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元湯鹿の湯 |
泉質: |
酸性 含硫黄 - カルシウム - 硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 酸性低張性高温泉 - 泉温 68.4度、 ph 2.5. 密度 0.9990、蒸発残留物 814.8mg/kg、成分総計 1.040g/kg |
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所在地: |
栃木県那須郡那須町 |
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訪れた時期: |
2001年10月末 |
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個人的評価: |
まろやかでとろみのある白濁の酸性泉は体が溶け込んでいきそうな優しさを装うが、実は湯も強くかなり体に応えるはず |
2001年10月末 南東北の旅シリーズ -
この旅の前の湯は、福島県 高湯温泉
鹿の湯の玄関を入るとフロントがあり、女将さんと思われるお母さんが座っている。入浴券を買うと、脱衣所にはロッカーはないので、カメラなどの貴重品は廊下のロッカーがありますから、そちらを、と優しく丁寧に教えてくれた。有名な風呂場などでは、ぶっきらぼうな係の人というのも珍しくないだけに、このお母さんの穏やかで柔らかい優しい喋り方に好感を覚えた。ここまで有名な湯でありながらも鼻にかけるような所は感じられず、人の良さ優しさが感じられる。こういう人が管理しているのなら、お湯や風呂にも余計に期待が高まる。
浴場へ伸びる渡り廊下を渡る。渡り廊下は川を渡るが風雨をしのげるように木造の屋根も壁もあって、昔の学校風の窓ガラスが時代の錯覚を誘う。眼下に流れるのは硫黄分たっぷりの湯の流れる川だ。金属だとすぐに錆びてしまうのだろう。木のなんと偉大な事か。
渡ったら右手が男湯。浴場は昔は混浴だったと聞いたことがあったが、今は分かれている。どれくらい昔の事だったのか知らないが、元来共同浴場というのはそういう所が本来の姿なのだそうだ。変な気で書くのではないが、そういった本来の姿が失われるのもまた世俗化された現代においてはどうしようもない事なのだろう。
しかしさすがに歴史ある湯だ。さすがに湯の良さで愛好者が多いだけに風呂場としての良さもある。脱衣所の注意書きのとおり、硫化水素などで中毒を起こさないようにという配慮なのか、壁の低い所に換気窓が設けられていた所など、現代的な良さもある。浴槽は、温度によって六つの浴槽があり、脱衣場から遠ざかるにつれてどんどん熱くなるように調整してある。浴場の手前側の方は40度だったか41度だったか忘れたが、手前のふたつの浴槽と真ん中のふたつは、ゆったり浸かるのに適している。沢山の入浴客が、じっと湯船に浸かったり湯船の脇に座って休んでいたりと、大きな声ではしゃぐ迷惑な客もいない。静かに喋っている客もいるが、みな思い思いに湯をじっくり楽しんでいる。偶然かもしれないが、うるさい子供がいなかったのも静かで良かった。
ぬるい方の湯から順に入る事にしたが、入ってみると随分ぬるくて物足りない。40度くらいだと、もはや物足りないと感じる体質になっている。続いて真ん中の44度くらいの湯船に入るが、これも今ひとつ物足りなかった。そこで奥の二つの熱い浴槽に歩み寄る。熱い方の48度の浴槽の周りには誰もいない。熱すぎるのだろう。ここが最高の48度で、これはかなり熱いはずだ。腕を深く浸けてみると、表面の温度は高いが、下の方は比較的ぬるい。そこでこの浴槽にだけ備えられていた湯もみの板を使って温度を均一にしてから、胸まで浸かったが、1分かそこらでどんどん体に熱が通ってきて、ついに痛みに変わってしまい、平静を装いながら、しかし急がずに静かに上がった。熱さに表情も険しくなっていた事だろうが、静かに上がらないとかえって余計に熱く感じるはめになる。浸かっている間にもやはり熱い部分が表面に集まってくるので、上がる瞬間まで足の指が最もつらい状態が続く。慣れているのだが、湯上がりも少しの間は足の指にヒリヒリが続いた。面白い事に寒さが指などのような表面積が広い場所につらいように、熱さも最初につらくなるのは指なのである。最初に浸かり始めてしかも表面積の広い足の指がひりひりしてきたら火傷しないうちに上がった方がいい。これでも軽い火傷になっているはずだ。茹で上げられる感覚というのはこの延長線上にあるのだろうかと、じっと湯を見つめる。もちろん体は真っ赤になっているので、どこまで浸かったのかが一目瞭然なのである。釜ゆでにされた五右衛門は何度くらいの湯で茹でられたのだろうか。釜ゆではいやだなぁ。
