| 研究プロジェクトより 「全国の障害児学童保育(障害児だけの学童保育)の実態調査」 2001年3月25日コープイン京都 放課後保障と地域での生活』分科会 岡島俊夫(奈良)【二階堂養護学校サークル】 鈴村敏規(京都)、安藤一巳(愛知) 高木真一郎(東京)、木下 学(北海道) 松浦俊弥(千葉)、村岡真治(東京) 1.「放課後保障と地域での生活」の分科会「放課後保障と地域での生活」分科会(以後「放課後の分科会」と省略する)は、全障研活動の33年の中で20年を越える歴史をもっている。ここ数年は、なかま作り(運動)となかみ作り(実践)の分散会に分かれて討議を進めた。大会後にそれぞれの地域の評価を改めてする必要性がまし、宮城大会をきっかけとして「全国の障害児学童保育の実態調査」を実施することとした。 2.いま、なぜ障害児の放課後・休日活動なのか (1)障害児の放課後活動 放課後の活動には、地域の特性に応じてさまざまな形態が報告されている。サマースクールの活動、健常児の学童保育に障害児を入れる運動、障害児だけの学童保育など多様である。近年は学校5日制に伴う第2・第4土曜日の活動、レスパイトサービス等のレポート報告もある。それぞれの団体の活動も、地域の実態に合わせ放課後保障の活動と作業所・レスパイトサービス等と複合化してきている。 (2)放課後活動の分類 さまざまな放課後保障の活動がある中で、今回の全国調査は「障害児の学童保育的活動」に絞って調査を行った。ここでいう「障害児の学童保育的活動」とは、平日の放課後に活動していて、土・日曜日あるいは長期休暇の活動もしていることをイメージしている。一般には「障害児学童保育」と使われていることが多いが、この言葉は一般の健常児の「学童保育」と混乱されやすい部分を持っている。「障害児学童保育」と呼ばれているものは、健常児の「学童保育」とはずいぶん内容が違うので、本論文では「障害児の学童保育[的]活動」([]筆者挿入)と呼んでいる。ここでは障害児の放課後保障の活動を整理し、現時点では次の5つに整理する。 @ 健常児の学童保育(放課後児童健全育成事業)に障害児が受け入れられる活動 A 障害児の学童保育的活動(障害児だけの集団で、常設の指導者をおくもの) B 主に親やボランティアによる活動で常設ではないが休日等の放課後保障の取り組み。 C 主に行政(学校・PTA・育成会)等の主催で行っている活動 D ニーズがあったときに限り活動するレスパイト的活動 @ については、厚生省が1999年5月現在の学童保育数と入所児童数を発表した中に、学童保育への障害児入所状況を調査し発表している。調査対象は「障害児学級および盲ろう養護学校小学部に通っている児童」で、全国1,763ヵ所(全体の17.3%)に2,691人(全体の0.8%)が受け入れられている。 A については、東京都や千葉県、埼玉県では「放課後連」という活動を交流する組織を作って近年連絡を密にしているが、その他の都道府県では実際の活動団体やそこに在籍している障害児の数については、分科会にレポート報告された団体以外はまったくわからない状態である。よって全国に何団体ほどが活動し、何人登録者がいるか予想することも困難である。 3.調査の概要 (1)調査の経緯 @ 2000年1月 検討会 A 2000年3月 予備調査 B 2000年4月 本調査 C 2000年6・7月 集計 D 2000年8月 全国大会「放課後の分科会」で中間発表 E 2000年11月 本調査の確認と未返送団体への再調査 F 2000年12月 アンケートのまとめ G 2001年1月 「放課後の障害児」ホームページを立ち上げ、追加団体への調査書発送 H 2001年2月 構成員最終打ち合わせ I 2001年2月 障害者問題研究」第29巻1号【2001年5月発行】原稿作成 J 2001年3月 全障研発達保障講座で発表 (2)調査内容について 今回の調査については、6分野8項目の設問についてアンケート調査を実施した。 図1<アンケート用紙>(省略) a.会員数について 全国調査の一番の目的は、全国の活動団体の調査とそこで活動する障害児・者の人数の調査であった。 1回目の調査では、障害児・者の数だけでなく大人やボランティアの人数を含んでいる解答もあるように思われたが、再確認の葉書で訂正を得て障害児・者の正しい人数を得ることができた。 最新の集計では121団体2,934人となっている。把握できていない他府県の活動団体の確認がとれれば、総数は3,000人を越すものと考えられる。健常児の学童保育に入っている障害児数2,691人(1999年5月)よりも多く、両者を併せると5,625人にもなる。 図2<障害児・者の会員数の内訳>
b.学齢児数と成人の数 「障害児の学童保育的活動」であるので当然学齢児を対象にしているが、2,934人の学齢児に対しておよそ1割に近い203人の成人の人が放課後の活動に参加している。さらに18人の幼児もいることが、調査からわかった。 c.ふだんの活動人数 会員数の少ないところでは、ほぼ全員での活動が行われている。しかし会員の数の多いところでは、ほぼ20人から多くて30人ぐらいになっている。いくつかの活動班をもうけているところがあるものと思われる。 図3<ふだんの活動人数の内訳>
d.活動状況について この項目は複数回答が可能である。一番多いのが「1と4」のセットで、結果としても平日と長期休暇の回答がほぼ同じ回答数となっている。ほとんどの団体が、平日と長期休暇中に活動をしていることになる。 図4<活動状況の内訳>
