アブラモヴィッチ・インタビュー

インタビュー日:2000年5月12&13日


昨夏のSBSカップから9ヶ月が経過した5月12日、ザグレブの地にて僕がぞっこんの"クロアチア期待の星"ドマゴイ・アブラモヴィッチと再会を果たしました。出発直前にメールで携帯電話の番号を教えて貰っていたことから、当日ザグレブに到着後コンタクト。17時30分からマクシミール・スタジアムにて練習があるということで、17時に顔を合わせることになりました。笑顔でやってきたアブラモヴィッチ。しかし彼は左足の内太股を痛めており、この日のトップチームの練習には不参加。僕はバックスタンド下にある練習グラウンドで翌日のハイデュク戦を控えたディナモの練習を見ていたところ、彼は愛車でやってきて「乗ってよ」とマクシミール地区内のカフェへ案内。そこでテーブルを挟んでの会話となるのですが....彼は英会話が全く出来ない!! ということで英語が出来る彼の友人を介してのお話となりました(しかし僕も彼の友人も英語力は低い)。また翌日も試合後に会うことになり、彼はディナモのリーグ5連覇をピッチの上にてサポーター達と祝ったあと、僕の待つカフェへと駆け付けてくれました。しかし今度は友人抜き、手元の日-クロ辞書を首っ引きでの会話。ここではその両日で色々と質問したことをインタビュー形式に編集して紹介しようと思います。ただ会話をテープ録音したわけではないので、筆談やジャスチャー含みの"こんな感じの会話をした"ということで。ではスタート!!

 

−最近の調子はどう?
見ての通り、左の太股を痛めちゃって(と痛めた左足を見せつつ)。よって今日は練習不参加だったんだ。
−5月17日のオーストリア戦(U-18欧州選手権予選プレーオフ)は出場可能なの?
うーん、ちょっと微妙かな。(翌日は「少し良くはなっている」との言葉)
−U-18代表チームについて教えてくれる?
凄く良いチームだよ。フォーメーションは4-3-3で僕は3トップの頂点。守備の時は両ウィングが下がり、僕がワントップとして残るんだ。
−オーストリアをプレーオフで下せばドイツでの本大会だよね。
そう。君も応援に来てくれるの?
−うーん、資金が苦しいので....。
(アブラモヴィッチ、残念そうな顔)
−好きな選手は誰?
リバウド。(即答)
−クロアチア人選手だと?
スーケルかな。
−では好きなクラブは?
ACミラン。もちろんディナモも。
−特に仲が良い選手は誰?
マルコ・バビッチ(バイヤー・レバークーゼン)とダリオ・ザホーラ(ディナモ)かな。
−ディナモといえば昨季はミウラ(三浦知良)がいたけど、彼のことはどう思う?
いやぁ。(しかめっ面で。相当嫌だったようだ)
−僕は名古屋の出身なんだけど、名古屋ではドラガン・ストイコビッチがプレーしているんだ。
ピクシー! (甲高い声で。大抵、クロアチア人はセルビア人の彼の名前を出すと嫌な顔をするのだが、彼は非常に好意的なようだった)
−昨年はSBSカップで来日したけど、日本の印象は?
日本は素晴らしい国。しかしとにかく暑かったねー。(と、暑さで疲れたジャスチャーをする)
−サッカーを始めた頃のポジションは?
最初からフォワードだったよ。
−君のデビュー戦は17歳の時、それもいきなりチャンピオンズリーグ最終節の対オリンピアコス戦(98.12.9)だったんだけど、途中交替でピッチに出た時は緊張した?
うーん、少しだけかな。
−今までのキャリアの中でベストゴールといえば?
U-16欧州選手権予選の対イングランド戦(1998.3.5)で決めたクロスからのヘディングシュート。その次はU-18欧州選手権プレーオフの対フランス戦(1999.5.12)で決めたドリブルからのシュート。あとSBSカップの対静岡選抜(1999.8.15)で決めた左足のミドルシュートも良かったね。
−来季の目標は?
ディナモの戦力としてマクシミール・スタジアムのピッチの上で活躍すること。
−日本のファン達は君のこれからの活躍を期待しているよ。
(笑顔で)それは嬉しいね〜。


