| 紅い灯からすの |
| <2003.8> なにものになるとも知れず日暮して さかみちはたち反吐して月夜 いくつものあの夏この夏遠い夏 もうなにも待たなくなって今の夏 「生ビール」が発泡酒でもその夜が 紅い灯だったらそいつが一番 吹き降ろす風は忽ち上昇気流 虎溌剌と颯爽とここにあり でろりんの街への段々ケロケロリン 汗に湿った屁ーこいてViiiB |
| <2003・9> そしてまた夏は終わってトンネルを やって来たのは電車だけ 熱狂を今や遅しと虎の庭 闘志溌剌秋はいまだき 波の瀬に昨日も今日もゆらゆらと 有象無象も揺られてゆれて |
| <2003・10> 金玉とふんどしという名で二軒 なかよしこよし夕焼けこやけ 天下茶屋松虫姫松我孫子道 あの子が泣いた小橋にたんぽぽ 早足を山のお寺の鐘が追う キリンレモンの秋のみじか日 行き死にを見つめ続けた地下道の 火葬場に似たタイルと鉄扉 |
| <2003・11> 夕暮れに目覚めてしまった煩悶と 自嘲を抱いて寝床にこく屁 既視感に振り向いてみる日暮れ時 草に埋もれてなつみかんの庭 明け方に夢がかがんでいた路地の 奥間に鬼の潜んで真昼 一瞬をバスの窓から覗いた家に 笑い声して灯の下あかく |
| <2003.12> 軒下に星を飾った家の前 急ぎ行く人手に薔薇の花 手を曳かれええとこええとこ新開地 夢の残滓の眠ってまひる 地下鉄のそのまた地下の底の底 秘密の列車は真夜中始発 あの部屋のあの窓開けてみた夢は 環七あたりにまだぶらぶらと 赤い実に雪の降り積み夕間暮れ びゅんびゅん鳴るのは電線ばかり |
何を願うて日の出を見しや どぶ川に浮いた花びら赤い花 あの子の花はどの赤い花 ぽかぽかを集めて猫は陽だまりに 昼寝が一番ひるねがいちばん 「じゃあまた」と言えばウソになる9番線 泣きっ面を霰の打ってひとり |
街に浮いては酔いどれ航路 病院の坂を下って振り向いて 青空怖くてすぐ目を伏せた 分かれても水は流れを迷わない ……っておまえは「相田みつを」かい!? |
見てんやないおどればかたれあっち行け わしは昼寝で忙しいんじゃい (原文は猫語) また来てねお別れなんて聞かないわ さよならさんかく丸かいてチョン ぽつねんとつくねんの人空見ては 腹が減ったとつぶやいてみる |
風吹いて出会ってわかれてまた春で ココロ模様の行ったり来たり 路地裏を浮かれ調子のスキップで あっちもこっちも春色模様 あの人が去った路地(ろうじ)にこびりつく 下駄の響きのこもって曇天 青い空雨露しのぐ家もあり 襤褸は着ててもコッコロの錦 曲がり鼻築地の塀に人影のして にわかに潜めた声裏返り |
憬れは夢のスキマのはざかいに さよならこんちはもう日も暮れる 振り向いてさみしそうに笑ってた うつむいてタバコの吸い殻眺めてた てのひらで掬いそこねたゆうべの水は 紀伊水道で魚が飲んだ あかい海群青の海黒い海 波ばかりだったのはどんな海 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
「すわん!」と客には禁煙すすめる あれあんたどこ行かはるの汗かいて じとじと梅雨にはおうちが一番 ちょっと待ちあんさんもここ座っとみ 地べたから見りゃ世間も別モン 走らいで大汗かかず涙せず しゃかりきなっても人生とんとん |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あれからもいろんなことがありまして 明日もおそらくかけずりまわる 泣きながら見上げた空には観覧車 きのうもあしたもくるくるくるり 街は溶けシュンシュン脳味噌100℃ 空から阿呆が降ってくる 夏の暑さをただ疎ましく憎むほど イヤになったはいつごろからか かたまりで夏がドカンと降ってくる 朱色の夏はいつ終わったの? |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
「ねえあんた」呼べば必ずそっぽ向く ハスリン・ダンあたしのいい人 ねえあんた小さい秋をみつけたの あんたとあたしのココロのすきまに アイしてもココロの糸が結べなきゃ 河は深くて暗いまま |
ぽかこんとまひるの道は白くてさみしい まひるの空はイケズに明るい グッドバイ父さんおでかけ手をふって 電車に乗ったらトンズラこいた この夏もいつもの夏の仲間入り 雲はぽっかりココロもぽっかり あの人が行ってしまった線路端 一面の曼珠沙華曼珠沙華 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
窓越しに花嫁衣裳の薄汚れ 風もないのに揺られて揺れて あの窓に住む幽霊を慰めたくて ブランコはひとり今日も揺れてる あの家を出てったしあわせいくつほど? 泣いた子何人?お空に何人? 幽霊をゆうれんと呼ぶ婆さんの ゆうれんぽつんとひとりで座った |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
