棚瀬多喜雄さんを想う(1) 2008年4月
棚瀬多喜雄さん,
あれから3年たちますね。
始めての印象は,変なオヤジ!
私が初めてサンドラ(現在は妻)に連れられて教会に行ったのが18年前のシンガポール。それから帰国後,教会は何となく気にはなっていたがあらためて電話帳などで捜すほどでもなかった。(当時はインターネットなどという便利な物はなかった。)
あの日も,日課になっていた朝のジョギング。いつもの神田川沿いのコースから少し寄り道して一本路地を入ったら,道幅は狭くなるは,くねくね曲がるは,行き止まりだは,で,失敗したと思ったとき,屋根に十字架ののった何やらみすぼらしい古ぼけた建物に出くわした。
ペンキのはげかかった集会案内で日曜日の時間をチェック。当日は2〜3分遅れて着いた。先日と違って,今日は正面の扉は開いていた。が,その次に扉が3枚並んでいる。
中からは歌声が聞こえてくる。とりあえず靴をぬいで上がる。歩くたびにギシギシ言う。なるべく音が出ない様に抜き足差し足忍び足…お化け屋敷みたい。もうかえろうかなぁ〜。
ここで念の為ことわっておくが,一般のごく普通の日本人が友人など案内人もなく一人で,見知らぬエタイの知れない世界へ足を踏み入れるのはかなりの覚悟がいる。
それにしても,シンガポールや,映画に出てくる教会とはまたえらく違ったもんだ。
さて,どの扉を開けたらいいものやら…。勇気をふりしぼって,まずはいちばん左手のドアを。そ〜とあける。トイレだった。
気を取り直して真中のドアをあける。始め少しだけ。すき間から人の背中が見える。
一人,二人,三人。皆,背中を向けて立って歌を歌っている。聞いたことのない変な歌。日本語のようだが所々私には通じない。
意味不明。
誰も私に気づかない。(後日知った,右のドアを開けると,ちゃんと受付がある。)
ハテ,どうしたものか?軽く会釈して足を踏み入れる。後ろ向きになり,ドアのノブを握って,そして静かに閉める。何故かドアに向かって再度おじぎをしている。カチャ。締め終えたが,ノブから手が離れない。どっ,どうしよう〜。歌はまだ続いている。あたりの様子を背中でうかがいながらノブから手をはなし,ゆっくりふり返る。
誰も私に気づかず歌い続けている。会場内を見渡す。それにしても,室内も,外観におとらずボロだ。正面の壁はまっ黒で,穴が開いている。プラス型だ。前方に一人だけこちらを向いて歌っている人がいるが,本にかくれて顔は見えない。次の瞬間,本が下がって目と目が合う。ヤッベー!変なオヤジ… 後ろ手でドアのノブを捜す。振り向いてスグ逃げ出したいが,足がすくみ体が言うことをきかない。
ヒゲづらが,ニコニコしながら一歩一歩近づいてくる。(次号へ続く)
棚瀬多喜雄さんを想う
多喜雄兄をこよなく敬愛する
一兄弟より
館野 直也
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