡」と混同しないよう違う単語が使われる。
queen:(名詞)クイン。(動詞)Pが8段目に達してQに成る。
駒の特性:
●利き枡の数は隅で21、中央27と非常に大きい。駒密度の低い局面で両取りをかける力は絶大である。Qの利きを1方向にしか使えないのが初級者、2方向に使えれば中級者、3方向に使うのが上級者と言われる。
●しかし駒密度の高いうちは敵の駒に狙われやすい。だから序盤のうちは盤端近くに位置し、ラインを確保して、状況に応じてすぐ中央や敵Kの近くに出られる形が好形となる。
●終盤にはセントラリゼーションの効果が高い。Qの働きを高めることがそのまま敵Qの動きを抑えることになる。
●駒交換は双方の駒の働きのよしあしを見て行なうのが原則だが、絶大な威力を持つQの場合は、敵Kの守りが薄い、敵Kの中央進出を防ぎたいなどの理由によって、一時的に働きを落としてでも交換を避けるのが長期的に有利なことが多い。
queenside:クインサイド。最初にQが位置している盤の半分。a〜dファイル。queen's sideとも書く。また初めにQサイドに並んでいた駒を、Queen Rook(QR)、Queen Knight(QN)、Queen Bishop(QB)と呼ぶ。 →kingside
quiet move:静かな手。特に明らかな狙いのない手。
-R-
Rabar Index:【序盤】→ECO code
raking bishops:縦射ビショップ。隣り合った斜線に並び、自陣から敵陣をにらむ2個のB。rakeは軍事用語で敵陣(敵艦)を貫くような射撃のこと。
rampant rook:【終盤】暴れルーク。取るとステイルメイトになってしまうため、いくらでもチェックを続けられるR。 例:白Kh2,Rc7,a7,g2,h6、黒Ka8,Rb2。黒先。1...Rxg2+! 2.Kh3 Rg3+ 3.Kh4 Rg4+ 4.Kh5 Rg5+....ドロー。
randomized chess:ランダム・チェス。1列目の配置をなんらかの方法で無作為に決めるチェスの総称。Fischerandom(→)はその一種。並びを変えるだけでなく、白黒が非対称のもの、駒の構成まで変えるものなどさまざまな種類がある。shuffle chess(シャッフル・チェス)とも言う。
rank:ランク。盤の横列。1〜8の数字で表す。あるいは、自陣手前からfirst rank、second rank....eighth rank(第1、第2…第8ランク)と呼ぶ。row、horizontal lineとも言う。
rapid chess:快速チェス。持時間30分前後の対局を指すFIDEの正式名称。初めは指しきりの持時間だったが、近年は累加秒を加える場合が多い。25分+1手10秒がふつう。action chess、active chess、allegro、quick-play、speed chessもほぼ同義。
rapid transit chess:1手数秒(5秒や10秒)の制限で行なう早指しチェス。チェスクロックが広く普及する前、1950年代まで米国で流行した。
Rat,the:Modern Defense(1.e4 g6)の俗称。
rated:【Elo】レイティングを持ったプレイヤー。また、レイティング計算の対象となる競技会。
rate of play:持時間の設定。念のため、rateとは単位時間に何手指すかを意味する。だからincreased rate of playとあれば、「時間あたりの手数が増えた=持時間が短くなった」の意味である。
rating:【Elo】レイティング。本来は「プレイヤーの格付け」を意味する普通名詞であるが、チェス界ではElo(→)レイティングが普及したためにその意味で使われることが多い。日本では俗に「レート」とも言うが、英語のrateは変換率というような意味であり、誤用である。
ratings deviation:【Elo】レイティング偏差。Glicko(→)システムにおいて、プレイヤーのレイティングのばらつきを示す指標。数値が小さいほど安定した、信頼性の高いレイティングである。数値が大きい場合は、最近の対局数が少なく信頼性が低いことを示す。「RD」と略す。
rating tournament:レイティング競技会。賞金や資格ではなく、レイティングだけを争奪する競技会。なお、rated tournamentは「レイティング計算対象となる競技会」なので混同しないように。
RD:→ratings deviation
reconstruction:手順再現、棋譜完成。持時間が切迫すると、プレイヤーが棋譜を取る義務が一時的に免除されるが、その間の棋譜をタイムコントロール後に完成させること。
refute:とがめる。相手の手順やサクリファイスの間違いを、実戦や分析で証明すること。
regroup:再編成、組み替え。複数の駒の配置を組み合わせて変更すること。
relative pin:相対ピン。K以外を的として狙うピン。ピン破り(→pin-breaking)に注意しなくてはならない。 →absolute pin
remistod:(独)ドローの死(Death by draw)。チェスの研究が進み、高手の間では勝負がつかず、すべてドローになるという(仮想的な)行き詰まりの状態。
repertoire:【序盤】レパートリー。あるプレイヤーが常時使う序盤戦法の総体(opening repertoire)。相手の主な戦法に対してそれぞれ対応策を推奨し、隙のないレパートリーができるよう解説した本をrepertoire bookと言う。
repetition:→threefold repetition
replay:並べる。 →play over
reply:応手。
reserve:予備。まだ展開していない駒。
resign:投了する。メイトに至る前に敗北を認めること。ことばで伝えるか、黙って自分のKを倒せばよい。終局後には結果を示すため、勝った側のKを立て、負けた側のKを倒して、いっしょに盤中央に置いておくことがある。
Reti maneuvre:【終盤】レティの手筋。Pエンディングで、Kが2つの狙いを天秤にかけて斜め一直線に進む手筋。diagonal marchとも言う。 白Kh8,c6、黒Ka6,h5。白先ドロー(Reti、1921年作)。黒Pが止まらないように見えるが、1.Kg7! h4 2.Kf6! [狙いKe6-Kd7-c7-c8/Q] Kb6 3.Ke5! 次にKd6-c7-Kd7かKf4のどちらかが実現する。
Reti's mate:レティのメイト。次のゲームに現われた、RとBによるメイト。Reti - Tartakower, Vienna 1910 1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nf6 5.Qd3 e5 6.dxe5 Qa5+ 7.Bd2 Qxe5 8.o-o-o Nxe4? 9.Qd8+!! Kxd8 10.Bg5+ Kc7(10...Ke8 11.Rd8#) 11.Bd8#。Retiは20世紀初頭のチェコの名手。
retreat:引く。ピースを自陣に近づく方向に動かすこと。
reverse(d) opening:【序盤】裏返し戦法。通常、黒が指す戦形を、白が指すオープニング。比較的研究されていない形に誘導しやすい。また1手得をどう活かすかがポイントになる。inverted o.とも言う。 例:1.e4 c5のSicilian Defenseに対して、1.c4 e5をReversed Sicilianと呼ぶ。
right colored bishop:【終盤】正しい色のB。wrong colored bishop(→)に対して、RPが昇格する枡と同じ色のB。
Romantic style:ロマン派。19世紀、positional play(→)が広まる前に流行した、ギャンビットから早期の攻撃・反撃を主体とする指し方。Anderssen、Morphyが代表的なプレイヤー。
rook:ルーク。発音は[ruk]だから「ルック」と表記すべきなのだが、「ルーク」のほうが慣用である。lookと区別する意味もあるかもしれない。
駒の特性:
●位置の影響を受けない唯一の駒で、隅でも中央でも利き枡は14。中央の枡は他の駒に譲ったほうがよい。
●オープンファイルを占めるのは当然だが、前進できるPを後押しするのも好形。
●2個のRがつながっている(connected)形は好形。Nと違いラインピースだから、一方が動いた後に他方が同じライン上をすぐ動くことができる。
●開いた盤上なら1手でどの枡でも攻撃できるため、駒密度の低い終盤、KやPへの攻撃に威力を発揮する。特に両翼にPの残った終盤に強い。Kを守る、パスPをブロックするなどの防御には向かない。ただしパスPを裏から止めるのは有効。
●中盤(Kへの攻撃)で勝負がつくと思えば、むしろ重要な小駒に対するエクスチェンジ・サクリファイスが決め手になることが多い。小駒でRを捕まえるのは難しいが、逆は簡単だからである。
round robin:ラウンドロビン、総当たり。「RR」と略す。各人が2局ずつ指す場合をdouble round robin(「DRR」)と言う。
試合形式の精度:
 総当たりの大会ではそもそも棋力の近い選手を揃えるし、最初に抽籤を行なった時点でいつ誰とどの色で対戦するかが確定する。相手に合わせた準備の時間が何日もあるわけで、それだけ高度な技術が問われる。またノームの必要ポイントも確定しており、スイス式のように連敗すると弱い相手にあたって助かるということもない。いろいろな意味でまぎれの少ない試合方式である。スイス式では相手の棋力のばらつきが大きい上、ペアリング発表から対局までの時間が短く、深い準備は互いに不可能である(特に1日2局の午後のゲーム)。
 また団体戦ではまずチームペアリング発表→出場選手決定→対戦相手確定という手順だからさらに準備の時間は短いし、チームの和や選手起用の巧拙、色の偏りなども結果に影響する。特にチームポイントの団体戦となると他の対局の進行・結果が指し方を大きく左右し、個人の棋力を正しく測定しているとは言いがたい。
 棋力測定の精度は 個人戦(総当り)>個人戦(スイス式)>団体戦(ゲームポイント)>団体戦(チームポイント) となる。
royal fork:→family check
royal game, the:「王のゲーム」、チェスの異名。King's Game、Game of Kingsも同じ。
Rp:【Elo】rating performance。 →performance
RR:→round robin
rule of the square:【終盤】→quadrant
rule of floating square:【終盤】2個のパスPが同じランクにある時、これらを隣り合った頂点とする正方形が盤端に達していれば、Kだけでは止められないという法則。 例:白Kb1、黒a3,c3。正方形(a3-c3-c1-a1)が盤端に達している。いずれ白はツークツワンクに陥り、1.Kc2 a2で昇格される。全体がもう1列上にあれば、1.Kc3 a3 2.Kc2、以下c3とc2を往復していればPはこれ以上進めない。
rule of two weaknesses:【終盤】2つの弱点の法則。劣勢側の弱点がひとつだけなら守りきれることもあるが、2つあるとまず間違いなく負けるという実戦的な法則。優勢側はピースの力によって2つ目の弱点を作るよう努めるべきである。
-S-
Saavedra position:【終盤】サーヴェドラ・ポジション。P対Rの終盤で、P側が絶妙の手順で勝つ有名な局面。19世紀イギリスのプレイヤーSaavedraが、実戦に取材した局面の変化として指摘したもので、厳密には作局ではない。Q対Rは一般に勝ちであることを知ってご鑑賞いただきたい。白Kb6,c6、黒Ka1,Rd5、白先勝。1.c7 Rd6+ 2.Kb5 (2.Kb7? Rd7、2.Kc5? Rd1 3. 〜 Rc1+でいずれもドロー。)Rd5+ 3.Kb4 Rd4+ 4.Kb3 Rd3+ 5.Kc2 Rd4! 6.c8/R!! (狙い7.Ra8#。6.c8/Q? Rc4+! 7.Qxc4はステイルメイト。)Ra4 7.Kb3 Ra6 8.Rc1#。
sacrifice:サクリファイス。捨て駒。駒の価値(→value of pieces)で計算して損になる場合はすべてサクリファイスという。たとえばRを捨ててBを取っても、エクスチェンジ・サクリファイスである(→exchange,the)。駒損を取り返せることが確実な、一時的な捨て駒をpseudo-s.またはsham s.(見かけの〜)、それ以外をreal s.(真の〜)と言うことがある。英語でもsacと略されるが、日本の口語でも動詞として「サクる」という。
safe corner:【終盤】Bのある終盤において、劣勢側のKが逃げ込むべき色の隅。たとえばK+R対K+Bはドローであるが、劣勢側のKはBと色違いの隅を目指さなくてはならない。逆の隅に追い詰められると負ける。逆はもちろんdangerous c.。
same colored bishops:同色ビショップ。双方にBが1個ずつ残り、それが同じ色の枡を動く場合を言う。
same side castling:同方向キャスリング。双方が同じサイドにキャスリングすること。 →opposite side castling
sandbagging:大会でクラス賞を取ったり、相手を油断させるために、事前にレイティングを故意に下げておくこと。もちろん不正行為である。
sandglass:【用具】砂時計。チェスクロックが発明される前、消費時間の管理に使われていた。1手指して砂時計をひっくり返す。1手ごとの考慮時間を制限すると同時に、双方の累計消費時間の差をも制限していることになる。現在もこの設定のできるデジタル対局時計がある。
sans voir:(仏)→blindfold
SB:→Sonneborn-Berger
Scheveningen pairing:シェヴェニンゲン方式。2つのチームの各人が、相手チームの全員と1局(またはそれ以上)ずつ対戦する対抗戦の形式。
scholar's mate:スカラーズ・メイト、賢者のメイト。1.e4 e5 2.Bc4 d6 3.Qf3 Nc6?? 4.Qxf7#など、動いていないKに対してQがf7/f2に入るメイト。
scholastic chess:学校の課外授業としてのチェス。米国ではこの運動を地道に推進し、インターネットでの対抗戦が可能になったこともあって大きな成功を収めている(クラブでの団体戦なら、自宅からの個人戦と違ってソフト指しのイカサマが考えにくい)。なお東欧など、昔から正課として教えている国もある。
score:(1)対局結果、またその合計。勝ちは1点、ドローは1/2点、負けは0点。よって「1-0」は白勝ち、「1/2-1/2」はドロー、「0-1」は黒勝ちを意味する。また勝ち越しをplus(またはpositive)s.、指し分けをeven s.、負け越しをminus(またはnegative) s.と言う。 (2)棋譜(game score)。公式戦ではプレイヤーが自ら棋譜を取り(keep the score)、終了後には双方が棋譜用紙に署名してアービターに提出せねばならない。チェスの棋譜に著作権はなく、国際的な慣習として対戦者・競技会名(開催地)・対局年を示せば誰でも自由に利用できる。もちろん、棋譜に対する解説は著作物として保護を受ける。
scorebook:【用具】スコアブック、棋譜帳。棋譜用紙をノートにしたもの。
scoresheet:【用具】スコアシート、棋譜用紙。国際競技会では2枚重ねのカーボンレスコピーとなっているものが多い。対局後、オリジナルに署名して提出し、コピーをプレイヤーが持ち帰る。スコアシートのつづりをscorepadと言う。
SD:→sudden death
sealed move:封じ手。指しかけ(→adjournment)の時に、手番の有利不利をなくすため、手番のプレイヤーが次の手を棋譜用紙に記入し、封筒に入れて保管しておくこと。またその手。封筒の表には指しかけ局面を図面で表記する。
second:セコンド。特定の競技会において、序盤の準備、指しかけの分析、主催者との交渉などプレイヤーを補佐する人。
seed:【Elo】レイティング順位。シードと言っても、チェスでは対戦組み合わせ上有利にするということはまずない。単に出場者の中でのレイティング順位を示す場合がほとんどである。
see-saw:→windmill
self-block:セルフブロック。(1)ピースで味方のPをブロックすること。例:1.d4 d5 2.Nc3はNでc2のPをself-blockし、Pの連携を悪くするため、あまり指されない。 (2)【作局】Kの逃げ道をふさいでいる味方の駒。
selfmate:【作局】セルフメイト、自殺詰。フェアリー作局のひとつで、白が強制手順によって黒に白Kを詰まさせる問題。昔はsui-mateと呼んでいた。
self-pin:セルフピン。自ら相手のピンに入る手。
Semi-Closed Game、Semi-Open Game:【序盤】→Closed Game
semi-open file:→half-open file
semi-passed pawn:→candidate(2)
semi-stalemate:【終盤】セミ・ステイルメイト。敵Kをステイルメイトの形に追い詰めて、全体をツークツヴァンクに入れる手筋。 例:白Kc6,Bb4,a3、黒Kc8,a4,b5、白先。白Bは「悪い色」(→wrong-colored bishop)であり、黒Pを両方取っても勝てない。しかし1.Ba5! Kb8 2.Bb6 Ka8 [2...Kc8 3.Bc7!] 3.Kc7!と追い詰めると3...b4しかなく、4.axb4 a3 5.Bd4で勝ち。黒はPが余分にあるために負けになる。
Senior International Master:【通信】【称号】通信チェスで、IMとGMの間のタイトル。通信チェスの称号体系はほぼ実戦チェスに準じているが、この称号は実戦チェスにはない。「SIM」と略す。
Senior Master:【称号】USCF(→)で、レイティング2400以上を指す区分。「SM」と略す。
separated pawns:分散ポーン。1つ以上のファイルを間に置いて離れた複数のP。disconnected p.も同じ。 →connected pawns
