燃えよパラボラ

〜日のあたらない怪獣映画たち〜

 

ここでは、比較的マイナーで、あまり語られることのない怪獣映画をいくつか紹介します。

本当はもっとマイナーな映画がいくつかあるのですが(獣人雪男やギララ等)、

未見なので(汗)とりあえず観たものだけ。

「大怪獣バラン」

「宇宙大怪獣ドゴラ」

「大巨獣ガッパ」

以上3本、一挙にどうぞ。

 

【映画】大怪獣バラン

 

東宝     1958年作品

 

監督      本多猪四郎

脚本      関沢新一

音楽      伊福部昭

特技監督   円谷英二

 

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 君も自衛隊に入って怪獣と戦ってみないか?と男たちを熱く誘う映画(笑)

 とにかくひたすら自衛隊がバランと戦います。というか、バランは特に攻撃もしてこないので、自衛隊が一方的にバランを攻撃する話(笑)。自衛隊の登場する時間の長さ、そしてリアルな描写(自衛隊の協力による実写も登場)については怪獣映画史上屈指ではないでしょうか。あ、「サンダ対ガイラ」があるけど、かなりタイプが異なるので…。

 

 これは、東宝の怪獣映画としては、「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」「空の大怪獣ラドン」に続く4本めの作品なのですが、元々はテレフィーチャー、つまりアメリカのテレビ番組用に作られた作品で、アメリカの企画がボツになったということで(?)日本で劇場公開されたというもの。元来テレビ用作品だからか、怪獣映画の前作「空の大怪獣ラドン」はカラー作品だったのに、本作は何故かモノクロに戻っています。東宝特撮映画では最後のモノクロ作品。

 

 内容ですが、土着的な信仰や伝説といったモチーフを怪獣映画に初めて導入した記念すべき作品でもあります。「ゴジラ」でもそれに近いもの(大戸島の伝説)は登場しますが、あれは本多監督(脚本も担当)自身が「あのシーンは本来不要かもしれないが、ゴジラ命名のくだりが必要なので入れた」と語っているように、怪獣(ゴジラ)の出自も作品のテーマも伝説とは無関係なんです。

 

 しかし、バランの場合は『婆羅陀魏(バラダギ)様』ですから。婆羅陀魏様は神様なんですね。そして、伝説の婆羅陀魏様は実はバラノポーダー=バランであった、と。あぁ、何だか「GMK」の『護国聖獣伝記』みたいですね。…って、「GMK」が「大怪獣バラン」に影響されてるんですけど(笑)。ちなみに「GMK」、当初の企画では護国聖獣としてバランが登場する予定だったのは有名ですね。

 

 で、伝奇的な雰囲気で物語が始まり、結構いい感じなのですが、バラン登場後は、何というかひたすら自衛隊がバランと戦うだけの話になっちゃうんですね(笑)。正直言って話としては…あまり面白くない(笑)。ヒロインの兄が婆羅陀魏様に殺されてたり、ドラマにできる要素はあるんですけど、何故かヒロインには悲愴感の欠片もない(笑)。

 

 あ、ヒロインといえば、本作では園田あゆみなんですが、この人があまり美しくない(笑)。あと主人公が野村浩三。おぉ、地味すぎる(笑)。東宝特撮といえば、主人公とヒロインは美男美女と相場が決まっているのに、これは例外(笑)。やっぱり元が海外のテレビ企画だからですかねぇ。ただ、アメリカ版ではヒロインは違う人になっているようです(笑)。

 

 そう、元来テレビ作品として企画されたからかどうなのか知りませんが、今回、本多監督も円谷特技監督も関沢新一氏も何だかあまり精彩ないです(笑)。気合が入っているのは音楽の伊福部御大だけ。自衛隊が活躍する話なので、後の作品でも使用されることとなる勇壮な自衛隊マーチを2曲提供しています。