〈アブラモヴィッチと僕 (U-18代表の試合後にて)〉

【ここからはプライベートな話題を】
−家族構成は?
両親と7歳年上の姉がいるよ。姉は既に結婚していて8歳と4歳の子供がいるんだ。
−ということは、君はもう叔父さんなんだ。
(笑って)そう。
[アブラのお父さん(57歳)が試合後にカフェにやってきてご挨拶。これがそっくり]
−お父さんとそっくりだねー。
ははは。
−恋人はいるの?
うん。
[スタジアムで子供達と話していたところ、「僕の姉がかつてアブラモヴィッチと付き合っていたんだ」なんて教えてくれる少年がいて、「姉は今、ユースのチームメイトのミハ・ペルメと付き合っているよ」という情報を入手。これはタブーかなと思いつつ、敢えて聞いてみると....]
あっ、そうそう(と渋い顔)。
−SBSカップのパンフレットには"学生"と書いてあるけど現在学校は?
自動車学校は卒業したよ(笑) 今はハイスクールの2年生。だけど学校は嫌いだなあ。(と本当に嫌な素振りを見せる。現在まだ2年生ということは...もしかして留年中?)
−好きな科目なんてあるの?
ないない。あっ、体育は好きだよ。
−サッカー以外に好きなスポーツは?
バスケットボールとハンドボールかな。
−趣味は?
(少し考えて)ないな〜。
−趣味はサッカーということで?
(ニコッと)うん、そうだね。
−映画とかは?
見るけど、これといったお気に入りは....
−なら音楽は?
国内の音楽は聞くよ。(と、クロアチアの女性ボーカルの歌手の名前を挙げる)
−プレイステーションは?
うん、好き!
−どんなゲームソフトで遊んでいるの?
FIFA(サッカー)、NBA(バスケ)、NHL(アイスホッケー)といったスポーツもの。

そろそろディナモのリーグ優勝の祝賀パーティがあるので....。また何時でも携帯電話に連絡してちょうだい。
−どうも有難う。今後の成功をお祈りします。
こちらこそ有難う!!(笑顔で握手)


〈こぼれ話〉

こう並べると会話がスラスラと進んだように見えますが、とにかく言葉の壁がきつく意思の疎通に苦労の連続。初日の友人を介して、そして二日目は辞書頼りの会話なのですが、アブラモヴィッチは気が少し散りやすいタイプで妙な間が空くと手持ち無沙汰で退屈そうになるんですね。しかしながら、初日に少し小振りなグランパス柄のソフト・サッカーボールをプレゼントしたら、翌日には愛車に飾ってあって「この可愛い奴め」と喜んでしまいました。今まで何度か英語でのメールの遣り取りがあったのですが、ハンドルネームが別人なのはなぜ?と質問したら、姉の旦那さんのパソコンから送って貰ったようで、英語での翻訳もお願いしていたようです。以前そのメールで「ディナモの全ての試合において僕のゲストとしていらして下さい」とあったのですが、本人はてっきり忘れており、「試合のチケットはあそこの売場で買えるよ」なんて(苦笑)。そうそう、ザグレブのキオスクでディナモシールというのが5枚一袋で売り出されているのですが、最初に出たシールがいきなりアブラモヴィッチ!! やはり彼とは運命的なものを感じましたよ。(このシールの件も本人に伝えました)
怪我あがりの出場となった18日の対オーストリア戦ではゴールは無かったものの彼の才能を存分に見せてくれました。足元でのボールの貰い方、そしてそこからDFを振り切る加速力&ドリブル力はシェフチェンコを彷彿とさせるものがあります。彼が今後のディナモ、そしてクロアチア代表を担っていくFWへと成長していくことを信じ、僕はそれを願わんばかりであります。
頑張れ、アブラ!!


前の画面に戻る