session:セッション。対局開始から指しかけまで、また再開から次の指しかけまでの1回の対局時間。periodとも言う。
seven-hour session:→classical time control
Seventh Heaven:次項、seventh rank absoluteの比喩的表現。ユダヤ教・キリスト教の第七天(至高とされる)の意味。
seventh rank absolute:第7ランクの完全支配。1個か2個のRが敵陣7段目を支配して、敵Kを1段目に閉じ込めている状態。おおむねP1個分かそれ以上の価値があるとされる。
sharp:鋭い、きわどい。互いにひとつ間違うと大怪我をするような局面、またそういう局面を目指す手をこう表現する。
short castling:Kサイドへの「短い」キャスリング。
short diagonal:【終盤】Bエンディングにおいて、ある枡(通常パスPが次に進むべき枡)を通る2本の斜線のうち短いほう。→long diagonal(2)
short range piece:【作局】短射程駒。動く距離に制限のある駒、つまりK、N、P。 →long range piece
short side:【終盤】狭いサイド。 →long side
shoulder off、shouldering:【終盤】肩寄せ。Kが敵Kにわざと近づき、その動きを妨害する手筋。 例:白Kf7,a6、黒Kb2,a7。白Kがe7-d7-c7-b7-a7とまっすぐPを取りに行くと、黒Kはc3-c4-c5-d6-c7と白Kを閉じ込めてドロー。1.Ke6! Kc3 2.Kd5!と黒Kを制約しながら取りに行けば勝ち。
shuffle chess:→randomized chess
sight of the board:局面把握。局面を見て、駒の配置や利きを(数秒で)把握すること。またその能力。vision of the b.とも言う。
SIM:【称号】→Senior International Master
simplification:単純化。駒を交換して局面を単純にすること。
simultaneous display、simultaneous exhibition:同時対局、多面指し。短くsimulとも言う。強いプレイヤーが多数の弱い相手と同時に戦う指導対局の形式で、通常は上手が白を持つ。上手が盤の前に来たら下手はすぐに着手しなくてはならない。また上手にはタッチアンドムーブが適用されないことがある。現在ではオンライン対局場でもよく行なわれている。 →blindfold simul、clock simul、mutual simul
skewer:スキュアー、串刺し。ラインピースが敵駒を攻撃し、敵駒が逃げた後でその先にある別の駒を取る基本手筋。 例:白Kg2,Ra8,a7,黒Kg7,Ra1。この局面はドローだが、1...Kf7?は悪手、2.Rh8!(狙いa8/Q) Rxa7 3.Rh7+ 〜 4.Rxa7とスキュアーでRを抜かれる。
skittles:自由対局。楽番。時計も使わず棋譜も取らない気軽な対局。casual game、friendly game、offhand gameも同じ。
SM:【称号】→Senior Master
small center:スモール・センター。中央3段目にPを2つ並べた(白d3,e3、黒d6,e6の)形。
smothered mate:スマザード・メイト、窒息メイト。味方の駒に囲まれて動けないKをN1個でメイトすること。 例は→overload、Philidor's Legacy
social player:社交的プレイヤー。特にクラブや団体に入らず、友人知人との社交や時間つぶしのためにチェスを指すプレイヤー。casual player、hobby playerも同様。 →club player、tournament player
Solkoff:ソルコフ。タイブレークの一法。 →tie-break
Sonneborn-Berger:ソンボーン・ベルガー。タイブレークの一法。 →tie-break
SOS:→cumulative score
sound:(形容詞)(1)分析の結果、有利になる(少なくとも不利にならない)と確認されるであろう局面・手順。「(ある手が)成立する」という表現が近い。逆はunsoundで「無理筋」と訳せるだろう。 (2)【作局】不詰や余詰のない完全作であること。不完全はunsound。
space:スペース、空間。駒が自由に動ける枡(または敵駒が自由に入れない枡)の集合。
space advantage:スペースの優位。自由に動ける空間が相手より多い状態。
 味方の駒繰りは易しく、相手は難しいのだから、両翼で同時に戦いを起こす(または一翼から他翼に急に兵力を移す)と相手は対応しきれない。そのためスペースの広い側は交換を避けて駒密度を高く保つのが原則である。またPが前進していて昇格に近いため、終盤に入っても優位を保ちやすい。 →communication
Spanish bishop:【序盤】1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5のSpanish Openingにおいてb5に展開された白B。同じ定跡の別名(Ruy Lopez)からLopez b.とも言う。 →Italian bishop
Spanish diagonal:【序盤】1.e4 e5で始まる序盤(Open Game)において、a4-e8の斜線。 →Italian diagonal
Spanish torture:スペイン式拷問。Closed Spanishという序盤の異名。黒から完全なイコライズ(→equalize)が難しく、白の勝つチャンスが長く残るためこの名がある。
spare tempo:→tempo-move
spite check:敗勢の局面で終局を引き延ばすだけの無意味なチェック。spiteはいやがらせというような意味。
square:枡。碁盤・将棋盤は縦長の長方形だが、チェス盤では文字通りの正方形である。
square complex:特定の色の枡の集合体。color weakness(→)に関連して使われる。color complexとも言う。
squeeze:【終盤】(1)駒割りや陣形のきわめて小さな優位(勝てるかどうかぎりぎりの優位)をエンドゲームによって勝ちに持っていくこと。conversion(1)(→)よりきわどい。わずかな可能性をしぼり出すという意味。 (2)著者によっては、mutual zugzwangを単にzugzwangと呼び、一方だけのzugzwangをsqueezeと呼ぶ。 →zugzwang
SS:→Swiss system
staircase movement:階段の動き。K、Q、Rのいずれかが、ひとつの斜線に沿って縦・横・縦・横…と1枡ずつ進んでいく動き。詰将棋の「馬鋸」に似ている。 例:コンピュータ同士の一戦から。Deep Fritz対Deep Junior 2001年。白Kd3,Qb3,Rc2,Nd2,a4,b4,c5,f2、黒Kd7,Qe5,Re1,c7,c6,d5、黒先。 1...Qf5+ 2.Kd4 Qf6+ 3.Kd3 Qg6+ 4.Kd4 Qg7+ 5.Kd3 Qh7+ 6.Kd4 Qh8+ 7.Kd3 Qh3+! と横からのチェックを実現させた。8.Kd4 Re4+! 9.Nxe4 Qxb3で黒勝勢。
stalemate:ステイルメイト。自分の手番で、チェックを受けておらず、かつ合法な手がひとつもない状態。ドローになる。
 このルールは終盤を複雑に、おもしろくするためにある。 例:白e7/f7/g7/h7のどれかとKg8、黒Ka1,Qb1。白Pがe7かg7なら黒勝ち、f7かh7ならステイルメイトのためにドローになる(1...Qg6+ 2.Kh8!)。なお日本語の本で、このルールをキリスト教や騎士道精神などとからめて説明しているものがあるが、外国の本では見たことがない。終盤に無知な人がこじつけた俗説であろう。
Stamma's mate:スタンマのメイト。6段目のRPの前にいる敵Kを、KとNで閉じ込めてメイトする手筋。 例:白Kc2,Nd3、黒Ka2,a3。白先なら1.Nb4+! Ka1 2.Kc1! a2 3.Nc2#。黒先なら1...Ka1 2.Nc1! a2 3.Nb3#。Stammaは18世紀前半にシリアからイギリスに留学、イスラム圏でのチェスの研究を西欧に伝えた。
standard notation:【記譜】→algebraic notation
static factors:静的要因。形勢判断の要素のうち変化しにくい要素、すなわち駒の損得、Pの構成を言う。 →dynamic factors
Staunton chessmen:【用具】スタントン駒。19世紀イギリスのプレイヤーStauntonが定めたデザインのチェス駒。19世紀中ごろにイギリスで意匠登録されたが、現在では保護期間が切れ、誰でも製作販売してよい。FIDE設立時に公式駒に指定され、世界的標準となった。チェス駒のデザインには地域差がある。たとえば東欧圏では今も、Bの頭部を補色(白Bなら黒)で塗り、切り込みのない駒がよく用いられるが、これも公式に認められている。