 音楽といえば、本作のメインテーマは、作品の伝奇的な雰囲気を巧く表現した力の入ったものですが、この曲、後に少し手を加えて「ラドンのテーマ」に流用されることとなります(笑)。「バランのテーマ」が(二代目)ラドンに取られた、というわけ(笑)。嗚呼哀れなりバラン…。

 

 特撮ですが、上で述べたように、円谷さん、ちょっと精彩を欠いてます。というか、良いカットとそうでないカットの差がありすぎのような気がします。海のシーンとか、かなりいい感じ出てます。ただ、元がテレビ企画ということで、いまひとつ気合が乗らなかったのかな。ちなみに、「ゴジラ」のライブフィルムが一部流用されています。

 

 あと主役(?)のバラン。陸・海・空を制覇する日本初のオールマイティー怪獣です。実は凄いヤツだったんですね。ちなみに武器は特にない(笑)。こういう怪獣って珍しいですよ。ただあまりカッコ良くない(笑)。それと、ジェット機のような爆音を発しながら飛ぶのが理解できない(笑)。ラドンもそうだけど。あれは翼竜だから何となく違和感がないのが不思議。

 

 まぁ、もう少し面白くできる要素はあったはずなんで、惜しい作品です。と言っても、それほどつまらないわけではないです。自衛隊員のちょっとした描写が妙にリアルだったりするし。…これ、やっぱり自衛隊PR映画だな(笑)。

 

 テーマとしては、自然とそれを崇める古来からの信仰、そして現代科学とを対比させ、現代に蘇ったバラダギ様の哀しみを描いているのでしょうが、ちょっと描写不足の印象が残ります。良いテーマですけどね。

 

 それと、地上最強の男は平田昭彦である、ということが改めてよく解る作品でもあります(笑)。

 

【個人的評価:2.75(5点満点)】

 

【映画】宇宙大怪獣ドゴラ

 

東宝     1964年作品

 

監督      本多猪四郎

脚本      関沢新一

音楽      伊福部昭

特技監督   円谷英二

 

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 うーん、ちゃんとした映画なんだけど、失敗作と言わざるを得ない作品。アイディアはいいし、本編演出は冴えてるし、特撮も難しい素材を創意工夫で何とか上手く仕上げている。しっかりした映画なんだけどねぇ…。

 

 東宝怪獣映画で、『単独怪獣もの』としては最後(ゴジラ84があるが)となる作品で、異色のSF怪獣映画。宇宙細胞の変異体である不定形の怪獣(正直言って怪獣には見えない)という非常にSF的で、また難しいテーマに挑んだ野心作。しかし本作の興行的失敗により、その後東宝は『単独怪獣もの』を諦め、怪獣路線を『対決もの』に絞ってゆくこととなります。

 そしてこれは、最早特撮ファンの間でも忘れられているという悲運の作品でもあります。なお、原作は「妖星ゴラス」の丘見丈二郎。

 

 これは、『怪獣映画』というより、『SFホラー・サスペンス・アクション』とでも呼ぶべきでしょうか。まぁホラーではないですが、若干ホラー的というか、「変身人間シリーズ」と共通するような雰囲気も持っています。で、サスペンスでアクションなんですね。

 

 まず炭素をエネルギー源とする宇宙細胞の変異体・ドゴラの設定が良い。そして、純粋炭素そのものであるダイヤモンド、それに石炭を求めるドゴラ。

 それと並行して、ダイヤ強盗団と警察、それに怪しいダイヤGメンのスリルとサスペンス溢れる攻防戦が繰り広げられます。ふたつの話が同時進行する、関沢新一先生の得意技です。ダイヤについては、何せ純粋炭素なので、ドゴラの話とダイヤの話が同時進行してゆく、というのは無理がない展開。

 

 ギャグを交えつつ、テンポ良く軽妙で躍動感があり、しかも堅実な本多演出はやはり上手いです。SFマインド溢れる導入部も、「ガメラ2」の冒頭を彷彿させ、いい感じです(って、勿論「ガメラ2」のほうがずっと後ですが)。

 

