現地発、クロアチア・サッカー報告(4)

私的ドキュメント10.6 〜クロアチアがW杯出場を決めた日


2001/10/6 2002ワールドカップ欧州予選最終節
「クロアチアvs.ベルギー」


【今日はカメラマンであります】

 ザグレブ滞在13日目。昨夜はNKヴァルテクスのレポートを3時近くに書き終えたこともあり、いつもより遅い9時に起床した。日中は半袖でも過ごせる毎日だが、今朝に関しては相当冷え込んでいる。スポーツ新聞Sportke Novosti紙を買いに近所のキオスクへ。外は多少霧がかっており、空は薄曇りだ。まずは新聞の天気面を覗く。「曇り時々晴れ」。今夜の試合で僕は初めてカメラマンに挑む。雨が降られては愛機のデジカメが心配だ。雨は降らないと知って胸を撫で下ろした。次に気になったのはイゴール・トゥドールの体調だ。彼は2週間前のレッチェ戦で選手と衝突して足首を故障、全治2ヶ月とさえ言われていた。一日ごとに「出場可能」「出場不可能」の言葉が紙面で入れ替わる。ヨジッチ監督も「彼は特別な存在だ」と言い称えるほど、ここ1,2年でトゥドールはプレー面だけでなく精神面も成長した。けれとも、今日の紙面では先発予想メンバーからトゥドールが外れていた。予想スタメンは3-5-2。GKプレティコサ、DFは左からコバチ弟、ソルド、シミッチ。守備的MFにトマスとヴラニェシュ、左MFがヤルニで右MFがジブコヴィッチ。トップ下がプロシネツキで、2トップがラパイッチとボクシッチ。同じく怪我をしていたジブゴヴィッチは間に合うようだが、スタニッチは駄目だったようだ。一方、ベルギーはヴィルモッツが間に合い、ほぼベストメンバー。部屋に戻り、記事を翻訳。ネット接続して自分のホームページの掲示板に書き込む。同時に4日分の洗濯も始め、衣服を取り込み終えた12時に家を出発した。

   

【試合開始6時間近く前の   
マクシミール・スタディオン】

【プレドラド・ヴィチェブ広場での   
ナイキ主催のサッカーイベント】

 12時15分、会場となるマクシミール・スタディオンに到着。屋台やダフ屋が幾人か登場しているが、まだマッチデイの雰囲気ではない。マクシミールの入口で営業している移動遊園地"ルナ・パルク"も今日に関しては客足が少ない。12時半。ザグレブの中央広場であるヴァン・イェラチィツァ広場へと向う。クロアチアのユニフォームを身にまとったサポーターが次々に集結。国旗を身につけ、顔を紅白の市松模様でペイントしたサポーター達の応援が始まっている。彼らは地方から夜行で到来してきたサポーター達だろう。まだアルコール摂取量が少ないみたいで、写真の撮影を依頼しても気軽に振舞ってくれる。ヴァン・イェラチィツァの南西、プレドラド・ヴィチェヴ広場ではクロアチア代表にユニフォーム一式を提供しているナイキがサッカーイベントを主催していた。ドリブルやリフティング、ヘディング、キックオンボードなど6種のゲームに参加し、成績によってプレゼントが貰える。クロアチア・ユニフォームの身にまとった係員はヤル気の有無がきっぱりと別れるが、若者から子供までこのイベントを大いに楽しんでいた。僕も参加したものの全く冴えない成績、そして時間的に6つのうち4種目までしかこなせず13時半に会場を去る。14時にジャーナリストの友人ダニエルと約束した待合せ場所へ。ダニエルはUEFAカップに続き、今夜の試合のプレス手配をしてくれた。しかし、到着した直後に携帯に連絡が入り、10分ほど遅れるとのこと。結局、20分遅れでダニエルは「PHOTO」と書かれた名札を手にしてやってきた。ナンバー「69」。念願の品に僕はしばし感激したのであった。

   

