横浜市立南高校 母親の読書会 全体会
「アメリカの少数民族を児童文学から見る」 鈴木宏枝 2003.5.14
―ネイティブ・アメリカン(インディアン)作家 ジュマーク・ハイウォーター「幻の馬」シリーズを中心に―
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子どもの本を読むということ
本を読むということ
→ 視点の問題
(エスニック)マイノリティ
←→
マジョリティ
(誇りを奪われて追いやられる涙の歴史)
(栄光に満ちた開拓の歴史)
子どもの本:民族集団の語り伝えたいものがはっきりあらわれてくる
アメリカ合衆国
* White Anglo Saxon Protestant
* ヒスパニック ネイティブ・アメリカン アフリカン・アメリカン
ピューリタンの子孫が壮大なユートピア建設の実験をしている国
@ 主流の側に手渡されてきた物語
『若草物語』(1868)
オールコット(1799〜1888)
『トム・ソーヤーの冒険』(1876)
マーク・トウェイン(1835〜1910)
『オズの魔法使い』(1900)
バウム(1856〜1919)
『シャーロットのおくりもの』(1952) E.B.ホワイト(1899〜1985)
「小さな家」シリーズ
ローラ・インガルス・ワイルダー(1867〜1957)
家庭生活・手仕事の細やかさ・日々の暮らしの素朴な喜び
1932『大きな森の小さな家』 ウィスコンシン州の大きな森での開墾
1935『大草原の小さな家』 ミネソタ州のインディアン・テリトリーでの
払い下げ農地取得を目指す
『プラムクリークの土手で』『シルバーレイクの岸辺で』『農場の少年』 以下
アメリカの男性的な「父さん」 ←→ アメリカの良妻賢母の「母さん」
アメリカン・ファミリーの理想
明白なる神意(Manifest Destiny) 自明の運命説
アメリカ合衆国は北米全土を支配開発すべき運命を担っているという理論(19世紀半ば〜後半)
一般に領土拡張説
自然対文明の図式 開拓事業―ピューリタニズム
◎オーセージ族 開拓者との関係 政治的な色合いの複雑さ
開拓―自然(=敵)を切り開き、人為的に「自由と独立」を広めていく<土地の上書き>
A ネイティブ・アメリカン:呼称の問題
インディアン
ネイティブ・アメリカン
○○族
× インジャンcf.『トム・ソーヤーの冒険』
ジュマーク・ハイウォーター(1942?〜2001)
作家になるモチベーション
cf. C.S.ルイス(「ナルニア国」物語):形式を選択
アフリカン・アメリカンの作家 :等身大の人間像をロールモデルとして示すため
ネイティブ・アメリカン キリスト教と英語による同化教育 文化的断絶
神話・民話の再建 cf.絵本
◎ 『アンパオ 太陽と月と大地の物語』(1977)(金原瑞人訳 ベネッセ)
アンパオ=太陽と人間の半神半人 (不義の子) ← 月の怒り
許婚のココミケイス とうもろこしの発祥 天然痘
「ネイティブ・アメリカン」求心的に求められていくようになった「物語」
再び信じられる神話の造形
ハイウォーターの意識:アンパオを生み出す土壌、世界、ものの見方、土地、土地に宿る力
◎ <幻の馬>シリーズ(1984〜86) (金原瑞人訳 ベネッセ)
ヴィジョン:霊感を与え、精神的な知識を授けてくれる夢想、瞑想から生まれる夢、心の中の絵
超現実的なものが当たり前に出てくる世界
フクロウ―災厄 キツネ―恵み・援助
アマナ(ブラッド族) ―― フランス系入植者
?
娘:ジェマイナ ―― 幻の馬ジェレミー(混血)
?
兄リノ・弟シトコ
『伝説の日々』(1984)
アマナの少女時代
キツネの洞穴で得た偉大な戦士のヴィジョン
伝説の終焉
『汚れなき儀式』(1985) アマナの母親時代 絶望
シトコへ受け継がれるブラッド族の世界観
『暁の星をおびて』(1986) シトコの経験する困難 一族の悲劇
シトコ:「色彩」というヴィジョン 芸術家個人として
アマナ:失われたヴィジョン(大地と共に)
Kill Hole
ブラッド族の文化が、いかに、大地に根ざした世界から個人の中に生きなおすようになったか
アマナの歩み シトコの源流 成功者になれなかったリノ
伝説となったかつての真実 世界へのまなざし
ルーツ:血筋は既に様々に混血 選び取る個人/選び取られる個人
エスニック・マイノリティの文学 − 自分の立ち位置を知る
子どもの文学 − 大人の世界/西欧的な価値観に慣れた目に、新たな面を見せる