『連理』の街の湖を救う絆

人が二人出会うと社会ができる。そして創られる社会はそれぞれである。

中国のことわざに『比翼連理』という言葉がある。

二つの体と二つの羽を持って飛ぶ一体の鳥=比翼、それぞれの幹から出た枝がひとつにくっついて成長する樹=連理。夫婦仲むつまじい例えとされ、結婚式などでよく話される。

 育った環境も性格も異なる二人が夫婦となって、ともに生活し、汗し、悩む中で、一つになる。わたし流に理解していたが、まさか『連理』が現実社会に存在するとは思っていなかった。

 

三年前の8月、中国雲南省から理想郷と比喩されるシャングリラ市と長野県内のいずれの市町村との姉妹都市実現の依頼を受け、雲南省の首都昆明市に伺ったとき、市民の憩いの場所である昆明湖を訪ねた。

きれいとはいえない湖畔を何気なく散策すると、2本の柳の樹から伸びた枝が、一つにつながっているではないか、まさに『連理』である。心静かに目を細めて見つめていた。

海抜1900mを超える昆明市は、稲作の発祥の地シーサンパンダ市の近くで、年中20度を越える南国の温暖な気候を利用し、古くから農業が盛んで、豊かな中国第4の都市であるが、耕された農地から流出する泥水が、街のシンボルである昆明湖を汚し、プランクトンが異常発生、悪臭が発ち漂う湖になってしまったのである。

同行した雲南省の関係者や日本雲南えんぎ協会初鹿野理事長に、湖に泥水を流さない栽培方法を考えるべきだと不耕起栽培などの提案をして、昆明市民の安らぎの湖の浄化を願って帰国した。

 

その後、昆明湖のことをすっかり忘れていた昨年の11月、突然日本雲南えんぎ協会理事長から電話をいただいた。

電話によると昆明市では、わたしの提案を含めて、昆明湖浄化のための農業技術とりわけ不耕起栽培農法の研究が開始され、信州大学の教授から理論指導を受けたりし、一定の評価がなされてきたとのこと。ついては若手技術者を長野県に実践研修に伺わせたいが是非とも受け入れてほしいとの内容であった。

 

山口村の越権合併で混迷を深める1214日、昆明市でん池(昆明湖)管理局の技術者7名が長野県議会を訪ねられた。

2日間にわたり、長野県農政部や農業試験所の職員らが、友好の精神で現地実践指導をしていただき有意義な研修になったようである。

最後の日は、中国の将来ある方々に「雪」を体験していただきたいと思い、小谷温泉に泊まり、日本人の心の原点である米とりわけ日本酒を理解していただこうと大町市の市野屋さんの酒蔵を見学していただいた。

始めてみる雪に、夜遅くまで寒いのを気にもせず外を飛び回っておられたと聞いたが、酒蔵では、福島さんの説明で杜氏の業に何度も感心されておられたようである。

先日、今年の種まきに早速、不耕起栽培を試しているとの報告と大町市の市野屋さん前で納めた写真と一緒にお礼の手紙をいただいた。

先進技術や異文化に触れ、ふるさとの明日のために働こうとの決意に溢れた若い笑顔が納まっていた。

 

歴史を紐解くと弟兄のような日本と中国、2度の大戦を乗り越えてEU連合をつり上げたヨーロッパ諸国の将来を見据えた寛大な連携が、アジアでも同じように求められているとき、靖国問題や海洋石油開発問題などお互いの国が、一歩あゆみ寄る心を持って新しきを創造してほしいものである。

『連理』が植わる街の限りない将来へのより良き努力の成功を確信しながら、両国を結ぶ絆づくりに汗する方々に、深く頭を垂れるしだいである。

2005.7.14

NPO法人日本雲南えんぎ協会顧問

長野県議会議員             宮澤敏文

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