Steinitz's Immortal Game:【名局】Steinitz対von Bardeleben戦(Hastings、1895年。白勝ち)の異名。→棋譜
Steinitz's rule:シュタイニッツの法則。(1)Pは敵のNに拠点(→outpost)を与えないように進めよという原則。たとえば黒Nがb6に来たら、白b3と指してa4とc4を奪う。 (2)【終盤】tempo move(→)を残すために、なるべく2段目のPを残しておけという原則。Steinitzは初代の世界チャンピオン。
stem game:【序盤】初出例。ある定跡が最初に実戦で使われたゲーム。source g.とも言う。
stipulation:【作局】解答条件。「白先白勝」「4手でセルフメイト」など、解答のために与えられる条件のこと。
stonewall:ストンウォール(石壁)。同色の枡にPをジグザグに連ねた壁。特に、白d4-e3-f4(黒d5-e6-f5)の形を言う。
straighten the pawns:ダブルPや孤立Pを解消して連結Pの形に直すこと。 例:a2,c2,c3の形から、b3の敵駒をcxb3と取ればPを「まっすぐに直す」ことができる。
strategy:ストラテジー、戦略。終盤の形と計画性を主体とする長期的な戦いの技術。これに長けたプレイヤーをstrategistと言う。 →tactics
strong:チェス文献にstrong/weakは頻出語だが、意外に意味が広い。まとめておく。 (1)strong moveは好手、厳しい手、強力(有力)な手。囲碁将棋でいう「強手」(一見強引に見えるが読みの裏づけのある手)とは違うので注意。weak m.は悪手、疑問手となる。 (2)strong/weak pieceは働きのよい/悪い駒。 (3)ただしvalue of pieces(→)で値段の高い駒をstronger piece、安い駒をweaker p.ということがある。この場合駒の働きは関係ない。 (4)strong squareは自分が利用しやすい枡、weak s.は相手に利用されやすい枡(弱点、キズ)。 (5)【終盤】stronger sideは勝ちを目指して指す優勢側、weaker s.はドローを目指す劣勢側。 (6)最後に、チェスの棋力の強弱ももちろんstrong/weakである。
strongpoint:敵陣内で、しっかりと確保して攻撃の拠点となるようなPまたは枡。枡の場合はoutpost(→)とほぼ同じ。
study:【作局】スタディ。終盤について、双方最善の応酬を解答として求める作局。駒の働きの限界を追及し、芸術性が高い。駒の働きの微細な違いに対する感覚を養える。日本では(仏・露)etude から「エチュード」と呼ぶことも多い。実例は→ambush、counter-pin、domination、echo、Lasker's ladder、Reti maneuvre、Saavedra position、switchback、twins
style:棋風(playing style)。
sudden death:指しきり。持時間内に終局まですべての手を指さねばならない時間制限。「SD」と略す。チェスの芸術性・論理性を損なわないよう、時間切迫の際にはその局面からの論理的結果に合意(ドロー合意・投了)すべきである。そのため、終盤の知識が当然の前提としてプレイヤー(およびアービター)に要求される。当然のことながらチェス後進国ではトラブルの種である。 →QPF
sui-mate:→selfmate
superfluous knight:重複ナイト。拠点を占めたNを、後ろからつないでいるN。ロシアの有名トレーナー、Dvoretskyの用語。 例:白d4,e3,f4,Nd3,Ne5、黒d5,e6,f5,Bd6。d3のNはBd6xe5に備えて拠点のNを守っているが、ただ出番を待っているだけで黒Bよりやや働きが悪いとも考えられる。囲碁で言う重複形、凝り形に近い。
super grandmaster:スーパー・グランドマスター。特に強いGMの俗称、公式の称号ではない。昔はレイティング2600以上を指したが、今ではインフレのため2700以上を言うようだ。
supported passed pawn:→protected passed pawn
swallow's tail mate:燕尾のメイト。後ろ両脇をふさがれた2段目のKをQでメイトする形(白e5,Qf6、黒Kf7,Re8,Rg8など)。
swindle:まやかし。形勢の悪い側がしかける巧妙な罠。同じ罠でも、trapは序盤から終盤まで、また形勢に関係なく使われる。
Swiss gambit:スイス・ギャンビット。スイス式(→次項)の大会で、最初の数局をわざと負けやドローにし、後半に比較的弱い相手と対戦して上位入賞を狙う作戦。
Swiss system:スイス式ペアリング。「SS」と略す。多数のプレイヤーが同数の対局を行なうための組み合わせの方法で、毎ラウンド、全員ができるだけ成績の近い相手と対戦する。ただし一度対戦した相手とは二度と対戦しない。また白黒の手番を同数に近づける。19世紀末にスイスのチェスクラブで考案され、今では室内ゲーム全般に広まった。途中で不戦や棄権があっても組み合わせができるのが大きな特長である。大相撲の組み合わせに似ていなくもない。また上位陣の対戦が確実に起こるよう、最初数ラウンドの組み合わせに操作を加える方式をaccelerated Swiss(加速スイス式)と言う。組み合わせ用のソフトにはSwiss Perfect、Swiss-Sys、Swiss Manager、WinTDなどがある。
Swiss tournament:スイス式ペアリングを使った大会。結果の信頼性について、近似的に次の式が知られている。
  (5×局数−プレイヤー数)÷7=信頼できる上位(下位)入賞結果の数。
 たとえばスイス式13局で30人参加なら、(5×13−30)÷7=5、1-5位(および26-30位)の結果は総当りの場合と同程度の信頼性がある。
switchback:スイッチバック。一度動いた駒を、直後または数手後に元の枡に戻す手。好手になる場合でも、手損に思えるため盲点になりやすい。 例:白Kd7,c7、黒Kg3,Bh7,b7。白先ドロー(Sarychev、1928年作)。1.c8/Q?はBf5+ 2.Kc7 Bxc8でPを守られて負け。1.Kc8!! b5 2.Kd7! b4(2...Bf5+ 3.Kd6 b4でも同じ) Kd6 Bf5 4.Ke5! Bc8 5.Kd4で間に合う。
system:【序盤】システム。定跡名で、特に相手の応手に関わらず一方が組み上げていける形を指す。たとえば白c4-Nc3-d3-e4-Ne2-g3-Bg2の形をBotvinnik Systemと言う。
-T-
tabia、tabiya:【序盤】(アラビア語)タビヤ。序盤定跡でひんぱんに指される常形の局面。流行形。もとはチェスの前身であるシャトランジ(shatranj)というゲームの定跡を意味した。
tablebase:【終盤】テーブルベース。駒数の少ない終盤について、コンピュータ解析により全変化を尽くしたデータベース。Nalimovによるものが有名で、一部はオンラインでも利用できる。→リンク。 ただし一般に50手ルールを考慮していないため、実戦分析に役立てるには注意が必要。2006年に駒数6個以下の全局面がほぼ完成したが、完全な形式では情報量が1テラバイトを超えている。 →distance(2)
tactics:タクティクス、戦術。読みと攻撃を主体とする短期的な戦いの技術。この技術に長けたプレイヤーをtacticianと言う。「手筋」とも訳せる場合がある。 →strategy
take:(敵駒を)取る。棋譜では「x」の記号で表され、たとえば「Bxb5」なら「Bishop takes bee five」と読む。
takeback:待った。一度指した手を戻すこと。実戦ではもちろんルール違反だが、オンライン対局ではmouseslip(→)があるため、相手の合意があればtakebackできるところが多い。
tandem chess:タンデムチェス、ペアチェス。2人1組で交互に指すチェス(相談はできない)。「A、B」組と「c、d」組が対戦する場合、順序が固定しないようAcBcBdAdの順で指すのが普通(つまり初手以外は各人が2手ずつ指して交代する)。
 余談ながら、ペア碁では単にAcBdを繰り返す。これでは強い相手の次に弱い選手が打つ側が不利になる。2手交代のほうが興が増すであろう。碁石を2個ずつ取り出して打てば手番も混乱しにくいだろう。
Tarrasch's rule:タラシュの法則。RはパスPの後ろに置けという原則。敵のパスPを裏から止めれば(例:黒Pa4に対して白Ra7)、Pが進むほどRの働きが増していく。また自分のパスPなら、Rで後押しすれば(例:Pa4+Ra1)進めやすい。ただし他の部分でも戦いが続く場合には、横から守って(例:Pa4+Re4)Rを縦横に使うほうが有効なこともある。Tarraschは19世紀末のドイツの名手。
TD:→Tournament Director
team point:チームポイント、勝点。団体戦で、チーム対チームの勝敗をもとにした得点。たとえば勝ち越した側にチームポイント1、同点なら双方にチームポイント0.5、など。match pointとも言う。 →game point