夕暮れにひとりじゃ寒くて珈琲一杯 煙草の煙に電車が「ポー」 星霜をかさねてエデンはいくたりの アダムとイブを見送ったろうか 「帰ったの?」肩をたたかれ振り向いて 彼女の肩越し夕焼け見えた 口笛を吹いて歩けば街の灯に タバコの煙も真っ赤っ赤 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
とりあえず今日いまがあり明日は未定 なんてこたない、なんてこたない 百年を空に浮かべてにゃんにゃにゃん にゃにをきさまらにゃンでも来い うつむくとくわえ煙草が目にしみて 涙目すがめて家出の荷背負った 今年もねやっぱりイロイロありまして いっそハレバレ年越しましょか |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あの人のヒコーキが今飛び立って イッテラッシャイクタバッチマエ もうすぐね、もうすぐだから今少し あれから何年待ちぼうけ くもり空くもり空なんでこんなに ココロも寒くてこんなくもり空 雪も舞いあの日の朝も曇天で ふと見りゃ東は真っ赤っか さりとてもゆわんこっちゃないゆわれても 後悔ばかりを吐き空は冬 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
いれたまま出してもいいのよあたしのね おなかの宇宙に飲みこんであげる 男根は街の臓腑を突き破り お前の精子を今地下へ吐き出す 幾星霜あのしあわせやらこの不幸 トンネル行き来の電車に見てた 恥ばかり思い出す夜は誰だかの 哄笑聞こえて布団をかぶった |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
とうちゃんが帰って来るまで待っている 風景になって待ちつづける 寝るときも人待ち顔な犬だから いつもさびしいいつも待ってる 行き過ぎるさみしい人やつらい人 黙って見てる午後なのでした どっちせえおまえはコロでおれはポチ ふたりでいればそれでしあわせ |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
おでんに燗酒つけましょか 待ちぼうけ四月そよ風かすみ空 ひとりが気ままと強がってみる 汗ばんでいつのまにやら花も散り またあの夏が……と倦んでみる 待ってても誰も来ないと思ってみても それでもやっぱりとりあえず…… |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
見知らぬ駅に飛び降りてみる ささくれたココロにあてがう酒まずく 闇にかろころ竹薮の鳴る 耐えきれず思わず降りたがこんな駅 野糞より他に方策はなし…… 立ち止まると風が吹いていてベンチがあって ゆっくりと煙草に火をつけてみる 振りかえってもふりかえっても恥ばかり いっそ小田急で逃げましょか |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
いっそ帰って寝てしまいたい 「忘れて」と小さくつぶやく声残し 角を曲がって消えた人 叫びつつ酔ってしゃがんでゲロ吐いて 自意識ばかりが尖ってあのころ あの角を曲がるときっと明日には いいことあるぞと浮かれて月夜 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あの夏この夏今年の夏は? からまわりくるくるくるりとからまわり 涙こらえてまた橋わたる ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん ピーカンの空にぼんやり不安の影が 気圧の谷間にうろうろと 河原には虫のおとこと影おんな 夕日を浴びてたたずんでおり |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
暮るるや熱気はいやましにまし
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
だれかとここで既視感の夏 ひぐらしは行こか帰ろかかなかなと 灯ともしころの思案投げ首 遠ざかる遠いあの夏あの記憶 追いかけるごと影もおぼろに |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
日もまだ高いがビールに負けた お彼岸に狸と猫が見合いして ぶらぶら金玉ひっかいて「チョン」 素面ではお月さまにも逢えぬわえ 忘れたいこと多くて忘れた しかたないしょうがないからしかたない クソッタレなお日さままだ沈まない |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
