自律操作感(可制御性)を重視した1入力操作方式
簡易コミュニケーションソフトの開発Development of Single-switch Communication Software focused on Controllability
畠山 卓朗(星城大学リハビリテーション学部) 政木 憲司(ゆり電子)
1 はじめに
コミュニケーション・エイドにおける入力法として自動走査選択法(オート・スキャン法)がある.ディスプレイ表示を見ながら,任意に設定した時間毎に文字盤の行や列が反転表示され,そのタイミングに合わせてスイッチ操作を行う.利用者からは「機械に操られている感じがする」,「スキャン中にディスプレイを見続けることに強いストレスがある」などの感想が寄せられることがある.筆者等は操作スイッチの時間的な長・短および操作回数の組合せにより文字入力を可能にする入力法を提案してきた1).今回,この入力法を基にして自分で操作しているという感(ここでは自律操作感と呼ぶ)を重視した簡易コミュニケーションソフト(Windows XP / 2000用)を開発した.2 開発したソフトウェア
2.1 システム概要
Fig.1に,開発したシステムの操作概念図を示す.利用者は50音表をイメージしながら,スイッチ操作を行う.後述する方法により,スイッチの入力回数,時間的長/短の組合せで文字を特定する.システム側から,スイッチ入力する毎に聴覚フィードバック(ビープ音)が与えられる.なお,スイッチの種類によっては,操作部位からの触覚フィードバックが得られる.正しく文字選択ができたかどうかは,ディスプレイ表示とスピーカからの音声合成出力で確認する.操作スイッチとパソコンの接続には市販SWインタフェースを用いる.なお,提案する入力法ではオートスキャン法と較べてスイッチ操作において巧緻性が求められる.
Fig.1 システム操作概念図
2.2 スイッチ操作における時間要素
操作スイッチがオンしている時間をTon,オン後のオフしている時間をToffとする.提案する入力法では,次の3種類の時間的な判別のための閾値を設けている.T1(短点/長点入力判別時間),T2(行/文字確定判別時間),T3(キャンセリング判別時間)である.スイッチ入力とフィードバック(FB)音出力タイミングの関係をFig.2に示す.
Fig.2 SW入力とFB音出力タイミング
2.3 操作方法
2.3.1 文字の選択
文字の選択は,Fig.3に示す50音表を用いて2ステップで行う.最初に行を選択し,次に選択した行から文字を選択する.
(Step 1)行の選択
50音表の左上隅を基準点とし,選択したい文字の行まで短点入力を行い,行に到達したら入力を一時止める.任意に設定した時間(T2)が経過すると行が確定する.行が確定したことは聴覚フィードバック音で確認する.また,最初に長点入力を行うことでブロック移動が行われ,「は行」以降から行選択が行われる.
(Step 2)文字の選択
Step1で選択された行中の文字を選択するには,行の選択と同様に短点入力を行う.目的の文字まで到達したらそこで入力を止める.任意に設定した時間(T2)が経過すると,文字選択が完了し,選択した文字がディスプレイ表示されるとともに音声合成音で読み上げる.
Fig.3 短点入力と長点入力による行選択
2.3.2 空白,削除,改行,数字などの選択
50音表の各行には半濁点,濁点,各種記号が割り当ててあり,上述したStep1の後,何も入力しなければ,それらが自動的に選択される.(Fig.4)ブロック移動
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Fig.4 空白,削除,改行,半濁点等の選択
2.3.3 機能選択
文字入力モードでは,長点入力の繰り返し回数により,下記の機能を選択できる.
2回 モード切替(文字/数字/カーソル)
3回 音声読み上げ
4回 文書保存/読込
5回 全消去/復活
2.3.4 その他の機能
文字選択途中で操作を中止したい場合は,任意に設定した時間(T3)以上入力し続ける(キャンセリング機能).また,誤操作により作成中の文書を全消去してしまった場合でも,その直後であれば長点入力を5回行うことで文書を復活させることができる(復活機能).文書作成途中で終了しても,次回システム立ち上げ時に作成中の文書を自動的に呼び出す(自動保存機能).ベル音で周囲の人に声をかける(呼びリン機能),などがある.
3 おわりに
現在,本ソフトを試用評価中である.今後,インターネット経由で配布し,評価協力者を募ることを予定している.
本研究開発にあたっては,平成16年度星城大学特別研究奨励費の助成を受けた.
最後に,日頃貴重な議論やご助言をいただいている青木 久氏,渡辺 崇史氏,井村 保氏,伊藤 英一氏に感謝の意を表します.
参考文献
1) 畠山卓朗,他:神経筋疾患に対する新しい入力法の提案 -EASYCOM(イージーコム)の開発-,第5回リハ工学カンファレンス講演論文集,283-286 ,1990
(2005 第20回リハ工学カンファレンスにおいて発表)