 円谷特撮も、アメーバ状になったりクラゲ状になったり、まったく不定形でつかみどころのないドゴラを四苦八苦しながらも何とか表現しています。『都市上空に浮かぶ不定形で巨大な謎の生物』というイメージは秀逸だと思いますが、ちょっと威圧感や巨大感、リアル感に欠けるのは残念。まぁ、実写(というか手作りの特撮)でこれを表現するのが非常に困難なのは理解できますが。

 あ、若戸大橋がドゴラによって持ち揚げられ破壊されるシーンはちょっとショボいです(笑)。

 

 問題は、まず怪獣映画としてのカタルシスに決定的に欠けること。何せ相手が不定形で、分裂して変形してゆく、フワフワ浮いているだけのワケわかんない代物ですから(笑)。

 ドゴラを撃退する方法も面白いし、自衛隊の大活躍も見どころではありますが(ちなみにパラボラがたくさん登場)、何というか、怪獣相手に戦っている、という緊迫感がない。とても怪獣と戦っているようには見えず、正直言って、自衛隊の一人相撲に見えます(笑)。あと、「怪獣をやっつけた!」というカタルシスにも欠けます。不定形怪獣を描くのはやはり難しいようです。

それと、途中までスムーズに処理していた本編と特撮の流れがクライマックスになって上手く融合できなかったように感じます。いや、一応ちゃんと一体化しているのですが、何だかご都合主義っぽくて(笑)。

 

 まぁ、本編演出の充実、それにその挑戦的な姿勢は素晴らしいし、映画としてしっかりした出来に仕上がっているということで、怪獣映画としては失敗作だと思いますが一本の映画としては悪くないと思います。

 

 やっぱりこの企画自体に問題がありましたね。企画として失敗かもしれない。

 

 あと、石炭産業が一大産業であった時代を伝える映画としてこれは史料的価値があります。

 失敗作だと思いますが、映画としてきっちり出来ているのでこの得点。

 

【個人的評価:3.0(5点満点)】

 

【映画】大巨獣ガッパ

 

日活     1967年作品

 

監督      野口晴康

脚本      山崎巌・中西隆三

音楽      大森盛太郎

特技監督   なし

 

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 うむ、やっぱりテーマソングに尽きますね(笑)。一回聞けば即覚えられる、やたらキャッチーで爽やかだがキメの部分が凄すぎて耳に残って離れない、そんな素敵な歌です(笑)。オープニングとエンディングをこの爽やかな歌で決めてくれるので、こればかりが印象に残ってしまいます(笑)。珍品好きのマニアにはたまらない作品です(笑)。

 

 ロマンポルノの…じゃなくて青春映画の雄、日活が青春スターを揃えて放った、最初にしておそらく最後、唯一の怪獣映画。

 当時は空前の怪獣ブームで、やはり日活としてもこれを黙って見逃すわけにはいかない、と考えたのでしょう。川地民夫、山本陽子といった人気スターを主演に、なかなか力を入れて作られています。

 

 日活初の特撮映画ということで、東宝で特殊美術を担当していた渡辺明に協力を仰ぎ、他にも(よく知りませんが)東宝のスタッフが参加しているそうです。うん、やっぱり気合入ってますね。

 

 話としては、怪獣の親子愛を描くという異色の作品となっています。子ガッパを奪われた親ガッパが夫婦で来日し(笑)子ガッパを求めてガッパ夫婦大暴れ、という話。

 このストーリーは、英国のゴジラ物真似映画「怪獣ゴルゴ」を下敷きにしているそうですが、「ゴルゴ」を観てないのでわかりません(汗)。

 

 まぁ、やりたいことは理解できるんですけどね。でもなぁ…怪獣はやっぱり『人知を超越した存在』であって欲しいという気持ちがあるので、こんな風に家族とか持っちゃって擬人化されてもなぁ、と思ってしまいます。ガッパ親子、感動の再会を果たして涙まで流すんですね。ただ、本流であるところのゴジラもこの時期は擬人化してるけど。この後ミニラも登場するし。

 