逢魔がときの宴は一瞬 あかあかと燃ゆるもみじもJFK 鍛えてここに甲子園の秋 (やや錯乱気味……) クソタレな夏は二度とこないから 真っ赤なドレスを君におくろう かさこそと鳴るは落ち葉かココロの中か さみしい人がまたひとり来る |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
涙を拭いてよおまえにつられ 空が泣いたらまた雨になる マフラーをあなたを捨てた夜に落とし だから首から風邪ひきました |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
急ぎ足してもう日が暮れる あの街この町陽が暮れて 今きたこの道明日はどっちだ? 来てみればこんなに狭い道だっけ こんなに寂しい通りだっけか 寒くって眠れないまま丸まって 明け方あなたの夢を見ました |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
一年の初めの決意はムダだから とっくにやめたお正月なのです ドア際で泣いてあの子は外向いて 雪ばっかりを眺めていました あの日にも壊れた街に雪が舞い ただ呆然とつっ立ってました 突っ立って電車の窓の外は雪 しおどきかなとつぶやいてみる |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あのころのことはあのころのことで今日 小さく舌打ちしてから歩く うしろ向き前向き横向き逆さ向き あげくの果ての宙返り あの日から二十一個の春と秋 サヨナラひとつありがと二つ |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
うき事は春にはますます晴れ遠く 京阪電車で逃げましょか 行きましょか明日晴れたら電車に乗って 昔あんたが死んでたあたり テレ笑いっかないんか俺はアホやから 死にとうなっても月は地球のまだ真裏 ずっとずっとずっと待ってこれからも いつものあそこのあの場所で |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
としつきを幹にきざんでさくらさくら あの日のことはまだないしょ 迷いつつふわふわふらり宵の灯に 頬を染めにし君に降る花 降る花を浴びておでんを食う君の 濡れた頬にはピンクがふたひら 迷いつつふらりふわふわ雲の上 花にまみれた君を抱きしめ ざあざあと花の散る音聞きながら コロッケパンをかじって歩いた |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
不安かき消す根拠もないけど やみくもに走ってみたけど日暮れ道 あの人の待つはずもない帰り道 きらきらの波を背にして笑った人を 寝覚めの床に夢見て泣いた |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
その日を最後に三十二年 ふみきりはチンチンカンカン鳴るばかり あの人今日も渡ってこない 汗ふいてアイスがりりと噛み砕き 踏み切りわたって金借りにゆく 赤い靴ひとつぽつりと踏み切りに 片足裸足でいった子どこの子 踏み切りを渡ればぷんとカレーが香り なんとはなしに駆け出す夕暮れ |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
希望や失意やゴミくずが転がる路地裏 べそかいて歩くに路地ではあまりにも 似合いすぎててちょっとイヤ 寄りそうてふたつの影の揺れながら ラブホの裏の路地の奥闇 雨あがり路地のスキマにキラキラと あのこの捨てた指輪がひとつ |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
だからわたしはこの街出るの 人知れずいっそどこかの知らない街へ 見上げた空には電車がゴンゴン 寝つかれずビール求めて熱帯夜 パンツ一丁怪しい男 |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
もういいの夏と一緒にあの人は 行ってしまって歯ブラシ二本 重くって放り出したい現実を よいしょひと声カラ元気 便所から見上げた空は曇り空 クソと一緒にあのこと流した 振りかぶり投げたふりして豚饅ひとつ レールに沿って食い食い歩く |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
ぽっか〜んと馬鹿らしいほど青空で 電車を降りてお好み焼き食った 昼酒のおでんゲップにこみ上げて へっちゃらだいと虚勢を張る秋空 コロッケの油をズボンにぬぐっては ただ立ち尽くすコスモスの原 ドック・オブ・ザ・ベイやな……と呟いて 行き暮れ港のクレーン見上げた |
