表現力を豊かに 1
平成10年11月4日 教育タイムス掲載 「発見と気づき----豊かな表現力の土台」
一年前のちょうど秋から冬に変わろうとするある日に、末娘(小4)が「お父さん俳句できたよ。『白い息 お化けのように 飛んでいく』」と話しかけてくれました。急に寒くなった日のことでした。学校へ出かけるときに自分の吐いた息が白くなっていることに気がついて、そのことを意識したのでしょう。何でもないような子どもの表現ですが、私にはとても新鮮に聞こえました。
新鮮な表現は人をさわやかな気持ちにしてくれます。さて、そのような新鮮な表現力や豊かな表現力はどのようにして身につくのでしょうか。
小学校1・2年生の子どもは、身の回りのことなどに新鮮な驚きの発見をしながら発達していきます。いつも身の回りのものに「なぜ・なに(?)」という疑問を抱いています。そして、「あっ、そうか(!)」と分かる喜びが表現の原動力になっているようです。
小学校3・4年生になると、自分でやってみたいと思う気持ちが強くなります。実際に体験したり、人との関わりを持ったりしながら表現力を豊かにしていきます。
小学校5・6年生になると、ちょっとむずかしいことに挑戦したいと思う気持ちが表れてきます。自分でテーマや課題を設定し、自分で解決してみたいという気持ちが強くなって、それが表現力に現れてきます。
小学校でよく行われる表現に関する学習活動を紹介してみましょう。大阪府教育センターの秋長栄里子指導主事から次のような活動を聞きました。
○ことばあつめ
普段使っていることばを収集し、それらのことばの関係をグループ分けする。これは、身近な素材を使ってことばの概念に興味を持つ学習です。
○インタビュー
地域と交わりを持ちながら、町のお店やさん、工場で働く人やお年寄りに、インタビューする。これは、どのように話をすればよいか自分で考える力を養う活動です。実生活に結びついていますから、子どもたちは意欲的に活動します。
○コース制学習
クラスとして一つの大きなテーマを設定する。そのテーマに関連する項目をグループ単位や個人単位で設定する。コースを設定し、学習した後、発表会を持ち、学習内容を共有する。自分が知りたいと思うことを学習し、発表する活動です。
○ショウ・アンド・テル
これは、中学校の英語の時間でもよく行われているのですが、自分が関心のある物を選んで、実物を見せながら、それについての自分の考えや思い(出)をみんなに話す活動です。
○ペープサートなどを使ってまとめの発表
教材の登場人物を、割り箸に絵を貼って、自分で紙人形を作り、どのような話であったかをグループで発表する体験的な活動です。
これらの活動を支える豊かな表現力には、豊かな感覚、気づきが必要です。身近なことをよく観察し、意識することが大切です。まず、たくさん見て、たくさん読んで、たくさん聞いて、たくさん感じなければ、表現は豊かになりません。これが豊かな表現力を身につける第一の要素でしょう。