technique:【終盤】テクニック、収束。終盤でまぎれなく勝ちきる(またはドローにする)確立した技術。そういう局面をtechnical position、この技術にすぐれたプレイヤーをtechnicianと呼ぶ。ほとんどの場合は「技術」ではなくはっきり「終盤」と訳すほうがよい。matter of techniqueというと、後は知識と注意力だけで処理できるという意味で、「手続きの問題」と訳せるだろう。
tempo:テンポ。1手、2手と数えられる手数(の損得)。複数形はtempi。またwith tempoは「先手で」。 →time(1)
tempo-move:【終盤】テンポムーブ、手待ち。相手に手を渡しツークツヴァンクに入れるための、狙いのない手。特にPによる手待ちを言う。また、テンポムーブによって失える手数をspare tempo、reserve tempoと言う。 例:白Kc5,b4,h2、黒Ka4,b5,h6。Qサイドでtrebuchet(→)の両ツークツヴァンク形ができている。白先なら1.h3! h5 2.h4と2回のtempo-moveで手を渡して白勝ち。黒先ならもちろん1...h5 2.h4で同じ。この例を見れば、Pの2枡前進のルールが終盤にも大きな意味を持っていることがわかる(1.h4?? h5は白負け)。
tension:緊張。互いに駒を取れる形。特に中央近くでPどうしがぶつかり、双方から取る可能性のある形を言う。つっぱり合い。Pどうしの場合はleverとも言う。
text-move:本譜。つまり、変化手順ではなく対局で実際に指された手。作局では、作意手順を言うことがある。
theme tournament、thematic tournament:局面指定戦。特定の序盤、特定の駒割りなど、ある局面を指定して全員がそこから指し始める競技会。通信戦でよく行なわれる。fixed openingとも言う。
theoretical draw、theoretical win:→book
theoretician:【序盤】次項のとおり、チェスでは実戦に使われた手を整理した体系をtheoryと呼ぶ。一般のtheory(理論)とは少し違う意味がある。だからtheoreticianを「理論家」と訳すのは誤りであることが多い。ほとんどの場合は「序盤研究の得意なプレイヤー」の意味である。
theory:【序盤】【終盤】セオリー、定跡。本にまとめられた序盤・終盤の知識。ただし将棋の定跡とは違って、1局でも実戦例があれば定着していなくともtheoryと呼ばれる。その場合は「戦例」と訳すべきであろう。
thirty move draw rule:30手ルール。事前合意や早期のドローを防ぐため、30手以前の合意のドローを禁じるルール。公式のルールではなく、招待大会で主催者が義務づける場合がある。とはいえ「合意のドロー」を禁じているだけなので、強制的にパーペチュアルになる定跡手順を選ばれるとお手上げである。棋譜データベースを調べると、パーペチュアルで終わる同一手順のゲームが多数見つかるが、ほとんどは両対局者の事前合意によるドローである。 →prearranged draw
threat:狙い。狙いを実行に移すのはexecutionである。
threefold repetition:同形三復。同じ手番で、同一局面が3回生じること。同種のピース(たとえばRとR)が位置を入れ替えても同じ局面だが、キャスリングやアンパッサンの可能性(dynamic possibility)が違えば別の局面とする。 自分の手番に、a)直前の相手の手で生じたことを示す、b)自分の次の手で生じることを示す、のいずれかでドローになる。なおb)の場合、次の手を指す必要はない。むしろ指してしまうと手番を渡したと見なされ、クレイムの権利を失うおそれがある。これも間違った説明をしている日本語の本がある。
through check:敵Kへのチェックによるスキュアー(→skewer)。素抜き。
thrust:(Pを)突く。pushに同じ。
tie-break:タイブレーク。同点の場合の順位決定方法。さらに対局を行なうプレーオフのほか、さまざまな方法がある。
 各種のタイブレーク法:
●Buchholz(ブッフホルツ)、Solkoff(ソルコフ):対戦相手のスコアの合計。
●Median(メディアン):上のSolkoffから最大と最小の2つの値を除外する。Harknessとも言う。
●Performance(パフォーマンス):その大会の結果だけで計算したレイティング。詳しくはその項参照。
●cumulative score(累積スコア):スイス式で、各ラウンド後の得点を単に合計したもの。sum of scores(「SOS」)、progressive score(「PS」)とも言う。大きいほど途中強い相手とあたっていた、つまり好成績と考える。精度は低いが他の対局の結果を待たずに算出できる利点がある。
●Kashdan(カシュダン):勝ち=4、ドロー=2、負け=1、不戦(結果を問わず)=0として合計。ドローの少ないほうが高くなり、積極的にプレイした人が有利になる。ただし対戦相手の質は反映されない。Kashdanは米国のGM、後にアービター。
●Sonneborn-Berger(ソンボーン・ベルガー):対戦相手のスコアに、その相手に対する自分の結果(1か1/2か0)をかけて合計する。「強い相手に勝つプラス」を「弱い相手に負けるマイナス」より大きく評価することになる。「SB」と略す。単にBerger、Neustadtl score、weighted sum(「WS」)とも言う。総当りでも使える。
●Koya(コヤ):その大会で50%以上の勝率を上げた相手に対するスコア。総当りでも使える。
●さらに総当りの場合は、直接対決の結果、総勝ち数、黒番勝ち数なども使われる。珍しいところではルーレットやビンゴマシンで行なった例もある。
time:(1)速度。手の損得。 →tempo (2)考慮時間(time on the clock)。
time-control:タイムコントロール。持時間の規定。また、規定の手数を指し終え、持時間が増えること。現在のルールでは、最初のタイムコントロールは40手目に統一するよう推奨されている。 →rate of play
time-forfeit:時間切れ。
time-trouble:タイムトラブル、時間切迫。time scramble、time pressureもほぼ同じ。
TN:【序盤】Theoretical Novelty。 →novelty
touch and move、touch move:タッチアンドムーブ。着手の意図を持って触った盤上の駒は必ず動かさねばならない(取らねばならない)というルール。touched piece ruleとも言う。その駒を動かす手がひとつもない場合は、無視して別の駒を動かしてよい。 →clock move
 盤上の駒に偶然手が触れた場合はこのルールは適用されない。間違った説明をしている日本語の入門書があるので特記しておく。なお、いったん駒の底をある枡につけながら、手を離さず別の枡に動かすのもマナー違反である(ルールで明確には禁じられていないが)。要するに、相手の反応を見て手を変える(と解釈され得る)行為はご法度。同じ理由から、着手前に棋譜用紙に次の手を書くことも禁じられた。
tourist:観光客。たいした準備もせず観光気分で国際大会に参加する弱いプレイヤーを指す蔑称。対局前日にカジノで徹夜したり、会場のビデオ撮影に熱をあげたりする。
tournament:トーナメント、競技会。総当り、スイス式、ノックアウトなどさまざまな方式がある。口語的にtourneyとも言う。「Zurich 1953」のように開催地名と年号で表現する。
tournament book:トーナメントブック。ひとつの競技会の全局(または大部分)の棋譜を収めた本。名局集のようにサンプルが偏っていないため、実戦チェスの真実に近い姿を知ることができる。New Yok 1924、Nottingham 1936、Zurich 1953、Curacao 1962、Santa Monica 1966(Second Piatigorsky Cup)、Montreal 1979、San Luis 2005のものなどが有名。
Tournament Director:トーナメント・ディレクター、競技主任。大会の事務・審判の責任者。「TD」と略す。Tournament Controllerとも言う。
tournament player:トーナメント・プレイヤー。公式団体に所属して競技会に出場するプレイヤー。棋譜を保存し、レイティングの上下に一喜一憂する(人が多い)。 →club player、social player
tournament practice:公式戦における真剣な実戦。またそれで生まれた棋譜の総体。「練習」や「慣習」とは関係がない。高いレベルの実戦に限定する場合はmaster p.、grandmaster p.も使われる。
tourney:(1)実戦トーナメントの別表現。 (2)【作局】作局コンテスト(composing t.)。または解答競技会(solving t.)。