|
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
雲垂れてココロも谷間の日陰道 あのこの笑顔が見たいとおもう 鉄柵に凭れ「こんにゃろ」と呟いて たこ焼きひとつ谷間に投げる ふいうちに角を曲がると街夜景 どこかの家からカレーの匂い 思うてもいまさらどうにも日も暮れて 安ウィスキー一本買うて帰ろう
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
この辺に豚まん売る店あるはずと 何十年以前の記憶を頼り 菊水も猟奇も果てて夢野原 コロッケ匂うて湊川はたそがれ もういくつ寝るとお正月 お正月には……なにしてんだろうか? あのころのことこれからのことよりも 今日の酒の一杯が大事で日暮れ
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
この道はいつか来た道 ああそうだよ 昨日も通った明日も通る道だった 昨日とおった路地で匂った鯵の干物を なんでかふいに思い出して青空 コンビニで買った豚まんかぶりつつ 歌をのせたき唇さむく 伝えたいなにかがあるのにことばにできず 絶句のあげくに啼いてもみたり
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
おでんで酒を飲んでもみたり ふとなにか見えた気がして電車を降りて なんにもないのはわかっていたけど あのころはあのこがあそこであの水着 波音ばかりがあの日と同じ ねえあんたあの頃そうねよかったけどね 今だってそんなに悪くはないのよ
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
この坂だっけかあれはいつの春だっけ あの日のコトバは本気じゃないんだ 冗談なんだと言い訳しいしい坂から海へ 道端に犬の糞あり彼方から 「ボオ」と汽笛の霞を割いて春 猫町に迷いこんだる日暮れ過ぎ 温い灯の下誰かが笑った
|
||
|
|
涙は見せずにうちへ帰ろう 花見ても春の気鬱は年ごとに 去年のいまごろなにしてたっけ ほろ酔いの桜並木に陽はまだ高く 「バカ」とひと声あの人泣いた 若干のしあわせひとつ噛みしめて 都会の真ん中なみだがひとつ 踏み切りの向こうの坂道駈けてきて アカンベしながらあの娘が笑った
|
||
|
|
なにかがやって来そうでうれしい メシ食えば忘れてしまえるほどちっぽけな 憂さをはらってこれから帰る さて今日はなにを食べよか考えながら まだ陽も高い家路を急ぐ
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
今日もあの角曲がれない帰れない 忘れよう忘れたいから涙を拭くわ 水に流せるティッシュで拭くわ ぎんいろの雨に打たれた上着には モツ焼く煙が夜まで匂った コロッケもハンバーグだってなんもなも 「牛100%」が旨いわけでもなかろうに
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
べた凪の風ひとつなく瀬戸海は お月さんさえ気だるそう 潮くさい風をたどって海へ出て 汗拭きながら煙草が苦い 気がつけば真夏の黒シャツ塩ふいて 電車に乗るのをふと躊躇する
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
こんにちは暑いですなほんまにね せめて晩飯ゃ精出るもんで 遠い日に「じゃあまた」と言ったきり 逢えない人にもいつかどこかで 濡れ縁に西瓜の種の乾いていたり ダリヤの赤とか麦わら帽子 いちめんの吾亦紅あの日の吾亦紅 夕立が来そうで二人駆けだして カンカンと鳴るは踏み切り酒だけを 思って躓き犬が笑うた
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あたしは大きく手を広げよう ともすればややもすればさりとても 憂鬱ひとつがしゃがんで坂道 汗拭いあの日あのときこの街で 振り返ってもただ白い坂 こんな風に一日が昨日も過ぎて いったっけかと見上げる空に夕焼けの気配
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
闇雲に電車を降りてはみたけれど ふと見りゃ空も泣き模様 「待ってるわ」そのひとことだけで どこでも行けるなんでもできる 闇に立つ炎と見まがい舌打ちし カンナむしって逃げ出す深更 くれなゐの夕陽を受けて甍の上に 正義の味方は今日も淋しい
