なにを思ったらいいの What should I have in my mind?

平成10年1月元旦

毎年そうするように、今年もまた、元旦の日に家族でお墓参りに行った。その日は、あいにく昼から雨が降ってきた。明日にしようかと思ったが、年に2度お参りするだけだし、先祖に家族が今年もこうやって健康に過ごしてこれたと報告しなければと、意を決しみんなで出かけた。

初参りの人はそう多くはなかったが、お年寄り、中年の人、若い人、子どもと年齢に偏りなく来られていた。私の先祖の墓は7分ほど階段を上ったところにある。

お墓の前について、花をあげ、雨が降る中ろうそくに灯をともし、せんこうをあげ、子どもたちに「さあお参りをし」と言った。9歳の末娘はちょこんと座ってなにやら言ってすぐに立ち上がった。17歳の長女は黙って拝んでいた。15歳の息子も黙って座ってお墓を拝み立ち上がった。そのときだ。息子が言った。「いつも思うやけど、ここでなにを思ったらいいのかわからへん」

一瞬「なにを言ってるんや」と思ったが、横から妻が「そらそうやな。ご先祖さんいうたかて、おおた(会った)こともないし、何にも知らんのに無理な話やな」と言ったときには、なるほどと思った。