表現力を豊かに 2
平成10年11月11日 教育タイムス掲載 「ものの見方」
ピアノを習ったことのない人でも「ねこふんじゃった」の曲は知っていると思います。この「ねこふんじゃった」の成立事情を桶谷弘美氏(大阪樟蔭女子大学助教授)が『大阪樟蔭女子大学論集』第31号にまとめておられます。
ご存じのように、この曲は黒鍵弾きの曲です。スペインでは、「チョコレート」という曲名がつけられています。黒鍵をチョコレートに見立てのでしょう。フランスでは「カツレツ」と呼ばれています。この曲を弾く格好が、ちょうどフォークとナイフを持つ手つきに似ているところからつけられたとのことです。ドイツ、オーストリアやベルギーでは「蚤のワルツ」と呼ばれているそうです。ロシアでは「犬のワルツ」、ブルガリアでは「猫のマーチ」、アメリカでは「チョップスティック(=箸)」と国よってその呼び方が異なります。日本での呼称「ねこふんじゃった」は舟木一夫の「高校三年生」の作詞者である丘灯至夫氏がつけられたと桶谷氏は述べておられます。
国によって、同じ曲が様々な名前で呼ばれていますが、なんとなくそう呼んでもいいなと思う曲名ばかりではありませんか。人によってものの感じ方は異なるものです。つまり、人の感じ方、捉え方には正解というものはありません。
下の図1は人によっては黒い模様が並んでいるように見えるし、白い部分を見てアルファベットのFLYと読む人もいるでしょう。図2は横線が平行でないように見えますが、紙と目線が水平になるようにして横から見ると平行であることが分かります。
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図1 図2
ものの見方は一つに限らないということを知っておく必要があります。様々なものの見方ができるということは、自分の表現に幅ができるということです。
昨今、様々なものの見方で、自分が感じること、考えることを表現する力が求められています。平成9年度の大阪府公立高校入試の国語の試験に、異なった見方ができるさし絵を載せ、その見方に関することを内容とした問題がありました。答えは一つであるという考え方から脱却したものであり、そのようなものの見方ができたり、知ったりすることがより深く考えることにつながると意図した出題でしょう。
つまり、自分の思いや考えを表現する際には、その思いや考えに至った筋道や見方を相手が理解し、なるほどと納得できるように説明できるかどうかが大切なことだからです。相手は同じものの見方をしていないかもしれないかもしれません。自分のものの見方に気づいてもらい、どう考えているか説明できなければなりません。
豊かな表現力を身につけるには、様々な物の見方ができることと、それを相手に説明する力が次に必要となります。