TPR:tournament performance rating。→performance
trainer:トレーナー。プロや若手プレイヤーのトレーニングを指導し手伝う人。second(→)と違い、長期的な関係を結ぶ。またFIDEではチェス教育の公式資格としてSenior Trainer、Trainer、Instructorの3段階の称号を定めた。棋力、コーチ経験、セミナー受講などを条件としている。 →coach
transposition:移行。ひとつの定跡や手順から別の定跡や手順と同じ局面になること。 例:1.f4 e5 は From Gambitという定跡だが、そこで 2.e4 と指すと1.e4 e5 2.f4 の King's Gambitに「移行」する。
trap:(1)罠、はめ手。もっとも一般的な用語。はめ手を好むプレイヤーをtrappy playerと言う。 →cheapo、swindle  (2)殺す。敵駒の逃げ道をすべて支配して取る(または閉じ込める)こと。killも同じ。
travel(ing) set:【用具】トラベルセット。携帯用チェスセットのうち、駒が立体のものを言う。駒底のマグネットやペグによって駒を固定できるものが多い。 →pocket set
trebuchet:【終盤】トレビュシェット。Pがブロックしあい、Kが互いのPに密着した両ツークツヴァンクの形。 例:白Kd5,c4、黒Kb4,c5。原義は「(中世の)投石器」で、その形に似ているため。
tree of variations:変化の木。ある局面からの変化手順の分岐を、木の枝分かれのように示した図。コンピュータチェスでは単にtree(探索木)と呼ぶことが多い。
triangulation:【終盤】トライアンギュレーション。相手に手を渡しツークツヴァンクに入れるための、K(まれにQ)による三角形の動き。「三角パス」と訳せばいいだろう。Pエンディングに多い。なお、3手で元の枡に戻ることが必要である。これも間違った説明をしている日本語の本がある。 例1:白Kd5,a5,c6、黒Kc8,a6、白先勝。1.Kd6? Kd8、1.Kc5? Kc7、いずれもオポジションを取られて前進できない。1.Kc4! Kd8(1...Kc7? 2.Kc5-Kb6xa6で勝ち) 2.Kd4! Kc8 3.Kd5、三角に動いて初形のまま黒に手を渡した。3...Kc7 4.Kc5、3...Kd8 4.Kd6でいずれも白勝ち。 例2:白Qc3,Kd1、黒Ka1,a2,Rb2、白先4手でメイト。黒番なら1...Kb1 2.Qc1#とすぐに詰む。だから1.Qd4! Kb1 2.Qd3+ Ka1 3.Qc3!と三角に動いて手を渡せばよい。 別の例は→Philidor position(3)
triple:(動詞)(1)同じファイル上に3個のメジャーピース(Q、R、R)を重ねる。 →Alekhine's Gun (2)トリプルPを作る。
Troitzky line:【終盤】トロイツキー・ライン。白から見た場合、a4-b6-c5-d4-e4-f5-g6-h4を結んだ線。K+N+N対Kは黒Kを隅に追いつめてもステイルメイトでドローになるが、黒にP1個があり、それをNでブロックしていると、ステイルメイトを避けて勝つ可能性がある。この時のPが、このライン上かさらに上方にあれば、双方のKの位置に関係なくメイトできる(ただし50手以上かかる配置もある)。Troitzkyはソ連の終盤分析家。 →fifty move law
turn-based chess:【通信】ターン制チェス。電子メール、ウェブなど電子的手段による通信戦を、リアルタイムのオンライン対局に対してこう総称する。新語である。チェスはそもそも交互に手番を迎えるターン制のゲームなのだから、いささか妙な表現ではある。
TWICThe Week In Chess。伝統あるオンライン・ニュースサイト。→リンク
twins:【作局】ツインズ、双子作。初形(または解答条件)がわずかに違う作品のペア(その一方がtwin)。よく似た局面なのに作意は大きく違うというのが眼目。通常は1枚の図に変更点の指示を加えた形で出題される。 例:F.Sackmann、1913年作の双子スタディ。 a)白Kh5,Ng5,g6,h7、黒Kh8,Rf8、白先勝。1.Nf7+ Rxf7 2.gxf7 Kxh7 3.f8/R!とステイルメイトを避けて勝ち。 b)初形から白のKとNを入れ替え、Kg5,Nh5とする。今度は1.g7 Kxh7 2.gxf8/B!で勝ち。
two bishops:ツービショップ(advantage of the two bishops)。白枡Bと黒枡Bの両方が自分だけに残っていること。閉じた局面でなければやや有利(P半個分と言われる)。bishop pairとも言う。
-U-
U-20、U-18…:Under-20…。20歳未満、18歳未満…などの年齢別の大会。U-20をJunior、U-18以下をYouthと総称し、2歳刻みでU-8まである。ついでに、Seniorは60歳以上(女子50歳以上)を指す。
U2200、U2000…:Under-2200…。オープン大会で、レイティングに上限のある下位クラスをこう表記する。
undefeated:負けなしで。つまり、ドローは何局かあったはずである。全勝の場合はsweep、clean scoreなどと表現する。
underdeveloped、undeveloped:展開が遅れている状態。
underpromotion:アンダープロモーション、下位昇格。8段目に達したPがQ以外のピースに昇格すること。Nの特殊な動きを利用する場合と、ステイルメイトを避ける場合とがある。まれにsub-p.、minor p.とも言う。 例:1.d4 d5 2.c4 e5 3.dxe5 d4 4. e3?! Bb4+ 5.Bd2 dxe3! 6.Bxb4? exf2+ 7.Ke2 (ここで7...fxg1/Q 8.Qxd8+ Kxd8 9.Rxg1と進めば無事だが……)7...fxg1/N+! 8.Rxg1 Bg4+で黒勝ち。ステイルメイト回避の例は →Saavedra position、twins
undevelop:戻り。最初の位置から一度展開した駒を、元の位置に戻す手。 例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.o-o Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 o-o 9.h3、ここで9...Na5(Chigorin Variation)も自然な手であるが、9...Nb8と戻ってd7に展開し直す手もある(Breyer V.)。
undouble:ダブルポーン(→doubled pawns)を解消する。
unpin:ピン外し。ピンされている駒を、安全に動ける状態にすること。的駒(target piece)を動かす場合と、ライン上にもうひとつ駒を挟んでhalf-pin(→)の状態にする場合とがある。 →pin-breaking
unrated:【Elo】まだレイティングのないプレイヤー(「UR」と略す)。または、レイティング対象にならない対局。
unsound:→sound
up:駒得の状態を意味する。a pawn upならP1個得。同じ意味で〜plus、〜ahead、〜to the goodという表現もよく使われる。 →down
USCF:【組織】United States Chess Federation。アメリカ・チェス連盟。→リンク。東京と大阪にも支部がある。
USCFレイティングとFIDEレイティング:
 USCFレイティングはFIDEレイティングに比べ100点近く甘いとされていたが、おそらくFIDEレイティングのインフレのため、近年差が小さくなっている。1993年にUSCFのレイティング委員会が出した報告では50点差としている。またICCのアンケート調査によると現在約45点差。日本のあるサイトでは200点差と書いているが、まったく事実無根である。
-V-
vacation:→clearance
value of pieces:駒の価値。一般にP=1として、Q=9、R=5、B=3強、N=3と言われる。point count、point valueとも言う。
 もちろん大まかな目安で、局面によりかなり変動し、中盤では崩れることが多い。そもそも基準となるPの価値が、中盤ではやや小さく、昇格の可能性が高まる終盤では大きくなる。静かな終盤での価値を数値化したものと思っておけばよい。一般的な終盤では、
 Pが両翼にある場合は、1点差でも勝てることが多く、2点差ならほぼ必勝。
 Pが片翼だけの場合は、1点差ではドローが多く、2点差でも勝てないことがある。
 (Pのない場合は、通常4点差が必要。3点差はほとんどがドロー。)
 とはいえ、ピースの働きに差があれば0点差でも勝てる局面はいくらでもある。つまり終盤でも、Pの1個ぐらいは捨ててピースの働きを高めるべき場合が多い。
Vancura position:【終盤】ヴァンチュラ・ポジション。R+RP対Rの終盤で、劣勢側が横からのチェックでドローに持ち込む基本形。 例:白Kd4,Ra8,a6、黒Kg7,Rf6。