e.年間の活動日数と夏期休業中の活動日数 年間の活動日数が365日という回答があった。レスパイト的にも活動しているようである。200日以上開所している団体が73団体、過半数以上もあることには改めて驚かされた。また岩手県では、春・夏・冬期休業中の間も日曜日を除いて活動し計65日開所という回答もあった。 図5<年間の活動日数の内訳> (送信できないので表にした)
図6<夏期休業中の活動日数の内訳>
(3)調査結果の考察 a.行政の関心の高さ 鹿児島県阿久根市の社会福祉協議会から、阿久根市にある養護児童クラブ「ガッツ」に調査用紙を送ったことから、「障害児だけを対象にした」学童保育で夏期休暇中(夏休み)も実施しているところの資料請求であり、もう一つは、島根県教育庁からのものである。養護学校に通学する子供たちの学童保育についての設置要望が強く出ていて、ぜひ実現したく来年度当初予算に向けて予算要求中であり財政課との最後の詰めを迎えていて、ぜひ全国の活動をしている団体の名簿を教えてほしいというものであった。島根県の活動団体について、逆に活動団体を教えていただいた。各地での取り組みは行政の財政的援助をどのように引き出そうかと窮々としている中で、島根県は行政が積極的に予算をつけようとしている。このように行政側からも高い関心を示されるような実態調査であった。 b.学校5日制にともなう事業 学校5日制が導入された時に、文部省が行った事業が現在も数多く実施されていることもわかった。滋賀県の「サマーホリデー事業」広島県の「地域活動促進事業」奈良県の「わくわく地域活動」などである。しかし、これらは活動日がだい2・4土曜日と限定されており、年間の活動も10回前後と限られている。夏期休業中も1〜2日となっている。 これらの活動についても今回多くの情報をいただいたのであるが、先の分類の中でも述べているように今回は調査の対象からは除外している。今後、回を重ねていく上で調査対象ともしていきたいと考える。しかし、行政主導で行われてきた活動が学校5日制の実施される平成14年度以降も、活動が続くかどうか現時点では判断できる材料がない。 c.活動団体のない府県について 今回の調査で、活動団体がないとされる府県についても「活動団体がない」ということではない。今後も横のつながりを作っていくために、一つでも多くの活動団体と連絡を取り合いたいと考えている。 d.活動の複合化 前述のように今回は「障害児の学童保育的活動」に絞って調査したが、それぞれの団体の活動が複合化している。名称として「青年教室」となっていたりするが、活動の内容を聞いてみると学齢児が数多く入っていたりするので名簿に含んでいる。逆に「障害児の学童保育的活動」をしていると調査を依頼したが、レスパイト的に活動していたり障害児を支援するボランティア団体であったりした。しかし、「調査の趣旨とは違うが…」という前提でありながら、数多くの団体から快く活動の様子を返信してもらった。 e.横のつながりの大切さ 調査用紙を送った遠方の方から、わざわざ電話連絡をいただいた。活動をされていても県内や他府県の活動をしている状況がわからず、心細く感じられていたようである。しかし、全国に活動している団体があることを知り、居ても立ってもおられず連絡を下さった。全障研の「放課後の分科会」として実践を交流し運動を進めるために長く活動してきたが、全国に散らばる活動団体同士を繋げる大切な役割をもっている。 f.ホームページの立ち上げ 調査の経緯にもあるように、1月に「放課後の障害児」というホームページを立ち上げた。多くの人に情報を知ってもらえるようにするためには、インターネットのホームページが一番よいと考えた。試行錯誤ではあるが各地の取り組みの様子が概括できるようなものへと発展させたい。また、インターネット上では障害児学童保育のメーリングリストの中で全国各地から活発な意見が交わされている。 ホームページのURL http://homepage2.nifty.com/houkagogakudou/index1.htm 4.今後の課題 ここでは「障害児の学童保育的活動を保障していくことが障害児の放課後保障につながる」と短絡的に結論づけるものではない。地域の子ども会の活動や地域の活動に障害児があたりまえのように参加できることも保障される一方で、「学校」「家庭」とは別の「第3の世界」と言われる、障害をもっている子どもたちも生き生きとして活動できる場=「障害児の学童保育的活動」を保障していくことも必要である。調査からも、就学前の幼児や高等部を卒業した青年の数が、障害児の学童保育的活動に参加している学齢児の1割にあたる。「障害児の学童保育的活動」が学齢児中心の放課後保障でありながらも幼児から青年まで含まれていることを考えた時、地域の中での障害児の豊な生活保障のみならず「障害者」の「豊な生活保障」をも視野に入れた取り組みとなることを提起している。 5.おわりに 放課後の活動についてぜひ情報を下記までお寄せください。 <メールアドレス> 岡島俊夫Nara.Okajima.11@g3.mnx.ne.jp (現在は使用していません。) 【参考文献】 ○平成11年度修士論文 「障害を持つ学齢児の地域生活に関する一考察」〜放課後長期休暇保育の果たす役割〜奈良教育大学大学院学校教育専攻 前田佳津江 ○ アクションニュース千葉放課後連「Action」5月号(第15号) 千葉放課後連事務局 松浦俊弥 ○「障害を持つ子どもを対象とした、放課後または休日の保障を行っている活動クラブの実態に関するアンケート調査」高木真一郎(1999年8月実施) 各都道府県別調査回収状況表(1999年11月) ○「障害をもつ子どもの放課後とノーマライゼイション」第5回放課後連学習集会報告集 「障害児の放課後生活を保障する都内団体連絡会」(放課後連)1999.6.6 ○「障害児の放課後休日活動保障について」 松浦俊弥(2001年2月) |