『ブラスの祭典』(佐渡裕 指揮 シエナ・ウィンドオーケストラ)

ドイツ、フランスでも人気が高い佐渡氏
ブラスの祭典


これは、吹奏楽(管楽オーケストラ)のCDだ。私は元々チューバ吹きでもあるので、当然長い間吹奏楽に関わってきた。その方面での、経験はそれなりにあると思う。しかし、CDで吹奏楽を聴きたいと思うことは殆どなかった。まず、吹奏楽に鑑賞用の作品が少ないということと、まずなにより『良い演奏』のCDが本当に少ないのだ。知らない人には、分からない世界だが、日本には、『吹奏楽コンクール』というものがあり、世の吹奏楽関係者は大なり少なりそれに関わってきた。当然、吹奏楽のCDもそれに関係したものが、多かったのだ。そのせいだろうか、日本の吹奏楽のCDは、『演奏』というより、
譜面をただ音にしただけ。。。という演奏、録音が殆どであった。なぜ、こう断言できるかというと、日本の吹奏楽のCDは、3年前までは殆どすべて購入していたからだ。(それは鑑賞ではなく、資料だった)その後、吹奏楽から離れてしまったので、CDも買う『必要』がなくなり、吹奏楽の曲を聴くこともなくなってしまった。
しかし、ドイツ(Stuttgart)でも評価の高い指揮者佐渡さんが振っているというので、このCDを購入したのである。感想は、『少しは変わりつつあるのかな。。』だ。ただ、綺麗に、ピッチがあっていればそれでいい。。という演奏からの脱却の意志がほの見えている。
演奏しているのは、若いオケで、おそらくコンクール世代だ。正確な演奏は出来るが、音楽の表現という面では、かなり問題のある連中に違いない。佐渡さんの苦悩が分かる気がする。また、佐渡さん自身、管弦楽を指揮した時の、奔放さが、薄れていることも事実だろう。というか、要求してもまだ無理だったのかもしれない。『ウェストサイド』や『ガイーヌ』の自作自演盤と比べれば、その欠けている部分はあまりに大きいだろう。しかし、それでも、このCDには、なんとか『音楽』をしようという気概はあるのではないか?少なくとも吹奏楽なんて。。てバカにしている人を立ち止まらせるものはあると思う。特に、リードとういう吹奏楽曲作曲家の吹奏楽曲としては名曲である『アルメニアン・ダンス』はなかなかの名演奏だと思う。ただ、残念なのは、録音だ。吹奏楽の録音は、倍音が混濁してなかなか綺麗にとれないのは、分かる。それにしても分離が悪く、不要なエコーがあり、各楽器の音色も生きてこない。バランスにも疑問がある。96KHzのサンプリングの録音というが、それが生きている感じがしない。折角の演奏が、かなりオミットされている気がするのだ。。これで、録音がもっと芯のある音で録れていれば。。と残念でしかたがない。
過去に聴いたオランダの吹奏楽団のCDの音はもっとずっと美しかった気がする。こういう録音を聴くと、私は『自分ならもっといい音にできるのに。。』と思ってしまう。。それが、ドイツ行きを決めた理由でもあるのだ。。。もう一つの苦言は、このCDのタイトルだ。。『ブラスの祭典』とは、なんとトホホな題名だろうか。。一体だれがつけるのだろうか。。。
次いでに付記するなら、Project Fateでも演奏してもらった平林剛君がこの演奏にも参加している。ともかく、このCD一聴の価値はあると思う。

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