 ただ、「ゴジラの息子」を観れば解りますが、ゴジラとミニラは擬人化されているとはいえ、コミカルで軽いタッチに仕上げているので、個人的には「ゴジラの息子」のほうが支持できます。「ガッパ」の場合は大真面目にやってますからねぇ…。『動物感動もの』みたいな。いや別に構わないのですが。

 

 それはさておき、映画としては真面目にしっかり作られています。主人公たちの恋愛感情もちゃんと描いているのは、やはり伊達に青春映画たくさん作ってないぞ、と(笑)。

 エンディング(歌ではない)も爽やかで良いです。ツッコミどころは数多いですが、まぁいいや(笑)。野暮を言っちゃ怪獣映画なんて観られないもの。

 

 特撮ですが、初めての特撮映画としては合格点ではないでしょうか。熱海市街や熱海城のセットはなかなか作りこまれています。水に関わるシーン、ミサイル発射シーンのショボさなど、本当にトホホな部分はありますが、初挑戦なので許してあげましょう。

 

 結局、これの続編が作られることもなく、日活の特撮・怪獣映画は本作1本で途絶えてしまいました。ということは、この映画が興行的にコケたということですね。

 コケた原因はいろいろ考えられますが、まず第一は、「ガッパ」というネーミングのダサさ。うーん何ともいえない脱力するセンス(笑)。第二は、やはりガッパ自体がカッコ悪いこと(笑)!嗚呼、マジでカッコ悪いっす。それと、スーツアクターが下手というか、ガッパの動きが「着ぐるみに入って歩いている人」にしか見えないのが悲しい(笑)。また、ガッパが空を飛ぶ姿が限りなく不格好だ(笑)。これ、何でも渡辺明氏のデザインだそうですが…渡辺氏といえば、「ウルトラマン」の前身となった企画、「科学特捜隊ベムラー」の主役怪獣ベムラーをデザインしたそうで、このあたりを追究すると面白いのですが長くなるので止めます。

 

 あと、やはり日活は『特撮・怪獣映画』の何たるかをよく理解していなかったような気はします。特撮映像の出来云々ではなく。

 怪獣映画というのは、基本的に『男の子映画』だと思うんですよ。やっぱり男の子が燃えるような展開に持っていかないと。クライマックスが涙の怪獣親子再会シーンってのはちょっと、ね。コメディ的にするならそれもアリだけど。

 

 やっぱりねー、怪獣映画ってのは、暑苦しい司令官(田崎潤や藤田進等)が激しく檄を飛ばし、熱血バカ野郎な男(宝田明や久保明等)が過剰な熱気を迸らせ、昼行灯的な(笑)佐原健二が恋人を助け、涼しい顔した頭脳明晰な科学者(平田昭彦)が謎の技術力で人類を救う、というのが王道なんだな(笑)。あとスーパーメカが出てくれば文句ナシ。いや出てこなくても構わないけど。

 本作では、途中まで自衛隊が結構活躍するのですが、後半は完全に諦めモードというかどんどん存在感がなくなってゆき、ラストに至っては居るのかどうかさえ不明(笑)。

 

 あ、それから、これは台詞だけですが、「自衛隊と米軍の共闘」という怪獣映画には珍しく、またリアルな表現には感心。

 

 それと、ガッパですが、何故あんなに強いのか謎だ(笑)。ゴジラの如き青い熱線を発射するし(笑)。ゴジラの場合は、『水爆大怪獣』という強固な設定が貫かれているので何となく納得させられてしまいますが、ガッパは一体何者だ(笑)。

 

 とりあえず意外と(失礼)真面目な作りと、テーマソングの破壊的な存在感(笑)に敬意を表してプラス0.25点。ガッパの不細工さにマイナス0.25点。悪くはないよ。ただ怪獣映画の何たるかをもう少し理解していればねぇ…。特撮映画というのは、やっぱりカッコ良くないと。というか、狙いがずれていたのかな?

 

 それと、川地民夫や主人公たちはもっと激しく反省する必要があるな(笑)。

 

【個人的評価:2.5(5点満点)】

 

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