ほぼ毎日更新しているサイト・オーナー
4人が酒を酌み交わしつつ放談・酔談。
個人サイトの可能性などを語り明かした
第1回「爆笑! 四酔人 サイト問答」に
引き続き、山にこもった。
もとい、白金の秘密の石鍋屋へ結集!

マスメディアは社会変革の力となりうるか。
ネットではまだ対抗しきれない既存
マスメディアの強さと、ますます深刻に
なってきた時代後れの弊害を語り明かした。
題して、「爆笑! 四酔人 マスメディアの逆襲」。
日本のメディアの未来はいかに。

「師匠」伊藤洋一
Ycaster
為替市場、IT、野球と幅広い話題の人気サイト
「かんべえ」吉崎達彦
溜池通信
政治経済にユニークな視点
を提供
「エセ茶人」岡本呻也
日本のカイシャ、いかがなものか!
日本の会社が抱える問題を追求
「門前の小僧」田中裕士
thinking about media
メディアの可能性と問題を思考

※ なお、この座談会はあまりにも過激なため、本人以外の発言には一切の責任を負わないものとします。
※ thinking about media の日記はココに掲載しています。



(1) 私が会社を辞めた理由

田中 いやあ、久々ですね。この面子が集まるのは。前回は岡本さんが攻められた。なんであんなに自分の旗色が悪い鼎談を延々自分のホームページに載せたのか。自虐趣味としかいいようがない。読者の反応はどうでした?

岡本 一切、ない(キッパリ)。

吉崎 あれだけ言ったのに全然中味は変わらないんですよ。

伊藤 もう言っても始まらないけど、「日本のカイシャ、いかがなものか!」って今の日本の形は悪いに決まってるだろ。普通はそんなこと書かないよ。

田中 だけど、岡本さん的に言うと、「辺りを見回してみると、同じような現象があるじゃないか」と。「蛸壺の中だけかと思ったら…」と。

伊藤 一番やさしいのは田中ちゃんだよね。田中と岡本ってのは、全然違うだと思うんだよ、実は。

田中 違うから、いいんじゃないですか。僕は、どう転んでもこの人にはなれない。

岡本 背丈がちがいますから…。

(爆笑)

田中 まあ、刺し合いはこれくらいにして、本題に入りましょうよ。前回はネットの可能性と問題点でしたが、ここへ来てネットの魅力にも陰りが見えたり、既存メディアの強さに見直すべきものも見えてきた。今回は既存マスメディアのほうに目を向けて行きたいと思います。まあ、そうなるかどうかは別にして()

で、岡本さんはとっとと既存マスメディアの一員だったのに、会社に見切りをつけたわけですよね。

岡本 吉崎さんはしらないけど、僕は会社のキラキラした綺麗な部分ばかりを見ていたんですよ。会社に対して、悪い側面ばかりを強調して捉えるという見方が一般的だってことは、最近取材していて気がついたんです()。どっちのほうを見ていたほうが幸せかというと、綺麗なほうをみているのも悪くないかと。その結果、好きだったはずの会社をやめるんでけどね。

伊藤 いや、両方見なきゃいけないと思う。なんでもそうだよ。ネットが盛んになって「出会い系サイトが悪い」なんて行っているけど、当たり前じゃない。便利なものには功罪両方あるのが世の常なんだよ。

田中 そういう伊藤さんも通信社のデスクを務めたのに、15年目に見切りをつけたわけですよね。それは、何故ですか。

伊藤 俺はね、通信社記者の限界を感じたわけ。自分の名前で記事をかけない、載らない。それだけ。

岡本 それは、その通りですね。

田中 あえて聞きますけど、なぜ、自分の名前で書かないといけないんですか。

伊藤 自分のトラックに残らないじゃない。俺は大新聞の一面記事になるような通信社の原稿事をいっぱい書いてきたけど、「これは伊藤が書いた」なんて、誰も知らないよ。俺のスクラップノートに残っているだけで。

そういう時期が必要だってことも、知ってる。アメリカの有名な新聞記者がAPやUPIで経験を経てニューヨーク・タイムスに行くとかね、そういうのはあるんだよ。

だけど、ネームってのはレーゾンデートルだからさ。

自分の署名が入っている本を見せて「お父ちゃん、これは今度俺が書いた本だよ」というほうが、「これはニューヨークに居るときに書いて朝日新聞の一面を飾った記事だよ」というより喜びが倍加するってことは、社会的レコグニッション(recognition)が高いってことでしょ。