【暴徒化する前のクロアチア・サポーター】

   【礼儀正しいベルギー・サポーターの方々】

 ダニエルとスタジアムでの再会を約束し、再び中心街へ。ザグレブ中央駅前に降り立つと、ベルギーサポーターも到来していた。ザグレブ中央駅から北に、トミスラフ広場、ストロマイエロフ広場、ズリニコスガ広場と繋がり、もう100mほど歩くとヴァン・イェラチィツァ広場となる。トミスラフ広場では左にクロアチア、右にベルギーのサポーターが行進。ズリニコスガ広場から抜ける道で両サポーターは合流することになる。衝突するかと思いきや、お互いエールを交して別れ合う。ヴァン・イェラチィツァ広場におけるクロアチア・サポーターは増殖しているが、まだ平穏だ。ナイキのイベント会場で残りの2種目をこなそうと思ったら既に全てが畳まれていた。よって、いつも通うインターネットカフェへ。ここで親しくなった店員のミロも大のサッカー好きなのだが、今夜は仕事もあってテレビ観戦に留まるそうだ。ネットチェックしたのち、「今夜は間違い無く勝利だよ」とミロに堅く宣言して店を出る。15時10分。再びヴァン・イェラチィツァに戻るとサポーターが隠していた本性を剥き出していた。歌声と共に発煙筒が焚かれ、その煙と爆竹の轟音が市民を襲う。カメラを構えて中へと入っていくと、僕を狙って爆竹が投じられた。ここは危険すぎる。僕は早めにマクシミールへと向った。

【やっぱり暴徒化したクロアチア・サポーター】

 スタジアムの開場時刻を迎えた15時30分。スタジアム入口ではクロアチア応援グッズを扱う露店が増え、またポップコーンやキキリキ(ピーナッツ)などを売る屋台もあちこちに出ている。ダフ屋の数も増加、メインスタンドのチケットは比較的高値で取引されているようだ。カメラ片手に歩いていると、ビール片手のサポーター達から矢継ぎ早に「Japan(ヤパン)」と声を掛けられる。また、これまでサッカー会場で6度も会い、特別に親しくなった屋台のオジサンにも再会。「今日はたくさん売れると思うよ」と顔もニンマリ。いつものキキリキを購入、食べすぎて水分が欲しくなった時、バックスタンド入口付近で2人の男性が声を掛けてきてビールを飲ませてくれた。やはりサッカー観戦にはビール。これに限る。

   

【可愛い少年】

   【アドリア島の小島、スサクから来たサポーター】

 16時。カバンの中に大事に閉まってあった名札を取り出して胸に付け、メインスタンドから入場。先週は「ディナモ・ザグレブvs.フルヴァツキ・ドラゴヴォリャック」戦で客として観戦したのだが、その時はカバンの隅々まで全てチェックされたものだ。それが今日はノーチェック。素人の僕は改めてプレスとしての威力を思い知る。この試合に取材申請したのは、国外ジャーナリストが33人、国外カメラマン14人、国内ジャーナリスト156人、国内カメラマン48人、ラジオレポーター15人、そしてTV関係者。僕の申請分は国内カメラマンに含まれる。メインスタンド下で日本の新聞記者の方と会い、しばし情報交換。ザグレブの最高級ホテル、エスプラナーデには日本人サポーターも宿泊していたそうだ。手続き場所を教えて貰い、ナンバー「58」のビブスを貰って頂いて中へ。まだサポーターの入りは10%にも満たないが、ピッチレベルから眺めるスタンドは壮観だ。クロアチアの流行歌もスピーカーか流れ、徐々に徐々にと盛り上がりつつある。16時半。両チームの選手とコーチ陣がグラウンドコンデションを確かめにピッチへと入ってきた。ヨジッチ監督の表情には緊張が漂う。知合いの現地ジャーナリストやカメラマンとも挨拶を重ねつつ、僕はピッチとスタンド下の出入りを繰り返した。片言のクロアチア語を駆使して子供や家族、地方から来たサポーターの撮影に徹したのだ。報道陣ならば本来中立であるべきなのだろうが、僕は手首にクロアチア・カラーのリストバンドを巻いていた。ささやかながら一サポーターとして、そして現地生活を始めるまでに至ったクロアチアへの忠誠を見せたかったからだ。その甲斐あって、クロアチアのプレス関係者からは握手を求められ、またオシエクから来たサポーターにはペプシを奢って貰う。名札に続き、リストバンドまでもが威力を発揮しているようだ。

   