その後、脂肪を沢山蓄えた太った人が熱そうにしながら湯に浸かったが、あきらかにあれは反則ではないだろうか。脂肪が厚ければそれだけ熱が通りにくいと思う。こういう時だけはちょっと太っている人をうらやましく思ったりもするが、まぁしかし太り具合クラス分け標準体型クラスで競えば、それなりに熱さには強いという自負がないわけではない。それにしても彼の耐久時間がとにかく少し長かったのがくやしい。しかも湯に浸かる面積も多いはずなので、沢山の成分を吸収できるのではないだろうか。うーむ、くやしい。でもしみこみ具合(意味不明)では負けないぞと、勝手に闘争心を燃やすのであった。
私の適温は一番奥のもうひとつの46度の浴槽だったが、行きつけの草津ではこれより熱い湯に浸かる事も多いので、47度くらいまではいけそうだ。そうするとここに47度の浴槽がないのが口惜しい。おそらくそれくらいなら数分浸かっても余裕の笑みでいられるくらい耐えられるのになぁ。うぅむ。
湯の特徴はあまりに良すぎて言葉にし難い。大雑把に言うとややエメラルドグリーンがかった乳白濁の湯で、硫化水素臭がする。ただ強烈な匂いではなく、強いが優しく柔らかい匂いがする。湯の残り香は強烈。批判反論を承知の上、この湯をあえて知っている湯になぞらえるとすると感触的な点では草津の白旗の湯に近いが、もちろん湯がそのまま似ているというわけではない。明らかにこちらの湯は見た目の白濁具合が高く、濁っているのに不思議と澄んだ透明感を感じる。湯の成分も遊離して固形化して漂っているはずなのだが、それらの粒が恐ろしく微細なのだろう。目を凝らして見ても、漂う粒を確認する事ができない。湯が流れている木の樋には湯ノ花がびっしりときれいについているのに、湯船の中に湯ノ花を見ることができなかった。それくらい粒が細かいのだろうか。湯の手触りは感触なので温度とも関係ありそうだが、一見さらりとしていて、じっくり観察すると、むしろとろりとした感触が強いようである。肌触りは絹のようにきめ細かく、柔らかく優しい良い湯だ。愛好者が多いのも即座に理解できる程の質の良さがある。湯に入ると、成分の濃さが体に柔らかくまとわりつくように絡んできて、どんどん体に染み込んでくるように感じる。しかし、不思議と水圧を感じないような湯の柔らかさがあり、ぬるめの湯などであればいつまでも出たり入ったりを繰り返したくなる柔らかな気持ち良さがある。まるで春の暖かい日差しの中でまどろんでいるような気分になる。もっともあまりの濃さに浸かりすぎるとかえって体に毒になるそうなので、薬と同じく使用方法を誤らないようにせねばなるまい。それだけ薬効成分も強いのだろう。ちなみに換気には注意しないと硫化水素で倒れてしまう事もあるようだ。
しばらく湯を楽しんだあと、名残惜しさを感じながらも、再訪の決意を胸に、浴場を後にした。渡り廊下でほっと一息、湯の香りに包まれながら川を眺めた。帰り際、湯ノ花を販売していた事に気づいた。タオルも売っていたが、浴後にタオルを買ってもなぁと、今回は湯ノ花だけを買った。またもやお母さんの親切な説明にいたく関心しつつ、その物腰の穏やかさに、あの湯の柔らかさを重ねて思い出し、今し方浸かってきた春の日差しのような柔らかな湯に浸かっている気分になった。秋空の下、建物の前で座って少し休んだ。旅は終わりに近づいてきている。日暮れまでに日光に寄って帰らねばと、旅路を急ぐのであった。
次は気まぐれで北温泉に。
鹿の湯・行人の湯 混合源泉(平成
11年) 酸性 含硫黄 - カルシウム -
硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 酸性低張性高温泉 - 泉温
68.4度、 ph 2.5. 密度 0.9990、蒸発残留物
814.8mg/kg、成分総計 1.040g/kg 那須湯元源泉(昭和26年) 含硫化水素酸性明礬泉 - 泉温 69.9度、ph
1.5. 蒸発残査
2.723g/L(一部旧漢字のため判別困難)
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