岡本  本書くと、そういうことはあるんですよ。

伊藤 だから、岡本のオヤジだってね、「これは息子が書いた、くだらない本だけど」って言って松山の親戚に配ったに決まってるんだよ。

岡本 「それはやめて」って言ったんですよ。

田中 だめだよ、一冊でも多く売らないと。

伊藤 出版社の人間がやめて自分の本書くのと一緒だよ。他人のアシストしたって、名前が残らないんだから。

岡本 コンサル会社の人間がやめて自分で実業やりたいというのと同じ。

伊藤 例えば、雑誌に記事を書いて「岡本 呻也」って名前が出る。だけど、それは誰かに取材して書いているわけであってさ、本を書くのと全く違うんだよ。

岡本 うん、これは違うんです。しかも、著者経歴にメールアドレスを入れておいたら、毎日感想が届くんですよ。

吉崎 私、20代の間ずっと会社の広報室でPR雑誌の編集者をやっていて、30代で調査部門に移ったんですけど、似たようなこと考えましたね。書かせる側から書く側に、みたいな。ただ、読み手として考えると、田中さんがよく言っておられる署名原稿か匿名原稿かという問題では、匿名原稿の価値もあるな、と思ってますね。

伊藤 じゃあ、なんでネットやってんの。

吉崎 うーん、あれは、どうなのかな。

岡本 「かんべえ」は、半匿名っぽいよ。

伊藤 だから、そういう願望はあるんだって。俺や岡本のホームページ見て自分も作りたいと思ったというのは、「俺だって、言いたいことは山ほどあるぞ」と思ったわけだよ。それは、あって当然。

田中 仕事で書くのとは、全く違う。サイト始めなかったら、こんなにモノを考えなかったろうな、とは思いますね。ノンフィクション作家の後藤正治さんに、若いノンフィクション作家にどんなアドバイスをしたらいいか聞いたことがあります。すると、「食べていくための仕事と、お金が儲からなくてもいいから自分のテーマになる仕事とをハッキリわけて、両方やることだ」とおっしゃいました。

吉崎 それは勇気づけられる発言ですね。ジャーナリズムとネットの違いって、結局お金にしているか、していないか、の違いかもしれない。

伊藤 俺がホームページをやっているのは、ネットワーク作りの一部だと思う。これは正直な話だよ、ネットを続けたことによって得た経済的メリットってあるもん。ネットからは一銭もとっていないけども、いろんな人がアクセスすれば、「じゃあちょっと講演してください」という話はくるわけだから。俺はそれを否定する必要はないと思う。

田中 一銭も無い()。ただ、おかげさまでニューヨーク行って色々な人にあうことができたり、「ビジネスマインドでみた日本のマスメディア」ってアンケートができたり、とても勉強になったし、充実した人生になってますよ。

伊藤 あのニューヨーク話は面白かったよ。はっきり言って、続けた方が蓄積が残る。俺の友達連中でね、1996年くらいに一緒にネット始めたのに、やめた人が山ほど居る。考える習慣を失ったらおしまいなんだよ。もったいないよね。

田中 まあ、高速道路運転すると目が慣れてくるようなものですよ。私も、以前は週に1、2回更新だったけど、「ビジネスマインドでみた日本のマスメディア」の回答を紹介するのに毎日書いていたら、書くようになったもん。

吉崎 質と量が反比例するようなことを言う人がいるけど、あれはウソですね。たくさん書くと質が落ちるなんてのは大作家の話で、アマチュアからセミプロの場合は書く量と質が比例するんですね。

伊藤 毎日書くと感度が高まる。

岡本 でも、田中さんのサイトを読んでいる人は、「この人、毎日こんなに根つめて大丈夫なのかな」と心配している。

伊藤 「ホントに会社に勤めてるのか」と。だって、長いもんな。俺より長いのよ。もうちょっとまとめろ。

田中 すいませ〜ん。うちの読者は、メディアのことについて一緒に考えるというより、私の存在確認のためにアクセスしてるんだと思いますよ。「よし、田中は今日も生きているな。じゃあ、次」って()。なんだか「トゥルーマン・ショー」みたい。

吉崎 田中さんのは、ウンウンうなって書いている姿が見えますよね。私? 私は気楽に書いていますから。

伊藤 俺はもう5年も書いているから、あんまり考えなくていい。

岡本 それこそ傲慢、傲慢()



「爆笑! 四酔人 マスメディアの逆襲」 連載内容
私が会社を辞めた理由
みんな「この人の一言」を求めている
商用ネットの一極集中が始まる
新聞を読まない人間は後悔する
情報の三遊間がスコーンと抜けている
日本のマスメディアはなぜ軸足がブレるのか
経済評論家は正体不明の人ばかり
ジャーナリストは未だイデオロギーの世界
迷うからこそ新たな価値が生まれる