【父娘でのクロアチア・サポーター】

   【親子5人でのクロアチア・サポーター】


 17時が周り、ベルギー代表が練習にピッチへと足を入れた。60%の入りのスタンドからは当然ブーイングが起こる。続いてクロアチア代表が入り、拍手に包まれる。おっ、トゥドールがいる! 直後、この日のスターティングメンバーが書かれた用紙がカメラマンにも配られた。GKプレティコサ。DFがシミッチ、トゥドール、コバチ弟。守備的MFにトマスとソルド、左MFがヤルニ、右MFがジブコヴィッチ。トップ下にプロシネツキで、ツートップはボクシッチとヴラオヴィッチ。コンデションを加味したら、これが現時点のベストメンバーだろう。メインスタンド近くではバトントラワーとブラスバンドがノホホンとした気分を作り出そうとするが、効果は殆ど無し。僕は知人がスタンドに居ないか、ゴール裏からバックスタンドまでつぶさに見回るが、「写真を撮ってくれ」というサポーター達の訴えばかりを受けることになる。市松模様に「HRVATSKA」の文字、そして馴染みのナイキのマークが入ったビニールが全ての席に配られており、彼らはそれを手にしてアピールする。写真を撮って会釈すると、サポーター達も揃って日本式にペコリ。バックスタンドには大きなクロアチア国旗がぶら下げられる。2年前、欧州選手権出場が掛かったユーゴスラビアとの決戦の際、最大の戦地となった「VUKOVAR」の文字が入った同サイズの国旗が政治的メッセージを込めて掲げられたものだった。先日、クロアチア国営放送は95年に起きたクロアチア軍のクライナ侵攻に関して、クロアチア側の戦争犯罪の視点を織り交ぜてのドキュメンタリーを制作。大きな反響を巻き起こし、政変後の歴史の見直しも一部から始まってきていると聞く。ヤルニなどは「ユーゴスラビア戦であったような心理的プレッシャーは全く無い」と試合前のインタビューで語る。あくまでサッカーだけに集中し、ベルギーに勝利すること、それだけが今夜のミッションなのである。

   

【バックスタンドのサポーター。
「お米(の国)へ行こう」の垂れ幕が】

   【バックスタンドの正面には巨大な
クロアチア国旗が掲げられる】

 17時48分、両チームの控え選手が現れた。クロアチアのベンチにはスーケル、ラパイッチ、ヴグリネツ、バラバン、ブティナ、ヴラニェシュ、アギッチ。期待された新戦力FWイビツァ・オリッチ(NKザグレブ)、怪我のスタニッチとシュティマッツはベンチから外された。スタジアムは南のゴール裏席を除けば100%近い観客。17時52分、クロアチアのコスチュームをまとった女性が両国の国旗を持ち、そのあとを審判団、続いて選手が入場してきた。クロアチアの先頭はキャプテンのヤルニ。他のカメラマンが最初の持場を離れてベンチの選手を取るのに躍起になっていた中、僕はクロアチア代表が正面に来る場所を確保。一列に並んだ選手達の表情は水曜日の練習後の時と全く違い、この一戦に掛ける意気込みがひしひしと感じられる。

   

【クロアチアのベンチ。左からスーケル、
ラパイッチ、アギッチ、ヴグリネツ】

   【整列したクロアチアイレブン】

 国歌演奏。ベルギー国歌にはブーイングが起き、クロアチア国歌の時にはスタジアム全体で歌声が鳴り響く。4月に観戦したギリシャとの親善試合では、ギリシャ国歌には整然とした拍手を送り、クロアチア国歌を周囲で歌う者は殆ど居なかった。観客も同じくして、この一戦にワールドカップ出場の思いを掛けている。選手同士の握手ののち、ヤルニ、ヴィルモッツの両キャプテンがペナント交換。クロアチア代表は試合前の記念写真を忘れかけており、カメラマンの声が飛び交う。撮影後、僕は他のカメラマンに遅れを取って、熱狂的サポーターが構える北側のゴール裏スタンドと駆け足で向った。18時、ヘルムート・クルーグ審判の笛が鳴り、ベルギーのボールでキックオフ。

   