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あの人を待ちぼうけして帰り道 栗の実十個拾って煮ました 顔そむけ「ちぇっ」と地面を蹴ってみた どんぐりころころ転がった あの人はまっかなもみじの樹の下で 降り返っては「じゃ」とつれなく行きました 工場のサイレンの音聞きながら 川原に座ってビスケット食った 長い影引いたあの人背伸びして 踏みきり待つ間に柿もいで笑ろた
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
夜明け前あの日あの朝あのときだけは あんたの目ン中あたしでいっぱい 性懲りもなくまた夜が明ける朝が来る 今日も今日とて風まかせなるがまま 夜が明けたらうちに帰ろう淹れたての 珈琲と君の待つうちに帰ろう 夜明けの珈琲二人で飲もうとあの人が 言ったあの日も海にはやっぱり波ばかり
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
待っていた待っていたけど来ないから 探しに行きます汽車に乗ります さようならまた逢う日まで……は明日かも 知れないけれどもあなたに肘鉄 線路の上を猫が横切ってまた横切って 五度横切っても汽車はまだ来なかった
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
山の向こうの海より遠いあの人の 心臓めがけて窓からナイフ 白菜は四半分が七十五円 外は雪です今日も鍋です
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
三月は駆け足しながらやって来て いつもわたしのなにかを奪って去ります はるかぜの気鬱にふいて駅ひとつ 乗り越してみつためいきひとつ 春なのにコスモスみたいという歌に コスモスは秋と教えてもらった あれは二十歳の春でした
|
|||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
乗るべき電車はまだ来ない 「ヒメオドリコソウ」と教えてくれた あの花は今年もあそこに咲きました ツルキキョウばかりはびこって紫の 星ばかり主なき家の庭の春 たんぽぽとぺんぺん草の天麩羅で 飯食いながら「オツ……か?」と呟く
|
||
|
|
あのころのあの日の反吐を幾たびも 幻視しつつも幾たびめかの夢に酔う うっすらとそら見たことかと笑ってる あいつを殴って走って逃げる 精液のにおいを放つ山を降りれば しみったれた夜が今日もまたはじまる 汗ばんで生ビールまであと三歩 電車が轟と頭上を過ぎた 酒の味なんてわからへんわと高い酒 飲んでみたらばヤケに旨くて二十歳だった
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
坂道をえっちらおっちらなんだ坂 こんな坂登りつめたら行き止まり てろれてろらばてろる坂踊り候へ 紅い真っ赤な濡れ花畑 まっかっかがあんなにいっぱいあんなに真っ赤で あたしのお目目もまっかっか
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
不意打ちにまっかな躑躅が窓いっぱい ぬらぬら真っ赤であまりに真っ赤で…… 月見草は真昼過ぎても咲き残り 寝ぼけた黄色がやや恥ずかしい あの子はたあれたれでしょね なんなん棗の実はまだ青くてすっぱい ノウゼンカズラの朱色がぽっかり 闇夜に浮いて赤い踏切チンチン鳴った
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
せみの声ばかりが聞こえる坂道を 転げ落ちてくわたしの心臓 アホめあほめと呟きながらふと立ち止まり どっちへ転ぼか思案なげくび しゅわしゅわと昭和の蝉が鳴いていた あれはハタチの長い長い夜の朝 「天地無用」を真逆の意味で覚えたと 気づいたあれは三十真夏の日
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
山のあなたの空遠く犀はアフリカ虎インド 山は富士なら酒は白雪 遠い日のゆめのあとさきまぼろしの 花火を聞いて空を見上げた トッカッカッカ…カーブのたんびに吊革鳴って 夢の入り口まぼろし電車
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
裏窓からなにかのたんびに投げ捨てた あたしのあれは海まで流れて行ったでしょうか 1974年秋の京都は憂鬱を 映して空にも雲垂れ込めて 『ミスター・クラウディ・スカイ』という唄が そう言やあったと呟く朝の道端に菊 京都の秋の夕暮れはコートなしでは さぶいくらいであんさんのこころを 雪にしてしまいますねん
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