variation:変化。(1)定跡や読みの中のひとつの手順。そこからさらに枝分かれする変化をsub-variationと言う。→line(2) (2)【序盤】定跡名、大文字で書かれる。OpeningやDefenseの下位区分となる。
visualization:視覚化、映像化。盤駒を使わず、手順や局面を頭の中に鮮明に思い浮かべること。またその能力。
 非常に早い年齢から現われるが、この能力だけで選手を選ぶと、もっと高度な抽象的理解の能力(十数歳から現われ急速に伸びる)にすぐれた人材が漏れるおそれがある。私見ながら日本のプロ将棋にはこの傾向がある。
-W-
waiting move:手待ち。(1)【終盤】相手に手を渡しツークツヴァンクに入れるための、狙いのない手。ピースによる場合が多い(Pによる場合は→tempo-move)。 (2)中盤で、相手の動きを見るための狙いのない手。局面は互角だが、自分はどういう動きにも対応しやすい柔軟な態勢で、相手はそうでない場合に有効。
wall chart:ウォールチャート。スイス式などの大会で壁に張り出す対戦結果表。
weak:→strong
webchess:【通信】ウェブチェス。ウェブ上の掲示板で盤面に手を入力して行なう通信戦。局面・棋譜・結果が自動記録される、消費時間が管理しやすい、反則手がありえない、など利点が多く、急速に通信戦の主流となった。
weighted sum:→Sonnenborn-Berger
WGM、WIM、WFM、WCM:【称号】→woman grandmaster
wheel checks:車輪チェック。ピースを守っている敵Kに対して、Qがすべての方向からチェックを続けてパーペチュアルに持ち込む手筋。 例:白Qb1、黒Ka4,Ra5。1.Qa2+ Kb4 2.Qd2+ Kb5 3.Qd5+ Kb6 4.Qd8+ Ka6 5.Qa8+…。a5の駒を見捨てない限りずっとチェックされる。
white:(1)白。淡色の駒。実際の駒の色は白のほか、うす茶、明灰などもある。 (2)白駒を持つ先手番のプレイヤー(the first player)。Whiteと大文字で書くことが多い。
win:(1)(1局のゲームに)勝つ。winningは「勝勢」、wonはさらに形勢が離れた「必勝」。 (2)(競技会に)優勝する。 (3)駒や手数を得する。win the exchangeなら「自分の小駒と相手のRを交換する」。
windmill:風車。隅のKに対して、BとRがディスカバード・チェックの連続で駒を取る手筋。 例:白Bd4,Rg7、黒Kh8,Ra8,Nf8,a7,b7,g5,h6。1.Rxg5+ Kh7 2.Rg7+ Kh8 3.Rxb7+ Kg8 4.Rg7+ Kh8 5.Rxa7+ Kg8 6.Rxa8、gファイルと第7ランクの駒を全部取られてしまう。see-saw(鋸の往復の動き)とも言う。 実戦例はTorre対Lasker戦が有名。 
wing:翼。→flank
woman grandmaster:【称号】女子グランドマスター。女子限定のFIDE称号のうち最高のもの。WGMと略す。以下、両性共通の称号に準じてWIM、WFM、WCMがあるが、どれも共通称号よりレイティング基準が200点低くなっている。つまりWGMはFMとほぼ同格。なお、女性で両性共通のGMタイトルを持つ者もいて混乱するが、Woman Grandmasterと大文字なら「WGM」、woman Grandmasterと小文字なら「女性のGM」と見てよい。→付2
woodpusher:材木(駒)を運ぶだけ、へぼプレイヤーの形容。
World Championship:世界選手権。 1.対局時計を使用しなかった1885年以前(非公認期)、2.対局時計を使用し始めた1886年からAlekhine死亡の1946年まで(公認期)、3.ソ連加盟後のFIDEがマッチを主催した1948年から1990年まで(安定期)、4.KasparovがPCAを設立し、独自にマッチを行なった1993年から現在まで(混乱期)と分けることができる。歴史について詳しくは→Mark Weeks氏のページを参照されたい。 →classical chess(3)、FIDE champion
World Cup:ワールドカップ。(1)1989年にGMA(→)が主催した個人世界選手権。各選手が年間6大会のうち4回に参加し、総合成績を争った。毎年行なう計画だったが、GMAの解消によって消滅した。 (2)2005年からFIDEが世界選手権予選として行なっているノックアウト方式の大会。2年に1度開催の予定。
wrong colored bishop:【終盤】悪い色のB。RPの昇格枡と違う色の枡を動くB。K+B+P対Kはふつう勝ちだが、PがRPで、敵Kがすでに待ち受け、Bが「悪い色」の場合のみドローになるためこの名がある。単にwrong b.とも言う。 例:白Ka5,a6,Bc5、黒Ka8はドロー。白枡B(たとえばBc4)なら勝てる。
wrong Rook('s) pawn:【終盤】悪いRP。前項と同じ局面で、Bと違う色の枡で昇格するRP。
Wyvill formation:ワイヴィル・フォーメーション。白ならc3,c4,d4とPが三角に並んだ形。通常、c3/c6でのBとNの交換によって生じる。
-X-
X-ray:X線。ラインピースが、同じラインを動く敵ピースの向こうまで間接的に利いていることを利用した手筋。ただし中にはskewer(→)と同じに使う人もいる。 X-ray attackの例:白Ba3,Qb4,Rf1、黒Kg8,Rf6,g7,h7、白先。白Rはすぐf8に動くことはできないが、X線のように黒Rを通して利いている。1.Qf8+! Rxf8 2.Rxf8#。 X-ray defenseの例:白Kg1,Ra1,Nf3,f2,g2,h2、黒Rc2,Rc8,Bd2、黒先。1...Rc1+ですぐ詰みそうだが、2.Ne1!でメイトだけは受かっている。 
-Z-
z、Z:【終盤】zugzwang(→)の記号。「4.Ke7z」のように手の後に付す。
zeitnot:(独)ツァイトノート。時間切迫、または時間切れ。
zonal tournament:ゾーン大会。zone(→次項)ごとの選手権大会(「zt」と略す)。→interzonal
zone:ゾーン。世界選手権予選のために数か国ずつを集めたFIDEの地域区分。ただし大国では1国1ゾーンのところもある。
zugzwang:【終盤】(独)ツークツヴァンク。終盤で、もしパスできた場合に比べて、自分の手番であるために損をしてしまう状態。 例1:白g5,Kf6、黒g6,Kh7。黒はもしパスできれば負けないが、自分の手番であるために1...Kg8 2.Kxg6と取られて負ける。黒はツークツヴァンクに陥っている。 例2:白c7,Kd6、黒Kc8。白番なら1.Kc6でステイルメイト。黒番なら1...Kb7 2.Kd7 〜 3.c8/Qで白勝ち。白黒いずれも、相手の手番の場合より自分の手番のほうが結果が悪い、つまりツークツヴァンクに陥っている。このように双方がツークツヴァンクの形をmutual z.またはreciprocal z.(両ツークツヴァンク)と言う。さらにそのうち、ドローの可能性がなく、白黒いずれも手番の側が負けになるものをfull point m.z.と呼ぶ。trebuchet(→)はその一例。
 なおゆるやかな用法として、手番であるために負けが早くなる場合にも使われる。たとえば例1で白にNa1を追加してみる。この場合黒がパスできるとしても白がNでg6のPを取りに行けば勝てるが、実際には白Nと関係なく1...Kg8 2.Kxg6以下白勝ちになる。この場合もツークツヴァンクと表現されることが多い。 日本語の本で、洋書を何ページも盗用したあげく、この語に間違った説明を加えたものがある。
zwischenzug:(独)ツヴィッシェンツーク。自然な流れの手順の中で、流れを離れて挿入する手のこと。チェックである場合はzwischenschachとも言う(schach=チェック)。英語ではintermediate move、in-between moveとも言う。また(伊)intermezzoも使われる。囲碁将棋の「(きわどい)キカシ」に相当することがある。 例:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Nxd4 Bc5 5.Nxc6、ここですぐに取り返さず、5....Qf6! とzwischenzugでf2を狙い、6.Qd2 Qxc6と取ればダブルPを作らずにすむ(dxc6と取る手もある、念のため)。 

付1:棋譜解説でよく使われる記号
 !!:絶妙手。!:好手。!?:注目すべき手。?!:疑問手、怪しい手、奇手、リスクの大きい手(使う人によってニュアンスが違う)。?:悪手。??:大悪手。+:チェック。++:ダブルチェック。#:メイト(代わりに「×」を用いることもある)。〜:どんな手でも。△:狙い。□:絶対手。
 +−:白勝勢。±:白優勢(下の線が2本なら「やや優勢」。上下逆なら黒優勢)。=:互角、またはドロー。−+:黒勝勢。∞:形勢不明。1-0:白勝ち。1/2-1/2:ドロー。0-1:黒勝ち。

付2:レイティングと称号の関係