【司令塔として活躍したプロシネツキ。
中央はベルエイエン、左がシミッチ】

   【13分、ヴラオヴィッチが最初の決定機を迎える】

 2分、ジブコヴィッチの左からのクロスがボクシッチへ、これは短くて届かず。5分、ボクシッチがペナルティエリアに入るも、3人のDFに囲まれてシュート打てず。9分、バセージオが20mの距離からミドルシュートは枠を外れる。13分、ボクシッチの浮き球のパスからヴラオヴィッチがDFの背後に入るも、トラップからのシュート体勢が作れずに蹴ったボールは威力なくGKデ・ブリーガーの腕に収まる。今まで動く被写体に慣れずにいたが、ようやくこのシーンは撮影に成功した。19分、MFゴールがプレティコサと向かい合ってシュート、プレティコサはコーナーキックへと追いやる。22分、再びヴラオヴィッチがチャンスを迎えたが、シュートは枠を外れてスタジアム全体から溜息が起こる。25分、ヴラオヴィッチがファンデルハーゲに倒されるが、審判はファウルを取らない。サポーターのフラストレーションが溜まり始めてきて、爆竹や発煙筒が矢継ぎ早に背後へと飛んでくる。他のカメラマンにとっては慣れっこだろうが、僕にとっては初体験。爆竹の音一つ一つにビクッ、ビクッと反応して後ろを振り向いてしまう。爆竹の破片が足に当たり、また発煙筒があと20cmほどで地面に置いていたバッグに直撃、拾い上げないとあやうく燃えてしまうところだった。オタオタする僕を見て、隣りで南瓜のタネを食べながら決定的瞬間を待つカメラマンはニカッと笑った。32分、プロシネツキの20mのFKは弾道悪くないものの左側に逸れる。なかなかゴールが生まれない現実に背後のサポーター達は「ダヴォール・シュケル! ダヴォール・シュケル!」と、かつてのゴールマシンの名前を連呼した。35分、ヴラオヴィッチがペナルティエリアで倒され、クルーグ審判はペナルティスポットを指差す。PKだ! スタンドもドッと涌く。キッカーはプロシネツキ。決定的瞬間を捉えるため、右目をカメラのファインダーに当てる。しかし、左目で凝視したボールは非情にもバーを叩いた。PK失敗にまつわる敗北のストーリーは星の数ほどある。この試合もその一つとして終ってしまうのでは.....そんな憶測が頭をよぎった。

【プロシネツキのPKはバーを叩く】

 前半終了間近の45分、プロシネツキの左CKにシミッチがヘディングでビタッと合わせる。ボールはベルギーのゴールへ吸い込まれる瞬間、デフランドレが間一髪で掻き出した。線審のノーゴールの判定にシミッチをはじめ誰もが信じられない顔をする。僕の立っていた位置からでは判断できなかったが、あとから映像を見るとボールは線を割っていたし、デフランドレも試合後に「あれはゴールだった」とコメント。前半はこのまま0-0で終了してしまう。前半の出来と審判の判定に釈然としないサポーターからは発煙筒が焚かれた。しかしながら、今日のベルギーは常に引き気味であり、クロアチアが必然的に押し込む展開となっている。トマスの豊富な活動量、そしてプロシネツキの巧みなゲームメイクは僕の位置からでも見取れる。欧州予選を最小失点2で抑えてきたDF陣も安泰。後半に入ってヨジッチがどう動くかが気になる。僕はすかさず前半に撮影したデジカメのデータをパソコンのハードディスクへと移した。

   

【45分、プロシネツキの左CK】

  【シミッチのシュートは認められず】 

 

【前半は0-0で終了】

 後半は逆サイドへと移動。クロアチア代表の控え選手の練習を撮影したのち、両チームの選手が登場した。クロアチアのボールで、後半のキックオフが始まる。しかしこちらのサイドは照明が先程より明るく、適度なシャッタースピードと露出の設定に手間取っているうちに時間は過ぎてしまう。同様にクロアチアもこれといった決定機を迎えられないまま、悪戯に時間だけが過ぎていった。59分、プロシネツキの20m弱のミドルシュートはGKデブリーガーがコーナーキックへと追いやる。60分、61分と最も危険視していたムペンサがゴールへと向う。63分、ヨジッチ監督は最初のカードを切った。ヴラオヴィッチに代えてバラバン。彼は予選を通じて最多の4ゴールを挙げ、新たなクロアチアのストライカーとして名乗りを挙げた新鋭だ。70分、ボクシッチがデブリーガーと一対一になるがシュートは右へ。ワッセイジ監督は71分に怪我上がりのヴィルモッツをFWソンクへと交替。ヨジッチ監督も72分にソルドを代えてラパイッチを左サイドに投入し、3トップ体制を取る。その采配がズバリと当たった。77分、プロシネツキは右サイドのバラバンへ。バラバンはペナルティエリア内へと切り込み、エンドライン際、それも構える僕の目の前でボールを中央へと折り返す。シャッターを切るが、ズームが合わない。視点をゴール側にやると中央に居たのはボクシッチ。これを冷静に流し込む。ゴール! クロアチア先制!! ボクシッチはユニフォームを脱ぎ、他の選手ともどもベンチへと走り込んで行った。ゴールの瞬間、僕も喜びの余り飛び跳ね、そのあと撮影した写真はどれもがブレてしまっていた。もうそんなことはどうでも良い。それから僕は時計を何度も凝視する。