またおいでまた来るよって言いながら あれから何年また冬がくる いきなりにやぶからぼうにとつぜんに いつのまにやら冬で青空 秋の夕日に照る山紅葉の真っ赤な頬は 恥のゆえやら怒りのゆえやら
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
アリスという名の川沿いを少女は歩き オオカミに出会って恋して今日家を出る なによりも帰り道こそ楽しくて だからしあわせかみしめて夕焼け かみしめてしみじみとまたかみしめて ああそうだったねと踏切渡った 車折御室太秦蚕ノ社 西院山ノ内帷子ノ辻
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
バシバシとなにはなくとも八百八橋 川から元気がやってくる……か? くるくるとめぐる月日はゆく川の あの日ももはや海の彼方へ さびしい真っ赤なりんごの実ひとつ ぷかぷかふらりと流れてきえた あとひとつ橋を渡ればあの人の 待つ店だけどくるり踵を返して夜空
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
いくつもの河はいくつもの別れを流し 涙は海でまた雨になる トンズラをこいてバックれふと振り返り あの娘は今日もあの橋の上 欄干にゆうべのゲロのこびりつき アタマ痛イタ後悔の朝 小便をせんとて落ちた酔払いの 靴が片方浮かんで朝靄
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
串カツのソースバットの油の虹を みつめて街にはまた春が来る スキマからスキマを選って這うように 歩きつ飲みつゲロ吐きつ
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
うすら寒い三月が過ぎ四月になれば…… 希望的観測と座る白い便器 満月の夜には散歩もしたんだぜ 塔はにやりと振り向いた 春うらら浮かれ騒いで日が暮れて ふと哀しくて振り向けば花
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
五月五月とつぶやきながら 見上げた空には希望が見えた? モーツァルトは毎日五時に火の見の塔の スピーカーからジャカジャンガンガラ喚きだす 五月とは名前ばかりの冷たい風が ひゅるる運んだインフルエンザ
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
砂浜に流れついたる浣腸を じっと見つめて空にはトンビ 海を見に感傷電車乗り越して 屁こいて帰ってあれから三年 年毎にあの夏この夏あんな日々 薄紫の記憶の彼方へ 七夕にケッコンするという人は 湯気の頭に陽が照り真っ赤
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あらあんたまた泣いてんのねだからさあのね 雨がやんだらまた泣きなさい 今日もまたあの町この街雨が降る あの子はどこで濡れてんだろか のされてものされてもなお空からは やさしい雨が降る日もあるのさ 七月が終われば今年もまた八月が やってくるのさ性懲りもなく
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
あの夏の光と陰はなんだこんなところに 捨てられてかと拾って帰る あの日から39度目の夏が来て あたしそれでもまだ待ってます 気だるくて熱いはなくて暑いだけ それでもあるぞおっさんの夏
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
なんでかな夏の終わりに毎年いつも 昔の夏を思い出す 気がつけばいつの間にやら夏も過ぎ ただただ焦燥恒例行事 今はもういない人やら会えない人や 思い出しては路傍にコスモス 月見草一輪光って渋滞の 路傍はいつしか日も暮れた
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
窓にさす西陽を布団に避けながら その日二度目の夢を見ました この影があっちのビルまで届いたら 電車に乗っておうちへ帰ろう まっさおな空にモスラがゆらゆらと 飛んで十月ザ・ピーナッツ あれはそうあの日あのときこの場所で 煙草の火影に面影消えた
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |
寒い寒いよ心も寒い財布も寒い それでもやっぱり明日があるのさ あの人に似た人を見たひぐれどき 踏み切りチンカン焼き芋ピープー めめしさを噛みしめてある夕暮れの 大根一本厚揚げ二丁 大根を噛めばじわりとあのころの 今となってはブルースでもなく
|
||
| 上に戻る 「文藝からす」トップに戻る |