 FIDEの称号の規定は複雑で、ここでは説明しきれない。大まかにレイティングとの関係を示すに留める。特に諸種の特典規定による称号取得者の中には、レイティングが異常に低い人がいる。なお、両性共通の称号を俗に「男子」GM等と呼ぶことがあるが誤りである。
 レイティングリスト等においては各称号は小文字1文字で表現される。g=GM、m=IM、f=FM、c=CM。女子称号はwg、wm、wf、wcである。
 USCFにもLife Masterなどの終身称号があったが、現在は廃止され、単なるレイティング区分となっている。USCFのレイティングはFIDEより100点近く甘いとされる(近年差が縮んでいる。→USCF)。

FIDE-R 共通称号 女子称号   USCF-R 区分
2500+ GM (International Grandmaster)        
2400+ IM (International Master)        
2300+ FM (FIDE Master) WGM   2400+ Senior Master
2200+ CM (Candidate Master) WIM      
2100+   WFM   2200+ Master
2000+   WCM      
        2000+ Expert


付3:各国語の駒と色の名称
 棋譜の中で、駒は名称の頭文字1字で表される。ただし、(英)Knightは「N」、古くは「Kt」。また作局関係の本では「N」をNightriderというフェアリー駒に使い、ナイトには独語の頭文字「S」を使う。(露)Королъは「Кр」。とりあえず棋譜を並べるためなので、ウムラウト等の記号は省略する。

日本語 キング クイン ルーク ビショップ ナイト ポーン
英語 King Queen Rook Bishop Knight Pawn White Black
ドイツ語 Konig Dame Turm Laufer Springer Bauer Weiss Schwarz
フランス語 Roi Dame Tour Fou Cavalier Pion Blancs Noirs
スペイン語 Rey Dama Torre Alfil Caballo Peon Blancas Negras
イタリア語 Re Donna Torre Alfiere Cavallo Pedone Bianco Nero
ロシア語 Королъ Ферзъ Ладъя Слон Конъ Пешка Белые Черне
セルビア・クロアチア語 Kralj Dama Top Lovac Skakac Pesak Beli Crni
チェコ語 Kral Dama Vez Strelec Jezdec Pesec Bily Cerny
マジャール語 Kiraly Vezer Bastya Futar Huszar Gyalog Vilagos Sotet
中国語


付4:オンラインの長時間対局グループ
 ブリッツのほかにも、持時間15〜30分程度の対局はオンライン対局場で毎日行なわれているが、それ以上の長い持時間(STC=slow time control)の対局を行なうグループもあり、近年着実に増えてきている。1、2週間に1局のペースで、メールか掲示板で対戦相手と日時を打ち合わせ、ネット対局場で対戦し、結果を世話人に報告するものが多い。2、3か月かけて1大会を消化する。持時間の項は「(分)/(累加秒)」で、「45/45」なら「45分+1手45秒」の意。DRRはダブルラウンドロビン(2局ずつの総当り)。なお「チーム戦」とあるものも個人で申し込めば適宜チームに割り振ってくれるので心配はいらない。

名称 創立年 持時間 対局形式 使用サーバ コメント
STCBunch 1994 いろいろ 随時大会を開催、個人戦 ICC、FICS、WCL 伝統あるグループ
Team45/45League 1998 45/45 4人チーム戦 ICC 運営が安定、レベルも高い
FICS Team League 2006 45/45 4人チーム戦 FICS 上のグループから分離
Online Chess League 2003 60/15 4人チーム戦 主にFICS 実名登録
Keres Tourneys 2004 90/30 4人DRR ICC FIDE持時間
90/30 Tourneys 2007 90/30 4人DRR FICS 上と同様、FICS
Fischer Open 2004 80/60 4人DRR ICC 持時間最長
LeChess Club 60/30 7Rスイス式 ICC (ch340) 多彩な企画、棋力向上を目指す
Slowtimers Internet Chess Club 2004 60〜90/30 多彩な大会を企画 ICC
All Nations Chess League 2006 90/5 6人チーム戦 Playchess
ChessNinja Tournament 30/0以上 個人戦スイス式 どこでも可 上達のためのメルマガと連動


付5:ネット対局場のStandardトーナメント
 毎週定時に行なわれる持時間15分以上の大会(途中参加可能なものもある)。時刻は日本時間、夏時間中は1時間早くなる。コメント欄に「手動」とあるものはペアリングが手動のため、毎ラウンド結果報告の要あり。
 [I]=ICC:表の大会はほとんど、会員権延長の形で賞がある。ほかに15/0前後のトーナメントはSlomatoで随時開催され、特に奇数月第2週末の日曜02時からはMarathonの一部として24時間行なわれる。また偶数月の第2週末からはChampionshipが開催され、10月が15/0である。これは予選6大会と決勝からなり、予選は時間帯を散らしてあるため、日本からも参加しやすい。それぞれのhelpファイルを参照。さらに2007年夏、新たに15/0の自動組み合わせプール(15-min)が追加され、常時対戦できるようになった。
 [F]=FICS:毎年7-8月に15/0 Championshipが行なわれる。予選・準決勝・決勝の3ステージからなり、予選は毎日行なわれる。
 [W]=WCL(World Chess Live) 強い人は少ないが日本から参加しやすい時間帯が多い。

日時・サーバ 名称 持時間・局数 詳細情報 コメント
毎日12時・24時[W] Random Draw 15/0x4R (土曜12時を除く)
毎日14:15[W] Titanium King Challenge 25/0x4R
月03時[I] Sunday Swiss 45/5x3R STC Bunch(付4)
月04:15[F] 45/5x3R
月08:30[I] Sunday Night 16/6x5R help SNS
火-土04:15[I] Daily Standard 20-30分x4R help DailyStandard 持時間は曜日により違う
水04/10/13時[I] STTourney 60/0x1R help STTourney 時刻とクラスを選んで登録、月4局
木08時[I] Wednesday Night 15/0x5R
木10時・金04時[F] 20/0x3R
金08時[F] 15/0x3-5R
金11時[I] MatchDuel 20/10x2R LeChess Club(付4) レイティング近い人と2局、手動
金11時[I] Thematic 15/0x4R help Thematic 局面指定戦
土13時・日02時[F] 20/5x3-4R
日02時[I] Monthly ST 15/5x3R help MonthlyStandard 月12または15局(途中参加可)
日02:15[F] Saturday Swiss 45/5x3R STC Bunch(付4)
日05/09時[I] LeChess KO 15/5 LeChess Club(付4) 勝ち抜き戦、手動、05時はU1500
日06時[W] Silver Titanium 25/0x4R

主要参考文献
Burgess:Mammoth Book of Chess
Gude:diccionario de ajedrez(スペイン語)
Hooper & Whyld:Oxford Companion to Chess (revised ed.)
Pandolfini:Chess Thinking
Roycroft:Chess Endgame Study (second rev. ed.)
Sahovski Informator:Small Chess Dictionary
Silman:Amateur's Mind
Wikipedia(英語)
FIDE Handbook


(c) 2001-2007 NISHIMURA Hiroyuki 

トップへ戻る→

筆者略歴:
 1982年、史上最年少(当時)で日本チャンピオンとなる。通算単独優勝4回。
 1991年から日本チェス協会の依頼により海外派遣選手に対するコーチングを数次にわたり行なう。
 1992年、オリンピアードで日本の1将として歴代最高勝率(62.5%)。
 1995年、ゾーナルで日本人として初めてIMノーム達成(パフォーマンス2476)。
 1996年、無茶苦茶な運営に抗議して同協会を退会。以後インターネットでチェスを楽しむ。