   

【大きな仕事を成し遂げたボクシッチ】

  【撮影そのものには失敗したが、
これがバラバンの折り返しの瞬間】 

   

【ゴール後、ベンチに走り出す
バラバンとラパイッチ】

  【戦況を眺めるスタニッチとオリッチ】 

 直ぐにヨジッチ監督はプロシネツキをヴラニェシュに代えて守りを固めに入った。PKを外したといえ、今夜のプロシネツキは存在感を充分に現し、スタンドからの拍手を浴びる。ワッセイジ監督もヘンドリックスとピータースを投入するが、クロアチアは固い守りを築く。クロアチアのベンチは総立ちとなり、スーケルをはじめ選手達も大きくジャスチャーで指示を出す。僕の左手にはスタニッチとオリッチが現れ、最後の輪に加わるための体勢を取っている。ロスタイムの2分もあっという間に過ぎ、クルーグ審判のタイムアップの笛が鳴った。クロアチア、ワールドカップ出場決定!! スタンドから大歓声を浴びながら、ベンチ全員がピッチへと駆け出した。すると周囲のカメラマンも喜びの選手達を捉えようとピッチに走り出す。そうか、僕もこのピッチを走っていいんだよ。夢中になってカメラを構えながらカクテルライトに照らされたピッチに足を踏み入れた。選手達はバックスタンドから北側のゴール裏席、メインスタンドへと、手を振りながら、ガッツポーズをしながら、抱き合いながら走る。完全に遅れを取った僕は追い駆けても追い駆けても何重にも連なる歓喜の輪に届かない。でも僕は言葉に出来ないほどの満足感を得ていた。一クロアチア・サポーターとしてこれ以上の幸せはないのだから。選手達はピッチを去り、一仕事を終えたカメラマン達も商売道具を畳んで颯爽と帰ってしまった。しかし、僕は興奮さめやらぬサポーター達と同じくスタジアムに残った。スタンドからは歌声が鳴り響く。ピッチレベルから喜びの歌を身体全体で受けた僕は、目にうっすらと涙が浮かべた。良かった、本当に良かった。そして一つの挨拶を心の中でつぶやいた。"Dobrodosli u Japan!"(ようこそ、日本へ!)

   

【ゴール後の電光掲示板】

  【ホイッスルが鳴り、クロアチアの出場が決定】 

   

【観客の祝福に応える選手達】

  【サポーターは夜遅くまで騒いだ】 

2002 WORLD CUP PRELIMINARY

CROATIA vs. BELGIUM

2001.10.6  Maksimir Stadion

CROTIA BELGIUM
position name position name
GK 1.Stipe Pletikosa GK 1.Geert De Vlieger
DF 2.Robert Kovac DF 2. Eric Deflandre
[84'-16.Bob Peeters]
DF 5.Igor Tudor DF 3. Glen De Boecke
DF 6.Dario Simic DF 4. Eric Van Mei
MF 3.Robert Jarni DF 5. Nico Van Kerckhoven
MF 4.Zvonimir Soldo
[72'-17.Milan Rapaic]
MF 6. Yves Vanderhaeghe
MF 7.Stjepan Tomas MF 7. Marc Wilmots
[71'-15.Wesley Sonck]
MF 8.Robert Prosinecki
[80'-15.Jurica Vranjes]
MF 8. Bart Goor
[82'-18.Marc Hendrickx]
MF 10.Boris Zivkovic MF 10. Walter Baseggio
FW 9.Goran Vlaovic
[63'-18.Bosko Balaban]
MF 11. Gert Verheyen
FW 11.Alen Boksic FW 9. Emile Mpenza
COACH Mirko Jozic COACH Robert Waseige
CROATIA 1−0 BELGIUM
GOAL '77  Alen Boksic (Croatia)

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